推定女皇の息子がTHE CHOSEN ONEな話 作:テンページ
ガイアさんから聞いたカーンルイアという国について少し考え、三人にそのことを聞いてみたら三人はそれぞれの反応を示した。
ロノモンはなぜか気まずそうに「……知らない」といい、ナベモンはにやにやと薄ら笑いを浮かべ、イスモンは寝ていた。
彼女らは何かを知っているだろう、しかし今すぐ知る必要はない。
彼女らと絆を深めて、自分から話してくれることを待つしかない。
それはそれとして俺はこの世界のことをもっとよく知りたいと思った、彼女らと話し合い。
七国を巡ることにした。
モンドにはあと数日滞在するということになった。
そして興味本位で俺はロノモン、ナベモン、イスモンとともにモンドの遺跡を巡っていた。
千風の神殿では、遺跡守衛を滅多切りにしてリュック*1に詰め込み、遺跡を散策した。
そして、神殿の碑文をメモに書き残し、風龍廃墟に向かった。
風龍廃墟を散策していると、何やら視線を感じる。
周りを見渡すが誰もいないように見える。
「さっきから君たち以外の視線を感じるんだけど気のせいじゃないよね?」
「君の推測は間違っていないよ、アビスの気配がする。」
「アビス?」
「レイン……ナベモン!!」
途中誰かの名前を言いかけていたロノモンがナベモンを引っ張る、するとそこに空間の裂け目が発生し何かの手が伸びる。
「なんだアレ?ナベモン知ってる?」
「知っているよ、彼らはアビス教団の使徒だ」
「アビス教団?」
「いかにも、我はニギオル・アリベル、姫君の命で罪人と二柱の執政を捕えに来た。」
「罪人?執政?悪いんだけどうちにはそんな奴居ないよ」
「居ない?後ろにいるではないか…下手な嘘を……もしや知らされていないのではないか?」
「「「………」」」
いつの間にか頭の上からイスモンが下りていて三人が寄り添っている。
一人は顔を引きつらせて、一人は笑みを浮かべて、一人は真顔で全員の視線がこちらに注がれている。
「致し方ないでしょ、俺はまだこの世界にきて間もないし、彼女たちの信用に値しないかもしれない」
「ならば」
「でも、それでも俺は彼女たちを守る義務がある、そういう契約を結んだ。」
周囲がしんと不気味なほど静かになる、間違いない、アビスの使徒以外でもこの瞬間を見ている者がいる。
「そうか、ならばしょうがない、ここで死んでもらおう。」
アビスの使徒が襲い掛かってきた、水元素のシールドを張りながら広い範囲で大量の水元素を操り斬撃を飛ばしてくる。
しかしドミトリーはそんなことはお構いなしに斬撃を素手で弾きながらまっすぐ急接近した。
「それはこちらのセリフだよ。」
ロノモンにはドミトリーのその言葉がすごく冷たく聞こえ、直後ドミトリーの左手が真っすぐアビスの使徒の胸を貫いた。
「ぐぉっ…」
ドミトリーはアビスの使徒から引き抜くと力なく倒れた
「さすがに死ぬよね。」
「いや、彼らは不死の呪いで地脈に帰れないんだ、だから数時間もすれば生き返るよ。」
ナベモンは興味がなさそうな目で胸を貫かれたアビスの使徒を見ていた。
「君たちにはめっちゃ聞きたいことがたくさんあるけど、まぁあとでいいや、俺にとってはあんまり重要ではないし。」
「いいのかい、君の出生にかかわるかもしれないんだよ?」
イスモンがふわふわと俺の頭に乗った。
「うーん、あんまり興味はないかな…」
「……そう」
ため息をついたイスモンは俺の頭に乗ったまますやすやと寝始めた。
数時間後テイワット某所
「それで、小さくなった執政は捕らえることはできたの?」
「いいえ姫様、向かわせたアリベルが帰ってきません、恐らく……」
「そう…なら私が向かうわ、教団の中でも指折りの戦士と魔術師を集めて。」
「わかりました、姫様。」
時刻真夜中、モンドの風立ちの地にて野宿をしていた
ロノモン、イスモン、ナベモンは彼の料理に舌鼓をうち、かなりの量を食べて寝ていた。
ドミトリー本人も読書をして眠気がくるのを待っていたのだが、昼間と同じ気配がしたので寝ている三匹*2を起こした。
「おい、ロノモン、イスモン、ナベモン起きろ」
「なによ…こんな真夜中に…」
ロノモン、ナベモンが眠そうに目を擦る、イスモンは起きない。
「昼間襲ってきた奴いるだろ、たぶんそいつの仲間が大勢来た、とてもじゃないが守り切れないからモンド城まで飛んで逃げろ、ナベモンもわかったか?」
「わかった。」
「……わかった、死なないでね。」
「ん?ああわかった。」
ロノモンの返事に違和感を覚えつつもロノモンはイスモンを抱え、ナベモンとともにモンド城へと向かった。
ーそれを追いかけるようにして隠匿の魔術を使っていたアビスの魔術師は彼に瞬時に氷の剣で細切れにされた。
「こそこそすんなよ、とっくに出てきたらどうだ?」
「ーそう、なら正面から行かせてもらうわ」
次々とアビスの魔物を引き連れて裂け目から出てきたのは金髪の少女だった。
「アンタ、まさか栄誉騎士の妹か?」
「………」
「無視か…じゃ、質問を変える、なんであの三匹を狙っている?」
「彼女らがカーンルイアの仇だから、彼女らと運命の織機を用いて、天理を下す。」
「糞、知らねぇ単語ばっかだな…でもアンタのまとっている気配は好きじゃないな…、むしろ嫌いだ、それのせいで俺の故郷の友達が死んだり狂ったりだ。」
「そう、でもあなたにとっても彼女たちは仇に値するよ、だってあなたに呪いをかけたのはロノヴァ、死の執政、あなたがロノモンと呼んでいる彼女よ、そして天理はあなたの家族を引き裂いた。」
「そうか、でもそれは過去、とうの昔に過ぎたことだ、契約は契約だし約束は約束だ、彼女たちが力を取り戻すまで俺は守ると契約した。」
「ふざけないで、何も知らないくせにあなたも被害者なのに加害者をかばうの?」
「そうだ、契約した以上、俺はそれを遂行する、もう誰も俺が約束を破って死なせたりしない。」
「そう、でも一人でどうするというの?」
アビスの魔物や使徒たち一斉にドミトリーに覆いかぶさる、そのまま彼は身を引き裂かれ、食いちぎられ
「第一と第四神翼、第十一神翼を限定解除」
なかった
一斉に元素力がドミトリーからあふれ背中から翼のようなシルエットが出現し光の柱が立ち上る。そして彼の眼がドラゴン特有の目の形に変化する。
付近にいた魔物やアビスの使徒が跡形もなく消滅する。
「貴方は一体…なに?」
アビスの姫君が光り輝く彼を見た、その姿はまるで龍と人を掛け合わせたかのようだった。
「俺の前ではアビスを使うんじゃなかったな、俺はそうだな…うーん、『神龍』とだけ名乗っておこうかな」
空中に浮かんだ石を手元に引き寄せ指で弾いた。
「ーッ!!」
アビスの姫君は彼が石をはじく直前で直観で射線上から避ける、彼がはじいた石は直後音速の数十倍に達し、秒で蒸発するもそのエネルギーで射線上の何もかもを消し飛ばした。
地形は抉れ、クレーターができて、ものすごい爆発音が巻き起こる。
姫君は吹き飛ばされた、一瞬一撃で戦意が消失し、がたがた震え始めた。
明確な力の差がここにはあった。
「姫様!!」
かろうじて生き残っていたアビスの使徒が彼女を抱え裂け目に消えた。
「逃げたか…あえて見逃したものの、弱いものいじめはやっぱり好きじゃないなぁ…」
こうして一晩のアビス騒動が幕を下ろしたのである