第1話 新たな始まりの一歩
2022年11月6日 ー 時刻:午後17時半
『プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ。私の名前は茅場晶彦....今やこのゲームをコントロール出来る唯一の存在だ──』
『諸君らは既にメインメニューからログアウトボタンが消滅している事に気付いていると思う。しかしこれはゲームの不具合ではない……繰り返す。不具合ではなく
『自発的にログアウトする事も出来ない……また、外部の人間の手によるナーヴギアの停止あるいは解除もありえない。もしそれが試みられた場合ナーヴギアの信号阻止が発する高出力マイクロウェーブが検知し、
『残念ながら現時点でプレイヤーの家族や友人などが警告を無視し、ナーヴギアを強制的に解除しようとした例が少なからず存在する。その結果
『しかし、十分に留意して貰いたい。今後ゲームにおいて、あらゆる蘇生手段は機能しない。HPが0になった瞬間諸君らのアバターは永久に消滅し──
同時に
『諸君らがこのゲームから解放される条件は、たった一つ。先に述べたとおり、アインクラッドの最上部である第100層まで辿り着き、そこに待つ最終ボスを倒せれば、ゲームをクリアすればよい。もちろん誰か1人でも、倒す事が出来れば、その瞬間生き残ったプレイヤー全員がこの世界からログアウトされる事を保証しよう』
『最後に忠告しておく……これはゲームであっても、遊びではない
プレイヤー諸君の健闘を祈る──』
あまりにも突然と語られたしの言葉を聞いた
未だに信じられない者
その場で泣き叫ぶ者
涙ながら助けを求める者
唖然としながら、その場で座り込んだ者
そして………絶望した者
SAOを開発した本人でありながらGMでもある茅場晶彦が宣言した正式なゲーム。しかしそれはまだ、始まりにすぎなかった──
★★★★
《Rituka side》
危険とは分かっていながらログインしてから数秒、目を開けると全てが電子で構成された空間に意識が舞い降りる。
ここまでの一通りは、自信がSAO開発側のテスターだった時と同じ状態。何か襲ってくるのかと少し警戒していたが、特にそのような様子は見当たらない。それからしばらく待つと目の前にから数々の数字や文字列が現れて周囲を覆い、それらをじっくり眺める内にゲームならではの初期設定ガイドが作動される。
『プレイヤーIDと、パスワードを入力して下さい』
機械的なアナウンスに従いながら浮かび上がったウィンドウに設定を埋めていく。相変わらず身体はないはずなのにまるで普通に物を触れられるかのような感覚は、正直どうしても慣れない。もしもこれが純粋なゲームであったなら年甲斐関係無く夢中になる程楽しい気分になるはずだが、今の状況を見てそんな気持ちは一つも無い。ただ、これから向かうログアウト不可能の世界へと舞い降りるには強い警戒心が必要だ。
やがて設定の確認を済ました俺は最後にOKボタンを押して設定の終了をする。本来ならこの後キャラクター登録をするのだが、開発側のテスターだった時に登録したデータが残されてあるから変更する必要はない
キャラクター登録
既に登録したデータが残っています。使用しますか?
(YES) or (NO)
表示された文字を見て悩む事なく《YES》と押した。もちろん開発を行なっていた時のデータが残ってなく、ほとんど全て初期化に戻るだろう。自身のアバターのデザインに変更がないならそれでいいと思った。ようやく全ての設定を終え、いよいよあの世界に突入できる。
System Error System Error System Error System Error 01010101010101010101.......@37:」/」/!/?25@:/¥....... System Error System Error......
だがその時、突如とゲームのタイトルロゴが赤色に染まった文字化けへと変わっていく。しかもそれだけでなく、エラーが起きてしまったかのような雑音が所々から鳴り響く。
「な……なんだ!?」
予想外の出来事に驚きを隠せない俺は焦り、真っ白な何かが自身に向かってこようとする。しかもそれはあまりの眩しさに、思わず視界を閉じてしまった。
やがて雑音が消え、特に襲われたかのような気配もなかった。自身の視界を開いたら、そこは周囲を
「始まりの街に転移するはずなんじゃ……それにこの姿━━」
装備も初期状態となるはずだが、身につけているのは開発を行なっていた時の服装だった。何かおかしいと違和感を感じた俺は試しに《メニュー・ウィンドウ》を開こうと指を動かそうとするが、何故か開けない。
「ウィンドウも開けないし、ここはどこn……『驚いたな。今になってログインする者が現れるとは……』───ッ」
ふと自分以外の声が聞こえた方に振り向くと、目の前には魔法使いをイメージさせるような
「茅場………さん」
『外部からの侵入と思ったら、やはり君だったか………立香』
姿は違えど、声や雰囲気からしたらまさに茅場本人さんであるとすぐ気づいた俺の内心にある様々な感情が揺さぶる。
『立香……何故こんなところにいる?何故ログインしたのだ?』
何かを話そうと考えていた時に、ふと茅場さんが先に話しかけてくる。しかもその雰囲気はいつもとは全くの別人と思うくらい冷たく、一瞬黙り込んでしまったけど慌てて言葉を返した。
「む、向こうの世界でニュースを観たんだ……その……SAOをプレイした人達が次々と……死んでいっているが……」
「だから多分なんだけど、SAOのシステムに異常があるかもしれない!それならいっそ一度システムを完全停止して、SAOに残っている人達をすぐにログアウトさせないと………じゃなきゃ、このままでだと茅場さんが殺人犯になってしまう!!」
言葉を語るのに必死だった。もちろん向こうの世界で事件が起きている事も、茅場さんが容疑者になっているという事も忘れていない。それでもどうしても未だに信じられな石、きっと話せない事情があるかもしれないとわずかな希望を持つ俺は問いかけ続ける。
『あぁ……なんだ、
けど、返された言葉は余りにも冷たく……俺は思わず声を詰まらせてしまいそうになる。
「そんな事って……ひ、人が死んだんだよ!?」
『そうだな、
「………え?」
『そんな事は私も最初から知っている。200名以上のプレイヤー達が永久退場してしまったのは流石に想定外だったが、それでも私の計画の予定は変わらない。』
「────ッ」
まるで人の命を奪ってもなんとも思っていないと言わんばかりな口調で答える茅場さんの言葉を聞いて、思わず息を呑み込んだ。そ語られた言葉の中に“計画”というのは、恐らく今起き続けている事件を本人が起こしていたとなんの躊躇も無く認めたのであろう。
「か、茅場さん……ちょっとm──」
『この世界にログインしに来たって事は、私が今何をしているのかについて知りたかったんじゃないのか?』
「そ………そうだよ……だから俺はここに!!」
『なら、もう私からの答えは聞いたはずだ───今すぐ現実世界に帰れ』
「───は?」
再び冷静な口で言葉で告げるが、いきなり“帰れ”と言われて戸惑いを隠せなかった。
「な………何を言って━━」
『言葉の通りだ……今すぐ
まるで赤の他人のにしか見えないかのような口調で語り出す。それでも茅場さんの言う事が聞けない俺は言葉を返そうとした時、目の前に開けなかったはずのウィンドウが浮かび出てきた。
表示された画面には
『安心したまえ、ログアウトをしても現実世界にある君の身体には影響はない。』
つまりこれを押せば、向こうの世界へ戻れる事ができる。けど、俺は触れようとしなかった。
「き、急に何を言ってるの!?こっちはまだ、茅場さんの本当の目的を聞いていないんだよ!!」
『私の目的か………残念ながら、それだけは答える事ができない。とにかく、さっさとログアウトするんだ。』
「だ、だったら俺はここに残る!!大体、こんな事をして何になるんだよ!それに凛子さんだって、今ごろ茅場さんの事を心配しt──」
納得ができなかった俺はしつこく問いかけようとした瞬間、ふと身体から力が抜けていた。
「え━━━」
膝から力が抜けそのまま倒れ込みそうになるも、咄嗟に踏ん張りなんとか倒れるのだけは堪えた。違和感を感じた俺は視点だけ動かすと茅場さんの手元にウィンドウが表示されて、恐らく俺に何かをしたかも知れないと気づく。
「茅場さん…何を──」
『安心したまえ、危険はない。ただ、
その言葉を聞いた瞬間、自身の身体からまるでガラスの破片のように砕け散っていく。
『もちろん向こうの世界で死ぬ事はない、ただ君を強制的にログアウトするだけさ。再びSAOにログインしようとしても現実世界である本体の君……立香が二度とログインしないようにするシステムを入れておいた。』
何があっても茅場さんは本気で俺をこの世界から強制ログアウトさせるつもりだ。しかもそれだけでなく、今後再びSAOにログインしても自動的にログインさせないような設定をシステム内に組み込まれれてしまった。そんな事ができるのかと疑っていたら、自身に身体が徐々に消えていく。
何か他に手はないのかと必死に考えていた時に、未だに赤ローブ姿である茅場さんは背を向きながらこの場から立ち去ろうと歩んでいく。
「──ッ!か、茅場さん待って!!!」
追いかけたいと思っても、足が全く動いてくず立ち上がれない。それでも俺は、必死に声を出した。
「なんで……なんでなんだよ!一緒に作ったSAOを……どうしてこんな事をするんだよ!」
身体が思うように動いてくれず、ただ俺は叫び続ける事しかできなかった。
「凛子さんだって今頃、泣いているかもしれないんだぞ!!黙ってないでなんか答えてくれよ……茅場さん!!!」
必死に身体を起こそうとする俺は、何度も呼びか続ける。けど、呼ばれているのを無視しているのか、振り返ろうとする気もない。
「さらばだ、立香」
──と、結局振り返さないまま最後にそう告げた茅場さんは光の粒子と共にその場から消え去ってしまった。
気がつけば、その場にただ1人だけ残されてしまった俺は自然と身体から力を抜くようにその場で倒れてしまう。もはや唯一の望みだった茅場さんと会話もあっさりと終えてしまい、真相について何も答えてくれなかった。
「ちくしょう………ちくしょう………」
何もできないと言う無力さを感じながら、俺は悔やむ。“このまま何もできずただ帰るだけなのか……”と、脳内にそのような言葉が聞こえてくる。もう何もできる事はないと諦めかけた時、ふと白い空間の上の方にある無限に続く空を見上げる。
「────だ………まだ………」
もうすでに動かなくなってしまった身体なのに、腕だけでも動かそうと空の方に手を伸ばした。
「まだ………諦めたく………ない───」
意識が遠下がっていくが、何故か諦めたくはなかった。
「俺は……こんな所で━━━」
“諦めたくない”と言葉を出そうとするが、ついには口も開けなくなってしまった。もはや一言すらも喋れなくなってしまった俺は、意識が遠くなっていく━━━
“ハァ〜全く、本当にしょうがない人ですね〜”
──と思ったその時、突如脳内に
“せっかく無条件のまま生きて現実世界に戻れるって言われたのに、ほっんとうに傲慢で危険を顧みない相変わらずな貴方の悪癖は変わらないですね〜”
まるで以前から自分を知っているかのような口調で語り続ける少女の声。口は変わらず開けないが、内心で“誰だ”と尋ねる。
“私ですか?ふっふ〜私は、貴方の最強ラスb………って、今はまだ言ってはいけませんね。危ない危ない……オッホン!とにかく、私が何者なのかを気にするよりも!今は無惨な貴方にサポートしにきたんですよ〜!
思わず自身の正体を漏らしてしまいそうになった少女の声は何かを誤魔化そうとしたが、そもそも何しにきたのかいまだに分からない。
“本当は
一応教えてくれるが、そもそも顔も名も知らない少女の声を本当に信用していいのかと未だに疑う。
“あぁ〜!その微妙な反応は私の事を信用していませんね〜ぷんぷん!そりゃそうですよね〜、いきなりこ〜んな可愛い美少女な声が聞こえたら、それまぁ驚きますもんね〜。話は戻しますけど、今からでも私は貴方を仮想世界へ送る事ができますが一度入ってしまえばもう二度と出れません。もちろんあっちの世界で死んでしまったら、現実にある貴方の存在もDeathですよ〜☆”
まるでこれから危険な場所へ向かおうとする自分を嘲笑っているかのように聞こえるが、それでも一応は説明してくれている。
“というか今更なんですけど……貴方っておバカさんですか?ついさっき危険だって散々ニュースで報道されていたのにも関わらず、わざわざ自分から向かっていくだなんて〜。どこぞの正義の味方みたいにヒーロー気分でもするつもりですか〜?”
言い方に関して何故か少しイラッとするが、言い返せる言葉がない。声の言った通り俺はなんの考えもなしでSAOにダイブして、そんで今じゃ何もできないままアバターが消去されるのをただ待つだけしかできない。誰がどう見ても、無謀であると言っても仕方がない。
“それでどうするんですか?命の欲しさに何もできないまま現実世界に帰るのか、それとも死んでしまうと分かっていながら仮想世界に向かうのか。生と死……貴方はどっちの道を進みに行きますか?”
ここで二つだけしかない選択を言い渡された。
“ふ〜んなるほど……一応確認しますけど本当にいいんですか?もしかしたら、
再び尋ねるが、そんな問いに対し言葉を心変わりをする気もない。
“考えは変わらないとそう解釈してもよろしいんですね………ほんと、貴方らしいです……ふふっ、いいでしょう!!ならこの謎の美少女が貴方を偽物の世界へ送り届けましょ〜う!あっ、ちなみにもし貴方のHPがゼロになってしまったら、現実と同じように死んでしまいますから、そこの所はご注意してくださいね〜☆”
──と生意気で不気味な笑みを浮かぶかのような口調で語り、視界が徐々に真っ白へと染まっていく。何をされたのかは分からないが、意識も途切れようとする。
“それでは、無惨な死に方にならないよう……せいぜい頑張ってくださいね〜
セ・ン・パ・イ♪”
その瞬間、空間がガラスが割れるような破砕音が響く━━━
★▽★▽★▽★
意識が朦朧とする中、冷たい空気が肌を撫でていくのを感じる。風の音が耳元で唸り、身体には妙な浮遊感がある。
違和感を覚えた俺は恐る恐る目を開けると━━━目の前には
「────へ?」
突然すぎる光景に思わず目が点になり、思考が完全に止まっていた。最初は夢でも見ているのかと思ったが、頬を叩きつける風の感触や耳元で轟く風切り音。そして目の前に広がる雲や遠くに沈みかけている夕陽も……妙なほど鮮明だった。嫌な予感がした俺は視線を下へ向けると、そこには遥か彼方に広がる緑一面の大地があった。
「な………な……」
その光景を見た瞬間、嫌でも理解してしまった。今の俺はパラシュートも何も持たず、空のど真ん中からスカイダイビングをしている状態になっている。
身体はまるで重力に引かれるかのように落下していき、地面へと少しずつ近づいていく。
「なんでさぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!?」
驚きと恐怖のあまり思わず絶叫してしまった。当然だ、このまま落ち続ければ待っているのは地面との正面衝突。しかも、地上までは少なく見積もっても百メートル以上はある。こんな高さから何の準備もなく落下したら、どう考えても無事では済まない。
「やばいやばいやばいやばい!!!」
風圧で涙が出そうになる。必死に頭を回転させるが、こんな状況を打開する方法などそう簡単に思いつくはずもない。
「だったら━━━ッ!」
最終手段として俺は咄嗟に身体を丸め、ぎゅっと目を閉じる
「アーチャー、着地任せた!!!」
無事に地面に着地してくれると信じ、そう叫ぶ………
「いや何が!?ってかアーチャーって誰!?」
しかし何故そんな意味不明な言葉を発現したのか分からず、自分自身に思わずツッコミを入れる。
だがそんな暇もなく、視線を変えると目の前には草原が広がる地面が目に入った。
「────」
“あ、これ死んだわ”と脳内に言葉が浮かび、そのまま見事に地面と衝突してしまったのだった。
======
「イ゛イィ───たくない?」
地面と衝突した俺は思わず腰に手を当てるが、まるで最初から痛みはなかったかのよういつの間にか消えていた。意識を失っていた時に空中からいきなりスカイダイビングをしているのにも関わらず、高い所から落ちてしまうと死んでしまってもおかしくなかったはず。だが身体に何の外傷もなく、違和感を感じながらその場で立ち上がる。
辺りを見渡すと、盛大に広がる草原だった。
「あれって…ボア?」
また別の方に視線を変えると、草を毟り食べるイノシシ型のフィールドモンスターである《
その存在に気づいた俺は思わず自身の人差し指を振ルト、小気味の良い音と共に目の前にウィンドウが開かれた。
「やっぱり、間違いなくここは……SAOだ。」
身に覚えのある草原と現実にいるとは思えない猪型の動物。間違いなくこの世界は、かつて茅場さんと共に開発したソードアート・オンライン。そして俺がいる場所が間違いじゃなければ、アインクラッド第1層の草原フィールドである。
「メニュー画面の機能が元通りになってるし、もしかして──」
開かれたメニュー画面にはついさっきまで真っ白だった機能が全て元通りになっていた。更にメニューを操作すると、画面には≪Option≫と≪Help≫の二項目も元の戻っているがその
「──ッ他に何かないのか?」
これで
「手鏡…………何でこんな物が。」
アイテム欄からオブジェクト化した手鏡を手に取り、そこに写っているのは
それは紛れもなく
《
「…………え?」
HPゲージに異常もなく、自身のレベルは(1)に戻っている。それに関しては特に問題はないが、
本来なら俺のアバター名は現実と同じ名前である《
「なんか……女の子っぽい名前だな……」
そう呟いていると、自身をこの世界に送ってくれた“声”が最後に語りかけた言葉を思い出す。
“もし貴方のHPがゼロになってしまったら現実と同じように死んでしまいますから、そこの所はご注意してくださいね〜☆”
その言葉を思い出し、手が止まった。覚悟を決めてログインしたというのに、いざとなるとやはり少し怖気てしまいそうになる。
けど今俺がいる場所は草原フィールドで、そこら辺に敵対mobが多く潜んでいる可能性もある。その事を思い出した俺はここにじっとしていられないと考え、一番近い村に向かおうとマップを操作しながら探す。安全フィールドに行けば攻撃的なモンスターがやってこないだろうし、何より開発の時からシステムが変わっていなければ行き先もある程度覚えている。
「ここから大体5分くらいで行けるから、モンスターと合わずに済めるな……よし───」
一番近い村までの道を覚えた俺は、草原に整備されテイル横に広めの一本道を見つける。恐らくこの道を辿れば、目的地まで辿り着けるだろう。いかにこの世界の知識を知っていると言っても、“絶対に死なない”という自信を持っている訳ではない。何より今この世界で何が起きているのか、今のところまだ何も理解ができていないままだった。
「何とかやるしかないだろ……大丈夫だ。俺は
またわけの分からない言葉を語っていた俺は自然と疑問が浮かぶが、今はそんな考えをする暇はない。頭を振って思考を切り替え、今はただ目的地へ移動する事だけ考えるしか頭にない。
そう自分に言い聞かせながら、俺は走り出す━━
《Rikka side end》
突如として
「
そう呟くと、隣に浮かんでいる受話器から青年のような声が響く。
『そうだね………しかし、本当にこれでよかったかな。』
「何がだ?」
『彼のことだよ。本当にあの世界へ向かわせて良かったのかなと、未だに後悔しているよ。』
「
『ははは相変わらず手厳しいね……それはともかく、いずれ彼は普通じゃない旅を再び経験するだろう。しかし今の彼には何の力も持っていないただ普通の人間で、
「“何故”と問うか……であれば答えよう。いくつもの旅を経験したあの小僧は例え記憶を失っても、そこから新たな旅へと進んでゆく運命は変わらぬ。いわゆる
『切れない縁……
「なに、ただあの小僧に興味を持ったからだ。かつて我が師であった
『成程そういう事か……ならば私は今回も見守ろう。せめてマイロードには
「
最後に登場した二人は、なんか凄い力を持っている魔法使いのお爺ちゃんとロクデナシな花の魔術師でした。
※ちなみにリッカ君を送った声の主は同じ顔を持つ彼女達から叱られたり嫉妬されたりなど、ぐだぐだな感じです。