百合好き男子高校生   作:人間だもの。み◯お

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戸山香澄 Ⅰ

 

ライブハウス「CiRCLE」

それは、ガールズバンドが夢をみて、叶えるための場所。その応援をするための場所でもある。

本日は7月7日、七夕の日。織姫と彦星が一年に一度出会うことができる日。そして、二次創作の世界では高確率でネタにされる日。それは、この小説でも例外ではないのだ。

 

「すごい集まってるな……」

 

つい2日前に置かれた笹には、この二日間短冊で隙間がなく埋まっている。

このライブハウスでは、ただスタジオを貸しているだけではなく、横に併設されたキッチンで飲食店も兼ねている。軽食を取り扱っているものの、机や椅子が置かれているため、食事だけ楽しもうとする人も多いため、参加人数が増えてしまうのだ。まりなさんも『笹を増やした方がいいかな?』と言ってしまうほど。

チラシが入った段ボール台車を転がしていたところに、背後から走ってくる足音が聞こえる。

 

「やっほー!幸太郎君!」

 

太陽のように眩しい笑顔を咲かせる少女ーーーー戸山香澄。知り合いに声をかけられた彼は、笑顔を向ける。

 

「いらっしゃい香澄ちゃん。今日は何にする?」

 

彼女の笑顔には、こちらもつられてしまう影響力があるに違いない。

 

 

♂×♀

 

 

第ニ話「向こうがキラキラドキドキするとき、こちらもまたキラキラドキドキするのだ。」

 

 

♂×♀

 

 

「そういえば、香澄ちゃんは書いたの?あれ」

 

注文された特製ホットサンドを作りながら、彼は香澄に訪ねる。彼が言う「あれ」とは、七夕のことだ。

ライブハウス「CiRCLE」では今、商店街協力のもと笹を設置し、短冊にねがいごとを書いてもらっている。来てくれたお客さんを楽しませたいというのが、まりなさんの狙いなのだ。

 

「もちろん書いたよー!ポピパでもっとキラキラドキドキしたい!!」

「香澄っぽいね。きっと叶うよ」

「へへへ~」

 

代金を彼女から受け取り、ホットサンドを手渡す。それを嬉しそうに頬張る姿をみて、彼の頬が少し緩んだ。

 

「うん!おいひ~!!」

「お粗末!」

 

今回はハムとチーズをサンドしたもの。混雑時の手間を考えあえてシンプルにしたものだ。期間限定で凝ったものを出せないか検討中。

彼女の笑顔に向け、ピースサインを送る。戸山香澄と話すとこちらまで明るくなる。

 

「幸太郎くんはなんて書いたの?」

「いや、実は僕書いてない……ていうか願いもないし」

「え、なんにもないの?」

「なにもない……てわけじゃないけど」

「じゃあ書かないとダメだよー!」

 

そう言って、短冊とペンを彼女から受けとると、手を顎に当て、深く考え込む。やがて思いついたかと思うと。

 

「星5排出率が上がりますように」

「なんて?」

「冗談。まぁ無難に世界平和でも願っておこ」

「何もない人が最後に行き着くやつだ……」

 

願いがないのかなと思いつつも、香澄は彼の願いには予測をたてていた。

 

ーーーーやっぱり

ーーーー元の世界に戻りたい、のかな

 

斎藤幸太郎は異世界から転移した男子高校生である。月島まりなが、スタジオの清掃中に鏡が光だしたと思ったら、いきなり彼が出てきたらしい。彼いわく『なんか実家の鏡が急に光ったと思ったらここで倒れていた』らしい。

もちろん、金も家も無い。そんな彼を哀れみ、月島家への居候をまりなさんが許可。その対価はライブハウス「CiRCLE」での労働という形で、彼の今の生活は成り立っているのだ。

 

「やだな~」

「え?世界征服とか企んだほうがいい?」

「違うよ!!!なんでもないよっ!」

 

キラキラ少女戸山香澄。

彼女は少年に恋愛感情を抱いている戸山香澄にとって、当然帰っては欲しくない。しかし、家族の大切さを知っていて、家族に会えない彼の悲しみを共感できる彼女にとって、悩ましい部分だ。もちろん帰ってほしくはない。でも、家族と会えない悲しさはわかる。

少女の心は複雑だった。

 

「いや、ほんとは、ね 」

 

食べ終えたホットサンドの包み紙をクシャリと鳴らしながら俯く。

 

「そのキラキラドキドキの中には、幸太郎君も含まれててさ」

「え?」

 

幸太郎が聞き返す。しかしその声は届いておらずそのまま彼女は続けた。

 

「皆と一緒でいいから、いつまでもーーーーー」

 

いれたらいいのに。しかし、続けようとした彼女の言葉は出てこなくて

 

「香澄ちゃん」

 

目の前で止まった彼女に彼は大きくな声で告げる。

 

「ライブハウスCiRCLEはなくなりません!」

 

両手を腰にあて、自信満々に答える。店長である月島まりなが就任した時は確かに、一日に2~3グループが利用すればいいくらいでギリギリ赤字続きだった。

しかしそれでもと言い続けた月島は止まらなかった。

 

『ガールズバンドを輝かせるために』

 

その思いを絶やすことなく、色んなバンドの応援を続けてきた結果。ガールズバンドは数が増え、今日の経営を続けられている。

そんな中自分を雇ってくれてるだけではなく、居候までさせてくれる。

だからまりなさんの力になりたい、と以前話していたことを思い出した感謝しているのだ。

 

 

「だから、いつまでもご利用お待ちしてます!!」

 

 

自信ありげに彼は目を輝かせる。

 

ーーーそういうことを言いたいんじゃないのにな。

 

自分の思いはまだ彼に届くことはないだろう。

いつか絶対、思い知らせてやる。

 

「うん、ありがとう! 幸太郎くん」

 

CAST

♂️斎藤幸太郎

異世界から来た百合が好きな男子高校生。

七夕には

『◯◯◯先生の新刊希望ンヌ』

『百合が欲しい』

『ユリの壁になりたい』

と書いてある。え?なんで正直に言わないのか?

お前は言えるんですか(理不尽逆ギレ)

 

 

 

♀戸山香澄

常にポジティブ&エネルギッシュな、Poppin'Partyのギターボーカル。友達思いで明るいムードメーカーだが、ついはしゃぎすぎてしまうことも(公式より引用)

元々、チーム内で揉めてる所を彼に目撃されたことが始まり。なんやかんやあってオチた

 

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