世界は不平等だが不公平ではない
そう俺が思ったのは俺にスキルが無くそれでも今日まで生きてこれたからだ
この世界では本来誰もが持ち得るスキルと呼ばれる能力
それを俺は生まれつき待たなかった
それで産みの親には捨てられたが孤児院のばあちゃんに拾われたし裕福ではなかったけど家族がいて幸せだった
偶然出会った自称旅人のおっさんに闘い方を教わったし(他に教わった兄弟達は初日に逃げたが俺は逃げられなかった
そのおかげで冒険者になれてギルドからの紹介で仲間達と出会い
スキルを持たない俺が時には町を襲う恐ろしい魔物を倒し町を救い時には誰も踏破したことのないダンジョンを制覇した冒険者としてこれ程良い事はないそう思っていた
「ゼインをパーティーから追放した」
そう仲間から告げられるまでは
「追放って……え?」
ゼインとは【鑑定】のスキルを持つ俺達の仲間の1人でパーティー内ではそのスキルで食事と武具の調達をやってくれいた男で他の仲間達とは幼馴染であると聞いていた
後方火力でパーティー1のアタッカーのリリ
傷を癒し仲間を助けるクオン
敵を切り裂き道を開けるイミル
そしてそんな頼りになる仲間達の前に立ち守る盾役の俺
パーティーとして完成しているそう思っていた俺にとってこのゼイン追放は冗談に聞こえた
「言っておくけど冗談じゃないわよ」
「え?い、いやいや、俺聞いてないぞ!?」
「事後報告になってしまいましたけど前々から考えていた話なんですよ」
それも初耳何ですが??
「何で?お前ら幼馴染で仲良くやってただろ?ゼインだって裏方仕事めっちゃやってれてたし!俺が野営の準備手伝おうとしても1人でやってたじゃん!」
「アイツのチンケなプライドを守る為にやってたのよ」
「それにゼインはヴッシュの事、嫌いだった」
え!?腐りかけの肉は美味しって教えてくれたし夜の見張りとか頼ってくれてのに!?
「それ、ただの嫌がらせよ」
ちょっと食べた後、腹痛いとは思っていたけど!寝ずの番はシンドいとは思ったけど!
「最新のオシャレだって服をくれたのに!?」
「嫌がらせです、2度とあの服で出歩いたら駄目ですよ?」
そんな目立ってたからそういうものだと思ったのに!?
小さい子に変な格好って言われてショックだったけど!その子の親に見ちゃいけませんって言われて泣きそうになったけど!
「特訓にも付き合ってくれてヴッシュはスゴイねゴリラの生まれ変わりなのって褒めてくれたのに!?」
「皮肉、ゼイン裏で吐いてた」
そんな!俺が始めて受けた特訓をめちゃくちゃマイルドにしたやつだったのに!?
近所のクソガキ共が余裕でこなして簡単過ぎって煽ってくるレベルだったのに!!
「俺の金を2倍にして返すって言ってくれたのに!!」
「それは知らない」
絶対儲かるって言ったのに!!
「ゼインのやつヴッシュからお金取ってたなんて……追放じゃなくて憲兵に突き出せばよかったわ」
「もし何処かで出会ったらギッタンギッタン」
「吊るしましょう」
幼馴染だからなのか容赦ないな君ら
「とにかくゼインは追放したから!ゼインのやつを見かけたら捕まえて憲兵に突き出してもいいけど許したりしたら駄目よ!いい!?」
「いや、騙されていたんだし許す訳ないだろ」
そんなにお人好しではないぞ俺は
「スリのオジサンに騙されて許しかけた事ありますね?」
そんな昔の話は忘れたね
「目反らした」
「そ、反らしてないし!空を見てるだけだし!」
「はー……とりあえずそういう事だから今日からウチは4人でやっていくわ……いいわね?」
「お、おう」
「よろしい、じゃあまた明日ね」
「バイバイ」
「今日はしっかり休んで下さいね?」
そう言って彼女達は俺の部屋から出ていった……あれ?追放の理由は?
その後、追放されたゼインは【鑑定】のスキルが覚醒して新しい仲間にも出会いリリ達の前に現れたのだが宣言通りリリ達にギッタンギッタンにされ吊るされた後に憲兵に突き出されてたそうだ
何も知らないヴッシュ(20歳)だった
ちなみに追放理由は未だに教えて貰って無い
他の冒険者達に聞いても「強く生きろ」「女の大丈夫な日は信じるな」「腰はしっかりケアしろ」としか言ってくれなかった
何も分からないヴッシュ(20歳)だった
とりあえず今日は新しいダンジョン攻略を祝して仲間達が珍しい食事を用意してくれるらしいので楽しみだ
ラッコ鍋ってどんなのだろ?ワクワクするな