V.V.がクソみたいなギアスの使い道を考える話 作:紫乃華まこ
「なるほど、
ミレイの説明を受け、スザクは得心がいったかのように性癖をぶちまけた。
足元には「
ルルーシュはあれからミレイにデータを消すよう詰め寄るも、その意思が伝えられなかった。
何せ言葉やジェスチャーはおろか、筆談やモールス信号すらY談になってしまったのだから。
おかげでルルーシュはいっぱい恥をかいた。
……いや、ミレイに意図するところは伝わっていただろう。
しかしルルーシュ側が伝わる形で伝えられない事をいいことに、面白九十九割でわからないフリをしていた。
最終的にスザクが隙をついて携帯を取り上げ、薄目で携帯を操作してデータを消すことで事なきを得た。
スザクにはルルーシュの意図することは伝わっていたが、女子に実力行使するのは……と最後まで迷っていた末の事だということは一筆添えておこう。
ミレイからことの次第を聞いたスザクは、彼らと共にY談お兄さんを追うことにした。
この状況を放置していては学園生活に差し障る。
一刻も早く事態を収拾しなければならない。
そのためにはこの事態を引き起こした張本人を捕らえ、話を聞き出す必要がある。
「
それはすでに人前で纏うプライドなんてかけらもない自罰の化身が、口を慎むこともせず性癖を垂れ流す歩くY談スピーカーとなった瞬間であった。
そうして、彼らは聞き込みのために学園の中庭に向かう。
今の時間であれば、学生がまばらに各々の時間を過ごしているであろう。
しかし辿り着いてみればその場所は、今はざわめきに包まれていた。
「コンビニの制服ってよくない?」
「胸筋に虐められてほつれそうなワイシャツの第二ボタン……」
「常に水着のエキゾチック体育教師!」
「一日に一画ずつ淫紋を書いていって淫らになっていく様を観察したい……」
「う わ ぁ」
四方八方から聞こえる多種多様なY談。
性癖の坩堝と化したその惨状に、騒ぎが大好きなあのミレイですら思わず絶句する。
「
ミレイはスザクから半歩距離をとった。
「ルル!」
そんな一行に呼びかける声がした。
声の方向を見てみれば、そこには活発そうなオレンジ色の髪の少女、シャーリー・フェネットとぱっと見はおとなしそうな令嬢スタイルをした赤髪の少女、カレン・シュタットフェルト。さらに彼女たちの後ろからおずおずと着いてくるメガネの少女、ニーナ・アインシュタインの三人がこちらに向かってくる。
「シャーリー!カレン!」
ミレイが呼びかければ、二人は返事をしようとする。
しかし急に赤面し、手で口を塞いでしまった。
その様子を見た一同は、彼女らもまたY談お兄さんの術を受けてしまったのだろうと察する。
しかしミレイにはそんなこと関係ない。
いや、わかった上で口を開かせたい。
享楽百パーセントのピンク色の脳細胞をユグドラシルドライブ並みに回転させ、あの手この手で言葉を発してもらうことにした。
「ねえ、全身黄色の怪しい男を見なかった!?」
ミレイはシャーリーをロックオンし、問いただす。
シャーリーは拒絶の意思を見せるが、お構い無しに問いを重ねていく。
「今、どうしても必要なことなの!お願い教えて!」
その言葉に観念したシャーリーは、講堂の方を指差しながらボソボソと言葉を発する。
「あっちの方……では……リードされたい……」
「ふむ、好きな人からは強気に来てほしいと」
「
追い打ちをかけるミレイをスザクが掣肘する。
できてるかこれ?
「強気にグイグイ攻めてきて!バシッと決めてもらいたい!」
火照った顔を隠しながらシャーリーが叫ぶ。
ミレイはそっとルルーシュに視線を向けた。
ルルーシュはそっと目を逸らした。
「お兄ちゃんみたいな包容力……」
「私は[ピー]で[ピー]だけどどちらかというと[ピー]で[ピー]な[フレイヤ]で……」
追随してカレン、ニーナが状況を説明する。
結局できていないのはご愛嬌だが。
「うーん、かわいらしい。ニーナは昼にできる話じゃないけど。ルルーシュも見習いなさい!」
「
思わず反論するも、口を塞いだときにはもう遅い。
口を開くたびプライドがすり減っていくルルーシュに、ミレイは満足そうな流し目を送った。
シャーリーはちょっとホッとした表情を見せる。と同時に気づいてしまう。
これ、ルルの好みを把握するチャンスでは?
そうと決まれば電光石火。
シャーリーはルルーシュの手を掴み、彼の言葉を引き出すべく問いをかけていく。
「ねぇルル、女の子の好きな部分は?」
「なっ……!?
おやぁ?と周囲は観戦モードに入った。
ミレイはニヤニヤしながら口をつぐんで眺め始める。
スザクは自販機に人数分のコーラを買いに行った。
さらに普段よくやり込められているカレンも、ルルーシュに日頃の仕返しとばかりに混ざりにいく。
「汗だくの折れそうな首筋」
どんな人が好きなの?と言おうとした彼女の問いはY談に溶けてしまう。
むべなるかな、恋バナはY談にカウントされなかったのだ。
顔を赤らめたカレンはすごすごと引っ込み、スザクからコーラをパチって隣に座る。
「
その後もシャーリーからの詰問は続く。
その質問は時折性癖の暴露に変わるが、大筋でルルーシュの性癖を暴き立てていくものだった。
肉を切らせて骨を断つ。
自らの暴発に時折耳を赤らめながらも、今ここにあってはエリア11サムライの気概に目覚めていた。
(なぜシャーリーはここまで的確な質問ができる……!?あのギアスの影響下にあることには変わりがないはずだ……!)
ルルーシュは思考を巡らせる。
そうして一つの仮説に辿り着き、それを実行した。
「お、おっぱい……」
彼は無事に狙った単語を発話することに成功する。
最初からY談を話せば、狙った言葉を話すことができるのだと気づいたのだ。
「え、えっ!?知的男子の平らな胸筋……!」
漏れ出た言葉はシャーリーを動揺させた。
そして観戦していたスザクは気づく。
あのおっぱいという言葉は、ルルーシュが自分の意思で発した淫語だということに。
彼の苦渋の表情がそれを物語っている。
親友の普段見れないシチュエーションに、立ち上がって拍手をする。
ミレイも一緒に拍手を行い、気づけば観戦していた生徒会の面々全てが拍手を始めた。
ルルーシュは崩れ落ち、膝を抱えた。
「俺は
いじけて自らを卑下している(つもりの)ルルーシュの動画を携帯に収めながら、ミレイは思案する。
そして、Y談お兄さんが自らに言った言葉を思い出す。
彼は自分と同類の匂いを感じると言った。
それはどう言う意味だろうか。
……いや、答えなんてわかっている。
この状況を一番楽しんでいるのはアッシュフォード学園のお祭り番長たる自分だということを。
同類とは、彼と同じ愉快犯ということを表すのではないか?
ならば。
「この騒ぎを、イベントにする……!」
Y談ギアスは当人がえっちだと思っていることは話せます。
じゃあ、名前が呼べている人は……?