空に月が二つある。七年前からだ。月の光は「澱」を生み、澱は化け物になる。それでも人間は大したもので、今や世界の終わりは「行政案件」だ。
俺は市役所のハズレ部署・澱対策課の四年目。仕事は怪異への苦情処理——のはずだった。月曜の朝、児童公園で、喋らないはずの怪異が言った。『かえして。あのこを、かえして』。
怪異が探す少女は、今日も普通に学校に通っている。失踪届もない。なのに彼女の周りだけ、計測器が、ありえない数値を示す。
「確かめよう。今そこにいる『彼女』が、本物かどうか」
口の悪い天才祓い師と組んだ地味な公務員が、規制線と書類の山で月に喧嘩を売る。届けたい言葉は三つ。ただいま、おかえり——それから、この街でいちばん正しい、朝の挨拶。
  第一話 澱対策課は今日も定時で帰れない
  第二話 祓い師は領収書を持ってくる2026年06月11日(木) 00:00
  第三話 ただいまの言えない家2026年06月11日(木) 18:00
  第四話 七年前の忘れ物2026年06月12日(金) 18:00
  第五話 おかえりと、おはよう2026年06月13日(土) 18:00
  第六話 白瀬みことは現場に来ない2026年06月15日(月) 19:00
  第七話 報告書には書けないこと2026年06月15日(月) 19:00
  第八話 拝み屋の家2026年06月16日(火) 19:00
  第九話 川の音だけ、していた2026年06月17日(水) 19:00
  第十話 七年目の素振り2026年06月18日(木) 19:00
  第十一話 ちゃんとした店の肉まん
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