俺の緋の眼は曇らない 作:匿名
今回から新章に入ります
偽旅団vs陰獣の戦闘シーンはないので能力だけ…
スパイダー・マッスル(強化系)
実はスパイダー・ブレイン(操作系)とのジョイント型能力者。ウボォーさんに迫るタフさを誇る
スパイダー・クイーン(具現化系)
十二等分の皇后(ダズンディバインクイーンズ)
11人の自分を具現化する(合計12人)。それぞれが自我を持ち、全員が"本体"である。自分が2人以上いる時にはこの能力を使えない。
「警部、参考人が病院から脱走したそうです」
「脱走だと? 全治3ヶ月だぞ」
参考人とは、腹部に銃弾を受けて保護された少女。
クルタ族虐殺の生き残りであり、ヨークシンの大規模抗争にも関わっていると見ていた。
ヨークシンの事件──少女が撃たれて保護されたのは、1週間前のこと。
「攫われたんじゃないか?」
「いえ、監視カメラの映像から、飛び降りて歩き去ったことがわかっています」
「4階だぞ?」
「はい…それで、脱走の前には天空闘技場の住所を知りたがっていたそうです」
「…手に負えんな。ハンターを呼ぶか」
×××××
美少女は得だ。
もちろん、美少女になったからって出会う全員が善人になるってわけじゃない。中には変態的なやつもいた。
それでも、プラスマイナスで、かなりプラスだ。
海を渡って天空闘技場まで、ヒッチハイクで楽に来れたのだから。
大ホールの中、観客席兼待機所から16個並んだリングを眺める。
天空闘技場とは言うものの、やってることは地下闘技場みたいなものだった。
ルールは目突き・噛みつき、凶器禁止くらいのもの。
グローブの着用が任意。靴を履くのも任意。もちろん服装も任意。
野蛮人の聖地とはよく言ったものだ。
…と、出番がきた。
相手は大学生くらいか。
鼻が潰れていて目が腫れぼったい。
殴られ慣れた闘士の顔だ。
「ここでは入場者のレベルを判断します。3分以内に力を示してください」
「実力差がありすぎてもちゃんと判断できるのか?」
「はい、できますよ。他に何か質問は?」
審判は質問が無いことを確認し、試合開始を宣言した。
男はファイティングポーズをとるだけで仕掛けて来ない。
「来ないのか? 何も出来ずに負けたら流石に査定に響くだろ」
「え、こっちのセリフなんだけど? もしかしてお兄さん、力の差もわからないくらい雑魚?」
「…怪我しても知らねえぞっ」
振るわれた拳は、見てから回避が間に合うスピード。
「おっそ♡」
カウンターでボディに軽く掌底を入れた。
男は小さく呻いて、距離を取る。
「俺の攻撃を誘ってカウンター狙いか。やるじゃないか」
白い顔でシャドーボクシングをし始める男に近付いて、ミドルキック1発で床を舐めさせた。
カウンターじゃない俺の蹴りも案外悪くないな。
なんだかんだで付き合ったスパーリングの成果はあったようだ。
そういえば蛭とフグタラは勝てただろうか。
あの偽旅団、生け捕りにするには危険な能力者だったように思うが…
「君は50階だね」
と、審判が手元の機械で受付証を発行し、俺に手渡した。
過ぎたことなんて気にしても仕方ないか。
リングを下りて50階に上がる。
『次の試合は、なんとなんと、美少女と野獣の戦いです!』
スピーカー越しに実況者が囃し立て、会場のモニターには1階でやった初戦の映像が流される。
このうちに客は選手に金を賭ける。それが天空闘技場のシステム。
賭け率は3対1.2。
俺が圧倒的に不利だと思われているらしい。
『それでは、試合が始まります!』
実況者が促し、審判が試合開始を宣言する。
ステップを踏みながら間合いを測る相手に、俺は摺り足で距離を詰める。
そして、蹴った。
『瞬きすら許さないパメラ選手の蹴りが炸裂ゥー!! イガラシ選手、立てません! KO宣言です! 一発でケリがついてしまいましたァ〜!』
そして特に苦戦もせず150階を超えた頃。
「次の試合、念能力を使わないで欲しいんだよね」
通常の数倍サイズのマチ針を何本も顔に突き立てた男が突然現れた。
(ギタラクル…というか、イルミ…!)
反射的に練をする俺に、男は平坦に言う。
「戦る気? バレたら面倒なんだけどなぁ」
「やるわけないじゃん」
なんで天空闘技場にイルミいるんだよと思いつつ、考えてみれば現在は1995年9月。
キルアは原作開始時点──1999年で11歳。
現時点では8歳になったばかりなわけで…
そして、6歳から8歳まで天空闘技場にいた。
つまり、そういうことらしい。
「で、次の試合、念を使わないと思っていいのかな?」
「当たり前でしょ? 普通の理解力があれば確認は不要じゃない?」
「そ。ならよろしく」
…
……
………
『天空闘技場史上、最も"かわいい"戦いが始まろうとしています!』
向かい側の登場口から現れたのは、キルアだ。
リングを、普段より少し広く感じる。
『今回の試合も、キルア選手の年齢を考慮して3ポイント制となります。クリーンヒットには1ポイント、クリティカルヒットなら2ポイント、ダウンかリングアウトを奪えばさらに1ポイント。そして合計3ポイントを先取すれば勝利となるルールです』
クリティカルヒットとダウンかリングアウトが重なれば一発で決着がつく。子供を壊さないための短期決戦ルールということか。
賭け率が決まるまで暇していると、対面のキルアが俺を見ていることに気付いた。
「お前、弱そうなのによくここまで上がって来れたね」
「ん? 鏡に言ってる?」
キルアはニヤリと笑った。
「言っとくけどオレ、本気出したらスゲー強いぜ?」
「うん。まぁ、怪我しないように頑張って」
賭け率は1.8対1.6。
かなり割れつつも、なんだかんだで俺が有利と見られているか。
「始め!」
という審判の合図の直後、キルアが猫のように飛び出した。
セオリー通り、左前に構えた俺に対して反時計回りに回り込んでくる。
こちらもセオリー通りなら正対するように動くところだが、俺は時計回りに背を向ける。
後ろ回し蹴り。
「クリーンヒット! パメラ1ポイント」
『リングの端までふっ飛びましたが判定は1ポイント。キルア選手、脅威のバランス感覚でダウンを免れたぁ!』
違う。キルアは自分から後ろに飛んでいた。
(オーラを絶った蹴りが見切られたのは初めてだな…)
オーラを絶った攻撃は、攻撃の気配が無い攻撃。
念能力者にはオーラ攻防力などの関係で通用しないものの、オーラ攻防力がほとんど0な非念能力者との勝負に限れば非常に有効だ。
実際、天空闘技場ではクリティカルヒット取り放題だったのに、キルアの反射神経はモノが違うらしい。
判定こそクリーンヒットになったが、ダメージを与えてはいないだろう。
「へー結構やるじゃん、今の攻撃。達人並みだぜ?」
「そう? かる~く蹴っただけなんだけど♡」
「フン、もう食らわねーよ」
再放送で突っ込んできたキルアに、同じく後ろ回し蹴りで返す。
間合いを見切って躱された。
「しゃあっ」
そのまま半回転して左の蹴り。
も透かされた。
俺はキルアに背を向ける形でリングに這う。
「隙ありい」
脊柱への打撃が来る。
立ち上がる時間は無いが…
(反撃する気はあるんだよなぁ)
キリンがライオンにするような後ろ蹴り。
『楽々吹っ飛んだァ〜!』
回さず押し込む蹴りのぶん、最初の一発よりも大きく飛ぶ。
「クリティカル&リングアウト。勝者パメラ!」
流石に念を使えない8歳児には負けられない。
試合後、イルミに絡まれることもなく歩いていると…
「さっきの蹴り、どういうカラクリか教えろよ」
キルアに話しかけられた。
よく言われてる、カルトが念を使えるのに歳上のキルアが念を使えない(教えられてない)理由について
私は、キルアが念能力を覚えちゃうと制御不能になるからじゃないかなと思ってます
原作のキルアは念無しでもミルキと母親に重症を負わせて家出してますし、念を覚えてから1年半後にはアルカ(ナニカ)をゾル家から連れ出しちゃってるんですよね
キルアがゴンと会う前に念覚えちゃったらナニカの力で世界がヤバい