We are Always Searching Happy Goal 作:Redemptor
手合わせと鍛錬に、魔法の習得まで加わってから。
いつの間にか、二ヶ月という時間が過ぎていた。
アンティリーネは最初こそ、多少面倒くさがり、適当に済ませようとしていた。
しかし、そのたびにカリムの悪戯がひどくなっていったため、仕方なく真面目に取り組むしかなかった。
その結果、面倒だと言って習得を渋っていた『飛行』を完全にものにし、カリムがあれほど熱弁を振るっていた小規模な空間魔法も会得することになった。
他の魔法も覚えさせようとしたが、四つ以上を使い分けるのはあまりにも面倒だとアンティリーネが強く訴えた。
その部分については、カリムの方が譲歩することになった。
また、その過程でカリムは、アンティリーネが『重傷治癒』を使用できるという事実を初めて知った。
すると彼は大げさに驚き、わざと痛がる演技をして、彼女に治してもらおうとすることさえあった。
近接戦闘における成長も、非常に大きなものだった。
以前の三十一合を越え、今では四十合までカリムの攻撃を受け流せるようになった。
さらに、有効打を二度も成功させることができる。
カリムが速度を九割、力を六割まで引き上げていたにもかかわらず、成し遂げた成果だった。
──レベルは九十四程度。
実戦能力は、すでにレベル八十台半ばを越えているな。
単純にスペックだけが高かった頃と比べれば、アンティリーネは次第に、その力にふさわしい実力を身につけつつあった。
そろそろ彼女に、新たなアイテムを製作して贈ってもいいだろう。
さらに、今後進むべき方向性についても、より詳細に示してやる必要がある。
そう考えたカリムは、その時期を結婚後に決めた。
互いの愛を正式に誓い合った後、婚礼の贈り物として渡すのだ。
「あら、アンティリーネさん。今度ご結婚なさるそうで。噂は聞きましたよ」
「あ、うん。ありがとう」
結婚式の準備は、いよいよ最終段階に差しかかっていた。
二人の結婚については、すでにエ・ランテルの多くの住民が知っている。
親しくしている果物屋や服屋の主人はもちろん、一般の住民たちにまで噂は広がっていた。
その日も、二人はベースキャンプで手合わせと鍛錬を重ねて時間を過ごした。
そして遅い午後になり、エ・ランテルの市街地でデートを楽しんでいた。
そこへ、通りがかった平凡な身なりの女性が二人を見つけ、明るく笑いながらアンティリーネへ祝福の言葉をかけた。
アンティリーネは、もうそのような挨拶にも慣れたと言わんばかりに、柔らかな微笑みで応えた。
初めてエ・ランテルへ定住した頃と比べれば、非常に大きな変化だった。
当時の彼女は、他人と交流する時、どこかぎこちない雰囲気を見せることが多かった。
しかし今では随分と柔らかくなり、この街の空気へ自然に溶け込んでいる。
「日にちは決まったんですか?」
「うーん、まだかな。決まったら教えるね。都合が合ったら、あなたも来て」
「あら、本当ですか? ありがとうございます!」
アンティリーネが自然に招待すると、女性は少し大げさなほど喜び、何度も感謝を述べてからその場を立ち去った。
遠ざかっていく女性の後ろ姿を眺めながら、カリムは豪快に笑った。
「大したものだ。ずいぶん自然だったぜ」
「ふん。最初から自然だったわよ」
カリムの褒め言葉に、アンティリーネは顔をそっと背け、少し恥ずかしそうに答えた。
確かに彼の言う通り、最初の頃と比べればかなり自然になった。
しかし、アンティリーネ本人はそれを頑なに認めようとはしなかった。
「それより、日にちは決めたの?」
「まださ。でも、準備自体はほとんど終わりかけてる。日にちは、遅くとも来週までには決められると思う」
「そう?」
準備がもう大詰めだという言葉に、アンティリーネは頬をほんのりと赤らめた。
心の準備は、すっかりできたつもりだった。
それでも、いざその日が目前に迫ってくると、胸が高鳴り、同時に恥ずかしさも感じる。
私に、本当にこんな日が来るなんて。
「さあ、それじゃあ残りの準備をしに行ってみるか。ああ、アンティリーネ。お前の衣装も、あらかじめ用意しておいたぜ?」
「え? 衣装? ドレスのこと?」
アンティリーネは瞬間的に好奇心を抱いた。
あらかじめ用意しておいたという。
やはり、準備の良い男なのかもしれない。
だがその直後、クローゼットの隅に残されている逆バニーの衣装を思い出した。
アンティリーネはカリムを疑わしげに睨みつける。
アイテムならともかく、衣服に関してはまったく信用できない。
そんな意思を、露骨に表情へ出していた。
「うーん。ドレス、と言うべきかな? 正確には、俺の国で結婚式の時に使っていた衣装の一つだ。とても不思議なことに、あの店に置いてあったんだよ」
「あのお店、本当に何でも売ってるのね。それにしても、もう隠そうともしないのね」
「ん? 隠す? あ! ワハハハハ! おいおい。この前の衣装とは違うってば!」
彼女が疑いに満ちた声で言うと、カリムは少し慌てながらも豪快に笑った。
今回用意した贈り物は、以前のものとはまったく違う。
そう自信満々に言い切りながら。
───────────
「こ、これ、何よ! こ、これを、結婚式の時に着ろっていうの?!」
「もちろん!」
「狂ってるわ、本当に!?」
アンティリーネは、また騙されたのではないかと思いながら、カリムが持ってきた衣装を確認した。
そして、それを見た瞬間。
逆バニーの衣装を見せられた時と似たような悲鳴を上げ、驚愕した。
こんな衣装を、結婚式で着るというのか。
カリムの故郷では、皆がこんな奇妙な衣装を身につけるというのか。
アンティリーネにとって、そのデザインを受け入れることは非常に困難だった。
カリムが持ってきたものは、一般的に想像するような婚礼用のドレスではない。
露出が多く、下着同然に見える、非常に華美な衣装だった。
全体的な印象は、身につける者の魅力を最大限に引き出すことだけを目的として作られたように見えた。
逆バニーとの違いを挙げるなら、一応、必要な部分はすべて布で覆われていることくらいだろう。
もっとも、どちらもアンティリーネの常識から完全に逸脱した衣装であることに変わりはなかった。
「狂ってるだなんて。れっきとした、結婚式の時に身につける衣装だぜ! 名前だって『ブライダルランジェリー』なんだから!」
「何ですって?」
今回も初めて耳にする、馴染みのない単語だった。
アンティリーネは頭が痛くなりそうだった。
本当に、こんなものをどうやって着ろというのか。
「ブライダルランジェリー! これを着た後、この上からウェディングドレスを着ればいいのさ!」
カリムは豪快に、そして妙に情熱的に着用方法を説明した。
それを聞いたアンティリーネは、最初こそ怪訝な表情を浮かべた。
だが、やがて完全に意味を理解したように、ぽんと手を打つ。
「ああ、そうなのね」
危うく、前回以上に激怒するところだった。
それを考えると少し気まずくなり、アンティリーネはその感情を隠すように、やや甲高い声で不満を表した。
「もう、本当に。そういうことなら先に言ってよ」
「なんだ、まさか────それだけ着て式に出るつもりだったのか? いやあ、見直したぜ、アンティリーネ」
「なっ!? そんなわけないでしょ!」
カリムが真剣な顔を作りながらも、悪戯っぽさの隠しきれない声でからかう。
アンティリーネはその言葉を必死に否定し、ありったけの力で彼の背中を何度も叩いた。
明るく軽快な音が、家中に響き渡る。
「アイタタタ。絶世の美女が、人を殺す気かよ」
「ちっ!」
──当然、叩けば叩くほど、損をするのはアンティリーネの方だった。
カリムはむしろ、へらへらと笑いながら楽しんでいる。
その姿を見ていると、手のひらが痛むばかりか、かえってカリムを喜ばせているような気がした。
アンティリーネは適当なところで叩くのをやめた。
「ワハハハ! 冗談だよ、冗談」
カリムは豪快に笑いながら、アンティリーネを優しく抱き寄せた。
そして、少し間を置く。
それまで浮かべていた悪戯っぽい表情を消し、真剣な眼差しで彼女を見つめた。
「────改めて言う。俺と結婚してくれ、アンティリーネ」
「急に、何よ」
すでに互いの間では約束されたことだった。
予想できない言葉でもなかった。
それでも、突然真剣な声で、正面から改めて求婚されると。
アンティリーネは多少驚いたように、彼の腕の中で首を傾げた。
「まあ、もう約束しているようなものだけどな。俺は今まで、一方的に皆の前で宣言しただけだった。お前自身に、きちんと聞いてはいなかっただろ?」
「ふふっ。いつだったか、あなたの弱点は私だって言ってたじゃない」
アンティリーネは軽く笑った。
そして彼の胸へ、そっと身体を預ける。
「なら、その弱点を、私がずっと守ってあげなきゃならないでしょ?」
やはり、卑怯で。
そして、とても思いやりの深い男だ。
途方もなく真剣なプロポーズに、アンティリーネは柔らかな笑みを浮かべながら応えた。
多少自分勝手で。
突拍子もなく。
何をするのか予測できない面もある。
だが、そんな彼の姿も、今では決して悪くなかった。
何より、アンティリーネにとってカリムは、すでに単なる恩人を越えた存在だった。
単なる幸福ではない。
遠くにしか存在しないと思っていた目標。
真の幸福とは何か。
それを彼は教えてくれた。
無理やり押しつけたのではない。
道を示し、そこまで一緒に歩きながら導いてくれたのだ。
「私こそ、ありがとう」
あの監獄から救い出してくれて、ありがとう。
私が、私として存在できるようにしてくれて、ありがとう。
絶死絶命ではなく、アンティリーネを救い出してくれて、ありがとう。
過去のすべてを忘れさせるのではなく、その欠片ごと受け入れてくれて、ありがとう。
私自身の血統と存在を、肯定できるようにしてくれて、ありがとう。
数多くの意味が込められた感謝の言葉。
それを聞いたカリムは静かに笑った。
そして何も言わずに、アンティリーネをさらに強く抱きしめ、その温もりを確かめた。
──式の準備は、すでにほとんど最終段階へ達していた。
カリムが予想していた以上に手間がかかった。
風習や礼儀の中には、自分が暮らしていた世界とは多少異なる部分も存在する。
そのため、すべてが見慣れない状態で準備を進めなければならなかった。
準備の途中で、細かな失敗をすることもあった。
時折、完全な素人のような姿を見せることもあった。
それでもカリムは、そのような問題を豪快に乗り越えていった。
経験がありそうな者には、できる限り尋ねた。
中世に似たこの異世界の文化と、自分が暮らしていた現代の文化。
その二つを、どのように自然に融合させればいいのかを考えた。
分からないことがあれば、できる限り学ぼうとした。
時には、自分なりに現代風へ再解釈することもあった。
この準備のすべてが、ワールドエネミーと戦うことよりも遥かに大変だった。
それでも、カリムは決して嫌そうな表情を浮かべなかった。
ただ豪快に。
そして心から楽しそうに笑っていた。
これから彼女と共に過ごしていく時間を。
そして、やがて完成する家族の姿を想像しながら。
本日もお読みいただき、誠にありがとうございます。
明日もまたお越しいただけますと幸いです。