弊ワット戦記 〜愛しの雷神と偽旅人の夫婦旅〜 作:マクロソラックス-03(旧っっt)
このペースだと稲妻編すら完結しなさそうなのでクライマックスパートをちょい見せします。
壊滅したたたら砂の軍港の中から、湧き出るように出て来た幕府軍の兵士たちは、はるか遠く、稲妻城本丸で連続する爆発光を目にして、
「......!?間に合わんかもしれんが、我々は稲妻城に向かう!」
「俺たちは将軍様と市民を守るために兵士になったんだ!」
「使えそうな艦艇をかき集めろ!」
そう言い合う将兵たちは一斉に廃墟と化した軍港に散開して行った。
稲妻城本丸・南方沖に展開していた抵抗軍の強襲揚陸部隊は、より現実的に、稲妻城内の戦闘に関与できそうであった。
「コース的には、比較的無防備な城の東側に出られるな?」
「ハッ!現地の友軍と合流できますね?上陸部隊を用意させますか?」
艦長に上申する参謀たちの頬は、紅潮していた。
「あっちではメカジキ二番隊の隊長が一人で戦っているんだ。増援は一人でも多い方がいい。行かせろ。」
甘金島南方で幕府軍の本土防衛艦隊と激突していた艦隊でも、
「アタシらの艦隊は、稲妻城の正面に出られる!行くだけ行け!届かない奴は拾ってやる!」
「北斗船長!そしたら貴方は!」
「アタシらはコイツらを片付けてから合流する!先に行ってな!」
「...了解した。ゴロー隊、先行する!」
「わかった、殿はアタシに任せろ!万葉、お前も行け!」
「かたじけない、船長。」
その船長の命令で、ゴロー麾下の上陸部隊が加速し始めた。
「漕ぎ手の体力が持たないなら、二隻が押してでも、一隻を上陸させるんだ!旅人を助けるぞ!」
ズガガガガガッガガガガ!ガシャン!
稲妻城内では暴力の嵐が渦巻く人外魔境と化していた。極限まで反応速度を加速させた二人の超人は互いに刃を切り結び、激しい鍔迫り合いは、その余波で城壁はもちろん、石垣まで切り裂いていた。だが、その暴力の応酬も決着を迎えようとしていた。
バァーン!
旅人と人形が同じ極の磁石のようにそれぞれの方向に吹き飛び、瓦礫の山に頭から突っ込む。だが、人形はすぐさま立ち上がって飛び上がり、旅人に薙刀を振り下ろす。相対する旅人も刀を上に突き立てて、互いに腹から股にかけて相手を切り裂く。
「チィっ!」
ブァァァァァッ! ガガガガガ!
旅人は局部を切り裂かれ、炭化する痛みに耐えながらも愛しい人と同じ顔をした人形に向かって肩のバルカン砲を放つも有効打を与える前に弾切れを起こす。これでグザヴィェが施した全てのフルアーマー装備が失われた。
「この一月で随分腕を上げたようですね。それとも、全身にくくりつけたオモチャのおかげでしょうか。」
「そりゃ、どーも。」
「貴方が永遠にとって最大の脅威であることがよく分かりました。」
腹部の内部機構を露出させた人形が一歩一歩近づいてくる。疲労という概念から解放されたはずの肉体、いや機体は心なしか肩で息をしているように見える。だからこそ、旅人は油断した。
「だからこそ、貴方を全力で葬り去りましょう。塵ひとつ残さずに。」
そう言ってはだけた胸元に手を伸ばした人形に、旅人は目を見開く。そして声を上げられぬ間に刀身が胸の谷間から吐き出され、柄が彼女の手に収まる。
「貴方を、この一刀の名において断罪しましょう。覚悟!」
「正気か!」
禍々しい雷元素の力で周囲を焼き焦がしながら、最大出力の無相の一太刀が旅人を逃さぬよう、横凪に振るわれる。背後には無辜の民が暮らす城下町。彼女は守るべき民の命よりも最大の脅威の排除を優先したのだ。だからこそ、旅人は退くわけにも行かなかった。
「たかが棒切れ、押し返してやる!降臨者の力は伊達じゃない!」
旅人は刀を構えると、背中のテール・ノズルから最大出力で風の元素力を吐き出し、加速する。その白熱した肉体は黄金の光を放ち、まるで光の化身のようであった。
・・・・・・・・・・
・・・城の東側の断崖から上陸してきた抵抗軍の兵士たちが次々と巨大な一太刀に取りつき、押し返すための力になろうとした。
「なんだ!?どこの部隊だッ!下がれ!俺だけでいいッ!」
「俺たちはカンパチ八番隊です!」
「そうはいきません!デカい刀をチットばかし押し返す仕事でしょうが!」
それは、遠路駆けつけてきた味方の増援だ。彼らは大楯やら刀やら、思い思いの武器を構えて太刀に取りついて、押し返すように脚を踏ん張った。
「隊長だけにいい思いはさせませんよ!」
さらに別の兵士が取り憑き、草元素の盾を生み出して太刀を押し返すように展開した。
「遅くなった!拙者たちも助太刀するでござる!」
「俺もだ!助けるぞ、旅人!」
「万葉!ゴローも!下がれ、下がるんだ!」
城下町の方からも万葉とゴロー率いる抵抗軍の兵士たちが群がり、太刀と城下町の間に入り込んで、無相の一太刀を押し返そうとする形になった。
上陸した抵抗軍が次々と城の方に方に駆けて行き、太刀に群がる様子を不安そうに見ていた役人たちと市民たちだが、一人の若い兵士が大楯を持って抵抗軍に合流すると次々に走り出し、無相の一太刀に取り付いて行った。
「幕府軍に、一般市民まで!やめろ、やめるんだ!無駄死にするだけだぞ!」
「俺たちの背後に、家族が住んでいるんだ!やってみる価値はありますぜ!」
「今こそ、天下の荒瀧派の力を将軍サマに示す時に決まってんだろ!やるぞ、お前ら!」
「親分!親分の神の目をとってきました!」
集まった兵士や一般市民は30・・・50・・・それ以上である。それが無相の一太刀の前に入り込み、取りついて押し返そうとした。すでに、その一部は強烈な雷元素に身を侵され、肌を爛れさせていた。
ジリジリと、無慈悲な武神が振るう一太刀に少しずつ押し返されていく。皆が雷に焼かれて死ぬのも時間の問題だ。
それでも人々は強い信念を胸に立ち向かっていた。
「寄るなッ!寄るんじゃぁないッ!ここは俺だけで面倒を見る!」
しかし、そう言う旅人の顔面は焦げつき、義手と化した左腕のエネルギーチャージャーがオーバーロードを起こし、左腕を痛ましくズタズタにしていた。
「しかし!」
「神の目を持ってないヤツもいるんだぞ!下がれ!」
「まだだ、まだ......!」
バチン!
暴れ狂う雷元素の本流に耐えられなかった兵士の血肉が焼けこげ、弾け飛んだ。
と、チーン!と、その兵士の意識が光となって飛んだ。
呆然と天領奉行の瓦礫に隠れていたパイモンと神里綾華は、その兵士が遺した一筋の光に気づいてギョッとして、目を瞬かせた。
「ああ...?あれが、無相の一太刀?」
死んだ兵士たちの光が瓦礫と共に流れてくるのだ。その本流の向こうに、旅人と雷電将軍、二つの影が眩く光り輝いているのであった。
「ダメだ、離れろ!」
「もう少しです!そうすりゃ!完全に押し返せ......うわっ!」
バチン!
またまた鋭い雷が兵士の肉を焼き飛ばし、チーン!と、その兵士の意思が飛んだ。
璃月のとある病院......
臨月を迎えた女性を囲んでヘビを首に巻いた細身の薬師と大きな鈴の髪飾りの少女が微笑んでいる。その様子を、淡い髪色のキョンシーの少女が傍から見つめていた。
「うわっ!隊長ぉ......!」
バチン!
「ああっ...!鹿島ぁ!」
無相の一太刀を阻止せんと、取りついた兵士たちは次々と暴雷に身を焼かれて数を減らしていき、遂には神の目を持ったものですら脱落し始めた。
「まだだ...!」
バチン!
「うわっ......!」
バチン!
一人、また一人と死ぬたびに、炭化した遺体とともに崩れ落ちた神の目が光を失っていく。
「もうやめろ!やめるんだ!お前らまで無理に付き合う必要はないんだ!みんな死んでしまう!」
「グゥぅぅぅぅぅぅ!」
「万葉!」
ずっと旅人の隣で無相の一太刀に抗い続けていた万葉が呻き声を上げる。彼の腕と腿は雷に焼かれ、皮膚を失っていた。
「万葉!もういいんだ!余分な命はいらない!俺たち二人の問題なんだ!」
「旅人殿ぉ......先程からお主が放つ光と、散っていったものたちが放つ光について考えていたでござる...」
「もう喋るな!早く!」
「あれはお主や散っていった者ども、人々の願い。お主は誰よりも強い願いの力を持っている。そして...」
「もういい!」
「お主は、他人の願いと共鳴することができる。」
「......!」
「だからこそ、お主は我が友の神の目を呼び覚ますのに相応しいでござる。だから!」
ズル! バキ!
「万葉!」
足の踏ん張りが効かなくなった万葉が遥か後ろへと吹き飛ばされていく。その時、最後の力を振り絞ったかのように光を取り戻した主なき神の目が一本の矢のように発射され、旅人の炭化した皮膚に張り付いた。
「もういいんだ!やめろ!俺は...俺はッ!」
散っていった者たちの神の目が黄金に輝き出し、その光は旅人の体に絡みついていく。焼け爛れた彼の体は白熱する源となって、そのオーバーロードした光から発する黄金の波が、全てを焼き尽くす紫電の間を滑るように、無相の一太刀に取りつく兵士たちにぶつかっていった。
と、その光の波にぶつかった兵士たちが、バァン!バァン!と弾かれて遠くへと投げ飛ばされていく。
「あうっ......!?」
兵士は、体の制御が効かない中、宙を舞って黄金の光を見送る他なかった。
モンドの外れの森......
柔らかな毛並みの小さな狼数匹が、風のように走りながらルピカたちと共に雄叫びを口にしていた。
「キャオオオオオオオンッ!」
それは、今の場合、喜びの声に近かった。
「旅人ーっ!」
「これ以上犠牲になる必要はないんだ!」
己と、己に引き継がれた数多の願い、それが共鳴しあって更なる力を旅人の身体に湧き上がらせた。そしてついに...
ガキンっ!!
「なっ!」
ここ数千年間誰一人として跳ね返すことのなかった必殺の太刀を弾くことが叶う。
が、それでも旅人は次の一手を緩めない。原型を唯一留めている右手を伸ばすと、人形の胸の奥、あのお方が宿る空間の侵食を黄金の力を持って試みた。
だが、相手は絶対なる永遠の代行者。永遠への最大の脅威に値する行動を阻止すべく、反射的に薙刀で旅人の心臓を突き刺し、侵食を阻む。
「自分一人では...何もできないでッ...!」
旅人は、絶望し、怒っていた。
「今こそ、己の全てを燃やし尽くす!だからッ......!」
スネージナヤの小さな漁村......
暖房が効いた暖かい家で窓を背にしていた子供が、独眼坊を置いて振り向くと、サーッ!と眩い光が見えた。
「あれぇ......?」
凍てつく空にオーロラとはまるで違う、いく筋もの光が走って、それら無数の光が南の方向に走っていくのが見えた。その光のために、日が沈んだ空はいつもより明るく見えた。
「お兄ちゃん、あれ、なんだろう......?」
ナタの戦場......
絶望的なアビスの攻勢に窮地に陥っていた勇敢な戦士たちは空を明るく照らす、幾筋もの光を目にした。それは、戦場を駆け巡り、不浄の魔物を焼き尽くし、軽傷を負った者たちは傷を癒すために、致命傷を負った者たちは夜神の国に還るために眠りにつかせた。そのため、その場にいた誰一人として、その光が己の胸元から湧き出ているものとは気が付かなかった。
フォンテーヌの山奥......
二人の少女は横転して崩れた車両から這い出た。彼女たちを誘拐した怪しいものたちは見慣れぬ浮遊する光に驚き、マシナリーの操作を誤って崖に転落したのであった。二人は胸から湧き出る光の筋を辿って歩き続け、街で警官に保護された。
そうして、とある狂人の実験の被害者は史実より減ることとなった。
旅人を中心とした黄金の光に、テイワット各地から湧き出た光が、吸い込まれていく。その数は、知れない。テイワットの各地から発した光が、線から帯、帯から幕になり、時に低く、時には高く稲妻城を取り巻くようにして旅人に集中するように見えた。
この光を呼び寄せたのは己の力か、他人の意思か、今となっては知れない。だが、少なくとも光は旅人に力を与え、彼は一歩ずつ串刺しになりながら人形の胸元に躙り寄る。
「あともう一押しだッ!悪い、八重神子!」
ジュッ!、と八重神子からもらったお守りが燃え尽き、光となった瞬間、数多の光の手が旅人の背を押した。その手が人形の胸の谷間を大きくこじ開け、世界が割れるような感じが旅人を襲い、体が落下を始めた。
落ちゆく先は1ヶ月前にあの方に大敗を喫した荒涼とした空間ではない。色とりどりの光が煌めく眩しい世界。すなわち、侵食に成功したのだ。
それと同時に、これは500年モノの引きニートを引き摺り出したことを意味していた。
・・・・・・
『マァマ!』
・・・・・・
『ママ!』
・・・・・・
「......なんて、こんなに嬉しいことはないよ...わかってくれるよね...?⬛︎にはいつでも会いに行けるから...」
⬛︎の無事を認めたXXという男の命はOOOァによって無慈悲に刈り取られた。
しかし、XXは、ふしあわせだとは、感じていない。なぜなら、それが......
彼の望む全てだったから。
あとがき
八重神子「な、影!なぜディ◯ドを持っておる!どこで拾った!?」
雷電 影「◯ィルド?いいえ、これは私が発明した無限甘酒生成装置ですよ?」
八 「無限甘酒生成装置?嘘つけ!それではいったい、この形状はどう説明するつもりじゃ!?」
影 「???何か問題があったでしょうか。一応XXさんの残骸から抽出した記憶を元にXXさんの修理パーツとして開 発したのですが......」
八 「戯け!何をどう考えたらそのパーツが甘酒製造装置になるのじゃ!だって、そのパーツは、そのパーツは......(赤面)」
影 「???彼の記憶によりますと、その器官からは暖かくて白いとろみのある液体が出るというので、甘酒製造装置で間違いありませんよね♪(曇りなき眼)」
八 「(絶句)」
影 「あと、ただ甘酒が出るだけでは面白くないので"あっぷでぇと”しました!こうやって、手や口で刺激を加えると......」
八 「待て待て待て!待つのじゃ!これ以上は!」
影 「ジャジャン!ものすごく硬くなります♪」
八 「ホゲェ......」
影 「厳格に性能評価をしたのでこれなら彼の記憶通りに“ぼうだんガラス”貫通しますし、“あだむ...すまっしゃー?”も倒せます♪」
八 「T_T」
影 「神子?もしかして甘酒製造機の恐るべき機能に泣くほど感動したのですね!?では使ってみてください!」
八 「え、いや、妾はこの後用事が......」
影 「ほら、遠慮なんていりません。こうやってお口に咥えて......」
八 「ギニャァァァァ!」