ただのフィクサーってこんな感じかなという妄想

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 夢を描いて眠りにつく。

 目が覚めると、夢は折れる。

 それは輪廻のようなものである。




フィクサー

 

 

 まぁ、死ぬよね。コレじゃ。

 

 

 私の頭の中は、意外と冷静だった。目の前に死が迫っていると言うのに、特段焦りも何も感じない。

 

 私は吊鐘事務所(つりがねじむしょ)の8級フィクサー。いつか巣に移住したいという夢を持った、何処にでもいるフィクサーだ。

 今日の朝も、いつものお店で朝食を摂って、事務所のみんなや先輩に挨拶して、仕事に向かっただけ。

 

 でも今日の仕事は、ものすごく簡単に言えば『親指の構成員の一人を殺して仇を取ってくれ』というものだった。

 

「やめときなよ。今の貴女には荷が重い」

 

 自分の実力を過信し、先輩の言葉を無視してこの仕事を選んだんだから、今ごろ後悔しても遅い。

 

 あぁ、まさか銃剣で喉を掻っ切られるなんて思ってなかった。一撃も浴びせることができずに、ね。

 完全に背後からの奇襲だと思ったんだけどな。

 

 クソ、悔しいなぁ。

 もしこの仕事が成功していたら、どうなっていたんだろう。親指と戦争になるのかな?先輩がどうにかしてくれるとは思うけど。

 戦争にならなかったら、私は7級に上がれたのかな?なれたなら、今よりもっといい生活ができるのかも。

 いい武器も買えるだろうし、入墨とか身体強化施術もより上等な物ができる。

 その体で仕事に行って、また金を稼ぐ。その繰り返しだ。

 

 …嫌だね、一度後悔してしまうと収拾がつかない。次から次へと悔しさがあふれてくる。

 起き上がろうとしても、もう体は動かない。冷たいままだ。

 首から温かいものが溢れていくのがよくわかる。

 

 そういえば、私がフィクサーになった日、両親は死んだ。どうやら父は金の横領、母はどうなんだか。

 【真夜中の虹】の仕業だった。ド派手な服を着た、殺戮者の集まり。いつか復讐してやるとは思ったけど、どうやら出来そうにない。

 先輩方がいろいろと情報を集めてくれたのに、無駄な労力で終わるらしい。

 ごめん、先輩。そしてみんな。本当にごめん。

 

「はぁ…ほらね、言ったでしょ」

 

 声のする方を、目だけで見る。

 灰色の髪をした、先輩がいた。剣を杖のように突き立てながらこちらを見ている。

 先輩は内臓売りをしていたらしく、今もやってるのだとか。噂が本当だとすると、私の内臓を拾いに来たのだろう。

 

「…馬鹿な子」

 

 ボソッと、先輩が言い放った。そうだよ、馬鹿だよ。どうしようもないくらいね。

 先輩の目は、慈愛に満ちているわけではない。哀れみも同情も無い。

 ただ、見ているだけ。それも、石ころを見るような目で。

 

 

 空は、暗い。

 

 もう夜だ。

 

 都市の闇を体現するように、黒く深く淀んでいる。

 

 もうそろそろ眠気が限界だ。

 

 最後に夢を描いて、眠るというのもなかなかありじゃないか。

 

 よい夢を。






ノリと勢いで書いた。

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