はい連続投稿、連続投稿
今話で第2章最終話です
決着、ゲムデウス!
下半身が巨大な剣の刃と化し、全身に不気味な目を充血させた【超ゲムデウス】。その規格外の巨躯から放たれるのは、もはやゲームのグラフィックを完全に置き去りにした、時空そのものを腐食させる超高密度のウイルス弾幕だった。
「ひ、ひぎィィィィ!! 地面からガチの龍の腕が生えてきて、廃墟のビルが片っ端からデータに変えられて消滅してるよォォォ!!」
オカルンが白目を剥いて叫び、モモがサイキックの障壁を限界まで展開するが、超ゲムデウスの放つ衝撃波の前にピキピキと音を立てて粉砕されていく。
「シュウさん! 黎斗さん! なんかこう、あの金ピカの龍の目を1発で全滅させるような、新しいワクチンとかブラックホールはないんですか!?」
新八がバズーカの爆風を避けながら叫ぶ。だが、因果律のモニターを見つめるシュウ・シラカワの顔はいつになく厳しかった。
「ダメです。あの最終形態は、複合都市のシステムそのものを盾にしている。私のグランゾンや五条殿の無下限でこれ以上の出力を出せば、バグが消える前にこの街の全次元の境界線が崩壊します!」
「おのれェェェ! 私の神の才能が、30円の仕様ごときに上書きされるというのかァァァ!!」
黎斗神が初めて悔しそうに床を叩き、アルファモンも聖剣を構えたまま動きを制限されていた。この魔境の専門家たちをもってしても、街そのものを巻き込んだ人質ならぬ「システム質」のインフレの前には、大苦戦を強いられるほかなかったのだ。
「銀さん、もうダメアル! こうなったら裏の山に走って、『千年城』の範馬勇次郎やウルトラマンキングを叩き起こして、あの金ピカを物理的に更地にするしかねーネ!!」
神楽が傘を振り回しながら叫んだ、その瞬間だった。
「――待たせたなァァァ、少年ジャンプの先輩方ァァァ!!!」
廃墟エリアのドス黒い空を真っ二つに切り裂き、もの凄いジェットエンジンの轟音が響き渡った。
上空から凄まじい質量でドカンと着地したのは、かつて深淵の者の巨大怪獣をも圧倒した、あの少年たちの脳内イマジネーションの結晶。だが、その姿はいつもと違っていた。全身の装甲がこの複合都市の『三傭兵事務所(ガンダムGP-羅刹やブルーフレーム)』の技術で戦闘用に魔改造され、さらに右腕には『ハシュマル』の超振動ブレードを違法増築した、対インフレ決戦仕様の超巨大ロボット!
――【グレートキンタ(複合都市決戦版)】!!
「金太ァァァ!! お前、いつの間にウチの斜め向かいのお屋敷からガンダムのパーツを不法強奪してそんなチートロボ組み立ててやがったんだよォォォ!!」
銀時が目玉を飛び出させて叫ぶ。コクピットの複座シートには、帽子を目深に被ったロボマニアの坂田金太、そしてその隣で宇宙人のスーツを輝かせたバモラの2人が、完璧なコンビネーションでレバーを握りしめていた。
「ハッハッハ! 見たか、これが僕の脳内イマジネーションと、この街のガンダムの版権パワーが奇跡の融合を果たした、最強の決戦兵器だ! バモラ、出力最大! あの金ピカのバグの目を、僕たちのロマンで全部ブチ抜いてやるぞ!!」
「うん、キンタ! バモラ、イクよ!!」
グレートキンタの胸部のクリスタルが爆発的な輝きを放ち、超ゲムデウスの理不尽なウイルス弾幕を、その巨大な装甲でガガガガガと真っ向から弾き返し始めた!
「オラオラオラァ! 僕のイマジネーションを喰らえ、この金ピカのバグ野郎ォォォ!!」
廃墟の街に地鳴りが響き渡る。坂田金太とバモラの息の合った操縦により、ガンダムパーツで魔改造された【グレートキンタ(複合都市決戦版)】の超振動ブレードが、超ゲムデウスの巨大な龍の腕と真っ向から激突した。ほぼ互角の巨体同士による、大気を震わせるド級の殴り合い。しかし、超ゲムデウスも伊達や酔狂で世界線の「ゲームマスター(神)」を名乗ってはいない。全身の目が不気味に赤く明滅した瞬間、下半身の巨大な剣の刃がアスファルトを切り裂き、グレートキンタの装甲を強引に削り取っていく。
「くっ、さすがは『仮面ライダーエグゼイド』を代表する最凶のバグスター……! ガンダムの最新装甲でも簡単には攻めきれないぞ!」
金太が歯を食いしばり、バモラも「キンタ、敵のパワー、どんどん上がってる!」と叫ぶ。
戦況が再び膠着しかけた、その瞬間。
複合都市の歪んだ夜空の向こうから、金太が、いや全次元のロボマニアの男子が【夢にまで見ていた伝説の存在たち】が、大爆発のエフェクトと共に一斉に飛来した!
「――電子星獣ドル、ゴーッ!!」
「ひ、ひぃぃぃぃ!!! 宇宙刑事ギャバンが青いドラゴンのサイバーメカに乗って上空からダイレクトに援護射撃してきたよォォォ!!」
オカルンがメガネをズレさせながら狂喜乱舞の絶叫をあげる。さらに、そのドルの巨躯に続くように、この街の「お向かい」や「過去の依頼の歴史」から参戦した、ジャンルの境界線を完全に消滅させる最凶の『版権&カオス巨大ロボ部隊』が戦場へ雪崩れ込んできた。
「ウフフ、紅い月の夜には、この真っ赤な機体がお似合いよね」
パイロットスーツを華麗に着こなしたレミリア・スカーレットが、ニュータイプもびっくりの高機動で【シナンジュ】を操り、ファンネルも真っ青な弾幕をゲムデウスの目に叩き込む。
「あははは! お姉様、私のデストロイもいっぱい壊せて超楽しい!」
隣では妹のフランドール・スカーレットが、街を更地にする広域殲滅兵器【デストロイガンダム】の全砲門から極太の熱線レーザーを乱射。
「悪い子は神様でもお仕置きしちゃうんだから! レ・オルフェリラ、出力最大!」
さらにエミリアが『レース・アルカーナ』で動く氷結ロボット【ファービュラリス】のコクピットから、氷の魔力と共鳴した凍結レーザーをゲムデウスの足元へと照射し、その動きを完全に凍りつかせる。
「驚くのはまだ早いアル! ウチらのご近所さんの『違法駐車組』も本気出したネ!!」
神楽が叫んだ先、左斜め向かいの『水星の魔女お屋敷』から飛び出してきたスレッタ・マーキュリーが、【ガンダム・エアリアル】のガンビットを綺麗に展開してゲムデウスのバリアを次々と中和していく。
さらには、1階のスナックお登勢の常連であるORDERの面々までが、私物のロボで参戦。
「大佛、これでお仕事終わらせる」
大佛が操作するアーマード・コア【ヴェンジェンス】の巨大なオーバードウェポンがうなりを上げ、
「……やれやれ、篁さんのムーンウォークの後は、ガンダムのメンテかよ」
神々廻が手慣れたレバーさばきで【ガンダム・ガミジン】の巨大なリボルバーガンアックスをゲムデウスの顔面へと叩きつけた。
「画面が……! 画面のレアリティと版権の渋滞で、僕のメタ知識のノートが処理落ちして発火しそうだよォォォ!!!」
オカルンが頭を抱えて座り込む。
「新八ィィィ! 確定ネ! これ以上ないガチの、男のロマンの全部乗せスーパーロボット大戦が始まったアル!!」
「30円の財布を直すために、なんでガンダム4機に宇宙刑事のメカにスパロボのオリジナル機体まで集結してんだよォォォ!!!版権使用料が国家レベルで大赤字だわァァァ!!!」
「う、ウソだろ……! 電子星獣ドルにシナンジュ、デストロイガンダムにファービュラリス、さらにエアリアル、ヴェンジェンス、ガミジンまで……! 僕が夢にまで見た、全次元の最強ロボットたちが同じ画面で僕と一緒に戦ってくれてるゥゥゥ!! ママァァァ! 僕、ロボマニアに生まれて本当に良かったよォォォ!!」
コックピットで感動の涙を滝のように流す坂田金太の叫びと共に、複合都市が誇るスーパーロボット軍団の、一切の容赦のない同時一斉フルバーストが超ゲムデウスへと叩き込まれた。ギャバンの乗るドルの熱線、レミリアとフランの紅き弾幕とレーザービーム、エミリアの凍結光線、スレッタのガンビット、大佛と神々廻のAC・ガンダムによる超重量級の物理コンボが、間髪入れずに炸裂する。
ズガガガガガガドッカンガッシャァァァン!!!
さしもの神を名乗る超ゲムデウスも、この版権と次元の壁を物理的にブチ抜いたインフレの物量には耐えきれず、全身の不気味な「目」を次々と爆破され、巨大な剣の下半身をへし折られながら、凄まじい駆動音を立てて崩れ落ちていった。
「ハァ……ハァ……! や、やったか!? 今度こそ、あの30円の仕様を司るクソゲーのボスを、完全解体したんじゃないネ!?」
神楽が爆風で飛ばされそうになりながら叫ぶ。
しかし、超ゲムデウスはボロボロになり、身体を黒い消滅データへ崩壊させながらも、執念深くその巨大な龍の両腕を地面に突き立て、未だ立ち上がろうと足掻いていた。世界のバグとしてのしぶとさは、まさにナイトメア級。
「チッ、往生際が悪い金ピカだな! アルファモン、五条さん、もう一発デカいのを――」
銀時がそう叫びかけた、その刹那。
猛り狂う超ゲムデウスの巨体を、上空から急降下してきた金太とバモラの駆る【グレートキンタ】が、背後からガッチリと、その剛腕でホールドした。
「キンタ!? 何する気アルか!?」
コックピットのレバーを限界まで押し込み、金太が前髪の奥の目をギラつかせて不敵に吼えた。
「――知ってたか? 昔、綾瀬さんが言ってたぜ。【怪獣には…………パワーボムだろがい!!!】」
「え、私そんなこと言ったっけ!?」
モモが思わず顔を真っ赤にしてツッコむが、イマジネーションの塊である金太の勢いは止まらない。バモラも「バモラ、イクよ!!」と叫び、グレートキンタのバーニアが最大出力で噴射された。超ゲムデウスの巨体を頭上高くにまで強引にリフトアップし、そのまま脳天からアスファルトの大地へと、音速のスピードで叩きつける!!
ゴバァァァァァァァァァン!!!!!!
廃墟エリア全体が震度7クラスの地鳴りを立てて激しく揺れ、直径数百メートルの巨大なクレーターが穿たれた。
その凄まじい衝撃波とプロレス技の直撃により、超ゲムデウスのデータは一瞬にして粉々に砕け散り、今度こそ跡形も残らず、世界の因果の彼方へと完全消滅していったのだった。
「……消え……た……」
新八が割れたメガネを直しながら、呆然とクレーターの底を見つめる。
空を覆っていた真紅のバグのエラー画面は霧散し、いつもの複合都市の、どこかカオスで賑やかな夜空が戻ってきていた。
「ハーーーッハッハッハッハ!!! 見事なデバッグだ! これぞ神の才能(巨大ロボ)の勝利だァァァ!!」
黎斗神が再び高笑いをあげ、シュウ、アルファモン、五条の3人も「やれやれ、良いものを見せてもらったよ」と満足げにそれぞれの武装を解除していく。
「……終わった。ついに終わったぞ、新八、神楽、そしてダンダダンのみんな……」
銀時が『洞爺湖』を地面に突き立て、感動のあまり膝から崩れ落ちた。
「俺たちの執念が、世界のバグを力ずくでねじ伏せたんだ。ほら、見てみろ、新八。今、世界線のレギュレーションが解放され、真の自由を手に入れたウチの財布の輝きをよぉ……!!」
静寂を取り戻した廃墟エリア。クレーターの底にポツンと残された銀時の財布へ向かって、万事屋一行とダンダダン一行は、勝利の興奮を抑えきれない様子で駆け寄った。
「やった……本当にやったアル! これでもうウチらは30円の極貧生活からオサラバネ! 明日からはハシュマル米の上にステーキと大トロを乗せて三食貪り食ってやるアル!」
「神楽ちゃん、まずは落ち着いて! 銀さん、早く財布を開けて世界線のレギュレーションが変わった『新世界の輝き』を見せてください!」
新八がゴクリと唾を呑み込み、変身を解いたオカルンやモモ、アイラ、そしてロボから降りてきた金太とバモラも「よかったね坂田さん!」と見守る。銀時は手が震えるのを抑えながら、そっと財布を拾い上げ、チャックをゆっくりと、しかし確実に引き開けた。
シュウ・シラカワの因果律アクセス。檀黎斗の特製ワクチン。アルファモンのデータ削除。五条悟の無下限呪術。そしてグレートキンタと複合都市スーパーロボット軍団による最大火力のパワーボム。これだけの神々とロマンが織りなす総力戦の末、確かに、あの財布の底にヘドロのようにこびりついていた『どれだけ稼いでも30円に収束する最悪のバグ(呪い)』は、塵ひとつ残さず完全に消滅していた。
しかし――。
「……あれ?」
銀時が財布の底を覗き込んだまま、ピキッと完全にフリーズした。
「銀さん? どうしたんですか、そんなお通夜みたいな顔して。まさかまだ30円が入ってるんじゃ――」
新八が覗き込んだ、その財布の中身。そこには、30円どころか、1円も、いや、紙屑ひとつすら入っていなかった。完全なる、文字通りの【空っぽ】。
「……ねぇ、新八。銀さん、他作品のメタ知識がまた最悪の解説ページを脳内でめくってるんだけどさ。あの『30円に収束する呪い』って、そもそも財布に入ってた【10円玉3枚】自体が呪いの媒体(コア)だったわけ?」
「え?」
「つまりさ……あの金ピカの超ゲムデウス、自分が実体化して暴れるためのエネルギー源として、その財布の『10円玉3枚』を自分の中に取り込んで肉体を構成してたってこと?」
「……あ」
オカルンがメタ知識保有者として、顔を真っ青にして声を漏らした。
「……そう、ですね。金太くんのパワーボムで超ゲムデウスが跡形もなく消滅したってことは……つまり、あのボスの一部になっていた【10円玉3枚】も……一緒に世界の因果の彼方へ完全削除されちゃったってことに――」
「消滅したァァァァァ!!! 30円の呪いを解くために神々やロボット集団を集めて世界規模のデバッグをやった結果、唯一の手元資金だった最後の30円まで物理的に完全消去されたァァァ!!!」
新八の魂の絶叫が、静まり返った廃墟に木霊した。
「おのれ金ピカの化け物ォォォ!!! 死に土産にウチらのなけなしの10円玉3枚を道連れにしていくんじゃねーよォォォ!!! 30円すらねーよ! マイナスだよ! 一文無しだよォォォ!!!」
銀時がクレーターの土を掴んで号泣し、神楽も「30円あれば酢昆布が買えたのに、これじゃただのホームレスネ!!」と空に向かって咆哮する。
「あ、あははは……。まぁ、坂田さん。これで『30円に縛られる呪い』は本当に消えたわけですから……。次から稼いだお金は、リセットされずにちゃんと貯まるってことですよ! ゼロからのリスタートです!」
モモが引きつった笑顔で必死にフォローするが、
「おーい、お前ら。何やらまた街外れで派手にロボットの大運動会やってたみたいだねぇ」
そこへ、防護ネットの外からキセルをふかしたお登勢が、スナックの常連たちを連れて歩いてきた。
「ま、街の修理代は警察(朱鳶ちゃんたち)がボランティアの経費で落としてくれるそうだけどさ。……それはそれとして、今月の家賃、1円でも滞納したら即座にその財布ごと裏の山(千年城)に叩き込むからね」
「大家のババアの家賃回収システム(現実)の強制力は1ミリも弱まってねぇェェェ!!! 30円の呪いが消えた瞬間に【完全なる一文無し】のリアルな地獄が始まったよォォォ!!!」
新八の悲痛なツッコミが響き渡る中、銀時は空っぽの財布を抱きしめ、再び深淵のような虚無の目を夜空に向けた。
世界を滅ぼしかねない最凶のバグを力ずくでねじ伏せ、ついに呪縛を解いた万事屋一行。しかし、手元に残ったのは30円すら失った「完全なるゼロ(一文無し)」。
それでも、新しく24時間体制の介護スタッフとして定着したダンダダン一行に背中を押され、万事屋の(生存のための)仕事拡大サバイバルは、ここから本当の、泥臭い再スタートを切るのだった。
(第2章・第24話「バグ(呪い)消滅・前編」 完)
はい、というわけで無事に呪いは解けましたが代わりに銀さんたちは一文無しスタートとなりました
次回から始まる第3章、銀さんたちは生き残れるか!?