すっごいモチベが一時期なかったのですが突然湧いてきたので投稿させてもらいまする
『敵性無人兵器の殲滅を確認。』
《機体損傷率:0%》
《駆動系統:正常》
ラナは機体の状態を確認すると、前方へと意識を戻した。
白銀の雪原を、紅黒の機体が疾走していた。
ナインボールの脚部が雪面を踏みしめ、背部ブースターが激しい噴射炎を吐き出す。
その巨体が加速するたび、周囲の雪が吹き飛ばされ、白い雪煙が後方へと流れていく。
機体の各部に損傷は見られない。
先ほどまでナインボールを迎撃していたAMASは、すでにすべて沈黙していた。
雪原の各所には、撃破された無人兵器の残骸が転がっている。
その残骸を一瞥することもなく、ナインボールは前方へと進み続ける。
『・・・目標地点まで、残りわずか。』
機体内部のセンサーが、前方の地形を走査する。
その時、レーダー上に複数の反応が現れた。
『・・・人影を確認。』
ラナは進行方向を見据えたまま、該当する反応のデータを呼び出す。
『・・・照合。該当データなし。』
表示された情報に、僅かな疑問を覚える。
事前に受け取った作戦情報には、これらの人物に関する記録が存在しなかった。
『・・・オウル、こちらラナ・ニールセン。』
「はい、こちらオウルです。どうかしましたか? 何か問題でも?」
『進行方向にシャーレの先生を含む集団を確認した。その中に、事前情報にない人物がいる。データを送る。参照を頼む。』
ラナは対象の映像データとセンサー情報を、通信回線を通じて送信する。
『データを送った。確認してくれ。』
「分かりました。少々お待ちください。」
オウルはデータを受け取ったことを確認すると、隣にいたアインとソフへ声をかけた。
「アイン、ソフ。どうやらシャーレの先生たちに、応援が来たようです。」
「応援・・・ですか?」
「はい。事前にラナさんに送った情報にはない人物が確認されたそうです。」
「へえ・・・。誰が来たのかな?」
四人はラナから送られてきたデータを確認していく。
「ラナさんからのデータですね・・・。我にも、何かできることがあれば・・・。」
マルクトも三人のそばへ歩み寄り、端末の画面を覗き込んだ。
「本当に人が増えていますね・・・。」
端末の画面には、ナインボールから送信された映像が表示されていた。
その横には、対象の顔写真と識別情報が次々と展開されていく。
「えーっと、まずは一人目。才羽モモイ。シナリオライター……?」
ソフが画面をスクロールする。
「特筆すべき戦闘能力は確認できません。無害ですね。」
「次は才羽ミドリ。モモイの双子の妹で、アマチュアのイラストレーター……こちらも、特に問題はなさそうです。」
アインが続けてデータを確認する。
「つ、次は……花岡ユズ。プログラマー……ですか。こちらも、直接的な脅威は確認できません。」
三人のデータが次々と画面から消えていく。
そして、最後の一人。
「……最後は……。」
オウルの指が止まった。
オウルは何度も画像と識別情報を見比べる。
「どうしたのオウル?・・・て、これ・・・!」
ソフが隣から画面を覗き込む
「み、見間違い・・・じゃないですよね・・・?」
アインが逆側から画面を覗きこんだ瞬間取り乱す。
「なぜあの二人がここにいるのですか?!」
送られてきたデータの中には、[名もなき神々の王女]であるアリスと、その侍女であるケイがいた。
「お、落ち着いて。まずは本物かどうか確かめよう・・・。」
「か、片方はよくわかりませんが・・・。もう片方は、間違いありません・・・。」
「今は[アリス]と呼ばれているようですが・・・。あれは[名もなき神々の王女]、AL-1S・・・。」
「そ、その名前は、あまり言わない方が・・・。」
「それもそうですね・・・気をつけます。」
「やっぱりどう見ても・・・。でもそれよりも、早くラナさんに伝えないと!!」
「そうでした・・・!!」
「……ラナさんは、大丈夫なのでしょうか?」
マルクトは不安げに二人を見つめた。
「だ、大丈夫です! ラナさんなら、きっと大丈夫ですから!」
「お姉さま、今はラナさんを信じて待ちましょう。ほら、ドローンから送られてくる映像も見られますから!」
ソフがそう言って、端末から映し出される画面をマルクトに見せた。
それでも、マルクトの表情から不安が消えることはなかった。
そうマルクトを宥めている中、オウルはすぐさまラナに通信を繋げる。
「ラナさん!ラナさん!聞こえていますか?!」
『こちらラナ・ニールセン。聞こえている。どうした、何か問題があったか。』
「あの場にいる中でも一番注意しないといけない相手がいます!」
そう言い即席でアリスとケイについてまとめたデータを送信した。
「ラナさん! その相手は、通常の生徒とはまったく違います!」
『……データは確認した。』
「でしたら、なおさらです! 王女の力がどれほどのものか、私たちにも完全には把握できていません!」
『・・・。』
ラナは送信されたデータを再度確認する。
『・・・なるほど。』
「で、でしたら、一時撤退を――」
『いや。』
オウルの言葉を遮るように、ラナが答えた。
『その王女とやらに、この機体がどこまで通用するのか確認する。』
「ラナさん・・・!」
『戦闘データの収集も、今回の目的の一つだ。』
「しかし・・・!」
『問題があれば、その時点で判断する。』
「・・・。」
『通信を終了する。』
そう告げると、ラナは通信を切断した。
「・・・迎撃に出ていたAMASは、すべて撃破されたわ。」
ヒマリが端末に表示された戦況を確認しながら告げた。
「撃破までの時間が短すぎますね・・・。こちらの防衛線を突破することだけに集中しているのでしょうか。」
リオが敵の進行ルートを確認する。
「・・・いずれにせよ、ここで食い止める必要があるわね。」
先生は前方の雪原へ視線を向けた。
「ヒマリ、リオ。少し後ろで指揮のサポートをお願い。トキとエイミは前衛。アリスは後衛で、ケイはアリスを守って。ほかのみんなは、その間をカバーして!」
それぞれが配置につき、迫り来る敵を迎え撃つ準備を整える。
やがて、雪煙の向こうに赤黒い影が現れた。
「・・・見えてきましたね。」
雪煙の向こうから、巨大な影が姿を現した。
紅黒の装甲。
人型を思わせるシルエット。
背部には大型のブースターが備わり、脚部が雪面を踏みしめるたび、白い雪煙が巻き上がる。
その姿は、これまでに確認されていたデカグラマトンの預言者たちとは明らかに異なっていた。
「・・・ほかの預言者と、かなりカラーリングが違うわね。」
ヒマリが目を細める。
「カラーリングだけではありません。機体構造そのものが、既存のデータと一致しません・・・。」
リオが端末を操作する。
「識別不能。所属も不明・・・。少なくとも、今までの預言者とは別物と考えた方がよさそうです。」
先生は前方を見据えたまま、静かに指示を出した。
「正体が分からない以上、油断はできないね。みんな、警戒して!」
ナインボールは、彼女たちの存在を認識しているはずだった。
それでも、速度を緩めることはない。
紅黒の機体が、雪原を一直線に駆け抜けてくる。
「・・・来ます!」
アビ・エシェフを装備したトキが構えを取る。
次の瞬間、ナインボールの背部ブースターが激しく噴射した。
雪面を蹴り、機体が一気に加速する。
「迎撃開始!」
先生の号令とともに、戦闘が始まった。
ちなみにエスコン8買いました。おもろすぎるってあのゲーム