原作知識持ち転生者が蜘蛛子にヤンデレられる話   作:蜘蛛子たちのヤンデレが見たい

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本編が書き上がりそうにないので作者が個人的に書きたかっただけの学パロでお茶を濁します
学パロと言いつつ学校に行ってないとか、これはヤンデレなのかとか色々言いたいことはあると思いますが、慈悲の心で受け入れてください
好評だったら続きます
好評じゃなくても作者が書きたくなったら続きます


学パロですが、なにか?

 

 朝、ふと目を開くと()()()()()()()()()()()()()が瞬き一つせず俺を見つめていた。常人ならば驚き恐怖するその光景は、幸か不幸か俺にとっては驚愕どころか身じろぎするに値しない日常風景であった。

 

「おはようさん、蜘蛛子」

「おはよう、若草君」

 

 俺が体を起こすのと同期するように横になっていた上体を起こしたのは、ただただ”白い”という印象を受ける美の字が頭に付く少女。白い髪、白い肌、白い寝間着と白ずくめな中で、一箇所だけ赤い瞳に自然と目が引かれる。そんな彼女の名は蜘蛛子。およそ人に付けるようなものではない名前を彼女が平然と受け入れている理由はただ一つ。彼女の正体が蜘蛛だからである。

 

「……朝はどうする?」

「ここで食べてく」

 

 平然とそう答える彼女の行動を予見していた俺は、下手に断ることもせず朝食の準備を始めることにした。

 

 あーっと、それでどこまで言ったっけ?蜘蛛子が元々ただの蜘蛛だったってところまでだったか。それじゃあ続きといこう。

 一人暮らしをしているマイホームに侵入してきた一匹の蜘蛛であった彼女を発見した時の俺は、何を血迷ったかその蜘蛛を家で飼うという行動を取った。理由は今でもはっきりとはわからない。ただ漠然とそうした方がいいと思った。それだけである。

 さて、そんな経緯でウチに住み着くこととなった蜘蛛こと蜘蛛子だが、ある日突然擬人化した。……え?展開が急だって?いやしょうがないだろ。だってそう言うしかないんだから。劇的な出来事があったわけでも、異世界に転生したわけでもない。何でもない普通の日に彼女は今の姿になり、そして……

 

「若草君、愛してる」

 

 俺に(性的な意味で)襲いかかろうとしてきた。

 あの時は本気で焦った。学校から帰ってきたら見知らぬ人外感溢れる美少女が家の中にいて、危うく貞操の危機に陥ったのだから。

 ちなみに蜘蛛だった頃はウチで飼っていた蜘蛛子だが、人の姿を得た今、彼女は常に我が家にいるわけではない。

 

「おはようございます、私の恋人さん」

「……おはよう、D」

 

 異常な進化(?)を遂げた蜘蛛子を引き取り、戸籍作りやらなんやらの諸々を引き受けてくれたのが今涼しい顔で俺の家に入り込んでいる彼女、Dである。なお彼女と俺は現在交際関係にない。

 Dは蜘蛛子と同等の、というか何故か彼女と瓜二つの美貌を持つ我が校一の高嶺の花である。常に表情筋を動かすことはなく、人との関わりは最低限。付き合いが悪いを通り越して一般生徒が自然と接触を避けてしまうような神秘的なオーラを纏う、蜘蛛子とは別の意味で人外染みた少女。それこそがDという女の本質……()()()()()()

 この女はいわば究極の愉快犯である。面白いと思う事象があれば即座に首を突っ込み、より面白くするためだけにその超人的な能力を行使する。その出来事が平穏な方向性に軟着陸しようが、悲嘆な終わりを迎えようが、彼女は全てを面白いの一言で片付け受け入れる。それが彼女の真の本性である。

 

「一応聞くが、お前も朝はここで済ましてく気か?」

「ええ。二人も三人も変わらないでしょう?」

 

 そりゃまあ大してかかる労力に差はないが、それはそれとしてお前が言うな案件である。だが俺は彼女に多大な恩義がある故、その命令とも呼べる発言をそう無下にもできない。結果俺は今日()朝食を二人前作ることになるのである。なお分ける比率は1:0,5:0,5である。

 

「ほら、できたぞ」

 

 いつの間にかリビングに来てテーブルに向かっていた蜘蛛子とDの前に、皿に乗せた二分の一の目玉焼きと四分の一のトーストを置く。静かに手を合わせそれを口にし始めた彼女たちを横目に、俺も自分の分の朝食を食べ始めた。

 食事時の蜘蛛子は静かだ。どうにもこいつは食べるのが好きかつ少食という相反する属性を合わせ持っているらしく、せめてもの抵抗として食事は限界まで味わって食べるのが常らしい。

 そして元々無口な蜘蛛子が黙り込んでいる上、俺もそこまでおしゃべりではないので必然この場には静寂が漂うこととなる。しかしながら、そんなつまらない食事風景がお気に召さない少女がこの場にはいる。

 

「そういえば若草さん。昨日アリエルさんとキスをしていたという噂を聞きましたが、どうでしたか?彼女の唇の味というものは」

 

 その瞬間、空気が凍った。そう錯覚させるように、この場にいた全員の動きが静止した。その硬直からいち早く復帰したのは、小さくちぎったトーストを口にしようとしていた蜘蛛子だった。

 

「どういうこと?」

 

 口数はいつも通り少ない。だがそこには明確な圧があった。それは本当か。理由はなんだ。私もキスしたい。というか魔王(アリエル)ずるい。そんな言外の意をひしひしと感じた。

 

「……そんなことしてねえよ。ただのデマだ」

「あら、そうでしたか。てっきり彼女と付き合うことに決めたのかと」

 

 ビシリ。凍った空気にヒビが入った。そう思わせるような気迫を纏った蜘蛛子がこちらを凝視してきたせいだ。

 

「……魔王より私の方が、若草君のこと、好きだよ?」

 

 だからいいでしょ?そんな声なき声が聞こえたと同時に、彼女は立ち上がりこちらにゆっくりと歩み寄ってきた。

 まずい。久しぶりに蜘蛛子が暴走している。今すぐに逃げ出さねば。しかし残念なことに俺は非力。俺の体を拘束する()()()()を引きちぎることなどできない。

 

「ちょっ、蜘蛛子さん?一旦冷静になってもらえませんかね?」

「冷静。だからちょっと天井のシミでも数えてて」

 

 何処で覚えてきたそんな言い回し!十中八九この性悪女のとこだろうけどさ!

 

「若草君、若草君……わかくさくん」

 

 ガタリと椅子が倒れる。それに座っていた俺も押し倒される。普段は比喩抜きに箸より重いものが持てないくらい非力な蜘蛛子の腕力が、今この瞬間だけ大の大人でも抵抗できない程の力を持つ。言葉は届かず、抵抗は無意味。そんな絶望的な状況の中、俺の右肩に刺すような痛みが走った。

 

「いっつ……ぅ」

「……♡」

 

 蜘蛛子は喰らう。俺の血を、肉を、皮膚を、俺という存在を構成する要素の全てを喰らわんとするように、その鋭利な牙を突き立てる。上気した頬は赤らみ、あまり動くことのない表情は妖艶な笑みを浮かべている。それに魅了されそうになる。だがこらえる。今は彼女を止めることが先だ。

 

「くも……こっ!」

「……っ!」

 

 唯一動かせる首から上を全力で振りかぶり、強烈な頭突きを食らわせる。じんじんと痛む額をさすることもできないまま、俺は蜘蛛子と目を合わせた。

 

「少しは落ち着け。俺はお前から離れたりなんかしねえよ」

「…………うん。ごめん」

 

 ふわりと俺を包んでいた糸が宙に解け消える。ようやく自由になった肉体の感覚を堪能しながら、俺は蜘蛛子のことを抱きしめた。

 

「……!」

「今はこれで我慢してくれ」

 

 弱々しく俺の背に手を回し、力を込める蜘蛛子。その手から彼女の冷たい体温を感じながら、俺は彼女の孤独に寄り添うようにより抱きしめる力を強めた。

 

「……もう、大丈夫」

「そうか」

 

 そっと彼女のそばから離れ、倒れ込んだ椅子を元に戻す。何もなかったように食事を再開すると、彼女も俺に習ってトーストに手を伸ばした。

 

「それでD、なにか感想は?」

「今回も彼女の”暴走”が無事終わったようで何よりです」

 

 一ミリもそうは思っていなさそうな顔で彼女は言う。悪くはないものを見られたからまあよし、くらいの感覚だろうか。

 さて、蜘蛛子のことに話を戻そう。彼女はさっきも言った通り元々蜘蛛であり、そうであった時代に染み付いた本能というものが未だに存在するしているらしい。

 曰く、お残しは決してしない。寝る時は絶対に安心できる場所で。そして、孤独を何よりも嫌う。

 彼女の暴走はそんな意思に則って起こる。俺という一人、いや一匹であった彼女に温もりを与えてくれた存在を逃さないように強く求めるが故に、なりふり構わず襲ってくるのが俺が暴走と呼んでいる現象である。それは本人に制御できるものではなく、今回も何かしらのスイッチが入ってしまったのだろう。

 そんな物騒な性質を持つ蜘蛛子だが、俺は決して彼女から距離を取ったりしないことに決めている。それが彼女を拾って飼うことに決めた俺の責任であり、親心のようなものだと思うから。

 

「それじゃあ俺は支度して学校行くから。また学校で会おうぜ」

「うん」

「そうですね。ではまた後で」

 

 彼女たちが家を出たのを確認した俺は、徐ろに蜘蛛子につけられた傷跡を撫でる。痛い。だがそれ以上に痕が残っているのはまずい。俺に過保護で過剰に心配してくる()()にバレたら面倒なことになる。幸い俺は普段から肩出しファッションを好む人種ではない。大きめの絆創膏でも貼って制服で隠せば大丈夫だろう。

 それにしても、だ。

 

「蜘蛛子相手ならこうやって傷付けられるのも悪くない、なんて思ってるのはどうなんだろうなあ」

 

 我ながら流石に思考が変態過ぎる。だがいつも噛まれる時に何か心地良いものを感じてしまうのだ。甘い毒のような、蕩けてしまう麻薬のような何かを注入されているような、そんな感覚を覚えてしまう。これじゃあまるで、

 

「俺が蜘蛛子に()()()()()()されるのを望んでるみたいじゃん」

 

 流石にそれはキモい。仮とはいえ親として失格である。

 というわけでそんな思考を封印しながら、俺は今日も蜘蛛子と向き合う。他でもない俺自身が胸を張れる生き方をするために。

 

 

 

 

 

 

「……D、なんで止めたの?」

「さて、なんのことでしょうか」

「そっかー惚けるかー……じゃあなーんで私が若草君にあんなことやこんなことをした瞬間に時間が撒き戻ったんですかねえ!?」

「それはそれは。不思議なこともあったものですね」

 

 Dがそう白々しく言う。こいつさえいなければ今すぐにでも若草君を襲ってやるのに……!

 Dはいつもそうだ。面白いものが見られれば何でもいいみたいな顔をして、その実心の奥にはどす黒い独占欲を隠し持っている。

 私が彼の脳に糸を垂らし操り人形にしようとすれば瞬きの間にその糸を切られ、糸で拘束して襲おうとすれば永遠に時間が巻き戻り続け、彼を喰らいつくそうとすればその身に秘めた力の片鱗を見せつけてきて、私を否が応でも萎縮させる。私の生物としての本能が、こいつに逆らってはいけないと断言する。だから私は甘んじて適当なところでこの衝動を抑えるしかない。まあそれはそれとしてちょっとだけ毒牙で噛んだりするけど。

 

「私の愛情表現も全部変な暴走ってことにしてさ、何がしたいわけ?」

「その方が面白そうだからですよ」

 

 こいつはいつもそう返す。それがこの世界で生きる理由であるように。

 

「彼は誰にも恋愛感情を向けられていないと思っています。そんな彼が多くの女性から重い感情を向けられていると知った時、どんな顔をするのか。最後には誰を選ぶのか。そんな面白そうな恋物語を、私は見たいのです」

 

 これはきっと本音だ。Dが私と彼以外に見せることのない、本当の顔だ。でも、きっとそれだけじゃない。

 まがりなりにもこいつと同居している私にはわかる。こいつの言葉には裏がある。いつも彼の恋人を騙り、気付けば彼のそばにいるこいつが誰にもバレないよう隠し持っている、裏の顔が。

 それを知ってはいけないのだろう。知ったら消される……とまではいかなくても、その記憶は確実になかったことにされる。だからあえて知ろうとはしない。だからといって、私がやることは変わらないのだから。

 

 若草君を私のものにする。無理矢理はDが嫌うようなので、正攻法で堕としてみせる。だから……待っててね?若草君♡

 

 

 

 

 

 

 彼の記憶の中の知識を元に気まぐれで作ったこの「ガクパロ」という平和で平穏な世界。これも中々に面白いですね。たまにはこういう世界で彼がどんな行動をするのか見てみるのも悪くはないでしょう。

 ああでも一つだけ。彼の恋人は私だけです。その座はそう簡単に渡しませんよ?それでもというのなら、かかってくるといいです。

 

 どうせ最後は私が勝つんですから。

 




若草緋毬
転生者でもなんでもない普通の少年
あっちこっちから矢印を向けられているがほとんど気付いていない鈍感野郎

蜘蛛子
飼い蜘蛛から愛の力で進化して人の姿を得た少女
色々人間離れしたことができる
主人公に向ける愛は変わらずクソデカ

D
主人公のお隣さんにして幼馴染
何でもできるし何でも知っているが、一番好きなのは彼氏()を眺めていること
恋人を強調するのは一種のマーキング






作者はこういう話が読みたいです(他力本願)
だが、読者はどうかな?
というわけで面白いと思ったらお気に入り・高評価、続きが見たいと思った人は感想コメントをよろしくお願いします(ようつべ並感)
早めに本編の続きも上げられるようがんばりますが、次も学パロの方が上がるかもしれません
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