いるなら書いてよ〜
もう俺が書くしかなくなっちゃたじゃん。
喉を焼くような、じっとりとしたヤーナムの血なまぐさい夜の空気が肺を満たしている。
手にあるのは、ただ一本の果物ナイフ、それは場違いなほどに小さくて、そして、あまりにも重く、引き絞った腕にズシリと響く。
「……ぁ……あ、ア……」
目の前にいる「それ」は、かつて自分を男手一つで育ててくれた父親だった。
だが、その身体はすでに黒い獣毛に覆われ、四肢は不自然に引き延ばされている。人の言葉を失った口から漏れるのは、ただ血に飢えた獣の呻き声だけだ。
だから...だからこそ殺した...醜い姿になってしまった父を見たくないのか、現実を見たくないのか、理由は自分でもわからないが...私は確かに目の前の獣を殺し、ナイフを持っている。
前世は、日本のどこにでもいる普通の男子高校生だった。それがなぜ、こんな血生臭い世界に、しかも女と性別を変えて転生してしまったのか。実の親を屠らなければならないのか。しかし私に戸惑う暇さえ、この街は与えてくれなかった。全ては、気づいたときにはもう遅くて、いつの間にかここまで来てしまった。
「お父さん……っ」
ボロボロと大粒の涙が頬を伝い、服を汚していく。
胸を締め付けるのは、前世の私の記憶からの良心にあわせ、この世界で確かに育まれた私の記憶だ。
「ぁ……、あ……」
涙が視界を歪め、ボタボタと血の海に落ちていく。
ドサリ、と巨体が床に倒れ、古い木製の床板が激しく軋む。
飛び散った返り血が、私の黒い髪と、胸元を赤く染めていく。
誰も助けには来ない。この世界の狂気は、家の中にまで侵食していた。
私の嗚咽を嘲笑うかのように、父親だった「それ」は、最後にびくりと大きく跳ね、やがてただの肉塊へと変わった。
血に濡れたミディアムストレートの黒髪が、私の青ざめた頬に張り付いている。
静寂が戻った家で、激しい呼吸と床に落ちる涙の音だけが響く。
返り血で黒く汚れた服。溢れる涙を拭うこともせず、ただ呆然と、血に塗れたナイフを見つめるしかなかった。
それからどれほどの時間、そうして泣き腫らしただろうか。
やがて、私の瞳から涙が枯れ、代わりに目元には影が差し、昏い決意の炎が灯る。
(……もう、誰も、こんな目に遭わせない)
私は血塗られた我が家を逃げ出すように飛び出し、外へと走り出した。どこへ行き着くのか、そんな事は考えていない
これが、私がこの世界で生きていくための「狩り」の、そして血と硝煙、そして狂気的な神秘に包まれたヤーナムでの絶望の始まりであった
平和な現代で暮らしてきた人間に戦う覚悟を決めさせるためには仕方なかった、決して苦難の中でもがき、戦い続けるのを見るのが性癖というわけではない()
ヤーナム編くらいは書きます。
その後は知らん。