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…………………
…………………………はっ
「ここはどこだ」
光が薄らと差す路地裏の中、一人の人間が立っている。
なんも覚えてねー、確か昨日俺ゲームやってたような、してないような…… 覚えてないけど俺ならやっていそう。
「ここはゲームの中なのか……?」
ゲーム内で寝落ちして…、いいえないな、それなら強制ロックアウトするはすだ。 まぁ、ただつっ立ってぐだぐだ考えても仕方ない。
「ますは周りを見歩こう」
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数十分後。
……これは俺が思っているよりヤバい状況がもしれない。
今分かっていることは
1. ここは何処か全く見覚えがない。なんか中世ヨーロッパみたいで、その辺にチンピラやら家なしがたむろしてるし、まあ、ゲーム内ならよく見る光景だな。
2. ここが現実かそれともゲームの中が区別がつかない。ゲーム内ならシャンフロより技術が上だろう、現実ならなぜ俺がここにいるかは分からない。
3. UI 操作もロックアウトもなんもできねー、バグか?
この状況で考えられる可能性はゲーム内に閉じ込められてる、異世界召還された、危ない組織に拉致られて VRシステムの実験台にされてる、それとも壮大なドッキリ。
最初の二つはないね、中二はもうとっくに卒業した。
まぁ…常識的に考えて答えは明白、ドッキリだろ。そうと分かったらやることは決まった……
「ドッキリ仕掛けた奴ら見つけ出してブッ飛ばす!!!!!」
「というがなんで勝手にドッキリ噛ましてくれるの! ドッキリ番組に応募した覚えがないげど! シャンフロも良いところなのに、おめーらと遊ぶ暇がねーンだ!!てかこれ絶対カッツォかペンシルゴンが噛んでるだろ!許さん!あいつら次会ったら覚えてろ!!!」
サンラクがまったく見当違いなことをわめき散らしているところへ、別の方向から声がした。
「うるセ―!!!なに昼間から叫んだんだ!クソガキ!こっちとら二日酔いで死にそうでよう!!」
そう叫びながら酔っぱらいがサンラクへ酒瓶を投げつけた。
「っと危ねぇ!ていうがあんたこそなに昼間から酒飲んでんだ、働け!」
サンラクはそれを咄嗟に横へ避けて男の方を見る。
「黙れ!、大人舐めんなよ!」
そのまま酔っぱらいはサンラクへ殴りかかった。
しょうがない、適当に相手するか。ていうかこいつ体が大きな、でも攻撃一つ一つは大振りで雑、対処に難しくない。攻撃を避けなから隙をみて男の鳩尾に拳を叩き込む。…うん?綺麗に入った割に手応えがあまり感じない。
「ウグッ、…効かン!子供の力なんさこんなもん!自分の立場分からせてやる!」
ガシッ、 サンラクの腕が勢いよく掴まれてそしてそのまま軽々と投げられた。バンッと音をたててサンラクはゴミ溜まりに激突した。
「ははははは!!! どうー……
ガツィン!
「ふー、思っていたより苦戦したな」
投げられた後、着地した瞬間サンラクは体制を立て直してすくにだダッシュして、高笑いしている酔っぱらいにアッパーカットを決めたのだった。
一撃を受けた酔っぱらいはゲロを吐いて倒れ伏す。
俺が勝ったがらお前の所持品もらってもいいよな。そのまま身ぐるみを剥ぐがやっぱしげてんなー、まあチンピラからレアアイテムなんて期待していないが。てかこの小銭の絵柄見たことないな、円でもマーニでもない。
薄々気付いてたげど、これ俺のリアルの体じゃないな、筋力も速さも何もかも違お。
戦って分かった、この懐かしい感覚。俺は俺達は彼処で………。
「確かめないとな」
しばらく歩くと小さな川が見つけた。川に見つめて水面にうすっているのは金髪に顔に大きな傷のある幼女の姿だった、そうそこに映っているのは μ-sky の姿だった。
μ-sky「μのサイレント・キル・幼女」の略、俺が鯖癌(サバイバル・ガンマン)で使っているアバターだ。どうしてこの姿になってんだ、ここは鯖癌じゃないのは確が、孤島じゃないし、そこはこんな文明的な街があるはつもない。
自分の頬をつねってみる、頬が千切れる勢いでつねってみる。
「痛いッ!」
口角が勝手に上がる、心の中に妙な高揚感が感じ、孤島の風が吹くような気がする。
「あは、あはははははははははッ!!どうなってんだ!最高がよ!! あははははッ!!―――――」
それからは暫く狂喜乱舞した、割合とする。だがその時、彼(彼女?)を見てドン引きしている少女がいることに彼は知らない。
いや~、笑った笑った、ここまで笑ったの久しぶり…でもないな。だが俺が μ-sky になって痛覚を100%再現しているこの状況
。やっぱここはゲームの中だ、青い空、体に当たるそよ風、土と水 自然のにおい、体を動く感覚、心臓の音、全てリアルそのものだがシャンフロを作ったユートピア社の謎のオバーテクノロジーならやりかねない気もする。
ようやく自分におかれた状況がわかる。危ない組織に拉致られて VRシステムの実験台にされてるが正解だなあ……。
クソゲーじゃねーが!!!確かに俺はクソゲーハンターで孤島生還者だげど!勝手にでデスゲームにぶちこむな!
…………
クソゲーハンターの心得三ヶ条を思い出せ。寛容な心、不屈の精神、そして冷静な判断能力だ。
まずやる事をきめよう。 このゲームから解放され方法は単純、要は良いテスターになって運営に満足して貰えばいい!したがって、俺のやるべきことはこのゲームを楽しんでクリアを目指してればいい!ゲームをクリアしたらすかに出してくれるだろう、いいえ…そう考えるしかない。
まずは情報収集だ、これはどんなゲームでどうしたらクリアできるか知らないじゃあ始まらない。
こういう時は酒場に行くのはお決まりだろう。てかこんな昼間に営業している酒場があるかは疑わしい、いや、昼間から飲んでる酔っぱらいもいるんだ開いてる酒場もいるはす。……酒場の場所分からないだった、まあその辺にいる人に聞きゃいいか。
キョロキョロと周りを見る……
…… 、目が合った、次の瞬間少女がざっと顔を反らして逃げ出した。
何でだよ!
てッ言っている場合ではない、俺は走りだして少女を追う。…速いなおい、距離が縮まない、追い付けねえ! μ-skyのアバターはアサシンビルドで速度と隠密を注視したのに、その俺と同等の速さを持って少女は只者ではないはす、多分。この世界の基準とか分かんないけど、あれはこの世界の普通で俺が遅いだけとか考えたくない。μ-sky から速さを取ったらマジでただの幼女になる。
あのガキは何らかのフラクかもしれない、最初にエムルと会った時も確かこんな感じだったからなあ…。
逃げている少女は風のように走り貧民街を駆抜ける、時に壁や屋根を軽々く跳ねて立体的に動く。サンラクもそれを真似て少女を視界から外れないように追う。
だがこのままで埒が明かない、速度は同等、地の利はあっちにあるみたいだ。なら作戦変更だ、追い付けないなら尾行すれば良い、止まった時掴まえる。必要な事だからであって、決して少女をストーカーするとかではない。
……………
「ようやくまいたか……」
少女は周りを見渡して、そう呟いた。
「何でアタシが追われてるんだ、今回はまだ何もやってないのに」
少女、フェルトはさっきまで自分を追ってきた幼女のことを思いだす、最初に見たのは幼女が川沿いで高笑いしているところだった。とても幼女がだしていい声と顔ではないから、見た瞬間第一印象はヤバい奴だった。
そして次に目が合って、関わりたくなかったからさっさと逃げたげど、なぜか追われた。
何なんだあいつ、アタシは結構逃げ足に自信あったのに、ここまでついてこれるやつは初めてかも。それに見慣れない顔だ、貧民街の人間じゃないだろう。
まあいい、これ以上関わることもない。
………………
よしッ!
気付かれてないみたいだな、やっぱこの体は隠密に向いてる、俺のステルススキルもまだそこまで落ちじゃあいないみたいだ。
暫く少女を尾行しつつけるうちに何かの倉庫にたどり着いた。
そして少女は倉庫の中の人と合言葉みたいなことを言っている。
なになに、大ネズミに毒、白鯨に釣り針、我らが貴きドラゴン様にクソったれ!うんうん、意味がまったく分からないが、中二心がくすぐられる演出だ。あいつの見た目からは中学生くらいみたいだし、合い言葉を使いたくなる年頃だろう。
考えている間に少女は倉庫に入った。俺はどうしたらいい、さすかに入ったたらバレるだろう、だがここまで来て手ぶらで帰るのもあれだし……。
せっかく合言葉も分かったし、使ってみるるか!
コン コン…
「……フェルト、お前さん尾けられとらんじゃろうな?」
「たっ確かにさっき変な奴に追われてるけど、そんなヘマしねーよ!」
フェルトが盗品蔵に入ったしばらく後にドアがノックされて、二人は少しの緊張感に襲われる。
「……、大ネズミに」
「毒!」
「白鯨に」
「釣り針!」
「我らが貴きドラゴン様に」
「クソったれ!!」
ロム爺はそう合い言葉を倉庫の前のサンラクへ問いかける、そしてサンラクは元気よく全て正解に答えた。
ロム爺は警戒を解かず、扉を開いて来訪者を確認する。
「?」
「こっちだ!」
ロム爺が扉を開く瞬間誰も見つけなかった。それもそのはすだ、巨人族と幼女では身長差が半端ない。
声がする方向、ロム爺は下へ視線を向く。そこにはフェルトより幼くだがフェルトと似て金髪と赤い目を持つ幼女がいる。
「見ない顔じゃな、ワシに何のようじゃ?」
よう…か、少女を尾行してここまで来た…とも言えないし。どう答えるか悩んでいる間に声がして
「ああー!あんた何でここにいるんだよ!」
「フェルト、お前さんの知り合いか?」
「さっき言ったアタシを追ったやつだよ!」
そう聞いて背の高い爺さんが臨戦態勢に入る。あれ、情報収集のつもりで来たのに、また戦闘イベントが始まるのか。
いえいえいえ!さすかにこれはまずい、手ぶらでこの筋骨隆々爺さん相手するのは厳しい。単純に攻撃力が足りない、もしナイフか銃がありゃ話が違うが無い物ねだりしてもしがたない。
ここはどうにか穏便に済ませてもらおう、俺のコミュ力でパーフェクトコミュニケーションを叩き出して見せる!
「お姉ちゃん!久しぶりだね!探したよ!」
「なっ!!」
「ぬおお!」
二人ともいい反応をするなあ。場を和ませるために、まずは一発ギャグだ。
「フェルト、お前さん妹がおったのが!?」
「いねえよ!ロム爺も知ってるだろ!おい、お前適当な事言うな!何者だよ!」
「しくしく…、ひどいよお姉ちゃんっ……」
と泣き真似してみたが、これは意外と効く。筋肉爺さんの方はおろおろしていて随分と警戒を解いたみたいだ、少女の方も困惑顔してるし、この幼女ボディのおかげかそれともこいつらがお人好しかは知らんが。まあ…これぐらいにしておくか。
「とまあ、今のは冗談で。俺の名前はサンラクまたはμ-sky、怪しい者じゃあない」
「どこかだよ!怪しさしかねえじゃねえか!!」
「いえいえ!どこか怪しいと言うんだ、どこをどう見てもただの幼女だろ!」
「あんた、ついさっきアタシを突然追いかけてきただろ!」
「それはお前が目え合って逃げだすから…、つまり付いてこいてことだろ?」
「違うっ!」
しばらく二人の言い合いは続くが、傍目から見たらただの姉妹喧嘩にしか見えない。実際にロム爺もふやけた顔でその光景を見ている。
「お前さんらもう玄関の前で喧嘩するでない、ますは中には入れ」
「ロム爺!こいつを入れんのがよ!」
「おじゃましま~す」
ラッキー!どういうわけかは知らんけど、とりあえず倉庫に入るという目的は成功した。中に入ってカウンター席に座る、爺さんもその辺の椅子に座って酒を煽る、少女の方はカウンターに背を預け、こっちを睨みつけている。
「爺さん、俺にも酒くれ」
鯖癌では酒とタバコは回復アイテム扱いだからな、こっちの世界はどうなのかは知らないが、充分試す価値がある。
「駄目じゃ、子供にはまだ早い」
だめだった、後で試すか。
最初は酒場の場所を聞くだけのつもりだが、この筋肉爺さんの顔はどう見てもかたぎじゃない、倉庫の中も物騒な物たくさん見える。酒場に行くよりこの爺さんから色々聞いたほうが早そうだ。
「それで……此処は何?」
「お前さんようあって来たんじゃないのか……。ここは盗品蔵、盗品を売ったり買ったりする所じゃ。だがここを知らんならなぜお前さんは合言葉を知っておるんだ?」
「ああ、それはただあんたとそのガキが言っているのが聞いただけ」
「誰がガキだ!あんたの方がよっぽどガキじゃねーがっ!」
「フェルト、お前さんやっぱり尾けられおったか……」
「うっ……、あの時周りに誰もいねーはすなのに…」
「気配消すの俺の十八番だからなっ」
「それでサンラクと言ったな、お前さんは何でフェルトを尾けおったか、話によりゃーただじゃおかんそい?」
「大した理由じゃないが。この辺来るのは初めてで、道を聞こうと人を探してたら、こいつと目えが合って逃げられたから追っただけだ。こっちこそ何で逃げられたを聞きたいくらいだ」
「本当に大した理由じゃないのう……」
「あんた虎か何かかよ……」
誤解を解いた後は二人からこの国や貧民街について色々聞いた。筋肉爺さんはロム爺で少女はフェルトと言うらしい、まぁ自己紹介する前から何回も聞いたけど。俺の事は諸事情があってこの国に突然やって来たと説明した、信じるかは分からないけど詮索してこないだから充分、実際嘘言ってないしな。
この国はルグニカ神竜王国で最近王族全員死んで、今は新しい王を探すため王選している。どのゲームでも王様関係はビッグイベントだ、シャンフロでも双王戦争の時はほぼ全プレイヤーを巻き込んだし、この国の王選もそうなる可能性は高い。このゲームのクリア条件はまだ知らないが、王様になるとかかもしれないし。
それから聞いた話ではこのゲームの世界観はよくある中世ファンタジー世界だな、魔法や加護、精霊があるらしい。だが銃がないみたいだ、これじゃμ-sky のプレースタイルを完全再現出来ない、メイン武器はナイフだが遠距離攻撃も欲しい。
まぁ……それらも大事だが、後回しでいい。今俺が直面している問題と比べりゃあ王選も銃も大したことじゃない、そう…ないのだ、金がねええぇ!!どうすんだ、あれやこれやしている間にもう日が暮れそうになったし!酔っぱらいから貰った金程度じゃ宿も取れねぇ。クソゲーなら、スタート時に金も装備もくれないような親切心の欠片もない製作者もよくいるが、ゲームに閉じ込めるならせめて初期装備くらいよこせよ!
こうなったらもう最終手段を使おしかない
「ロム爺、頼む!寝床と飯と武器と仕事と風呂と…あとは金もくれ!!」
我ながらなかなか綺麗なフォームであった。もはや一種の芸術と言っても過言ではない。――俺はありったけの誠意を込め、ロム爺に向かって見事な土下座をキメた。
「あげるわけねーだろ!どんだけ図太いお願いしてんだよっ!」
ロム爺がポカンとしている内に、フェルトが先に突っ込んだ。
やっぱ駄目か……最初はここに泊まってくれとお願いするつもりだったのに、欲が出ちまった。だが諦めたらそこで試合終了だ!野宿したくない!ここはもう一押し!
「出世払いで三倍返ししてあげるがらよ!」
「それ返すつもりねーやつじゃん!」
「うるせ!今俺はロム爺と交渉してんだ!」
「交渉じゃなく、脅迫だろ!」
「…サンラク、お前さんはまず立ってくれ、悲しく見てられんわ……」
お…、ロム爺復活した。まぁ確かに幼女の土下座なんて見てられないだろう。言われたとうり立って、ロム爺を見る。
「お前さんの事情は分かった。金はやらんが、しばらくここに泊まっていいぞい」
「よっしゃあああ!!!」
「えええええぇぇえ!!?」
サンラクとフェルトの声は重なり、夕焼けの空に響きわたった。
…………………………
太陽の光がまぶたを鬱陶しく照らし、俺を眠りから呼び覚ます。ああもう朝か、周りをみて目に入るのは自分の見慣れた部屋ではなく寝ているロム爺とフェルトだった。確かフェルトは昨日、俺がここの物を盗むかもしれないから今日はここに泊まると言っていたな。普段は別の場所で寝ているらしいが。ここはベッドも布団もないから三人仲良く床で寝たなあ……ちょっと体が痛い、飯もまずいし、風呂もねえ。これはさっさと金稼いで、いい宿とらないとな身が持たないな。
「さっそくだが、ロム爺なにかいい仕事ないか?」
朝食も済ませた後そう聞いた。
「仕事のう…子供のお前さんに出来る仕事はそう多くないそい。フェルトを尾行できるくらいならスリもなんとかなるじゃろう。一応聞くが他に出来ることはおるか?」
「暗殺。こう見えて暗殺者だからね、俺」
「ぼっふ!」
「うっわ汚ねぇ!」
サンラクはそう答えると、フェルトは飲んでいるミルクを盛大に吹き出しサンラクの顔に直撃した。
「俺の顔に向けて吐くなよ!」
「ゲッホゴホ!すまんて、悪かったよ!……ってか暗殺者!?」
サンラクはミルクまみれの顔でフェルトへと迫る。フェルトも多少わるく思っているか、むせ返った後苦笑しながら謝る、そしてサンラクが言った事を思い出す。
「何だよ、暗殺者で悪いか?」
「いぇ、普通に悪いだろ…」
サンラクはロム爺から貰ったタオルで顔を拭きなが聞くと、フェルトはぼそりと答える。
「でよ、なんか暗殺の仕事がないか?」
「うむ…ないわけじゃあない。……後で紹介してあげよう」
こうして、サンラクの異世界暗殺者生活は始まった。