今回は3か月遅れのイエロー生誕祭。
不朽の愛を、あなたと。
「結婚式場の…」
「写真撮影、ですか?」
「そうなのよ!知り合いから誰か紹介してほしいって言われてね?イエローたちならちょうどいいかなって!」
ブルーさんから呼び出されたかと思えば…俺たちに、写真撮影のモデルを頼みたいらしい。
にしても、結婚式って…
「いや、さすがにそれは…俺たち、まだこの身長ですよ?」
「むしろそれがいいのよ!ジュニアモデルがほしいって話だったから…いい機会だと思って、ね?」
「いい機会って…!い、いくらなんでも、恥ずかしいと言いますか…」
「ん〜…イエロー、ちょっと耳貸して?」
ジュニアモデルって、どんな宣伝するつもりなんだよその人。
イエローも恥ずかしがってるし…というか、そういうのは本番だけにしたい、なんて思うんだけど…。
「イエロー、よく聞きなさい?これはあくまで写真撮影。誓いとかは別だし…小さいうちのグレイの新郎衣装は、今だけしか見れないわよ?」
「今のグレイの、新郎衣装…や、やります!」
「はい、イエローはやりたいみたいよ。まさかグレイ、ここから断ったりはしないわよね?」
「…うそでしょ?退路塞がれたんだけど。わかったやるよやりますよ…。イエロー、本当にいいんだよな?ブルーさんに脅されてない?」「ちょっと!?」
「あはは…うん、脅されてなんかないよ。…その、今のグレイの新郎姿…見たいなって…!」
かわいいかよおい。でもまあ、考えてみれば数年もすればお互い成長するだろうし…せっかくなら、楽しんだ方がいいか。
「それで、ブルーさん?撮影はどこでするんです?遠いならリリに乗って…」
「ここはアタシに任せといて!お願いね、カメちゃん。じゃ、ちゃんと掴まって?」
「え?いや、長距離飛行はできないんですよね?どうせぷりりかリリに乗るなら、最初からそっちの方が…」
「あーあー聞こえなーい!カメちゃんで飛んでいきたい気分なのよ、付き合いなさい!」
「ブ、ブルーさん本気みたい…。グレイ、諦めて掴まろ?投げ飛ばされちゃうよ…」
「か、覚悟を決めるしかないか…」
ほ、本気でカメちゃんで行くのか…とにかく、置いていかれないように掴まるしか…
「それじゃ、しゅっぱーつ!」
あ待って思ったより初速速いってかGのかかり方すごい体揺れて酔いそ…うぷ
「はぁ…はぁ…!リリ、できるだけ揺れないように頼んだ…!」
「大丈夫?背中さすろっか?」
「まったく、まだイエローは元気そうよ?男の子なんだから、もっとシャンとしなさいよ」
な、なんとか酔うだけで済んだ…。
急にあんなのされたら、たまったもんじゃ…でも、マサキさんも同じことされてるんだよな。
トキワに帰ったら、キングたちの稽古に混ぜてもらうか…
「で、結局どこに行くんです?同じ方向に進んではいますけど」
「タマムシの方よ。郊外に新しく建てたみたいでね、そこで撮影ってわけ!」
「タマムシかぁ…ここに来るのも久しぶりだね、グレイ」
あー…そういえば、カンナと戦ったあと。りかけいのおとことも戦って…それ以降、タマムシには来てなかったか。
懐かしくはあるけど…そういえば、別にどこか寄ったりはしなかったな。今度イエロー誘ってデパートにでも行こうかな?
「…お、あそこですかね?式場に、手に振っている人もいますし」
「そうね、降りてちょうだい。…こんにちは、タルラさん!」
「おお、よく連れてきてくれたねブルーくん!二人とも初めまして、私はタルラだ。シンオウで式場を見て『これはいい!』と思ってね、建てたはいいんだが…宣伝に困っていたんだ、ハハハ」
「よ、よろしくお願いしますっ!」
「よろしくお願いします…そういえば、カメラマンさんは?写真撮影と聞いているのですが…」
タルラさん、この人が今回の依頼者か…シンオウのは聞いたことあるな、教会とかだっけ?
それにしてもカメラマンは…いや、この人の目。やけに輝いているこの目は…そういう。
「ふっふっふっ。なにを隠そう、私はカメラのプロでもあってね!自分で建てたとあれば、撮らずにはいられないということさ!」
「す、すごい…!多才なんですね!」
「はえー…あれ?そこで座ってるの、グリーンさんですよね?どうしてここに?」
「そこの女に巻き込まれてな…はあ」
「ちょっと、巻き込まれたってなによ!今回は事前に伝えたじゃないの」
タルラさん、多才だなーとか思ってたのに。
グリーンさん、どうしてあなたはいつも…。
「あ、あは…グ、グリーンさんはどうして呼ばれたんですか?」
「神父役だ…くそ、レッドに押し付けるつもりだつたんだがな…」
「確かに、結婚式なら神父さんとか牧師さんとかもいますもんね。でもまあ、グリーンさんなら似合ってるのでは?」
なんやかんやグリーンさんなら真面目に神父役こなしそうだな…そういえば。
「それで、衣装はどこにあるんです?長引いたらグリーンさん可哀想ですし、早く始めましょうよ」
「あらあら、そんなに焦らなくてもウエディングドレスを着たイエローは逃げなくてよ。まぁ、明るいうちに始めましょうか」
「そっか、ボクも着るんだもんね…や、やっぱり恥ずかしいような…」「ほーら行くわよ、お化粧したげる」
ドレス衣装のイエロー……ウエディングドレスを着たイエロー……?なんですかグリーンさん、今俺は忙し
「オレたちも着替えるぞ、早くしろ。」
「あっはい。今行きまーす…」
グリーンさんこれどう着れば…あ、ありがとうございます。これ変じゃないです大丈夫ですかねどう思い「問題ないから少し静かにしろ」はい。
「なんでおまえたちは、オレにそう絡んでくるんだ…」
「えーと、頼りやすいっていいますか。グリーンさんなら少し甘えてもいいかなーって…ブルーさんたちもそんな感じでは?」
「ハァ…ほら、イエローたちが戻って来たぞ。迎えてやれ…」
「はーい。おかえり、イエ、ロー…」
「ど、どう…?へ、変じゃないかな…!?」
ドレスに包まれたイエローの姿が、目に映る。
ふんわりと広がったプリンセスラインは、イエローのその純真さを表すようで…ほんのりと紅潮したその顔は、恥ずかしさの混じったような可憐な笑顔を浮かべている。
ドレスに散りばめられたグレーがかった装飾は、まるで自分との関係を表しているようで…
「…変じゃないよ。すごく似合ってるし、世界で一番かわいいって思う…このまま何時間でも、見つめていたいくらいだ」
「うぅ…そんなに見つめられたら恥ずかしさで倒れちゃうよ…その、グレイも…ううん、
(ふーんグレーがかってる装飾見て似合ってるねへー…末永く爆発しろ)「ブルー…?どうしたんだ、その目は」
あなた。今、あなたって呼ばれたよな…?
え、この状況から撮影するの?せめてもう少し心臓が収まってからとかに…
「うんうん、二人ともいい感じだね〜!それじゃ、まずはカメラの方向いて…そうそう、いいよ〜その笑顔!」
(ちょ、ちょっと恥ずかしいね、宣伝に使われるって思うと…)
(そう、だな…できれば、イエローを独り占めしたかった)「…っ!?」
「彼氏くん、あまり口説きすぎると撮影中断しないとだから気をつけてね〜。…ヨシ、それじゃグリーンくんも入って入って!二人は向き合ってね!」
「はい。…イエロー、目を逸らさないでくれ」
「だ、だって…あんなこと言われたら…!」
グリーンさんが聖書?を持って壇上に上がる。
イエローには、事実を言っただけなんだけど。
この間にイエロー眺めていようかな…あっ、目が合った。イエローはいつもかわいいけど…今日は、いつにもましてかわいい。
「はい、もう大丈夫だよ!…よかったらなんだけど、もう一枚だけ撮りたくてね…こう、キスしてるシーンを頼めないかな?」
「えっ!?さ、さすがに「絶対に嫌です」…グ、グレイ?」
「イエローとのキスは俺だけのものです、他の誰にも見せたくありません」
「…まいったね、そこまで言われたら文句も言えない!でもまぁ、問題ないとは思うけど束縛とかはしないようにね?」
とんでもないこと言った気がするけど。
それでも、これだけは譲れない。
イエローは、誰にでも優しい太陽みたいな子だけど。
恋人としての愛情は、二人だけのものだ。
なんて、想うのは。独りよがりなのかな?
「はぁぁぁ…グリーン、タルラさん先に出るとしましょうか」
「…あぁ、そういう。二人とも、またあとでな」
「ごめんね、最後に無理言っちゃって!それじゃ、外で待ってるよ!」
三人とも、先に出ていくらしい。
そうなると、俺とイエローだけ残されるわけだけど…イエローの方を向いた瞬間、お互いの唇が塞がれる。
「ん…まだ、恥ずかしくはあるけど。…二人きりのときなら、いつでもいい…よ?でも、その…」
「でも…?」
「何年か、経ったらね?もう一度、ここに…連れてきて、ほしいんだ」
「…うん、約束する。今度は、本物の新郎新婦として、だな」
その未来が、いつになるかはまだわからないけど。
きっと何年後でも、俺たちはまたここに来る。
その日を待ちながら…今は、朽ちることのない愛を謳い続けよう。
タルラ:経営者兼カメラマン。旅に出ては写真を撮り、思いついた事業を手当たり次第に始めている。
今回はシンオウの教会を見て思いついたらしい。
ブルー:タルラから誰か紹介をと言われグレイとイエローを連れてきた。たんまり謝礼を貰えてニヤニヤしていたが、グリーンに報酬は四等分された。そりゃそうじゃ。