遂に迎えた月曜日の放課後。今は第3アリーナのCピットだ。
対戦順は織斑vsオルコット、俺vsオルコット、俺vs織斑と言った順だ。対戦順に異論は無いが正直勝てる気はしてない。
カラミティの性能はISコアの他にバッテリーが搭載されているから他のISよりも出力が高めになっている。故に武装全体の火力は第3世代の中でもトップクラスに高い。だが、それと同時に跳べはするけど、飛べないという致命的な弱点を抱えている。
まぁ、ここは一旦お二方、特に織斑の機体やら実力を観察して、様子を見よう。
『あ、あー。オルガ君聞こえるかな?』
そうこうしていると先生から通信が来た。
「聞こえてます。それで、何かありました?」
『それが…、織斑一夏君の専用機がまだ届いてないらしくて、先にセシリア・オルコットさんと戦うことになったんだけど、問題ないかな?』
……問題大アリですよ!んなこと承諾できるわけが無いでしょうが!───なんて、言えるわけが無いが…、正直予想の斜め上もいいところだ……。
「あー、まぁ、その…、機体とか体調とかは……問題ないですね、はい…」
『ホントにごめんね!私も応援してるから、頑張ってね!』
そうして通信が切れた。
この人相変わらず人が良いこと。ホント前世仏なんじゃないか?
……今はそれどころじゃないな、どうするよ、俺。てか、なんならオルコットさんもうアリーナの中央に浮きながら仁王立ちしちゃってるし、もう時間ねぇよ!
──────あー、もういい。こうなりゃヤケだ。火力でゴリ押す。結局脳筋戦法がシンプルで強いんだよ!
カラミティを展開し、カタパルトの上に立つ。
「肆三瀬オルガ、カラミティ───出る!」
カタパルトから射出され、アリーナに向かって跳んだ。
地面に着陸するために、スラスターの出力を調節しながら噴出し、しっかりと着地をした。
我ながらいい着地だ。練習したかいがあったってもんよ。
「あら、あなたが噂の2人目のパイロットでして?」
パツキンドリルに丁寧な口調、典型的なお嬢さまスタイルの女性、セシリア・オルコット。イギリス代表候補生で、今年の入試首席、特殊武装《BT兵器》を搭載した機体《ブルー・ティアーズ》のパイロット。歴もセンスも段違いの正真正銘のエリート、勝てるもんなのかね。
「確かにこれが初めましてでしたね。自分は肆三瀬オルガです。呼び方は好きなように呼んでいただいても」
「あら、あなたはあの人と違い、礼儀を弁えていますのね。わたくしはセシリア・オルコット、以後お見知りおきを」
噂に聞いてた人柄とは違うな。なんて言うか、近寄り難い?というかすげぇ高いプライドもってて接しずらい、なんて言う声を聞いてはいたが、あんまそんな感じはしないな。
とりあえず、腰を低く、礼儀を意識していけばパーフェクトコミュニケーションは取れるはずだ。友人、人脈がなけりゃ高校生活は積むし。
「それにしても、
全身装甲が採用されていたのは第1世代まで。第2世代からは完成品のバリアーが導入されたことにより、全身を覆う装甲は必要なくなり、無粋なものとして扱われ、結果オルコットさんが纏っているような手足のみに装備するタイプが主流となっている。
しかし、見た目で舐めるとは眼力はボチボチだな。
これでも第3世代の最新型。機動力はさておき、火力も防御力も段違いだ。確かに俺自身は初心者だが、
「まぁ、織斑先生から手を抜くなと言われていますので。申し訳ありませんが、手加減はできませんわよ!」
オルコットさんの言葉と共に、耳の中でブザー音が鳴り響き、警告の文字が目に映る。
キュイィン!
耳をつんざくような鋭い音と共にオルコットさんのライフル《スターライトMkⅢ》からビームが放たれる。それは凄まじい速度で真っ直ぐとこちらへ飛んでくる。
ギリギリのところでシールド《ケーファー・ツヴァイ》で防御する。
正直痛い。ISの補助があったから防げただけで、
「さぁ、踊りなさい。わたくし、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる
オルコットさんの高らかに言い放った宣告にまるで呼応するかのように翼のような4枚のフィンアーマーが分離し、独立して中に浮き始める。
あれこそがブルー・ティアーズの備える特殊武装
ドラグーンしかり、ファンネルしかり、ビットというのは強いやつが使う武装だ。この要素だけで強キャラ確定してんのバグだろ………。
どう戦うか、なんて事を考えさせる暇も与えぬように4基のビットがスラスターを点火し、高速で動き始める。
緑色の閃光が周囲から絶え間なく降り注ぐ。俺はそれをケーファー・ツヴァイで防ぎながらホバー移動で回避する。
「対人じゃ慣れてねぇけど……、これで!」
取り出したのは3mを超えているであろう巨大なバズーカ砲《トーデスブロック》だ。
ビットを無視し、オルコットさん本人に標準を合わせ、引き金に指を掛けた。
ビットは今も動き、俺の事を今にも撃とうとしている。だが、その程度のダメージ
そう信じて立ち止まり、トーデスブロックの射程圏内まで移動し、衝撃に備えるように左足を後ろに下げて構えた。
「これで終わりですわ!」
オルコットさんもスターライトMkⅢを構え、ビットと共にビームを一斉に放つ。
オルコットさんの足が止まる。標準が定まる。砲身内のプラズマが臨界点に達する。全てが揃い、待ち望んだ時が来た。
トーデスブロックの引き金を引くと同時に空間を揺らすほどの轟音と共に衝撃波を発生させながらプラズマに覆われた弾頭が飛んでいく。
ビットからのビームは全て直撃するも、どれもが軽傷程度。スターライトMkⅢのビームは弾頭が打ち消し、そのままオルコットさんに直撃し、爆発した。
火薬の黒煙と土煙が視界を悪くさせる。
そんな中で周りのビットが黒煙の中に戻っていくのが見えた。流石に一発で堕としきることはできなかったらしいが、どちらにせよ、ケーファー・ツヴァイ以外であればどの武装でも一発で堕としきれる。
「ケホッケホッ……。流石に油断しすぎましたわ……」
黒煙の中からオルコットさんが現れた。
しかし、ブルー・ティアーズには大小違う傷が多く着いており、所々のパーツは吹き飛んでいた。スターライトMkⅢに関しては砲身が完全に消し飛び使い物にならなくなっていた。
「ですが…まだ負けた訳では!」
オルコットさんはエネルギーを再装填したビットを再び展開し、操作を始めた。
流石にビットの威力が低いといえど、装甲はあくまで
それにオルコットさんにはもうスターライトMk3はない。スキャンしてもそれらしき武装は見当たらない。現状ビーム兵器はビット以外には無いものだと思って正解だろう。
そう結論づけ、ケーファー・ツヴァイに装備された二門のビーム砲と背中にある二門の巨大なビーム砲《シュラーク》を放ちながら撃ち落としていく。
「ビットは4基だけじゃなくってよ!」
まずい、視線を離しすぎた。
そう感じた時には遅く、オルコットさんの両脇下から出た二門の砲口からミサイルが飛び出し、1発が機体の顔面、もう1発が脚部に直撃した。
「インターセプター!」
そう
ここで普通なら俺は負けている。最も、普通ならの話ではあるが。
「なっ!」
当たったのは首関節ではなくケーファー・ツヴァイで、火花を散らしながらも傷一つなくインターセプターを防いでいた。
「普通の機体なら確実に負け確でしたけど、初陣から機体性能に足元すくわれましたよ」
左腕に力を入れ、オルコットさんごとインターセプターを弾き、吹き飛ばす。
胸部にあるエネルギー砲《スキュラ》の砲口からスパークが漏れだし、赤い極光がオルコットさんに向けて伸び、当たると共に爆ぜた。
『試合終了!勝者、肆三瀬オルガ!』
俺の勝利を告げるアナウンスから5秒程度は静まり返っていたものの、すぐに観客席は湧き上がる。
いくら機体性能が高いといえど、ISに乗って4日程度の
そんな下卑た事を頭の中で膨らませながら、少し離れた場所にいるオルコットさんに手を伸ばした。
「いい試合をありがとうございました、オルコットさん。こんな戦い方してこういうのもアレだとは思うんですけど、良ければ友人として扱ってくれればうれしいです」
俺はそう言って握手を求めた。
正直に言おう、下心盛りだくさんだ。当たり前だろ、目の前にいるの絶世の美女ぞ?そんな人に友達になれるかどうか聞けるチャンスなんだぞ?後握手も。そんな人生に1度あるかないかのチャンス逃せる訳がないだろ。
「ありがとうございます。わたくしの方こそいい経験になりましたわ」
オルコットさんはそう言いながら、俺の手を握り返してくれた。正直、俺今死んだって構わないくらいには嬉しい。下心なんざ消し飛んだわ。友達くらいが丁度いいって本能が叫んでる。
さて、次の試合はどうなる事やら、楽しみなもんだな。
自分は!オルコッ党です!良ければ皆さんの党も書いてってください。それと作品のいい所とか改善点とかも(本命)。よろしくお願いします!