おれはドラゴン。人間はしぬべき   作:4645 (ケモ系大量生産クリーチャー)

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無理やり人里に行くために最序盤から安易な人化して以降二度と人外に戻らないやつヤよね。


おまえは人間、みにくい人間。でもおれは人間じゃない。

 

 

 

 

 

 

 …とりあえずその雑すぎるネーミングのシンシューマツモト王国とやらに行くことにした吾輩は、なんとなくそれっぽい方向へ完全に勘のみで向かうクソな移動を試みていた。

 

 なお、先程食べた変な木の実のせいでめちゃくちゃお腹を下し、今も大変危うい感じの水っぽい腹痛が下腹部にダイレクトアタックを仕掛けているが、特に気にする事はない。

 

 なんたって吾輩はドラゴンなのだから。

 

 そんなこんなでバッサバッサと翼を進めること4時間程度。

 

 合間には2度ほど腹痛による緊急着陸を挟み、まあ何はともあれしくしく痛む腹痛も程々に治まってきた頃合に。

 

 吾輩はある2つの重大な事実の存在に気がついてしまった。

 

 というのも吾輩は遠路はるばる自らアッチに赴くことで暇とやり場のない問題解決意識を発散しようとしていたわけだが、よく考えたらべつに残りのメンツに顔が割れてるわけでもないので、つまるところ普通に自宅にいたところで特段の危険性はなく、なんなら完全無視のままいつも通りぐうたらしているだけでよかったのでは…?

 

 …と。

 

 それに、そもそも吾輩ドラゴンなんだから人里に入れるわけなくね…?

 

 …と。

 

 前話で既に気付いていた考えをすっかりどこかにやってしまっていた吾輩は、自らのうっかり系主人公気質にかわいげを覚えることこの上なかった。

 

 

「…くわ」

 

 

 …まあ、引き返すのも面倒が臭すぎるし、このまま行っちゃお。

 

 人里に入れないってのも、なんかどうせ都合のいい能力増えてるだろうし、適当にそれっぽいことしてうまくやるっぺや。

 

 全ての人外転生好きが忌み嫌う悪魔の発想に思い至った吾輩は、その辺の森の中に適当な着地を試みるべく、眼下のセルロース製緑色フワフワカーペットへ視線を下ろす。

 

 なお、当然のようにいつの間にか獲得していたチート成長スキルの効能により、2度の尊厳危機事態を乗り越えた逆境に対する報奨なのか吾輩の能力値は異常な上昇を見せ、なんとレベルは4000と987に到達。

 

 要するに無茶苦茶なステータスアップによって大量に増えたであろう何かしらの無法スキルをアテにしているのである。吾輩は。

 

 ちなみにここはその辺の冒険者の最高峰がLv100とかの設定の異世界であり、変な木の実を食べて腹痛による人権(龍権?)喪失危機の逆境に追い込まれる以前の吾輩のレベルは17だ。

 

 環境のインフレ率がお金刷りすぎた新興国通貨みたいになってるけど大丈夫なのかな。

 

 吾輩は訝しんだが、まあ世界の理を考えてもしかたのないことである。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 とりあえず心の老眼鏡を取り出し、読むのも億劫になるアホみたいな名前のパッシブ能力やチートスキルの巻物を上から下にスクロールし続けること7分弱。

 

 ついに吾輩はドラゴン街に入れるわけがない問題を解決するスキルを発見することに成功した。

 

 その名も「超めっちゃ色々変身スキル」

 

 語尾のスキルレベルには「伝説級」と記されている。

 

 冗談だろ…?

 

 吾輩は青い空に半透明で浮かび上がる親の顔を思い、少し泣いた。

 

 …あれ、親の顔ドラゴンだったっけ。それとも人間だっけ。

 

 まあいいや、とにかく吾輩は父祖の想いを思い、そしてこのスキル欄に向き直る。

 

 7分も上から下にタプタプとスクロールしてもまだ終わらないクソみたいな名前のスキル一覧ページの中に虹色の強調カラーと共に浮かび上がるその名はあまりにもクソみたいで、むかっ腹が立ち、そして分かりやすく、ご都合主義であった。

 

 こんなスキル、こんな、こんなクソみたいな名前の、チンパンジーでもサブリミナル効果レベルの認識時間で意味を100パーセント理解できるような名前のスキルを与えるべき存在だとこの世界に思われてしまったのなら、それはつまるところ恥そのものである。

 

 こんな嘘みたいに高い、高すぎて頭が成層圏突き抜けて呼吸困難で3回死ねるレベルにトーラーザンマッターホルンな下駄を画面スクロール420秒分与えられているって、吾輩世界に何だと思われてるワケ?

 

 信用無さすぎじゃない…?

 

 もしかして吾輩、スキルひとつもなかったらプププランドの春風で死ねるレベルに弱いんじゃないの。

 

 ちょっと怖いイメージが湧いてくるがまあそれはさておき、断腸の思いでその嘘みたいなスキル名を心の中で唱えてみると、吾輩の全身がマジカルな感じの七色の光に包まれ始める。

 

 気だるい夕方の森からパチンコの激アツ演出のような木漏れ日がぶち上がるが、その辺の小鳥さん方は特に気にしていない様子。

 

 よっぽど逆ドパ中を極めているらしい。

 

 あるいは大量のセルロース塊達のお陰で常にマイナスイオン味のドパ漬けなのか。

 

 そうこうしている間にも光の中の影が人間の美少女風のシルエットを持ち始める。

 

 この女児向け激アツ光とキラキラな音を消したら小さめのドラゴンが人間の形にゴシャバキ変形しているのだろうか。

 

 心の中でおおと思いながら自分から出る光を眺めていると、変身終わりかけのリボンとかが結ばれるタイプのあの演出に差し掛かる。

 

 …あ、おわるのかな。

 

 なんて思った瞬間、なんかものすごい勢いでシルエットが元のドラゴン型にゴシャバキ戻り、普通にポンとその場にドラゴンのままあんまり変わっていない吾輩がどちりと放り出される。

 

 

「くぁ"ッ!"」

 

 

 その場の硬い土や木の根の上にしたたかに腰を打ち付け、うすほそ虚弱め知能派ドラゴンこと吾輩の肺からクソ汚い排気音が上がる。

 

 …いやなんでやねん。

 

 圧倒的な虚無感に襲われた吾輩はその場に横転してしまった。

 

 文豪気取りのネットだけ有名人みたいなそぶりをさせやがって。

 

 心の中で毒づく。

 

 どうやら神は吾輩を人間にしたくないらしい。

 

 だが、部分的には変身を許された部分もあるようだ。

 

 一応その辺の川を覗き込んで反射した自身のおフェイスを見てみると、なんとリアリスティックなヒト耳が頭の上にバニーみたく一対ぴょこっと生えているではないか。

 

 

「くわァ〜……………!」

 

 

 いやきっっっっっしょなにこれ…………

 

 ラブホの貸出エロ衣装より粗雑かつ適当である。

 

 ネコ耳のノリでヒト耳を生やすな人外に。

 

 ドン引きを通り越して普通にショックを受けた吾輩は、その汚物をぽんと消してしまうと、もう面倒なのでそのまま何となく大空へ舞い上がり、もう無策のまま適当にそれっぽい方向へ突撃してしまうことにした………

 

 

 

 

 

 

 

 

 









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