竜崎正の独白。
始業式が終わり、数日が過ぎた。
あの日、私が言った言葉により学校は緊張感が生まれている。
新学年から始まる新制度、それこそが原因なのだろうが。
新学年で大きく変わったのは、黒板がデジタル、授業で使う教材がタブレットということだろう。
多くの生徒にとって煩わしい大量の教科書は、この小さい板に変わったわけだ。
そして、その他にも席替えがあったが…特に目ぼしいことは無かったため問題は無いだろう。
「よーし、全員揃ってるねー?」
チャイムと共に、教室に星之宮が入ってきた。
今日は私が話したOAAについて詳しい説明がある。だからこそ、1,2時限目には授業が入っていない。
「じゃ、早速だけど学校のHPから新しいアプリケーション…『OAA』をダウンロードしてもらおうかな。困ったことがあったら手をあげて教えてね?」
しかし、単純な作業だったからか苦戦する生徒はいなかった。
「学生証をカメラで読み取って最初のセットアップは完了、それでこのアプリが具体的には何が出来るのかっていうのは……実際に試してもらおうかな」
2―A 竜崎 正
1年次成績
学力 A+ (100)
身体能力 B+ (80)
機転思考力 B (77)
社会貢献性 E+ (19)
総合力 B (76)
「皆んな、もう確認したかな?これは一年終了時までの成績を基に学校側が作った個別成績だよ。自分たちのクラスだけじゃなくて、他クラスはもちろん、全学年の生徒の成績も見れるよー」
社会貢献度が低いのは普段の授業態度が大きそうだ。機転思考力に関しても友人の多さより機転応力の部分を大きく評価されたのだろう。
「今は1年次の成績表示のみされてるけど、2年になった今日からは現在進行形で新たに評価がされるんだ。更新はクラスポイントと同じく月の初めだよ。あー、あと例えば今の学力がEだとしても、次の筆記試験で満点を取れば…次の月からはA+の評価になるね」
つまり2年次は1年次と別で評価していくということだ。
例えば、4月に筆記試験で満点を獲得し、学力A+になったとしても、その次の試験で0点ならその間のC前後の評価を受ける事になる。
そして特筆すべき点は自分のクラスだけでなく、他クラス…今まで交流の無かった生徒の事も情報を集められることにある。名前、顔、成績…それを全学年分見れるのは情報戦から見ても便利だった。
「そして少し前に竜崎くんが言ってたけど、スポンサー制度の導入もされてるよ。アプリ内に項目があるはずだから、試しに押してみて?」
一度押せば、学年及び他クラス…そのクラスの生徒の名前が五十音順で表示された。
そしてもう一度押せば、どれくらいの額を支援するのかの入力画面が出てくる。
「この制度は自分のポイントを他人に上げることが出来るのが主な機能だね。それで入力した分が毎月26日に引き落とされるよ。それで一度送ったポイントについてはキャンセルは出来ないから注意が必要だね」
ただ継続的なものではないので、気が付かない間で引き落とされ続けるわけでは無いのが重要だ。基本的には、他クラスと交渉する際に受け渡すポイントに色を付けるのが使用法となるだろう。
「そして、この制度はOAAと連携してて竜崎くんと…姫野さんにしようかな?2人の総合力を使って説明するね。まず竜崎くんの総合力は76、姫野さんは60だから…」
2―A 姫野 ユキ
1年次成績
学力 B (67)
身体能力 C (51)
機転思考力 B (65)
社会貢献性 C+ (57)
総合力 B- (60)
このクラスの一般的な成績だった。倍率を説明する際の比較対象としては適切だろう。
「竜崎くんの倍率は1倍、姫野さんは1.4倍って事になるね。OAAが4下がるごとに倍率が0.1ずつ上がってくことになるよ。これは総合力が一番高い人を基準としてるから、その人が下がれば倍率も変動していくね」
この学年でOAAが一番高いのはCクラスの平田洋介の総合力78。
それと2しか変わらない私も1倍になっている。この学年で1番総合力の低い生徒が37の為、その生徒が上限である2倍という事になるわけだ。
「もし、この評価に不満があるなら、自分の価値を見せつければ…変わるかもね?例えば部活動に所属していないのなら、してみるとか?」
より多くの場面で学校側にアピールしている生徒の方が基本的に優遇される。
スポンサー制度があるため、評価を上げる事にメリットばかりあるわけでは無いが、選択肢としては提示されているわけだ。
「今年から実装されるこのシステムは元生徒会長の南雲雅くんと…竜崎くん。2人が発案して、学校側が容認…実現したものだよ。個人戦にも見えるけど、これまでと同じくクラスとして求められることが基本だから、それは忘れずに皆は頑張ってねー!!」
説明が終わり、1時限目の授業が終了となった。
そして、休み時間になるなり生徒達は携帯の画面を見つつ雑談を始めた。やはり、ゲームのようなシステムだからか、面白さが勝っているのだろう。
誰がA+なのか、他クラスの生徒の評価を見て意見を言い合っている。
興味深いものだ。自分の評価より、他人の評価を見る者が多い。なにより、一之瀬帆波の周囲には多くの人が集まっている。彼女の評価を褒めつつ、自分の評価には触れない。
このクラスにそこまで悪い生徒は居ない筈だが、仲の良さを大事にする彼らからすれば序列を作る行為は忌避されるらしい。
その中心である桃色髪の生徒から、助けを求めるような目線を向けられたが…無視して近くにいた生徒に話しかける。
「それで、神崎くんはどうでした?」
2―A 神崎 隆二
1年次成績
学力 B+ (77)
身体能力 B (70)
機転思考力 B (70)
社会貢献性 B (71)
総合力 B (72)
普段の授業でも真面目なため、オールB…彼らしい優秀さだった。
姫野ユキにも言えるが、機転思考力が高めだ。元々はクラスに馴染もうともしなかったが、色々と変化があったおかげで学校側も再評価をしたのかもしれない。
「あぁ…有難い事にほどほどの評価を貰えたようだ。機転思考力に関しても、学年末頃から人脈を広げた部分が効いているのだろう」
「そうですか、でも私とほぼ同じですよ。来月には越されるかもしれませんね」
私がそう言うと、神崎隆二は呆れたように肩を竦めた。
「それは社会貢献性のせいだろう?お前はいつも授業中に遊んでいるからな…この低さも納得できる」
「遊ぶ?違いますよ。私はタワーを作ってるだけです、暇ですから」
「じゃあ、前、授業中に作ってたお菓子のピラミッドは?」
そして私たちが話しているといつも通り、姫野ユキも会話に混ざってきた。
彼女たちは人の多い空間が苦手だからか、私の元に集まってくるのが定番となっていた。
「それも暇だったので。なにより授業を聞かなくても私は満点ですよ」
私は授業を真面目に受ける気が無い。
それはこの学校のレベルが私と合っていないというのもあるがOAAでの社会貢献性がどれほど下がるかという実験も兼ねていた。結果としては最低値のEだったが…それも仕方が無いだろう。
「それはそうだが……まぁそれにしても一之瀬より竜崎の方が総合力が高いとはな、意外だ」
「それはそう。私的にも一之瀬さんの方が高いと思ってたし」
2―A 一之瀬 帆波
1年次成績
学力 A (86)
身体能力 C (54)
機転思考力 B+ (75)
社会貢献性 A+ (96)
総合力 B+ (75)
他学年とも縁を作れる点、そして学年でも5本の指に入る学力。
このクラスで最も優秀な生徒で言えば彼女だと断言できる成績だ。もし、私が居なければ機転思考力ももう少し高くなっていたのかもしれない。
「高いと言っても1だけです。彼女は身体能力が低いですから、それが足を引っ張っているのでしょう」
ともかく、生徒の1年間による成績の可視化が行われたわけだ。
実力によるランキングが作られることはメリットでもありデメリットでもある。
退学者を出す試験では総合力の低い生徒が槍玉に上がるだろう。スポンサー制度によって低い事にも価値が生まれているが、実力の低い生徒を支援する意味は薄い。
「ま、そっか。じゃあこのクラスで一番総合力が高いのは竜崎くんなわけだし、スポンサーも集まるのかな」
「集まる、ですか?」
「そ、だってこれまでの活躍を考えれば、1年生は兎も角として3年生からは協力頼まれてるんでしょ?」
「確かにな。竜崎が去年から南雲生徒会長関係で動いているのはそう言う訳か」
確かにそれもこの制度において起こる現象だ。事前にメッセージと、ポイントを送る。そしてそれにより私と縁を作り、その見返りとして南雲雅を退かす策を提供する。副会長である桐山からも協力は要請されていた。
「そんなところです」
彼に信用は置けない。
3年Bクラスに居る鬼龍院という生徒から私が絡まれている時も口でしか止めない男だ。現状も南雲に下るか、私に下るか悩んでいる様子が見られた。
しかし、それは逆に好機でもある。そんな男を利用する…それに意味はあるのだから。
***
OAA導入の話題が冷めないまま、2時限目の授業が始まった。
「じゃ、みんなお待ちかね特別試験について説明するよ」
教室に入ってきた星之宮は、いつもの態度で話を切り出した。
「2年生になって初めて行う特別試験…それは新入生である1年生と、2年生がパートナーを組む行う筆記試験となってるよー」
これまで学年を飛び超えて何かを行うことは殆どなかった。
合宿などの例外も存在するが、クラス対抗で戦う仕組み上、仕方が無かった。
「今回の特別試験では筆記試験とコミュニケーション能力が大きく問われるよ。これまでの学校では、体育祭や合宿くらいしか他学年と絡める機会が無かったし年が違う子とも仲良くできるのか…それを求めてるのかもしれないね」
勉強と、コミュニケーション。4月の試験は例年通りその2つが求められるらしい。
「それで、この試験は去年やったペーパーシャッフル…の改良版かな?1年生からパートナーを決めて、試験に挑むんだ」
ペーパーシャッフル。
それはクラスメイト同士で2人1組のパートナーを作り試験に挑むというもの。
それが2年と1年で組む形となった。
「ただ、今年から初めてやるから学校側もまだ様子見がしたいのかな…選べるクラスは決まってるよ。
2年Aクラスなら1年Dクラス…みたいに
そして、そのパートナーを選定する時間、そして勉強に取り組む時間が用意されているわけだ。この特別試験はOAAが重要だ。1年生は当然上級生の名前も顔も知らない、2年生も情報で言うならイーブン。
以前行われたクラスメイト同士のペーパーシャッフルは仲間内で行った為、調整して自由な組み合わせが作れた。
今回もそれに近い、Dクラスという足を引っ張られるクラスとどうペアを割り振っていくのか…もしくは勉強が出来ない生徒をサポートして生き残らせるかが重要となる。
「テストは試験当日にまとめて5科目で1科目100点の合計500点満点だよ。そして肝心のルールだけど、個人とクラスの2種類、勝敗が用意されてるんだ」
学年別におけるクラスの勝敗
クラス全員の点数とパートナー全員の点数から導き出す平均点で競う。
平均点が高い順から50ポイント、30ポイント、10ポイント、0ポイントのクラスポイント報酬を得る。
個人の勝敗
パートナーと合わせた点数で採点される。
上位5組のペアに特別試験として各10万プライベートポイントが支給される。
上位3割のペアに対して各1万プライベートポイントが支給される。
合計点数が500点以下の場合2年生は退学、1年生は保持しているクラスポイントに関係なく、プライベートポイントの振り込みが3か月間行われない。
また意図的に問題を間違えるなどして操作、下げたと判断された生徒は学年関係なく退学とする。同じく低い点数を第三者が強要した場合も同様にその者を退学とする。
「今回の試験は学力が高い生徒が誰と組むか、それが重要になるよ。
パートナーに関してはお互いが了承して、OAAに登録する事で完了。今日から組むことが出来るけど、一度パートナーを承諾したら二度と解除できないから、慎重に決めないと後悔するかもねー」
頭の良い生徒は頭の良いパートナーを選べば上位の報酬を狙うことも出来る、がすると学力の低い生徒が退学するリスクが増える。
個人にとっての最適解と、クラスにとっての最適解は一致しない。
2年生はクラス内で少なからず友情が芽生えているが、一年生は違う。ポイントが振り込まれない事もリスクとしては軽い為動きは予想しにくい。
モニターが更新され、次にパートナーに関する情報が表示される。
パートナーを決める上での方法とルール
OAAを使い希望の生徒に1日一度だけ申請する事が可能(受諾されなかった場合、申請は24時にリセットされる)
相手が申請を承諾した場合にはパートナーが確定し、以後解除は不可能となる。
※退学や大病など止むを得ぬトラブルは除く。
パートナーが確定した両名は、その翌日の朝8時に一斉にOAA上で情報の表示が更新され、新たに申請を受け付ける事は出来なくなる。
※パートナーを組んだ相手が誰であるかは明記されない。
つまり、誰と誰が組んだか分からない。組んだ傍から反映されれば、各クラスの戦略がバレるのだから。
「先生、2年生には多くの退学者が居ますが…余った1年生はどうなるんですか?」
「あー、それに関しては大丈夫。
余った人は、その生徒の持ち点を2倍にする事で補填される仕組みだからねー。ただ、ペナルティとして総合点から5%分の点数が引かれるよ。これはパートナーを見つける事が出来なかった生徒も同じペナルティが課せられるんだ」
今回の試験は考える事は多くない。
協力する相手も決まってる以上、どうやって乗り切るかを考えればいいだけ。
そして、綾小路清隆からすればこれはチャンスでもある。
合計点が500点以下。そして意図的に点数を操作、低い点数を取るよう強要した場合退学。
ホワイトルームの刺客……彼らが退学ごときで止まるとは思えない。
仮に綾小路清隆が満点を取っても相手が0点を取ればアウト。もしホワイトルームの人間を選べばその時点で詰み。
だが、一クラス分だけ警戒すれば良い。仮に他クラスの人間が接触すればそれは裏がある事の暗示でしかない。なにより、これは相手からしてもやりづらい。
もし私が綾小路清隆の立場なら、申請者を確認し…なぜその人物が私を選んだのかを考える。そして、同様に選ばなかった人間についてもだ。
彼にとって、この試験は『相手を選ぶ試験』ではない。
『自分を選ぼうとする人間を観察する試験』だ。
綾小路清隆が1クラスの人間全てを監視する事に注力すれば…それは相手からすれば相当なプレッシャーになるだろう。
なにより、綾小路清隆の学力は評価A+。好き放題にパートナーを選べる立場だ、学力の低い生徒でも、高い生徒でも選ぼうと思えば選べる立場。
月城にこれを通すのは簡単だった。
あの男は私を疑っている、警察関係者という情報もブラフであると感づいているだろう。
だからこそ私が組むクラスを指定したことに対し、月城は否定できなかった。いや……わざととも言える、私を迷わせるためには悩むふりをして許可するのが最善なのだから。
Dクラスと組めば、この試験は当然不利になる。
確かにこのクラスの学力は低くは無いが、負けるリスクを増やす行為でしかない。
月城からすればこれは不自然な行動で、だからこそ意味がある。
あの男は、私が合理性を求めている人間だと思ってはいないだろう。が…負けをわざと選ぶ人間だとは考えていない可能性が高い。
……なにより、私がDクラスを選んだのは不利な状況に自ら進むというブラフの他に、ある人物に接触するきっかけを作るという目的も兼ねているのだ。
これには意味があった。
「あの、星之宮先生。試験の難易度はどれくらいですか?」
そう考えていると一之瀬帆波が挙手して質問していた。
「包み隠さず言えば非常に難しい問題が多め。
これまで受けてきた試験の中で、最難関と言っても良いかな。ただ、あくまでも高得点を狙った場合の話で、学力判定がE付近の生徒でも、予習なしで150点以上は取れるように作られているから…そこまで心配する必要はないかもね?」
星之宮は持ってきた資料を片付けながら話を続ける。
「きちんと予習しておけば、キミたちなら大丈夫。でも、慢心はダメだよ?勉強をおろそかにしたら、流石に危ないからね。まぁ……竜崎くんなら大丈夫かな?」
その言葉で、クラスの何人かの意識が私に向いた。
「だって、キミはこれまでの筆記試験で全科目満点。つまり、一問すら落としてない天才なんだから。先生、誇りに思うなー!!」
「普通ですよ」
「竜崎くんの言う普通と、世間が思ってる普通…これがズレてる事は一年間担任をした私はよーく分かってるよ。ともかく、これが4月に行われる特別試験の概要、じゃみんな気を引き締めて頑張れーっ」
***
その日の昼休み、昼食を終えた後。私はある生徒に呼び出されていた。
「……」
「もしもーし、竜崎くん?話を聞いてますか?それになんでバナナなんて持ってるんですか、もしかして好物ですか?」
「聞いてますよ…そして、近いです。あとバナナは好物ではなく、趣味です」
白石飛鳥、彼女は私をわざわざ特別棟にまで来させたうえに一向に話を始める気配が無かった。
私と彼女は春休みで同盟についてある程度、取り決めを行う会議をしていた。
その第一歩として、Bクラスの状況を改善することを求められた…彼女のクラスは今、居づらい上に面倒らしい。
それは葛城派閥、坂柳派閥の他に出来た…森下藍の派閥のせいだろう。
隠された実力がある上に、私へのパイプがある事を示した森下藍の地位は相当に高いらしい。そして仲のいい白石飛鳥もその参謀のような扱いをされて困っているのだ。
「ふふ、相変わらず竜崎くんは面白いですね。それに私たちは同盟関係なんですよ?仲良しであってもおかしくはない筈です」
しかし、それとこれとは関係が無い。今も私の手を摩るように触り続けていた。
「……もしかして態とですか?」
「いえ、私は友人が少ないので…距離感が分からなくて。親友と言えるのだって亮子さんだけですし」
亮子というのはBクラスの西川亮子の事だろう。どうやら彼女と白石飛鳥は
「随分と友達が少ないんですね。因みに私も少ないです」
「それは、それは…竜崎くんとお揃いでなんだか嬉しいです」
彼女は目を細めつつ、私をじっと眺めていた。やはり、敵意は無い物の純粋な好意ではない何か…彼女は私にそれを向けている。
「白石さん。坂柳さんと葛城さんは結局どうする気なんですか?」
「えっと、葛城くんは一之瀬さんが主体なら受け入れるとのことです」
彼女はようやく話す気になったのか、私から離れ…窓枠に寄り掛かるように身を寄せた。
「坂柳さんは…、1年生最後の試験での負けが相当響いているのか元気が無くて……元気が無いは言い過ぎたかもしれません。ですが以前ほど、活発的に動く事は無くなりました。
そしてその違和感にクラスの何人かは当然気が付いています」
どうやら、想像以上に響いているらしい。
自分より実力が下だと思っていた人間への敗北は彼女のような価値観を持つ者からすれば言い訳が出来ない。それがたとえマグレだとしても負けは負け、彼女はそう捉えている筈だ。
しかし、それが白石飛鳥は疑問だったのだろう…私を流し目で見つめた。
「どうして竜崎くんは、坂柳さんを気にしてるんですか?結局、他クラスでしかない坂柳さんを竜崎くんがそこまで注意深く見る理由が私には分からないんです」
「普通に考えるなら、そうですね」
その言葉にピンと来ていないのか、白石飛鳥は首を傾げた。
「彼女を気にするのは、私にメリットがあるからですよ」
「竜崎くんにとってのメリット…ポイントでは無いんでしょうね、なら坂柳さんに惚れた?……それも、なさそうです」
その質問に対する答えは簡単だ。
私の策で、坂柳有栖が重要な役割を担うからだ。
「ハッキリ言うのなら、私たちのクラスは竜崎くんに懐疑的です。同盟に賛同する生徒も一定数は居ますが、それも全員では無いですし」
それに関しては、違和感はない。そもそも他クラスの生徒と協力関係になることに難を示す生徒が居る事も織り込み済みだ。
「私としては竜崎くんを気にいってるんですよ。不思議で、不気味で、そして単純。とっても複雑な人ですから」
「随分と曖昧な回答ですね」
「そうでしょうか?私としては本心のつもりなんですが」
私の言葉にも彼女は物腰の柔らかい声色を崩さない。
「そういえば竜崎くんは、私の事どう思っているんですか?どう思っているのか、好奇心がそそられます」
「森下さんの被害を受けている被害者…違いますか?」
「ふふ、それはそうですが…違いますよね?竜崎くんはもっと私の事を知っている筈です」
白石飛鳥…おまえは私を探っているのだろう。
春休みもそうだが、同盟について気が付いていながらも森下藍の前では素知らぬふりをしていた。本当に知らない可能性もあるが……5%だ。
「あぁ…確かにそうですね」
なにより、彼女には行動理念がある。坂柳有栖への質問も、私がどう反応するかの確認。そして抵触する可能性のある私へ、警告の意味を込めて接触を強めている可能性……これが高い。
「───観察者ですよ。ねぇ、綾小路清隆の関係者さん?」
「…なんのことでしょうか?それに綾小路、あぁ少し有名になった彼の事ですか?それに何の関係が…」
「そうですか。私は貴女を疑っているんです…心当たりは、ありますよね?」
クラスのためにと動き始めた時期。そして私へ一見すると好意的な態度。
おまえもホワイトルームの関係者である可能性……これを捨てきれない対応だった。
なにより、私の知っている白石飛鳥は好奇心旺盛で警戒心の強いタイプ…あんな未知である綾小路清隆という存在を調べないことは不自然だ。
だとしたら……本当に、そうなのか?
「いえ、やっぱり何でもないです。忘れてください」
しかし、どちらにしろ、私のやる事は変わらない。
▶OAA(原作との変更点)
・スポンサー制度が追加(総合力が低くても活躍できる)
▶パートナー試験(原作との変更点)
・組むペアのクラスが決まっている。
2A⇔1D 2C⇔1B
神崎、姫野は少しOAAが上方修正。一之瀬はそのまま。
そして綾小路は学年末試験で全科目満点を取っているので学力A+に。
L(竜崎)の性格について
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もっと変人成分が多め
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普段は淡白なものの所々に変人成分がある
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結果、確認用