個性【個性因子】について   作:朱莉131

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 リハビリ2。続くかは未定です。
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個性解析

お母さんとキスをしたら、15年間使えなかった個性を使うことができた。

 本当に何だ、その発現条件は…

 個性を使う感覚というものを始めて感じた。お母さんの【腕伸縮】という個性。

 腕を伸ばすことや腕を短くすることができる個性。

 その個性を僕が使っている。

 僕の目線の先には普段ではありえないようなくねくねと腕が動いている。奇妙に動いている腕は、少しずつ伸びており、自分の腕の長さが二倍ほど伸びると、動きが止まった。

 自分の腕なのに、自分の腕ではない、そう思えるほどの違和感を感じていた。

 手を動かしてみると、僕の視界でも、手が、握ったり、開いたりしていた。

 正真正銘僕の腕が動いていることを実感させられる。

 

 個性が覚醒した原因は何だ?

 明確なのは、キスをしたこと。今思っても、お母さんと中学3年生にもなって唇を触れ合うなどしたくなかった。1つ下の弟と妹もこのような気持ちだったのだろう。すまない弟よ。これからも、犠牲になってくれ。お兄ちゃんは二度とごめんだ。

 

 他の可能性はないのだろうか。不意を突かれたこと以外はおかしなことはしていなかったし、個性が動かせたのは今さっき。なら、キスが原因なのだろうか。

 

 あと一人、誰かにキスをすれば分かるのだろうか。

 

 そもそも、お母さんの個性が使えているということは、【個性因子】という個性は、個性をコピーする個性なのだろうか。唇が触れることで発動するコピー能力。それが本当なら、僕はヒーローをやめなければならないかもしれない。公然の場でキスする個性なんて最悪じゃないか。

 

 いや、そもそもこれはコピーなのだろうか。今使っている腕を伸ばすのは、本当に【腕伸縮】という母親の個性なのかも怪しいところだ。お母さんの個性は伸縮である。自由に伸ばしたり、縮めたりすることができるが、伸ばしてから、僕の腕をもとに戻すことができないでいる。まだ、うまく使えていないだけなのか、個性のコピーが不完全なのか。

 それに、コピーというなら、時間制限や回数制限、個数制限などがあるのではないだろうか。それは、どのくらいの時間を使えるのか、回数は、個性を保持できる数は?この個性がコピーならどのくらいのことができる?疑問が尽きないし、思考がまとまらない。

 今の現状とこれからどうするべきかを、考えているとお母さんが肩に手を置いて、話しかけてきた。

 

 「とりあえず~落ち着くために、お茶でも飲まない~?お母さんは紅茶がいい~」

 

 息子が過去最大級に動転をしているにも関わらず、その原因がこの人にも関わらず、いつも通りのマイペースなお母さんには、僕は一生涯、勝てることはないのだろうと思わされた。

 

 

 リビングの椅子に座り、少し落ち着くことができた。以前変わりなく、腕一本分長い、僕の腕は戻る気配もなければ、戻す方法も見つかっていない。伸ばす感覚を頼りに戻そうとしているが、一ミリも戻っていなさそうなのが現状である。

 

 「お母さんも感覚でしているから、理論はの優星には悪いけど、直し方分からないな~。とりあえず、無理に戻そうとするのではなく、元の長さや感覚で動かそうと思えば自然と体が戻してくれるのよ~」

 

 「お母さん。のんきすぎるよ!これでも、息子の大ピンチだよ!一生腕がヘロヘロな状態のままかも知れないんだよ!」

 

 「お茶もおかしも触れるし動かせるなら、ヘロヘロでもお母さんは気にしないのよ~」

 

 「僕の体だ!僕が気にするよ!」

 

 お母さんとふざけあっても埒があかない。今は、お母さんのいった通り、自然体の感覚で、戻そうと考えずに当たり前のように動かすようにしてみよう。

 いろんなところにぶつかりながらだが、少しずつ腕自体は動かせるようになってきた。いつもよりも、倍長いためか、どうしても机やいすにぶつかってしまう。お茶が入ったカップやお菓子を取ることさえも困難だ。

 

 「それよりも~、個性はどうやって覚醒したのかな~。」

 

 「どうって、キスのせいじゃないの?その後、勝手に伸びてきたし。」

 

 「それは、私の個性でしょ~。あなたの個性が動いた理由をお母さんは考えているのよ~」

 

 「それって、どういう?」

 

 お母さんの疑問は何だ。腕が伸びたことが個性じゃなくて、個性が動いたって。コピーが起きたことか?

 そんな、疑問を考えていると、玄関から扉が開く音が聞こえてきた。足跡は二つ。仲が良い双子の弟妹が帰ってきたようだった。

 

 「「ただいま~。」」

 「あっ、お母さんお菓子食べてる!私も食べる!」

 「ほんとだ…ってお兄ちゃんその腕はどうしたの!?」

 「モグモグ、ん?ほんとだ!どうしたの、お兄ちゃん!」

 「今気が付いたの!?遅いよ水!」

 「知星だって、お菓子が最初だったじゃん!私のほうが驚いたから、お兄ちゃんのことは私のほうが思っているからね」

 「マウントしなくても、お兄ちゃんのことは家族以上には見てないから。何で双子でこうまで違うんだ。」

 

 「二人は仲がいいの~お母さんも混ざりた~い」

 

 「お父さんと僕だけなのか、まともなのは…」

 

 家族が揃ったリビングでは、先ほど以上に騒がしい状態になってしまった。

 双子の弟の知星。双子の妹の水星。容姿も性格も違う双子の兄妹。

 賢く、しっかりしている兄。天真爛漫な妹。

 今は家にいないが、警察署に努めているお父さん。

 天然がすぎる、お母さん。 

 

 人見家が揃えば、騒がしさと困惑度は地域一。

 家族が寝静まるまでは、この騒がしさは落ち着かないだろう。

 そんな、喧騒の中でも、僕の腕はまだ戻らなかった。

 どうしてだよ…

 

 

 

 その日の夜になっても、僕の個性は発動することができなかった。コピーというには欠陥がすぎる気がするが、どうするべきかと悩んでいた。原因となったお母さんとキスをすれば、現状が動くかもしれない。戻ることを意識すればいけるのだろうか。パターンは三つ。一つは、伸びてしまう可能性。最初と同じで伸びることだけが使えるパターン。二つ目、伸縮ができて元通りのパターン。三つ目、変わらない可能性。親とのキスで何もないのだけは、勘弁してほしい。できれば、二度とやりたくないのだ、こっちは。

 

 お母さんに可能性の話をしたら、すごくニコニコになっていた。

 「やっと、思春期が終わったのね~」らしい。終わるか!いっそう思春期が深まったわ!

 

他には、弟、妹にキスをしてみることも考えたが、確実に治るわけでもないのに、妹にキスをするわけにはいかない。弟は普通にしたくない。

 

 そんなことを考えながら、腕を動かしていると、少し縮んだ気がした。本当に縮んだのかは分からなかったが、先ほど手を置いていた位置、手の先が当たっていた場所が手前側に進んだ気がした。個性を動かす感覚はないが、腕が戻るように、念じながら、動かしてみた。

 手の先から、肩までの腕が少しずつ元に戻り始めていた。

 最初はゆっくりだったが、見つめ始めてから、少しずつ戻る速度が速くなった気がする。先ほどまでなかった、戻る感覚が少しだけ、芽生えた感じがする。糸を引き寄せるように、腕を短くなるイメージを持って思考すると、先ほどよりも、ゆっくりだが動きが速くなったように感じる。

 このまま、頭の中でイメージをしながら、手を戻そうとすること10分。

 やっと、長い腕の状態から、いつもの状態まで戻すことができた。やったね。一生このままかと思ったが、奇跡的に何とかなった。

 本当に何なのだろうかこの個性は。もう一度、引き寄せるイメージを持って、引き戻そうとしたが、これ以上は動かなかった。思考しているときに、先には行けないのに、壁にぶつかりまくっている気分にさせられた。

 

 キスが原因で個性が動くわけではない。コピーでもなさそうだ。コピーなら、個性が自由に使えるはずだし、両親も双子の妹弟も、コピーの個性とは関係がない個性だ。

 

 お母さん【腕伸縮】お父さん【骨生】知星【柔骨】水星【血生】だ。

 知星の【柔骨】は、骨を柔らかくすることができる個性で、骨折をしなくなるいい個性だ。

 水星の【血生】は、体の中の血を複製し、生成できるというもの。献血大喜びの個性だ。

 

 どちらの個性も、肉体に関わるものの、個性を複製するような特殊な個性ではない。

 おじいちゃんたちも、肉体に関わる個性だけど、個性に干渉する個性ではなかったはずだ。

 分からない。このままでは、雄英高に入る前に、自分の人生に不合格になってしまう。

 やっぱり、個性を解明するのが、雄英高に入るための最初の訓練だ。

 

 

 とは言ったものの、あれから、夜中の間に何度も個性を使おうとしたが、使えず、腕を伸ばすことも、縮めることもできなかった。少し伸びた気がするときもあったが、個性が発動した様子はなかったし、見間違えレベルだったので、本当かが分からなかった。何より眠くて、思考が回っていなかったと思う。

 

 しっかり、寝たら個性の研究といきたいが、僕たちは学生である。

 学生である以上は、学校に行かないといけないわけで。

 

 僕は、先生の授業を受けながら、静かに、個性について考えていた。

 

 (キスをした後だけ、相手の個性を使える個性?そんな個性があるのだろうか?個性である以上は、何かしらの条件があるはずだ。一度発生した以上は無個性ではないことも証明されたし、必ず結果が出せる。勉強や肉体づくりは二年生のころにかなり頑張ったから、9月ぐらいまでの内容は予習済み、肉体もできている。あとは、個性の覚醒のみ!)

 

 何ができて、何ができないのかを考えていた僕だったけど、ようやく手に入れた個性に浮かれていたのだろう。思考に耽ってしまい、この時間だけでも5回チョークを当てられて注意をされてしまった。この時間以外にも2回から5回ほど毎時間、チョークによるおでこへの攻撃をされて、放課後には、僕のおでこが真っ赤に染まっていた。

 

 

 放課後になって、僕は決意を決めた。

 個性が分からないままでは、雄英を合格することはできないだろう。みんなは、肉体だけでなく、個性を鍛えた上で試験にも望むはずだ。ましてや、個性が分からない人なんて僕だけだろうし、そんな状態で試験に挑んでも合格ラインに達することなどありえないだろう。

 だからこそ、解明するべきだ。たとえ、お母さんにキスをしなくてはいけなくても。雄英を諦めようかなと思ってしまうほど嫌だけど。ヒーローになりたいと思う気持ちを捨てたくないから。同じヒーローを目指す人たちに中途半端だと思われたくはないから。

 目標は爆豪や緑谷たちと同じように雄英ヒーロー科の合格。

 

 なら、ここで壁を乗り越えないってのは、同じ無個性と言われて苦しみながら、今を頑張っている緑谷や一人で練習をして、悔しがりながら、個性を鍛えている爆豪にも失礼に値する。

 

 僕の覚悟よ、一回で個性を解明してやる!

 僕たちの戦い(受験勉強という名の個性訓練)はこれからだ!

 

 「お母さん、ちょっとキスしてほしいんだけ…わぁ!?」

 

 「言い終わる前に行動は実行するものよ。漫画の受け売りだけど。」

 「どう、個性は発動できた?」

 

 「うぅ…ん。あれ、どういうことだ。個性が発動してない。」

 「腕が伸びてないし、何も変わらない。個性を使った感覚が前はあったのに、今の僕にはそれが感じられない。」

 

 

 「やっぱり。それが個性じゃないのよ」

 「もとより、キスをしてコピーする個性なんて聞いたことがないし、キスをしないといけない個性もおかしいと思わない?個性の影響でキスに意味があることはあっても、キスをすることで発動ってのはおかしいよ。だってさ、個性は体の一部だよ?」

 

 お母さんの話を聞いても納得できない自分がいた。あの時はできて、今できないのはどういうことだ。お母さんは何となくできないことが分かっていた。何でできない。キスと個性は無関係なのか?前回と今回で何が違うというのだ。

 

 「いま、あなたの個性は赤ちゃんなのよ。赤ちゃんは自分のことでも、したいように動かせないでしょ。そういうものなんだと、お母さんは思うのよ」

 

 「赤ちゃん?」

 

 いきなりなんだ?赤ちゃん?子供ってことか?個性を使ってなかったから、使いたくても使えないってことか?個性を使う因子がまだ、未発達ということ?何が正解か分からない。

 

 「一度見せるから、ゆっくりやってみなさい。」

 「まずは、指の先をゆっくりと伸ばすイメージよ。ほら、け伸びのイメージ」

 

 「こうか?」

 

 手のひらを真っすぐ伸ばしてみる。先をイメージして、伸びろ!と念じてみるが一向に伸びない。

 

 「まだよ。まだ」

 「時間がかかってもいいから、見て、触れて、伸びる姿をイメージして、ゆっくりね」

 

 手の先を意識する。お母さんの指が、腕が、肘が、少しずつ伸びていく。先ほどまでは、当たらない距離にあったのが、少しずつ僕の手の先に触れるほど近くにきていた。

 

 「手、握るわよ。そのまま、伸ばすイメージをして。私は戻すから、引っ張られる感覚を大切にそのまま、引っ張られるように伸ばしてみなさい。」

 

 手が引っ張られる。自分の意志を入れて、イメージを載せて、少しずつ帰っていく、お母さんの手に引き寄せられて、僕の手が引っ張られていく。視線を手に合わせていたからか、気が付くと、手から肘まで、肘から肩までの肉が少し、伸びていた。

 

 「これが、腕を伸ばす個性の使い方よ~」

 「あとは、ゆっくり、自分のペースで動かしてみなさい。」

 「今はもうできると思うのよ」

 

 「昨日はできなかったのに、ゆっくりなら、動かせる。伸ばせるし、戻せる。これが個性を使う感覚。」

 

 「正確には、私の個性と似た個性を使う感覚だと思うのよ」

 「個性因子なのだから、個性因子に共鳴したと私は思うのよ」

 「共鳴した後、どうなるのかはあなたの腕を見れば分かるのよ」

 

 「共鳴した、個性を手に入れる個性?」

 

 「共鳴するために必要なのが、キスで、キスした相手の個性因子の情報を映しているのかもなのよ」

 

 「個性を映す?」

 

 「詳しいことは詳しそうな人から、聞くのが一番よ」

 「はい」

 

 手に渡された一枚の紙を見てみると、プッシーキャッツというヒーローの紹介するポスターだった。

 

 「ラグドールというヒーローが個性について、調べることができる個性だから、見てもらうといいのよ」

 

 「いいの?」

 

 「連絡はしてあるのよ。来週の土曜日は予定を開けておくのよ」

 

 「ありがとう、お母さん」

 

 お母さんのおかげで、個性について少し分かった。共鳴する。緑谷も言ってたな。

 共鳴する個性?それが僕の個性なのか?まずは、土曜日。ラグドールというヒーローにあってから、だ。

 

 …あれ、共鳴に気づいてたなら、お母さんはキスする必要ってなかったよな?

 

 …うぅ…

 

 こうして、僕はお母さんにいいようにされながらも、ヒーローになるために自分の個性についてラグドールに聞きに行くことになった。

 

 

 

 





 
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