白翼の機械人形になった転生者は海賊(人助け)をしながら、世界を見守る。 作:キング・クリムゾン!!
漆黒の堕天使へと変貌を遂げたレオン・ユイが上空から急降下するその最中、マリンフォードの広場は、処刑台へ突き進むルフィの背中を捉えていた。
「麦わら、行かせんよォ〜〜……」
光の粒子となってルフィの目の前に現れたのは、海軍大将“黄猿”ボルサリーノ。開戦直後にレオンのバスターライフルを覇気のバリアで受け止めたことで、その体力と覇気は大半を削られていたはずだったが、それでも最高戦力としての執念は健在だった。黄猿は光の刃『天叢雲剣(あめのむらくもノつるぎ)』を形成し、容赦なくルフィの脳天へと振り下ろす。
「そこを退けと言っている、黄猿」
キィィィィィン!!!!
激しい金属摩擦音と共に、その光の刃を真っ向から受け止めたのは、上空から音速の壁を破って着地したレオンだった。その手には、不気味な紫色の出力を滾らせるビームサーベルが握られている。
「あらら……、また君かい。随分と不気味な姿になっちゃってェ……」
黄猿の額から、緊迫した汗が流れる。先制攻撃で搾り取られたことにより、光の刃の出力が明らかにいつもより鈍い。レオンのゼロシステムはその微弱な出力低下を1ミリの狂いもなく見切っていた。
「お前たちの戦闘継続能力は、すでに通常の53%まで低下している。――システム、物理格闘による排除プロセスを実行」
レオンは四枚の漆黒の羽を激しく羽ばたかせ、背後のルフィを庇うように、黄猿に向けて超高速の連撃を繰り出した。紫の残光を描くビームサーベルの鋭い一閃が、黄猿の光の身体を次々と切り裂いていく。
「ルフィ、前だけを見て走れ。後方の防壁は私が維持する」
レオンが冷徹に言い放つと、ルフィは一瞬だけ足を止め、漆黒の姿になったレオンを見つめた。
「レオン、お前なんか黒くなったな! ありがとな、エースは絶対に俺が助ける!!!」
ルフィは再び前を向き、処刑台へと続く唯一の道を全力で駆け出した。
だが、海軍の壁はそれだけでは終わらない。
「行かせんと言うとろうが、この狂犬どもがァ!!!」
地中から湧き上がるように現れたのは、“赤犬”。マグマと化した巨大な拳『大噴火』が、ルフィの背後から迫る。さらに、広場の側面からは“青雉”が氷の棘を無数に放ち、ルフィの退路ごとすべてを凍りつかせようと襲いかかってきた。
『警告。赤犬、青雉の同時攻撃を検知。……三大将の残存エネルギーを再計算中。……推奨:『広範囲制圧(オールレンジ・バースト)』による一斉足止め』
「……了解。バスターライフルの連結は非効率だ。――『黒き残光(ブラック・レイ)』を放つ」
レオンはビームサーベルを消滅させると同時に、両手に分離保持した二挺のバスターライフルを、それぞれ赤犬と青雉の方向へと向けた。
能力の覚醒、そしてゼロ・システム・ゼロの残響によって、ライフルの銃口からは禍々しい漆黒のエネルギー球が急速に膨れ上がっていく。
「焼き切れ、ゴミども」
ズガァァァァァァァァン!!!!!!!!
連結させない単射でありながら、放たれた二条の漆黒の熱線は、サカズキのマグマを根こそぎ蒸発させ、クザンの絶対零度の氷を一瞬で爆砕した。空間そのものを歪めるようなその闇の砲撃は、満身創痍の二大将を正面から押し包み、広場に巨大な爆発の嵐を巻き起こした。
「ぐ、おおおおおっ……!!!」
サカズキが、そしてクザンが、レオンの放った不条理な火力に圧されて後方へと大きく下がざるを得なくなる。三大将がかりの防衛線が、たった一人の「堕天使」によって強引に足止めされていた。
しかし、その爆煙の向こう、処刑台へと繋がる最後の階段の前に、一人の「絶対的な壁」がゆっくりと立ち塞がった。
「……ルフィ。そこまでにせィ」
海軍コートを翻し、腕を組んで立っていたのは――ルフィの実の祖父であり、海軍の英雄、モンキー・D・ガープだった。その拳には、一族としての情を完全に断ち切った、あまりにも重く鋭い『武装色の覇気』が宿っている。
「じいちゃん……!!! 退いてくれ、じいちゃん!!!」
ルフィが叫びながらも、その拳を固く握りしめる。
上空からその光景を冷徹に見下ろしていたレオンは、ウイングゼロフレームの心臓部を激しく駆動させた。ガープの脳内に渦巻く葛藤と、ルフィの絶対に曲げられない信念。ゼロシステムが弾き出す未来の分岐点が、ここへ来て最も激しく激突しようとしていた。
「モンキー・D・ガープ。身内の血を流してまで守る正義システムなど、ただの致命的なバグだ。……お前たちの因縁、ここで私が強制終了(シャットダウン)する」
漆黒の羽を広げ、エメラルドグリーンの瞳を鋭く光らせたレオンは、祖父と孫が対峙する最後の防衛線へと向かって、再びその身を躍らせるのだった。
次回:第二十二話 『血の絆と不条理な防壁、階段を駆け上がる拳』