目が覚めると、夢は折れる。
それは輪廻のようなものである。
まぁ、死ぬよね。コレじゃ。
私の頭の中は、意外と冷静だった。目の前に死が迫っていると言うのに、特段焦りも何も感じない。
私は
今日の朝も、いつものお店で朝食を摂って、事務所のみんなや先輩に挨拶して、仕事に向かっただけ。
でも今日の仕事は、ものすごく簡単に言えば『親指の構成員の一人を殺して仇を取ってくれ』というものだった。
「やめときなよ。今の貴女には荷が重い」
自分の実力を過信し、先輩の言葉を無視してこの仕事を選んだんだから、今ごろ後悔しても遅い。
あぁ、まさか銃剣で喉を掻っ切られるなんて思ってなかった。一撃も浴びせることができずに、ね。
完全に背後からの奇襲だと思ったんだけどな。
クソ、悔しいなぁ。
もしこの仕事が成功していたら、どうなっていたんだろう。親指と戦争になるのかな?先輩がどうにかしてくれるとは思うけど。
戦争にならなかったら、私は7級に上がれたのかな?なれたなら、今よりもっといい生活ができるのかも。
いい武器も買えるだろうし、入墨とか身体強化施術もより上等な物ができる。
その体で仕事に行って、また金を稼ぐ。その繰り返しだ。
…嫌だね、一度後悔してしまうと収拾がつかない。次から次へと悔しさがあふれてくる。
起き上がろうとしても、もう体は動かない。冷たいままだ。
首から温かいものが溢れていくのがよくわかる。
そういえば、私がフィクサーになった日、両親は死んだ。どうやら父は金の横領、母はどうなんだか。
【真夜中の虹】の仕業だった。ド派手な服を着た、殺戮者の集まり。いつか復讐してやるとは思ったけど、どうやら出来そうにない。
先輩方がいろいろと情報を集めてくれたのに、無駄な労力で終わるらしい。
ごめん、先輩。そしてみんな。本当にごめん。
「はぁ…ほらね、言ったでしょ」
声のする方を、目だけで見る。
灰色の髪をした、先輩がいた。剣を杖のように突き立てながらこちらを見ている。
先輩は内臓売りをしていたらしく、今もやってるのだとか。噂が本当だとすると、私の内臓を拾いに来たのだろう。
「…馬鹿な子」
ボソッと、先輩が言い放った。そうだよ、馬鹿だよ。どうしようもないくらいね。
先輩の目は、慈愛に満ちているわけではない。哀れみも同情も無い。
ただ、見ているだけ。それも、石ころを見るような目で。
空は、暗い。
もう夜だ。
都市の闇を体現するように、黒く深く淀んでいる。
もうそろそろ眠気が限界だ。
最後に夢を描いて、眠るというのもなかなかありじゃないか。
よい夢を。
ノリと勢いで書いた。