転生ナルト物語   作:ドロイデン

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進むべき道 Ⅱ

「自分の進みたい道が分からない、か」

 

 昼過ぎ、早速二代目から呼び出されて連れてこられた練習場……というより、どう見ても『根』が管轄するであろう森にてしごかれたオレは、休憩中にそんなことを相談していた。

 

「九尾の人柱力として見るのなら、何を府抜けたことを言っているのだと怒鳴り付けているところだが……お前が感じているのは、そこじゃないだろうな」

「……どういう」

「目を見ればわかる。人柱力としては貴様は既にほぼ完成されている。九尾と和解を果たし、あとは『鍵』を手に入れればすぐにでも完全に扱えるのだろう。だが、貴様がそう思うのは、おそらく自分が感じている何かしらの劣等感のようなものだ」

 

 まるで見透かすように答える二代目は、オレの目の前で胡座を組むとオレの目を直視する。

 

「幸い、ここには儂以外の忍はおらん、根の者たちの監視もない、そして儂は他人の内面をべらべらと他人に話す趣味はない。ゆえに、吐き出してみろ」

 

 二代目のその言葉に、オレは、九喇嘛にも話してない本音を漏らした。

 

「二代目様はさ、オレが未来のことを知ってるって言ったらどう思う?」

「ふむ……戯言なら説教をするところだが、貴様のその目、嘘はついてなさそうだ。で、それがどうした?」

「オレが知ってる未来は、中途半端で、所々が抜け落ちてて、そんで、今の現実と大きく変わってるんだってばよ」

 

 確かにオレはナルトに転生した、そこは間違いない。けど、転生したからって『NARUTO』という物語の全てを知っているわけじゃない。だってアニメも漫画も、全てを通して読んで見てしてるわけじゃないからだ。

 誰もが思うだろう、転生したのならその作品の全てを知っていて、それで自分らしく改編してやろう、と。

 だがそれをオレはしなかった。いや、できなかった。なぜなら、持っている知識が中途半端すぎて、下手に改編して、下手に違う未来へと進んでしまったら、そのとき、オレは果たして最後まで生きられるのか。

 

 ただでさえうずまきナルトという、初期は誰からも愛されず、誰からも必要とされず、誰からも憎まれ、誰からも悪意を向けられてきた主人公に転生して、それで下手に未来をねじ曲げたら?

 想像して考え出した結論は、どれを選んでも『死』がつきまとう。だからオレは、可能な限り最低限の改編しか行わずに耐えて、耐えて、耐え続けて、『うずまきナルト』という人間を演じてきた。そうすることでしか、生き残る手段がないと考えたからだ。

 

 いのやいのいちさんは俺が化け狐と悪意を向けられることに対して耐えていると言っていたが、そうじゃない。ただ、自分が『化け狐を宿した里の憎悪の対象』として演じることで、オレは、オレ自身を演じている実感があっただけだ。

 

 けど、その全ては徒労なのか、それともオレという異分子が入り込んだことによる因果ゆえか、こうして大きくねじ曲がった。

 少なくとも、うずまきナルトがアカデミーを卒業する前に、その出生が公表されるなんてことは起こらないし、目の前に二代目火影やナルトの母であるうずまきクシナが穢土転生で復活するなんてことは、中途半端な内容しか知らないオレでも間違いなくおかしいとわかる改編だ。

 

「なぁ二代目様、オレは、オレはいったい何者なんだ?」

 

 木の葉の里を破壊した妖狐を宿した存在か、それとも四代目火影の息子か、それともただの中途半端な知識しかない子供なのか。

 ナルトという存在を演じることでしか今を感じれないオレにとって、何を演じて進めばいいのか、もはや分からなかった。

 

「くだらんな」

 

 だが、二代目火影はオレの問いをバッサリと切り捨てた。

 

「中途半端な未来の知識、なるほど、たしかにそれを軸に生きてきたのなら、それを取り上げられたことで、自分の足元がぐらついたことはそうなのだろう。なまじ、人の身でそのようなことになれば当然だろう」

「だったら」

「だが、貴様が今ここに居るのは演じて故か?」

 

 その一言の意味が、オレには分からなかった。

 

「自らの知る歴史と分岐して逃げるのなら、初めから儂の前に立ってはおらんだろう。別に儂はその決断を貶すつもりはない、知ったもの故の孤独は、あのうちはマダラを見ていれば多少は理解できる

 だが、貴様は逃げずに儂に対してどうしたらいいか聞いてきた。それはつまり、逃げ出すつもりがないことを証明しているに等しいことだ」

 

 そう言うと二代目は空を見上げる。

 

「……儂はな、最初二代目火影になることに抵抗があった」

「え?なんで?」

 

 オレの問いに二代目火影は懐かしむように答える。

 

「儂は兄者やマダラを長年、敵としても味方としても見てきた。たしかに儂には知識はあった、が、二人のように皆を引っ張るようなカリスマはまったく持ち合わせていなかった。マダラの危険性を感じたがゆえに二代目になったが、兄者の言うとおり、マダラが二代目になっていた方が良かったのではと思う日も多かった」

 

 二人に対しての劣等感ばかりだった、と恥ずかしげもなく答えた二代目にオレは唖然とした。

 

「二代目を襲名してからもそうだ、自らにあの二人のような前を照らす輝きの無さを呪った日々は数え知れず、なんなら二人とは真逆の非道卑劣の悪鬼羅刹と他里の忍や人間から恐れられるほどの作戦を行わなかったことのほうが両手で数えるほどしかない」

「……それ、自慢できることってば?」

「自慢ではなく事実だ。とはいえ、儂自身はその事に対してなんの呵責もなければ、そうすることが正しかったと真に声高に言うことができる」

 

 なぜかわかるか、とその問いに首を横に振るしかなかった。

 

「儂はそうすることが自らの信じる道だと思ったからだ。信念や忍道ともいうな」

「信念……」

「たしかに儂の政策やしたことは、後世からすれば悪政であったり差別であったり非人道的なものだったことは否定はせん。だが、そうしなければ民や仲間を守ることはできず、結果として今以上の被害を出していた可能性もあると思った……火影として、真に守るために自らが悪に立つことすら、儂は厭わん」

 

 二代目はそう言うと立ち上がる。

 

「この『根』もそうだ、つい最近まであのダンゾウの阿呆め、暗部を育てるためにと身内同士で殺し合いをさせるなどということをやらかしておって……感情の無い忍を作るくらいなら、最初から敵の忍を捕まえて『穢土転生』させる方が効率が良いうえに、才能のある人材を無駄に消費してなんとする」

「えっと……オレはそういうこと分からないというか……」

「だが、ダンゾウのやり方そのものは儂からすれば無駄の極地ではあるが、優れた『個』を持つ忍を産み出すためには決して間違ったやり方ではないことも、また事実だろう」

 

 それもまた、ダンゾウの信念の置き方の一つだ、と二代目はそう言う。

 

「ナルト、貴様が悩んでることそのものは儂からすればくだらぬことだ。だが、悩み抜き、答えを導き出せれば、それこそが貴様の土台となる信念となるであろう」

「信念……」

「信念のある忍は手強く、そして恐ろしい。かつてのマダラのようにな」

 

 そう言うと二代目は修行の続きだ、そういってオレを立ち上がらせるとあっという間に『飛雷身』で消えていき、オレは急いで『影分身』を作り続けるのだった。

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