「リーダー、リリが、ヴェルフが……!」
「……」
俺達は今絶望的な状況にある。ポーションも底をつき、ヒーラーがいないから回復手段はない。それに魔法を頻繁に使っていたヴェルフ君は
「よし、俺がヴェルフ君を抱える。おまえはリリちゃんを抱えろ。次で17階層だ。一気に突っ切るぞ」
「はい」
俺とベルは2人を抱えた状態で17階層へ降りる。途中までは良かったのだが、今の俺たちにとって、最も最悪な事態が起こってしまった。討伐されたはずの階層主『ゴライアス』が復活してしまった
「ふざ、けんな……!」
「リーダー!逃げましょう!」
「ああ!」
俺達はゴライアスに捕まってしまわないように必死で走る。だが、人1人を抱えての全力疾走、下を見ている余裕はなく、石につまづいて転んでしまった。クソッタレが!どう言う運の悪さだよ!
『1人で残って戦う(全アビリティに超高補正)』
『泣き叫んで助けを乞う』
正直この状況ならみっともなく泣き叫んでも誰も何も言わないと思う。だが、俺のちっぽけなプライドがそれを許してくれないんだ。それに、なんか死なないような気がするんだよな。なんでかはわからないけどここで戦うことを選択すれば生き残れる気がする
「ベル!2人を抱えて先に行け!」
「何を言ってるんですか!?」
「どのみち今から立って走っても捕まるのがオチだ!」
「だからって見捨てられせん!」
「いいから行け!下には冒険者達がいるはずだ!助けを呼んでこい!それまでなんとしても耐える!ほら行け!リーダー命令だ!」
「くっ……ああああああああ!!」
ベルは叫びながら18階層に繋がる穴に向かっていった。そして、俺はゴライアスの前に立ち、奴も俺を見下ろしている。先に動いたのは奴だった。巨大な拳を俺目掛けて振り下ろす。強敵挑戦と選択肢によって超強化されたアビリティを活かして、その攻撃を前方への跳躍でかわし、腕の上に着地し、そのまま顔まで駆け抜ける。剣を抜き、片方の目に突き刺す。その際に俺を振り払おうとした手に当たり、向こう側の壁まで吹き飛ばされてしまった
「がっは……!?」
この攻撃は今まで受けてきた中で最も強力な一撃だった。肺の中の空気が全て吐き出され、更に血も吐いた。頭からは大量に出血し、流れてきた血で目の前が真っ赤に染まっていた。腕も攻撃を防ごうとした際に耐え切れず折れてしまった。そしてそんな状態で動けるはずもなく、俺は迫ってくる拳をただ眺めながら気を失った
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「はッ……!?」
「む、起きたか」
俺は目を覚ました。どこだここ、天国か?たぶんそうなんだろうな。だって目の前に緑色の長髪の超絶美人がいるし。天使?女神?いやエルフだわ。特徴的な耳あるし。でもたぶん死んでるし天国だな
「ここ天国だよね」
「違う。君は生きている」
「……ん?いやいや死んだでしょ。ゴライアスにとどめ刺されて。あれで生き残ってたなら俺はもう人間じゃないよ」
「その一撃を受ける前にうちの子が君を助けたんだ」
「マジ?それはそれは、どうもありがとうございます」
「礼なら私ではなくあの子に言うといい」
美人エルフさんにそう言われて、後ろを向くと、ベルとかの『剣姫』アイズ・ヴァレンシュタインがいた。てことはこの超絶美人エルフさんは……
「リ、リリ、リヴェリア・リヨス・アールヴ!?いや様!」
「そう驚かなくてもいい。それに様付けも必要ない」
「いやでもあなたにフランクな接し方してたら他のエルフさん達に殺されるし」
「気にしないでくれ。わたしから手は出さないように言っておく。それより礼を言うのではないのか?」
「あ、そうだった。ありがとう、アイズちゃん。君がいなかったら俺死んでたよ」
「いえ、ベルから必死に頼まれたので。あなたが無事で良かったです」
「リーダー、本当に良かった……!」
「ごめんな。でもこれが最善だったはずなんだ」
ぶっちゃけ絶対死んだと思ってたけど案外耐えてたんだな。傷も回復してるし。誰かが治療してくれたのかな。だったらその人にもお礼言わないと
「治療してくれた人にもお礼を言いたいんだけど」
「治療をしたのは私だ。君が運ばれてきた時は目を疑った。何せ、大量の出血に加えて腕の骨折。内臓にもダメージを受けていた。治癒魔法を使って治療はしたが、まだ万全とはいえないから安静にするように」
「いやほんと何から何までありがとうございます」
「いや、気にしなくていい。アイズから聞いた話ではあるが、君は我々が取り逃してしまったミノタウロスの被害者だ。その詫びとして君に治療を施した」
「そんなの別に気にしなくていいのに」
いやぁ、でもほんと助かった。治療してくれなきゃ死んでたからなぁ。
「起きたら来るようにとフィンからの伝言がある。歩けなさそうなら肩ぐらいは貸すが」
「いやいやそんなとこ見られたら暗殺されるから。もし歩けなさそうならベルに支えてもらうよ」
「わかりました。リーダーならいくらでも支えます」
「ありがとな。じゃあ早速……」
俺は立って歩こうとする。だが、その瞬間強烈な眩暈が起こり、ベルではなくリヴェリアさんに向かって倒れてしまった。やばい。こんなの見られたら俺は死んでしまう
「だから言っただろう。まだ万全ではないと」
「あー、その、助けてもらった分際で図々しいかも知らないんだけどさ、そっちから来てもらうことってできないかな?ほら、俺こんな状態だし」
「ふむ、確かにその方が事が早く進むか。わかった。フィンに伝えよう」
「ほんとごめんなさい」
リヴェリアさんがロキファミリアの団長であるフィンさんの所に行っている間、俺はベルとアイズちゃんのことを眺めていた。わっかりやす。ベル顔赤いぞ。にしてもリヴェリアさんと言いアイズちゃんと言い、えっぐい美女だな。女神様にも引けを取らないんじゃねえかな
「俺にも出会いがあればなぁ……」
「ため息を吐いていては、幸せが逃げてしまうよ?」
「そんなので逃げる幸せなら俺はいらん」
「はは、同感だね」
「……ん?」
「やあ、僕はフィン・ディムナ。ロキファミリアの団長だよ」
「あ、どうも」
あまりにも自然に話しかけてきたフィンさんに、俺は驚くまもなく会釈をする他なかった。そのフィンさんの後ろにはリヴェリアさんとドワーフのおっちゃんがいた。この2人と一緒にいて、しかもドワーフのおっちゃん。ガレス・ランドロックか!
「すまないね。あれ程の重傷を負っていたんだ、すぐに動けるはずがない。僕の配慮不足だった」
「いやいや!助けてもらった分際で会いにきてもらうとか烏滸がましいにも程があるから、謝罪をしなきゃいけないのは俺の方で……」
俺がそう言うと、またしても奴が現れる。今だけはほんとに出てきて欲しくなかった目の前にいるのはロキファミリアのトップなんだぞ?下手なことしたら死ぬだろ
『ロキファミリアの団長に謝罪をさせた罪は重い。腹を切って詫びよう』
『開き直って調子に乗る』
……どっち選んでもバッドエンドルート確定じゃね?だったら無礼を働いてベル達にも危害がいったらまずいから俺だけでこの世を去ろう。出来れば止めてくれることを願う
「リーダー?何を……」
ベルがそう聞いてくるが、俺は答えずに立て掛けてあった黒刀(俺命名)を手に取り、鞘から抜いて腹にそのまま突き刺す……はずだったが、いつのまにか俺の目の前にいたガレスさんが俺の腕を掴んでいた
「せっかく助かった命を、無駄にしようとするでないわ!!」
「イッテェ!?」
俺は強烈な拳骨を喰らい、頭を抑えて転げ回る。今まで食らった攻撃の中で一番痛かった。が、そこには殺意では無く思いやりがあった。俺は泣きそうになった
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「さて、なぜ急にあんなことをしたのか聞かせてもらえるかい?」
「それは……」
俺が答えようとした時、またしても選択肢が現れた。また俺の邪魔する気かテメェ。マジいい加減にしろ。で、肝心の内容は?
『洗いざらいぶちまける代わりに2度と選択肢については話せなくなる』
『真実は隠し通す』
言います。これ聞いてもらったら納得してもらえて更に優しくしてもらえるかもしれないまたとないチャンスだ。それにこの人達なら信用できる。なんならベルもいるし
「信じるも信じないもみんなに任せるけど、俺が今腹を刺そうとしたのは選択肢と言うスキルによるものなんだ」
「選択肢?レアスキルの類かい?」
「レアスキル?ゴミスキルの間違いでしょ」
「え、でも以前見た時はスキルの欄にそんなスキルはなかったはずですよね?」
「このスキルは俺とヘスティア様にしか見えないようになってるんだ」
「その選択肢というスキルはどういった効果をもたらすのか聞かせてもらえないだろうか?」
「うん。このスキルが発動した瞬間だけ俺以外の全てが停止するんだ。そして基本二択、たまに三択ぐらいの選択肢を強制的に選ばせてくる。選んだ選択肢は完全遂行するまで俺は何もできない。そして選ぶのに時間がかかりすぎるとひどい頭痛に襲われるんだ。最近は慣れてきたからないけど初めの頃は頭割れそうなぐらい痛めつけられたよ」
「つまりは、その選択肢が自身の腹を刺させようとしたという事なんじゃな?」
「そういう事」
「なんという理不尽な…‥」
リヴェリアさんが額に手を添えてため息をつきながらそう言う。何しても絵になるなこの人。美人ってすげー。あれ、でもちょっと待てよ?普通スキルって他人、ましてや別のファミリアに伝えるとかありえないよな?
「その、このスキルについてはここにいる人達だけの秘密にしてもらえなえないかな?俺はもう誰にも選択肢のことについて話すことはないから皆んなも黙っていてほしい」
「まあ、それが妥当だろうね。こんな前代未聞なスキルが人々、果てには神々に知られてしまったら君は娯楽のための道具にされかねない。神とは往々にしてそういうものだ。例外はいるけどね」
「ありがとう。やっぱり信用してよかったよ」
マジフィンさんのファンになりそう。勇者って二つ名は伊達じゃないな。まあ、それはいいとして、ベルはなんでそんな申し訳なさそうな顔してるんだよ
「どうしたベル、そんな顔して」
「実は、僕は内心リーダーのことを少し変な人だと思ってました。普段はすごく優しいのにいきなり怒り出したり、ダンジョンに防具を着けずに入ったり、でも、その認識は間違ってました。リーダーは被害者だったんですね。僕はリーダーのことをわかっていたつもりで何もわかっていませんでした」
「ベル……」
「でも、教えてくれてありがとうございました。リーダーに信用してるって言われて、嬉しかったんです。それなのに僕は……!」
「お前は優しいよな。ベル」
「え?」
「誰だって何も知らないで俺のこと見てたら変な奴だと思うのは当然なんだ。でもそれを反省するかどうかは人次第だ。そんなスキルを持ってるお前が悪いとかいう滅茶苦茶なこと言い出す奴も絶対いる」
「でもお前はそうじゃない。ちゃんと反省して俺に謝ってくれた。やっぱり自慢の後輩だよ」
「リーダー……!」
「なに泣きそうな顔してんだ。そんな顔すんな」
「じゃあ、どんな顔をすればいいですか?」
『笑えばいいと思うよ』
『そのまま泣けばいいんじゃないかな』
笑えよ、ベル。お前に泣き顔は似合わない。一部のお姉様方には受けるかもしれないが、後輩が泣いてるのを見ていい気分になる程俺は人を捨ててない
「笑えばいいと思うよ」
「はい!」
くそっ、笑顔が眩しいぜ。ほら、フィンさん達も微笑ましい顔で見守ってるぞ。にしても、ぶちまけたらなんかスッキリしたな。言ったのがこの人達で本当によかった。特にベル。これからもヘスティアファミリアの眷属として更に仲良くやっていけそうだ
よかったね。自身の境遇を知ってもらえて。まあもう2度と話せませんけど。にしてもなんかベル君がヒロインみたいになってるよこれ
ヒロインについてなんですが
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無し、ギャグ一筋でいく
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1人だけ
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思い切ってハーレムにする