白翼の機械人形になった転生者は海賊(人助け)をしながら、世界を見守る。 作:キング・クリムゾン!!
「――退け、ガープ。老兵が肉親の血に手を染めるなど、この戦場には不要だ」
漆黒の羽を羽ばたかせ、レオンがルフィとガープの間に割り込むように舞い降りた。
背中に背負ったツインバスターライフルから漏れ出す紫色の瘴気が、オリス広場の冷気を不気味に侵食していく。
「引っ込んでおれ、レオン……! これはワシら家族の問題じゃ!!!」
ガープの怒号が響き渡る。その両拳を覆う『武装色の覇気』は、かつて海賊王ロジャーと渡り合い、幾多の海賊を沈めてきた「英雄」そのものの威圧感を放っていた。だが、その凄まじい覇気の奥底に混ざる、祖父としての激しい葛藤と痛みを、レオンのゼロシステムは見逃さなかった。
『ターゲット:モンキー・D・ガープ。バイタルサインの乱れを検知。……覇気の出力に0.03秒の『迷い』が存在します』
「システムは感情を感知しない。だが、お前のその『迷い』は、戦闘において致命的な隙だ」
「黙れェ!! ワシにそんなものはない!!!」
ガープが地面を爆発的に踏み抜き、レオンに向けて強烈な拳を打ち込む。「『拳骨・衝突(インパクト)』!!!」
ドガァァァァァァァン!!!!
レオンは四枚の漆黒の羽を前方にクロスさせ、ナノラミネート装甲の全構造でその鉄拳を受け止めた。赤黒い覇気の火花が爆ぜ、周囲の石畳が津波のように捲れ上がる。
「ルフィ、何を立ち止まっている! エースを助けるには今しかない! 駆け上がれ!!!」
レオンの冷徹な声が、ガープの覇気の暴風を突き破ってルフィの耳に届いた。
「レオン……! お前、本当になんてすげェ奴なんだ……! ありがとなァ!!!」
ルフィは歯を喰いしばり、涙を拭うと、目の前の階段――イナズマがチョキチョキの実の能力で処刑台へと架けた「切り落とされた石畳の道」へと飛び乗った。
「ルフィーーーッ!!!!」
ガープが叫び、レオンの漆黒の羽を強引に振り払おうとする。
「行かせんと言っとろうがァ!! ワシは海軍じゃぞ!!!」
ガープが全身の覇気を解き放ち、レオンの装甲を粉砕せんばかりの連撃を叩き込んでくる。だが、レオンはビームサーベルをあえて抜かず、ただひたすらに四枚の羽と両腕を使い、ガープの「拳」だけを完璧な軌道予測で足止めし続けた。
「……ガープ。お前が本気でルフィを殺す気なら、私の演算回路はとっくに崩壊している。お前が打ち込んでいるのは『海軍としての立場』であって、『孫への殺意』ではない」
「黙れぇぇぇぇ!! ガキが分かったような口を叩くなァ!!!」
ガープの拳が、一瞬だけ止まる。
その0.1秒の空隙。ルフィはすでにガープの脇を走り抜け、処刑台へと続く階段の頂上付近へと到達していた。
「じいちゃん……! 俺はッ……行くんだァァァァ!!!」
階段の頂点で立ち塞がろうとしたガープに対し、ルフィは覚悟の拳を叩き込む。ガープは目を閉じ、その拳を正面から受け入れ、自ら処刑台の下へと崩れ落ちていった。
「ガープ中将が……敗れた……!?」
「そんなバカな……! あのガープ中将がァ!!!」
海軍兵たちの間に、絶望的な悲鳴が広がっていく。
「……よし。これで最後の巨大な障害の排除を完了した」
レオンは冷たく言い放ち、ガープの落ちていった煙の先を一瞬だけ見下ろすと、すぐさま視線を処刑台の最上段へと切り替えた。
そこには、ルフィが辿り着いた処刑台の頂上。
エースの手にかけられた海楼石の錠前を外そうとするルフィの前に、ついに最後の総指揮官――黄金の巨大な『大仏』と化した海軍元帥センゴクが、その巨大な拳を振り上げようとしていた。
「我が手で……お前たち兄弟の処刑を執行する……!!! 『仏の裁き』を受けよ!!!」
「麦わら!! 鍵を急げ!!!」
下にいるMr.3が叫び、エースが目を見開く。
レオンはウイングゼロフレームの出力を再び限界まで高め、背中の四枚の漆黒の羽を全開に羽ばたかせた。
『センゴク元帥、攻撃動作に入りました。……処刑台の全半壊確率:99%。……残された時間は、あと1.5秒です』
「……システム、最終支援プロセスを実行。ルフィ、エース……その『命』という名の不条理を、ここで完結させてみせろ」
紫色の瘴気を引いて、堕天使の死神が、黄金の大仏とルフィたちが激突する処刑台の最上空へと跳躍した。
頂上決戦は、ついに「エース解放」という最終局面へと突入する。
次回:第二十三話 『解き放たれた焔、果たされた誓い』