シャーレの先生は化け物である   作:人肉の味を知りたいようで知りたくない

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今更ながら赫子のデザインってほんっっっとうに最高ですよね、皆さんのお好きな赫子はなんでしょうか。

私は月山さんと芳村功善さんの赫子が一番大好きです


『会議』

 

 

 

「―おはよう先生!」

 

「あっ、おはようセリカ……えっ、いま自分から挨拶してくれた!?」

 

「私だって、あ、挨拶くらいちゃんとするわよ」

 

 

 

 翌日の朝、アビドスへ向かう途中で背後から挨拶をされた先生。少し前までは目すら合わせてくれなかったのに自分から挨拶をしてくれた、これだけで彼は大いに嬉しい。

 

 

 

「それよりも先生、お腹はもう平気なの?」

 

「もう平気だよセリカ、心配してくれてありがとう」

 

「……あの、先生」

 

「ん?」

 

「昨日の夜、バイト帰りにシロコ先輩に会ったの。シロコ先輩は私に、先生のことを少しでもいいから信用してみたら?って言われて……決めたの。先生の事、少しだけだけど、信じてみよう…って」

 

 

 セリカはシロコと別れた後、1人でじっくりと考えた。先生は今まで見てきた大人達とは違う、自分の身よりも先に生徒の事を思い動く…そんな大人は見たことがなかった。

 

 

「セリカ…!少しでも信頼してくれてありがとう!その気持ちを裏切らないように頑張るよ!」

 

「そ、そんなに大袈裟に意気込まなくてと……べ、別にそこまで期待してるわけじゃないんだからね! もし少しでも怪しい動きをしたり、変なことしたら、すぐに信用取り消すんだから!」

 

 

 セリカは慌ててフイッと顔を背け、真っ赤になった耳を隠すようにツインテールを軽く揺らした。ツンデレの教科書のような完璧な反応。

 

 そんな彼女の様子を見て、先生は心の底から愛おしそうに目元を和らげる。

 

 

「あははっ、厳しいなぁ。でも、セリカをがっかりさせないように、先生は全力を尽くすよ」

 

 

 微笑みながら、先生はそっと自分の胸に手を当てた。

 

 

(……ああ、本当に良かった)

 

 

 自分はこの子を守れた、先生はそう心の中で安堵していた。

 

 彼女を攫おうとしていた脅威は全て追い払った、自分が嫌う手段を使いはしたが…その結果が今、朝の光の中で傷一つなく、こうして自分に言葉を届けてくれているセリカの安全に繋がっているのだ。それだけで、先生にとっては十分すぎるほどの救いだった。

 

 

「……ってもうこんな時間!先生走って!遅刻しちゃう!」

 

「それはまずい!」

 

 

 2人は走りながら学園へと向かう、その顔は焦ってはいるものの……どこか明るく、元気いっぱいな表情であった。

 

 

 

 


 

 

 

「……それでは、アビドス対策委員会の定例会議を始めます。本日は先生にもお越しいただいたので、いつもより真面目な議論が出来ると思うのですが……」

 

「は~い☆」

 

「ん、いつも真面目」

 

「その通り…ふぁーあ…」

 

 

 

 セリカと共にアビドス学園とやってきた先生はアビドス対策委員会の定例会議に参加していた。挨拶を終えたアヤネはホワイトボードに何か書き始め、一番上には今日の議題と思われる、『借金の返済案』という文字が書かれていた。

 

 

「それでは、何か考えがある方は挙手をお願いします」

 

「はい! はい!」

 

「はい、一年の黒見セリカさん、お願いします」

 

「……なんで、フルネーム? なんか変な感じするのだけれど」

 

「あはは、まぁ何というか折角の会議だし、そっちの方が気が引き締まるかなぁって……」

 

「いいじゃーん、おかたーい感じで、今日は珍しく先生も居るんだし?」

 

「ん、珍しくというより、初めて」

 

「ですよね! なんだか委員会っぽくてイイと思いま~す☆」

 

「はぁ……ま、先輩たちがそういうなら」

 

 

 

 セリカが頬を掻きながら、しかし気を取り直してびしっと一本指を掲げる。その姿勢は真っ直ぐで、自信が大いに満ち溢れていた。

 

 

 

「対策委員会の会計担当としては、現在我が校の財政状況は破産寸前としか言いようがないわッ! このままだと廃校だよ、皆それは分かっているよね?」

 

「うん、それは当然」

 

「毎月の返済額は利息だけで七百八十八万円! 私達も頑張って稼いではいるけれど、正直利息の返済も追いついていないわ! これまで通り、指名手配犯を捕まえたり、苦情を解決したり、ボランティアをするだけじゃ限界! ――このままじゃ埒が明かないって事! だから埒をあけるために、何かこう、でっかく一発狙わないと!」

 

「でっかく……例えば?」

 

 

 シロコがそう問いかけると、セリカは待っていましたと云わんばかりの笑顔で鞄を漁り、色鮮やかな一枚の紙――チラシを取り出した。

 

 

「これよ! 町で配っていたチラシ!」

 

「チラシ……?」

 

「えーと……ゲルマニウム麦飯石ブレスレットで、あなたも一攫千金………oh」

 

 

 セリカが取り出し机の上に広げたチラシに書かれていたのは『一攫千金!!』や『金運上昇!!』などなどが書かれていた。

 

 

「この間街で声をかけられて、説明会に連れて行ってもらったの。運気を上げるゲルマニウムブレスレットを売ってるんだって!これね、身につけるだけで運気が上がるんだって!で、これを周りの三人に売って……あれ、みんなどうしたの?」

 

 

「却下~」

 

「えーっ!? 何で、どうしてっ!?」

 

 

 ホシノがチラシを取り上げ、そう口にすれば慌ててセリカが口を開く。そんなセリカを宥めながら、アヤネはそっと告げた。

 

 

「セリカちゃん、これ、マルチ商法だから……」

 

「儲かる訳ない」

 

「へっ!?」

 

「そもそもゲルマニウムと運気って関係あるのかな……こんな怪しいところで、まともなビジネスを提案してくれる筈がないよ」

 

「そ、そうなの? 私、二個買っちゃったんだけれど……!?」

 

「セリカちゃん、騙されちゃいましたね、可愛いです☆」

 

「うそ……私に、2個も買っちゃったのに…!?」

 

 

 セリカはブレスレットを二つ手に持ちながらあたふたとし始め、顔色も少し悪くなっていく。まずいと感じた先生が持てる知識をフル活用して彼女をフォローする。

 

 

「あー、あーでもセリカ!ゲルマニウムって健康維持や美容目的に広く使われている半導体物質でね?血行促進による疲労回復や冷え性改善!デトックス(発汗)作用!そして肌の代謝を促すエイジングケアや鎮痛効果が期待されているんだ!だから、ガラクタを買ったってわけじゃないよ!うん!」

 

「……金運上昇は?」

 

「……」(目線を逸らす)

 

「大丈夫ですよセリカちゃん、御昼、一緒に食べましょう? 私が御馳走しますから」

 

「ぐずッ……ノノミぜんぱぁい……!」

 

 

 

 ブレスレットを鞄に放り、ノノミにぐずりながら縋り付くセリカ。ノノミやシロコはヨシヨシとセリカの頭を撫でながら慰める。

 

 とりあえずセリカを嵌めた者達に関しては、後で先生がお話をする事にした。

 

 アヤネは気を取り直し声を上げる

 

 

 

「えっと、それでは他にご意見のある方……」

 

「はーい!」

 

「……はい、三年の小鳥遊ホシノ委員長――ちょっと嫌な予感がしますが」

 

「うむうむ、えっへん!」

 

(ホシノ…この中で一番私のことを警戒して、私のことをまだ信じていない子。一見すると抜けている感じの生徒だけど……内に秘められているのはまさしく猛者のそれ。多分、結構ちゃんとした案を出してくるんだろうな)

 

 

 そう思いながら先生はホシノの話を聞く。

 

 

「我が校の一番の問題。それは全校生徒がここにいる五人だけってことなんだよねー。生徒の数=学校の力。トリニティやゲヘナみたいに、生徒数を桁違いに増やせれば、毎月のお金でもかなりな金額になるはずだよ」

 

「えっ……そ、そうなんですか?」

 

「学費がその分増えるからね」

 

「だからまずは生徒数から増やさないとねー。まずはそこからかなー。そうすれば、連邦生徒会に議員を捻出する余裕も出来て、連邦生徒会での発言権も手に入るし」

 

「鋭いご指摘ですけど、具体的にどうやって…?」

 

 

 

 いい案ではあると思うが、アビドスは砂漠化が進行し生徒や住民が去って久しい。その人たちを呼び戻す、もしくは新たな住民を増やすのは容易ではない。先生は一体どうするのだろうかという思考を巡らせる。

 

 そしてにかっと笑ったホシノが任せろと云わんばかりに胸を叩いた。

 

 

 

「簡単だよー、他校のスクールバスをジャックすればオッケー!」

 

「発想がバイオレンス!!」

 

「登校中のスクールバスをジャックして、うちの学校への転入学書類にハンコを押さないと、バスから降車出来ない様にする! うへ~、これで生徒数がぐんと増える事間違いなーし!」

 

「拉致に恐喝!!?問題アリですよ!!」

 

「うへー、やっぱそうだよねぇ」

 

「やっぱそうだよねぇ、じゃありませんよホシノ先輩、もっと真面目にやって頂かないと…!」

 

 

 

 喰種もびっくりな方法を提案するホシノ、本気なのか冗談なのかはわからないが……勿論その案は却下され、次の案をアヤネが問う。

 

 

 

「いい考えがある」

 

「……はい、二年の砂狼さん」

 

「銀行を襲うの」

 

「………はい!?」

 

「えぇ…!?」

 

 

 

 アヤネがまた驚いた声を上げ、先生も声を上げる。

 

 

 

「確実かつ簡単。ターゲットも選定済み。市街地にある第一中央銀行。金庫の位置、警備員の動線、現金輸送車の走行ルートは事前に把握しておいたから。5分で1億は稼げる。はい、覆面も準備しておいた」

 

「いつの間にこんなものまで……」

 

「うわー、これ、シロコちゃんの手作りー?」

 

「これ見てください!レスラーみたいです!」

 

「ん、先生のは用意できなかった……から、代わりのものを持って来た」

 

「いや、シロコ?私はぜっったいに銀行強盗に参加しないし、させないよ?」

 

「はい、これ」

 

 

 

 そう言ってシロコはバックの中からある一枚の仮面を取り出した。

 

 

 

 

「ピエロの仮面」

 

『ウワァァァァァァッッッッ!!!!?』

 

 

 

 取り出された仮面に対して先生は絶叫し、そのまま仮面を手に取ると

 

 

 

 

「ウオラァァァァァァッ!!!」

 

 

 

 

窓から放り投げた。

 

 

 

 

「はぁ…はぁ……はぁ……」

 

「せ、先生…?どうしたの?」

 

「……ご、ごめんね、シロコ。私実は、ピエロ恐怖症でね……その、とりあえずピエロにはいい思い出がないんだ、だから……本当に、ピエロは……勘弁して……とりあえず銀行強盗も無しで!」

 

「わ、わかった」

 

 

 

 びっくりするくらいの汗をかきながら、座り込む先生………ピエロ、先生は元いた世界でピエロに対していい思い出ないのだが……そこは一度置いておく。

 

 

 ホシノ、シロコと来て今度はノノミが『アイドル』と言った案を出す。シロコの案とホシノの案、そしてノノミの案のうちどれかを選んでくれと言われ、先生は比較的にマシなアイドルを選択、セリカ以外の生徒達は乗り気であったのだが。

 

 

 

 

「いいわけないじゃないですかぁ!!」

 

 

 

 ついにアヤネがブチ切れ、ちゃぶ台返しを行ったところで……今回の会議はお開きとなった。

 

 

 

 

 

 

 

「………所で先生、ピエロにいい思い出がないって言ってたけど…何があったの?」

 

「………ごめん、あんまり話したくないんだ。…………ピエロ……SSS………母………――ごめんトイレって何処かな」

 

「シロコ先輩GO!!!」

 

「ん、先生耐えて」







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