トライガン二次創作です。
98年アニメ版のGUNG-HO-GUNSのケイン・ザ・ロングショットを原作のTRIGUN・TRIGUNMAXIMUMに登場させて、オリ設定で肉付けしたものです。
話はMAXIMUMまでいきませんが…

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 本当はホッパード、ミッドバレイ戦の介入まで描きたかったのですが、無理でした……


第1話

とんだ貧乏くじを引いてしまったものだと思った。

仕事柄、ロクな最期を送れないだろうと薄々思っていたら、とんでもない厄ネタに見舞われたのだ。

 

いつ通りの直ぐに済む仕事かと思ったが、そうではなかった。

きっかけは、大墜落(ビッグフォール)以前の技術を独占している組織の要人の暗殺だった。

 

相手が視認できない程の位置からの超々長距離からの狙撃(スナイプ)による暗殺。

自分は安全圏からの、一方的な暴力。

狙いを定め、引き金を引き、標的の脳天に鉛玉をプレゼントするだけの簡単な仕事。

実質、1分も掛からない仕事だったはず。

 

なのに、自分は引き金を引くことすら儘ならない状況に陥っていた。

極度の緊張よるものではないこと確かだった。

そんな精神性を持ってたら暗殺稼業で飯を食っていない。

 

首から先が動かず、身体が微動だなにしない状況だった。

自分の身体が自分のではなくなったのではないか、という感覚。

長年培ってきた直感も警鐘を鳴らしているが、身体が動かないため逃げ出すこともできない。

 

「……成程、超長距離から一方的な狙撃か。悪くない」

若い男の声が背後から聞こえた。

「リスクを冒さず、絶対的安全圏の暗殺。その腐った性根もいい、実に人間らしい」

嫌悪隠さない声色で語る。

 

「気に入った。ブルーサマーズ、解いてやれ」

 

さっきまで嘘のように身体が軽くなる。だが、恐ろしいほどのプレッシャーは消えておらず動けなかった

 

ゆっくりとスコープから目を離し、振り返る。

 

薄い白みのかかった金髪を逆立てた青い瞳の若い男。

暗殺対象だった男だった。

 

 

レンズの向こうにいたはずの男が、いま、目の前に立っている。

 

スコープの十字(レティクル)の中心で、脳天を捉えていたはずの男。

 

数秒の弾道ラグを計算しなければ届かないほど、遥か彼方いたはずの標的。

それが今、手を伸ばせば触れられる位置に立っている。

 

「……あ、」

声が出ない。

二つの太陽が放つ強烈な光のせいで、目の前の男が、レンズ越しの陽炎の残像なのか現実なのかすら判別できない。

 

プロとして培ってきた空間認識が、音を立てて崩壊していく。

脳が「あり得ない」と拒絶反応起こし、強烈なめまいが視界を歪ませた。

 

「俺はナイフを集めている。大量によく切れるタフな奴らをな……」

 

男は、こちらの返事など端から期待していない様子で、淡々と呟いた。

その言葉の意味を咀嚼する余裕すら、今の自分にはない。

 

「……ナイブズ様、GUNG-HO-GUNSの枠は埋まっておりますが」

 

不意に、別の冷ややかな声が鼓膜を叩いた。。

目の前の男――ナイブズの放つプレッシャーが強すぎて、完全に気配を見落としていた。いつからかそこにいたのか、蒼髪の男が控えるように座っていた。

 

「……ん、そうか?だが、使える駒はいくつあっても困らん。エレンディラの方にでもやるか」

「……はっ、そのように」

 

自分の生死も、意思も、すべてを無視して頭上で交わされる会話。

暗殺者として生きてきた自分が、いま、ただの「使い捨ての道具(ナイフ)」として品定めされている。

 

その圧倒的な理不尽さに、背筋が完全に凍りついた。

 

 

 

「――あなたが哀れな次の犠牲者?」

 

見た目は絶世の美女、骨格をみれば男の身体そのものだとわかる。

だが、そこら辺のショーパフォーマンス嬢より華々しいイメージが、ここでは異質に映る。

 

「ようこそ、地獄の一丁目へ。歓迎するわ、私はエレンディラ・クリムゾンネイル。あなたの直属の上司よ」

 

このオカマも、あの蒼髪の男と同類だ……。

此方を見る目はまだ、人間として見てる感じはするが……。

それでも底知れぬ怖さは勝るとも劣らない。

 

「あなたにはゴミ掃除お願いするわ」

 

「あなたを雇っていた者達と同じ、私達の前をブンブン飛び回る蟲を」

 

「あなたの得意のそれ(狙撃)でね……」

 

それから私はあの方――。

 

ナイブズ様の勅命で此方にちょっかいだしてくる組織の要人を殺して回った。

 

ときには標的の家族諸共、殺し尽くした。

どれだけ死体を増やしてもあの方はぴくりともしない。

 

その瞳には何も宿していなかった。

ただ、害虫の駆除だった。

必要だからしているだけで、それ以外には何も感情を映さない。

 

いつしか、私はケイン・ザ・ロングショットの名で呼ばれるようになった。

 

あの方の実働部隊12名の異常戦闘集団GUNG-HO-GUNSの予備役。

 

逃げ場などない。

上司のエレンディラやレガート・ブルーサマーズのように狂信すればいいのか、または雷泥・ザ・ブレードやレオノフ・ザ・パペットマスターように血に酔いしれた殺人鬼なれば良かったのかわからなかった。

 

 

 

 

GUNG-HO-GUNSが本格的に動き出すらしい。

 

戦争でもするのかと思ったが、違うらしい。

標的は一人、600億$$の賞金首、未曾有の大災害「ロストジュライ」を起こしたとされる男。

 

ヴァッシュ・ザ・スタンピード。

 

どこかあのお方と似た顔立ちしていた。

 

あの方の腹心レガート・ブルーサマーズの命令でヴァッシュ・ザ・スタンピードの抹殺指令が下ったらしい。

私は正式なメンバーではないし、別動隊のため、関わらなかった。

 

だが、上司のエレンディラはあの方の兵隊であるGUNG-HO-GUNSを私怨で動かした事に怒っていた。

 

それと新たなる事実が判明する。ナイブズ様はヴァッシュ・ザ・スタンピードが引き起こした「ロストジュライ」の現場にいたらしく、そのときの傷が原因でジェネオラ・ロックで療養しているという。

私もエレンディラの命令でナイブズ様の護衛として派遣された。

 

そして、GUNG-HO-GUNSのメンバーもヴァッシュ・ザ・スタンピードとの対決で数名、欠員でていた。

モネヴ・ザ・ゲイル、マイン・ザ・EGマイン、ドミニク・ザ・サイクロプスの3名。

自分など足元にも及ばない怪物たちが、だ。

 

そして、運命の夜……。

 

ナイブズ様の復活、ヴァッシュ・ザ・スタンピードが見せた力の片鱗、それによって引き起こされた五番目の月に穿たれた大穴。

「フィフスムーン事件」。

 

それから2年歳月、ヴァッシュ・ザ・スタンピードが行方をくらます。

 

冗談では無かった。化け物は二人いたのだ。

 

ミリオンズ・ナイブズ。ヴァッシュ・ザ・スタンピード。

 

人知超えた人なざる存在。

どうして、こうなったのだ。

 

私は今、歴史的転換期の渦にいる事を意識せずにはいられなかった。

 

逃げるにはもう遅い、私に残された道は約束された破滅の日が来るまで、ただ、待つ事しかできないことを思い知った。

 


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