・同じZZZという略称
・発展した科学技術とオカルトの混合した世界観
いい感じに設定がかぶってんじゃねえか。いけるぜこいつぁはよぉって感じのノリで書きました。
ゼッツはともかくゼンゼロは詳しくないのでいろいろ変なところがありますが独自設定ってことで見逃してください。
「あの! うちの息子を助けていただきありがとうございます!」
「ホロウに苦しむ弱き人々を助ける。
深々と頭を下げて感謝を示す女性に対して、キザッたらしく答える白いシャツに黒いズボンを身に纏った男。
腰からは少し変わった形状の剣を下げた彼は頭を下げる母親からそのそばで目を輝かせている男の子に視線を向ける。自分に意識が向いたことを理解した少年は堰を切ったように口を開く。
「兄ちゃんすごかった! エーテリアスをボコボコにして! 俺も兄ちゃんみたいになりたい!!!」
「ありがとう。そう思っている限り叶うさ。そうやって強くなれたらお母さんを守ってやるんだ。約束だぞ?」
「うんわかった!!! 約束!」
少年の称賛を報酬として受け取った男は、そのまま帰っていく二人を見送った。お互いの姿が見えなくなるまで離れると青年はサングラスを外し、うなだれた。
「――はぁ。まあたやっちまった。報酬は受け取れって言われてるんだけどなぁ。でもあの人なんか苦しそうだったし……。またなんかバイトするしかないかぁ」
うなだれしゃがみ込んだ青年には、先ほどまで凛とした姿はなく、小さな背中が悲壮感が漂わせるどこにでもいそうな青年へと姿を変えていたのだった。
やあどうも。俺の
転生前は、極秘防衛期間に所属していたというわけでなく、この世の悪を撲滅してたでもなく、普通の仮面ライダー好きの大学生として生きていたのだが、仮面ライダーゼッツを見ていたところでポックリ行ってしまったらしい。
で、いろいろあって特典ありで転生できることになったのだが、そこで俺は仮面ライダーゼッツの力を選び、新しい人生を送ることになった。
のだが、転生直後に異変に気が付いてしまったのだ。これゼンレスゾーンゼロの世界じゃね?と。
俺の記憶が正しければ、この世界半分滅んでるような世界観だったはずなんだけど? なんでそんな世界に俺を産み落としたの? もっと気後れしないような世界で俺TUEEEEEしてたかったんだけど? 一歩間違えた世界滅ぶような世界じゃ転生した意味ないと思うんだけど!?
などと転生直後は恨み言を虚ろに向かって吐いたものだが、言っても仕方ないと切り替え、何とか何でも屋という食い扶持を確保し、このがけっぷちの世界で生き抜いている。
というわけでホロウに落ちてしまった子供を助けるというお願いを聞き届けた日虚。そんな彼のスマホがけたたまししく鳴り響く。
「店長? またなんかの依頼の手伝いかな……」
画面に表示されたビデオ屋の店長の名前にいつものことかと何の気なしに通話に出る。
「万事屋!? あんたもちょっと手を貸してくれない!!!」
が、端末の向こうから響いたらしくない大声に鼓膜を震わされ、顔を顰めた。
「その声はニコか……。何で店長の携帯からお前の声がすんの」
声の主はニコ・デマラ。名前が同じというだけで気安く絡んできては余計なトラブルを増やす、悪人寄りの人間だ。この女のせいなのか、名乗っただけで顔を顰められたのは両手の指では足りない。
「そんなことはどうでもいいのよ! とにかく力を貸して! このままだとうちの社員が死んじゃうの!」
「――要領を得ないから店長に代わってくれ。頼むから」
直後、端末を取り合うようなやり取りが小さく聞こえると、ようやく連絡先の人間と合致した声が聞こえるようになる。
「やあリン店長。で、どういう状況?」
「ハロー日虚。実はアンビーとビリー、それと依頼人から持ってくるように言われた物がホロウに落ちちゃったみたいなの。それで私たちで助けに行こうと思ってるんだけど、ニコが怪我をしててとてもホロウに入って戦えるような状態じゃなくて……。だからエージェントとして力を貸してほしくて」
「だから私の代わりにホロウに入ってアンビーたちを助けてほしいの! 一生のお願いよ!
端末の向こうのリンとニコの悲壮な声に日虚の心は即座に決まった。
「わかった。すぐに店の方に向かう。そこからホロウへの案内は任せるよ。パエトーン」
「任せて! プロキシとしての腕の見せ所だから!」
「すぐに来てちょうだい! あんまり時間は残されてないんだから!」
通話を切ったニコはいつの間にか傍らに控えていたコードゼロイダーにまたがると、エンジンに火を入れ、馴染みのビデオ屋『Random Play』へ向かうのだった。
というわけで、ニコの部下であるアンビー・デマラとビリー・キッドを伝説のプロキシ・パエトーンと助けに行くわけだが。
正直な話をすると、俺がホロウに入るときには道案内は必要ない。元々ゼッツとしての力なのかホロウ内でも迷子になることなく活動できるし、いざとなればオルデルムの力で混沌としたホロウを秩序的に組み替えてしまえばいい。
なぜだがこの世界では夢の世界がホロウに置き換わっており、夢の中でしか使うことのできないオルデルムの力を使うことが出来る。
では、なぜわざわざ道案内を連れた状態でホロウに入るのかといえば、ゼッツの力、特にカタストロム・オルデルム・エクスドリームの力を隠すためである。
ホロウは良くも悪くも人類のそばにある。これを安易にいじくられては困ってしまう者たちがこの世界には少なからずいる。そういった面々に目を付けられないようにひっそりと活動しているのだ。
最もパエトーンも実力のあるベテランのプロキシだ。餅は餅屋というし、任せられるところは任せてしまった方がいい。こっちの手間も省けるし。
などと考えているうちにもう、ビデオ屋が見えてきた。颯爽と乗り付けて二人を救いに行きますか!
――ここはホロウ。空間が捻じ曲がり、入れば容易に出ることのできない天然の迷路であり、エーテリアスというホロウに浸食された怪物を生み出す人類の敵といえる最悪の空間。
そんな空間の中で奮闘する二つの影があった。ニコの運営する邪兎屋の社員であり、優れたホロウ探索エージェントである。
しかし、彼らがいかに優れていてもホロウはそれを嘲笑う。逃げるため走り続ける彼らに対し、非情に現実を突きつける。
「は? 戻ってきたぞ!?」
脱出のために駆け回ったのにスタート地点に戻ってきてしまったことに機械人のビリーが頭を抱え、もう一人のアンビーも辺りを見回す。
追い打ちをかけるように二人が下りてきた歩道橋から二体のエーテリアスが姿を現す。
エーテリアスが向かって来るのを見て、アンビーが剣を抜き、ビリーが
「クソ! キリがねえ! これじゃ弾代だけで大赤字だぜ……!」
ビリーが弾倉を確認しながらぼやくが、エーテリアスは知ったことではないと吼え、二人に突撃する。
「来る。構えて」
まさに二人とエーテリアスが激突する。そんな時であった。
「BARRIER!」
その場にふさわしくない機械音が鳴り響いた直後、二人の間を緑色のエネルギー弾がすり抜けていく。それが虚空で弾けたかと思うと両者を隔てる壁となり、エーテリアスを阻んだ。
「うお!? なんだありゃ!」
「ほらこっち! 早く来て!」
驚きを隠せない二人が響いた声の方を向くと、そこにはスーツを着て、不思議な形の銃を持った日虚とバンダナを巻いたボンプがいた。
自分たちの方に向いている銃口と先ほど通り抜けていったエネルギー弾、そして自分たちを守るように現れた壁から考えて、敵ではないと判断した二人は即座にボンプたちの方へ走り出す。と同時にエーテリアスを阻んでいたバリアが破壊され再び突撃を始める。
それを見て日虚は新たに手にしたカプセムをガンモードのブレイカムゼッツァーに装填する。
「WONDER!」
再び鳴り響いた機械音とほぼ同時に放たれた紫色の二発の弾丸。突撃してくるエーテリアスに一発ずつ放たれたそれは着弾した直後には効果を見せなかった。
しかし、数秒後に効果を見せエーテリアスはみるみるうちに小さくなっていき、最終的に目視できなくなるほどまで縮んでしまった。
追い打ちといわんばかりに日虚はエーテリアスがいるであろう場所に弾丸を打ち込み戦闘を終えた。
日虚がパエトーンと二人が隠れた列車の影に向かうと、二人はボンプから目を離し日虚に視線を向ける。そして交互に視線を振り、理解を整理するように口を開いた。
「スカーフの、しゃべるボンプ」
「そんで、夢みたいな突拍子もない戦い方! おおお! もしかして――」
ビリーがわくわくしたようにそして嬉しそうに指をさしながら交互に口に出す。
「『パエトーン』! そして『ゼッツ』!!!」
というわけで二人をホロウ内で見つけることが出来た。幸い二人ともケガはないようだ。せいぜいビリーが弾の撃ちすぎで財布がさみしいことになる程度だろう。ホントよかったよかった。
とはいえ、ホロウ内に長居してはその努力も無駄になる。浸食されれば確実な死、最悪エーテリアスになって人類の敵として牙を剥くことになる。敵となった彼らを倒さなくていいようにするためにもとっとと脱出することにした。
そこからはシンプル。ホロウ内の脱出ルートを見つけ出しパエトーンの誘導でホロウの外に出るだけだった。優秀なエージェントが三人がいれば低級のエーテリアスなど相手にならず、俺たちはホロウを後にすることが出来た。
二人をホロウから救出することが出来た。これで依頼は完了。ニコから遠慮なく報酬をいただこうと思ったのだが、ここでニコがごね始めた。
「ダメよ! 今回の私の依頼は『人とモノ、どちらもホロウから出すこと』。まだ半分しか終わってないわ!」
確かに彼女の言うことには一理ある。ニコは依頼されて金庫か何かを回収するように言われたらしい。それもホロウから出さなければいけないというならばまだ依頼は半分だろう。
「じゃあ、俺が行ってくる。店長、ホロウ内の案内よろしく」
「え!? あんた一人で一人でホロウに潜るつもり!?」
「アンビーとビリーをこれ以上ホロウに入れるわけにはいかないだろ? ニコは怪我してるから戦闘できないし。だったら俺一人で行った方がいい。最悪一人でもなんとかなるし。回収は早い方がいいだろ?」
依頼量を踏み倒されないように人質代わりに誰か一人連れて行った方がいいのかもしれないが、いくらニコでもここから報酬を踏み倒すとは思いたくない。――いや、こいつならやりかねないか?
ともかく終わらせるなら早い方がいい。あまり時間をかけると目的の物が誰かに持っていかれる可能性が高くなってしまう。善は急げだ。さっさと終わらせよう。
そんな俺の意志に反応したように無人のコードゼロイダ―がそばにやってきてピタリと停止する。
「しっかし、親分じゃない方のニコのバイクは便利なもんだなぁ。俺もこんな便利なバイクが欲しいぜ」
「ふっふっふ。まだまだこんなもんじゃないぜ。隠してる秘密の機能もあるからな」
「マジかよ!? 今度俺にも見せてくれよ!!!」
「ビリー、後にして。それじゃあ店長。あとはよろしく」
「それじゃあ行ってくる。だからニコ、ちゃんと報酬を用意しておけよ」
俺はコードゼロイダーにまたがると颯爽と元のホロウに駆けていくのだった。
早速ホロウに潜入した日虚はパエトーンの案内に従い、ニコが求める金庫の確保に動く。さすがは伝説と名高いパエトーン。無駄な戦闘を行わないスムーズな案内で着々とホロウ内を進んでいく。
だが、それも長くは続かなかった。なぜか彼らとの通信が途絶えてしまい、案内がなくなってしまったのだ。
ホロウ内でプロキシの案内がなくなるのは、砂漠のど真ん中で遭難するようなもの。下手に動いては事態の悪化を招きかねない。これによって日虚はホロウ内で足止めを食ってしまうことになった。
本来であれば即脱出を試みるべき場面。しかし、日虚は彼らがきっと戻ってくることを信じてホロウ内で待つことにした。
そしてその願いが叶い、パエトーンはホロウ案内人としての帰還を果たす。だが、状況は大きく変わってしまった。
「え? パエトーンのアカウントなくなっちゃったの?」
「あぁ……。謎のハッカーにH.D.Dを丸ごと乗っ取られてしまってね。君の案内のためにもアカウントを捨てざるを得なかったんだ」
案内を再開した
「そりゃなんというか……。申し訳ないな……。また一から育て直しってことか」
「あんまり気にしないで。プロキシとして依頼を請け負った以上、日虚の命が最優先だから。でも私たちだけじゃ新しいアカウントを育てるには時間がかかるから、日虚にはまた依頼に協力してほしいなーって」
「それはもちろんだよ。こっちにも責任の一端はあるわけだし」
今後のことを話しながらホロウを探索する日虚。パエトーンの協力もあり、彼はついに目的の金庫を発見した。
「こいつがニコが落とした金庫か。あとはこれを回収して帰るだけ、ッ!?」
刹那、日虚の首筋に奔る殺意。振り返ると同時に剣モードのブレイカムゼッツァーを振るい、迫っている攻撃を防御する。弾き飛ばされながらも体勢を整えると攻撃の主を確認する。
「エーテリアス。おまけに雰囲気が違うな」
「上級エーテリアス、デュラハン。でもこれは……、普通のデュラハンじゃない!?」
日虚の前に立ち塞がったエーテリアス・デュラハンは両腕に盾と剣のようなエーテル結晶を持っている。が、本来であれば剣のような形をした右腕がまるで
歴戦の猛者である、アンビーやビリーの経験の中にも存在しない。異形の個体であった。
「上級エーテリアスの異常個体……。浸食されてなお執念深いやつだったんだな」
「異常個体のエーテリアスとなれば戦えば何が起こるかわからない。一度退いて体勢を立て直そう!」
「だが、金庫を回収しないで退くわけにはいかないだろ。おまけにこいつ、俺を逃がしてくれる気はなさそうだ」
デュラハンは日虚に右腕の切っ先を向けており、少しでも背を向ければ容赦なく背中をついてくるつもりだろう。おまけにデュラハンの後ろの金庫を回収しなければホロウに潜入した意味がないというもの。
「でもじゃあどうするの!? あんた一人じゃそいつと戦うのは」
「――まあ、やろうと思えば行けるとは思うけど、できる限りスピーディに行きたいよな」
敵を前にして日虚は決意を固める。
「……仕方ない、やるか。疲れるからあんまりやりたくなんだけどなぁ」
そう呟いた日虚の手にはいつの間にか黒と緑で彩られたバックルが握られていた。それを胸に当てると自動的に銀色のベルトが袈裟懸けに巻かれ、身体に固定される。
バックルの中心部に開いた空洞に赤色のカプセムが装填されると心臓の鼓動のような音声が鳴り響き始めた
「IMPACT! メツァメロ! メツァメロ!」
バックルのレバーを押すと、奇怪な機械音が鳴り始め、周囲に緊張感が漂う。隙だらけに見える過程であるにもかかわらず、デュラハンは動くことが出来ず、日虚の動きを窺うしかできなかった。
「
そして最後に鳴り響いたフィンガースナップの音とともに呟かれた一言。
「変身!」
その言葉とともに左手の親指がバックルの表面を滑り、装填された赤色のカプセムを転がした。
刹那、日虚の周囲を黒い靄が包み込むと同時に彼の身体が黒いスーツのようなものが覆っていく。続いて表面に緑の模様と赤いラインが浮かび上がり、最後に複眼となる部分に赤い光が充填されるように輝いた。
「グッドモーニング! ライダー! ゼ・ゼ・ゼッツ!」
日虚の身体に起こった変化が終了した瞬間。彼の身体が掻き消え、直後、拳を振りかぶった体勢でデュラハンの前に現れる。
瞬間、エーテリアスの生存本能とでもいうべきものがデュラハンの身体を動かし、日虚の前に盾を突き出し防御態勢を取った。
が、日虚がその拳を振り抜くと、突き出された盾ごとデュラハンを尋常ならざるパワーで後方に大きく吹き飛ばし、壁に激突させた。
「IMPACT!」
この瞬間、人々の平和を守る戦士、仮面ライダーゼッツがホロウに降り立った。
よし、あとは頼んだ。