白翼の機械人形になった転生者は海賊(人助け)をしながら、世界を見守る。 作:キング・クリムゾン!!
「死ねぇぇぇぇ、ガキどもがァァァ!!!!」
激怒した大将“赤犬”サカズキの腕から解き放たれた『犬噛紅蓮』が、大気を超高熱で歪ませながら襲いかかる。接触する石畳は瞬時に溶岩へと変貌し、周囲の酸素すらも一瞬で焼き尽くしていく。
「――システム、格闘プロセッサー全開。物理エネルギー変換率:120%」
正面から突っ込んだレオン・ユイは、手にしたビームサーベルの出力を最大まで解放した。
紫色の禍々しいエネルギー刃が拡大し、赤犬のマグマの犬頭を真っ向から一閃する!
ズバァァァァァァァァァン!!!!!!!!
「ぬオッ……!?」
高熱と高熱の衝突。だが、レオンの持つビームプラズマは、マグマの温度すらも遥かに凌駕していた。犬の形を模した溶岩の塊が十文字に切り裂かれ、四散した赤熱のマグマがオリス広場へと激しく降り注ぐ。
「……お前の攻撃のパターンは大体わかった。お前の攻撃精度は、怒りによってコンマ数秒、粗くなっている」
レオンは空中で身を翻すと、背中の四枚の漆黒の羽を鋭利な刃のように変形させ、サカズキの懐へと超音速で肉薄した。
「ナメるなよ、ガキがぁぁぁ!!!」
サカズキは切断された右腕を瞬時にマグマで再生させ、至近距離から『大噴火』の拳を叩きつけようとする。
だが、レオンの覚醒したウイングゼロフレームは、サカズキの覇気と実体化のタイミングをすでに完全に読み切っていた。
「――ターゲット、サカズキの実体化ポイントを固定」
ドゴォォォォォン!!!
レオンの左拳が、黒く硬化した『武装色の覇気』とナノラミネート装甲を纏い、サカズキの顔面へと正確無比に突き刺さった。
「がっ……、は……ッ!?」
サカズキの巨躯が傾き、口から赤黒い血が噴き出す。
レオンの攻撃は単なる物理破壊ではない。ゼロシステムが弾き出す「一番ダメージが入る角度とタイミング」を正確に突いた、極めて非情で効率的な一撃だった。
「ルフィ、エース! 立ち止まるな、走れ!!」
追いついてきたジンベエが、驚愕で目を見開くルフィとエースの背中を押す。
「レオン殿が時間を稼いでくれている間に、ワシらは海へ出るぞ!!」
「レオン……!! 死ぬなよ、絶対に追いついてこい!!!」
ルフィが叫び、エースはレオンの背中に一瞬だけ力強い眼差しを向けると、意を決して海岸線へと走り出した。白ひげ海賊団の船員たちも、二人を守るように巨大な人垣を作って撤退を急ぐ。
「ハァ……ハァ……! ワシをここまで押し込むか……! 危険すぎる……貴様は世界政府にとって、最も生かしておいてはならん『イレギュラー』じゃ……!!」
顔面から血を流しながらも、サカズキの瞳にはさらに凄惨な殺意が宿る。全身のマグマが波打ち、マリンフォードの地面そのものを溶岩の海へと変え始めていた。
「周囲の地熱上昇を確認。……これ以上の戦闘継続は、ウイングゼロフレームの冷却機能を限界突破させる」
レオンは冷徹に状況を分析し、両手のツインバスターライフルを静かに背中にマウントし直した。
「サカズキ。お前をここで倒すことは容易だが、私のミッションは『エースの生存』と『自身の離脱』だ。無駄な完全破壊はエネルギーの過剰消費(非効率)に過ぎない」
「逃がすと……思うてかァァァ!!!」
サカズキが大地を溶かして襲いかかろうとした瞬間――。
ズガァァァァァァァン!!!!!!
レオンは両足の推進バーニアを爆発させ、極限のGを無視して垂直上空へと一気に飛翔した。ソニックブームが巻き起こり、サカズキのマグマの波を吹き飛ばす。
「……これより、最終脱出シークエンスへ移行する」
上空で四枚の漆黒の羽を全開に広げたレオンは、眼下の不気味な赤犬、そして騒然とするマリンフォード全体を見下ろしながら、紫の残光を引いて海賊船の待つ沖合へと超音速で加速していった。
次回:第二十六話 『白ひげの遺言、世界の歪みを切り裂く翼』