ダンボール戦機 転生した少年の物語   作:フュー

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何でもない時間

 

バン達とのLBXバトルを終えてから、ライトは現在自宅の自室にある机の上に置いたバルバトスの調整を行っていた。

彼の部屋の中は観賞用にあるムシャやクノイチ、そして本来であればこの世界に存在する筈のなかったLBXザクⅡやガンキャノンなどのサイバーランス社が発売しているLBXやウォーリアーやブルドなど他社のLBXが飾ってあったり、部屋の一角にある棚の中にはLBXのカスタマイズなどで使う為の工具にコアボックス用のパーツ、そして観賞用とは別にカスタマイズなどで使う用のLBXが保管されていた。

 

因みに今回のバトルの結果はカズがブレイクオーバーしたが、バン達のチームが勝利を収めるという結果に終わった。

 

「(やっぱ同じ性能のLBXだとバンの方に軍配があがるか。けど“親父達“には結果的に良いデータを送れたし、良しとしよう。次やったら俺が勝つけど)」

 

内心そんな事を思いつつ、バルバトスの胸のアーマーフレームを外し中のモーターやバッテリー、CPUの状態確認や別の物への取り替え。

そして今日のブルーキャッツでのバトルで判明した修正箇所の為に工具を使って色々弄った後に少し動かしてみるなど微調整を続けていた。

 

それも一度や二度では終わらず、一回動かしては調整、動かしては調整。時折部屋を壊さない程度にメイスや太刀を握らせて振り回すなど、自身の納得のいく動きになるまで何度も繰り返した。

 

そして、もう何度調整を繰り返したのだろうか、外は完全に夜になっていた。

 

 

「よし、反応速度や軸のブレは改善できてるな。武器を振った後の機体の方も安定してきてる。

(けどやっぱもう少し速度を上げたいな。装甲はこれ以上削りたくは無いし……コアパーツか他の部品の中に何か良さげなやつ無かったかな)」

 

何度か調整してようやく満足したかと思いきや、今度は部屋の棚の中から箱ごとに振り分けられたコアパーツやLBXの部品などを漁り始めた。

どうやら本当に徹夜してバルバトスの調整を行うつもりらしい。

 

 

 

 

 

 

 

「こら!リビングの方に居ないと思ったらやっぱり部屋の中だったのね!

って、貴方まださっきの服のままなの⁉︎」

 

「?」

 

部品を漁っていると背後からドアが開かれる音と共に本来なら聞こえる筈のない怒鳴り声が聞こえて来た。

 

気になって後ろを振り向いたライトが目にしたのは、自身の服装に対してであろう驚愕した顔をしたアミの姿であった。

 

「なんだ、アミか」

 

「なんだとは何よ!それよりライト、貴方まさか帰って来てからずっとLBXのカスタマイズやってたの?」

 

「ああ、そうだけど」

 

「……一応聞くけど、ご飯とかお風呂とかはちゃんと済ませたの?」

 

「………あ〜そういえば飯食った記憶も風呂に入った記憶も無いな。帰って来てからずっとコイツの調整してたから」

 

「ッ〜!」

 

ライトの返答が余程信じられなかったのかアミは声にならない声を上げたかと思えば、ライトが手に持っていたパーツを棚の中の箱に戻し、そのまま強引に部屋の外まで引っ張っていく。

 

「えっ、あのちょっとアミ?アミさん⁉︎」

 

「うるさい!LBXを弄るのは後よ。それより」

 

 

アミは有無を言わせない勢いでライトを引っ張り、そのまま彼の家の風呂場まで連れて行き放り投げる勢いでその中へと押し込んだ。

 

「着替えは持って来てあげるからさっさとお風呂に入りなさい!その後は晩御飯。LBX弄るのはその後よ!」

 

それだけ言い残して、アミは風呂場の扉をバタンッ!と大きな音を立てて閉め、そのまま足音を鳴らしながらその場を離れていく。恐らく着替えを取りに行ったのだろう。

 

そしてその場に取り残されたライトはというと、いきなりの展開にいまいちついていけてないのかポカンとその場で立ち尽くしていた。

しかし、このまま此処で動かなければアミからのお叱りを受けるのは確実。

 

「……とにかく、風呂に入るか」

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇〇

 

 

「全く信じられない!どうして貴方はいつもいつもLBXの事になると食事もお風呂も忘れちゃうの⁉︎

良い?ご飯もお風呂も生きていく中では必要な事なのよ!」

 

「分かった分かったから、俺が悪かったから落ち着けってアミ」

 

風呂を済ませた後、ライトは彼が朝のうちに作っていたカレーをアミと共に同じテーブルで食べていた。

ちなみに何故アミが当たり前のように彼の家にいるかそれには理由がある。

彼とアミ、そしてバンは小学校からの付き合いであり、休日に家に遊びに行ったり逆に遊ぶ為に招き入れたりすることも珍しく無かった。

そしてライトのこの世界での両親だが、母親はまだライトが今よりも幼い頃。つまり前世の記憶が戻るより前にに既に他界しており父親は仕事の都合や今の立場上家にいる時間の方が少ない。場合によっては次の日の朝に帰ってくるのも珍しくなかった。

それを昔からの付き合い故か放っておけなかったアミは今回の様にライトの家に来る頻度が多くなった。

 

家の鍵に関しても、ライトの父親から合鍵を預かっており彼女の両親も幼い頃からのライトを知ってる故か信頼している為、特に反対する事なく好きなようにさせていた。

 

こんな関係を続けている内にライト自身も慣れてしまった為、最初こそ抵抗があったが次第に今回の様に急に上がり込まれても特に気にする事は無くなった。

 

「気を付けなさいよ。ライトってば、昔から私が居なきゃホントにダメなんだから」

 

「お前は俺の母親かっつうの。それに言うほどダメでもないだろ。

精々今回みたいに風呂や飯忘れたりしたくらいで…」

 

「あと、私が朝起こしに来たらLBXいじったまま机の上で爆睡してたり、酷い時にはそのせいで授業中寝落ちして私がノートとか見せたり名指しで指名されても答えられなかったりしてたわね。

あれ〜?その時遅刻しそうなのも構わず起こしてあげたり、ノート見せたり何を答えたら良いのかコッソリ教えてあげたのって誰だったかな〜?」

 

「ホントすんません申し訳ありませんでしたアミ様!いつも感謝しております!」

 

「よろしい」

 

ここまで言われてしまっては最早ライトに反論できる余地など無かった。

一応同い年ではあるが前世の年齢的に精神的には年上のはずの彼としては色々堪える様だが、アミには頭が上がるわけもない。

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで、夕食を済ませたライトは先程の自分の部屋に戻り改めてバルバトスの状態を再チェックしていた。

今回はアミも部屋に入って来ており、彼女の視線はライトが今触ってるバルバトスに向けられていた。

 

「そのLBXは?キタジマでは使ってなかったわよね。それにサイバーランス社で発売してるLBXやライトが造ってきた機体とも何か似てる。

もしかしてまた新しい機体をフルスクラッチで造ったの⁉︎」

 

「まぁ、そんなところだな。名前はガンダムバルバトスって言うんだ」

 

「バルバトス。へぇ、カッコいい名前じゃない。

それに見た感じブロウラーフレームだし、パワー重視ってところかしら」

 

「正解。けどもう少しスピードは上げたかったからさっきまでその作業やってたんだ(名前のモチーフが悪魔…ってのは言わなくても良いな、どうせ後で調べれば分かるし)」

 

一瞬名前の元ネタについて話そうと思ったライトだったが、それは飲み込んで黙る事にした様だ。

名前が悪魔と同じ名前のLBXなど、現在家に出ている物の中では探せばあるかもしれないが数は少ないであろう。

 

「へぇ。ライトってホント昔からLBX関係になるとバンと同じくらい夢中になるだけじゃなくて、自分で造るのも上手いわよね。

前から聞こうと思ってたんだけど、それだけの技術、サイバーランスで教えてもらったの?」

 

アミはふと気になった疑問を口にする。

このLBXが広まった世の中、自分好みにLBXを弄る者達はかなりいる。しかしそれでも大半の者達がコアパーツか機体の手足を別の機体のものを使うか、そしてとある機体をベースにした強化機体を造る者が殆どであり、1から新しいLBXを創り出す技術を持った者などそれ以上に少ないだろう。

 

なのでアミが疑問に思うのも不思議ではない。

 

「いや、サイバーランスでは教えてもらってないよ。この技術はある人から教えてもらったんだ。昔から手先は器用な方で、その人からはこの手の知識とかも色々叩き込まれたから、いつの間にかこんな機体も造れるようになってたんだ(まぁあの人の場合、コイツやそれ以外の機体以上にとんでもない機体や技術持ってるけど)」

 

「凄い。ねぇ、その人に今度会わせてもらう事って出来る?」

 

「えっ?」

 

「ライトにLBXの作成やカスタマイズの技術を教えてくれた人なんでしょ?なら一度会って話してみたいし。

それにほら、私のクノイチはよくライトが見てくれてるでしょ?なら私も今以上に出来ることが増えたら少しでも負担は減るかもしれないって思ったのよ」

 

「あ〜〜、あの人にかぁ…」

 

「?」

 

アミからの申し出にライトは突然歯切れが悪くなり視線を逸らしてしまう。

そんな彼の様子に疑問を抱いたアミを他所にライトの脳裏には彼の師とも呼べるとある人物の顔が浮かんでいた。

 

「(あの人、原作通りに行けばアミも会う事になるけど…何故だろう、あの性格の事もあるけどあんまり会わせたくはないなぁ…)」

 

「どうしたのよライト」

 

「い、いや?別に?あ、あの人は普段忙しい人だから、予定が空いてる事自体少ないんだよ。

一応、ほら…アミも会えないか聞いてはみるけど、あんま期待はするなよ」

 

「(…何か隠してる感じはするけど)まあ良いわ。

都合が付いたら教えてね」

 

「りょ、了解」

 

なんとか誤魔化す事に成功?したライトは密かに胸を撫で下ろした。

 

 

 

 

 

「あっ、もうこんな時間じゃない。そろそろ寝ましょ」

 

「えー…って言いたいけど、確かに寝るか。そういえばお前の親父さん達にも連絡入れなきゃな」

 

「それならもう私から話であるから大丈夫よ。

それにしても珍しいわね。いつもだったら夜更かししたいって駄々こねるのに」

 

「人を普段から駄々っ子みたいに言うなっつうの。実は明日サイバーランス社に呼ばれててな、朝向かわなくちゃいけないんだ」

 

「あらそうなの。それじゃあ早く眠らなくちゃね」

 

 

そんな会話をしながらライトは机の上に広げていた工具やパーツなどを片付け、アミも部屋の押し入れの中から枕を1つ取り出してベッドの上に置くなど寝る準備を始めていた。

 

初めてみる者はあまりにも自然すぎる同室で異性の男女が寝ることに対して疑問に感じるかもしれないが、ライトとアミにとっては最早当たり前の事になっている。

これのいうのも彼の父親が家を空ける事が多く、そのためライトはまだ小学生の頃はアミの家に泊まりそして一緒の部屋で寝る事が多く、そんな生活を昔からしてたからか今回の様にライトの部屋で一緒に寝るのも当たり前になってきていた。

 

当然前世の記憶が戻った上にもうお互いに中学生という事もあり流石にまずいと思ったライトは別々の部屋で寝ようと提案したのだが、父親の部屋は色んな意味でまずい上に、母親の部屋を勧めても何故かアミ自身がライトの部屋で寝ると言って譲らなかった。

そんな事を続けていくうちに、とうとうライトの方が折れた為今の結果に落ち着いたのである。

 

彼自身も、何度も繰り返してる内にこの状況に慣れて受け入れてしまったらしい。

 

「それじゃおやすみなさい」

 

「おう、おやすみ」

 

 

それだけ言い残し、2人は同じベッドの中に入り眠りにつくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(……そういえば)」

 

ベッドに入って数十分。アミは完全に眠り寝息を立てているが、ライトは妙に意識が冴えてるためかまだ眠れずにいた。

 

「(原作、か……このままバンがアキレスを手に入れて原作通りに進んでいけば、当然アイツも遠くない内に関わる事になる。そうなったら俺とも関わる可能性が少なからずあるって事だよな…)」

 

ライトはふと、自分の記憶が戻る前の記憶。

今から約“9年前“にある日をキッカケに会えなくなってしまった1人の少年の事を思い浮かべていた。

 

「(アイツと会えなくなってもう9年近く経つのか。もし関わるならまた話してみたいけど、向こうが俺の事を忘れてなければ良いが…)

……今何してんだろ。元気にしてるかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジン」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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