怪物と英雄の狭間で   作:伝説の一般元ブロリスト

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まあまあな長さになり、もはやギャグが挟まることがナッシングでした。

評価数155………⭐︎9がもう少しで青を超える??????

本当にありがとうございます!!ご期待に応えられるように頑張ります!!


そして関係なんですけど、皆さんはポタラかフュージョン、どっち派ですか?私はフュージョン派です


喰らわせろ、数十年の思い

 

 

 飯田とブロリーとの戦いが終わり、次は常闇vs芦戸と、切島vs爆豪の戦い。

 

 常闇と芦戸の試合は、やはりというべきか常闇のダークシャドウの火力を前に芦戸はなすすべなく敗北。

 

 切島vs爆豪は、切島のガッツが光に光ったが、爆豪の火力の連打に耐えきれず、そのまま一撃をモロに食らってしまった切島が敗北。

 

 

 そして次はいよいよ準決勝。

 

 

 

 

「焦凍」

 

「…………なんのようだ」

 

 

 

 準決勝のステージへ向かうための道、その道を塞ぐように立ち塞がっていたのは父親――エンデヴァーだった。

 

 焦凍は足を止めず、視線すら合わせようとせずにその脇を通り抜けようとする。

 

 

 

「あの八木蕗利との準決勝……今まで通り氷だけで勝てるなどと、ゆめゆめ思うなよ」

 

 

 

 低く、大気を震わせるような重苦しい声が焦凍の足を縛りつけた。エンデヴァーは腕を組み、冷徹な眼光を息子へと据え置く。

 

 

「彼は電撃を意にも介さず、インゲニウムの血を持つ少年の最高速度を難なく御してみせた。……お前の左、俺から受け継いだ『炎』を初手から全開で叩き込まねば、場外へ弾き飛ばされるどころか、一瞬で圧殺されるぞ」

 

「……消えろ」

 

 

 焦凍の口から、氷点下の拒絶が吐き捨てられた。

 

 

「お前の指図なんて受ける気はない、お前の力なんて…死んでも使わない」

 

「いつまでそのようなことを言っている――わかっているのか」

 

 

 エンデヴァーは拳を握りながら、声を少し荒げながら告げる。

 

 

 

「あの少年は――オールマイトの息子なんだぞ。俺の息子であるお前と、オールマイトの子が戦う!この意味がわからないわけはあるまい!」

 

「――またそれか」

 

 

 

焦凍は足を止めたまま、低く、侮蔑に満ちた声を絞り出した。振り返りもしないその背中から、床を白く染め上げるほどの冷気がジリジリと立ち上る。

 

 

「どこまで行っても、アンタはそれだけだ。自分が勝てなかった男を、自分の息子を使って引きずり降ろす……くだらない執念だ」

 

「何だと……!?」

 

「俺は、アンタの道具じゃない」

 

 

 焦凍は冷徹な横顔をわずかに向け、左右で色の異なる双眸で父親を射抜いた。

 

 

「アイツが、オールマイトの息子だろうが、なんだろうが関係ねぇ。母さんの力だけで勝つ。お前の炎なんざ、死んでも使わねぇよ」

 

「戯れ言をッ!!」

 

 

 エンデヴァーが足を踏み鳴らし、周囲の空気が激しい熱波で爆ぜた。鬼気迫る形相で息子へと詰め寄り、その肩越しに怒号を叩きつける。

 

 

「意地で勝てる相手ではないことくらい、お前自身が一番よく分かっているはずだ! あの少年……八木蕗利の底知れなさを、その目で見ていたはずだぞ! 氷結だけで奴を押し切れると、本気で思っているのか!?」

 

「…………」

 

「緑谷出久との戦いで、お前は一度その左を解き放ったはずだ! 今さらその覚悟を引っ込めて、無様に敗れ去るつもりか! 奴に勝つには、熱と冷気の完全な両立……俺の血を、その身の業火を全開でぶつける以外に道はないのだぞ焦凍ッ!!」

 

 

 父親の放つ熱気が、焦凍の左半身をじりじりと焦がすように刺激する。だが焦凍は、それ以上何も言わなかった。

 

 小さく息を吐き捨てると、エンデヴァーの横をすり抜け、重い足取りで通路の奥へと歩き出した。

 

 

「待て、焦凍――!」

 

 

 背後から叩きつけられる呼び止めにも応えず、焦凍は光差す出口へと向かっていく。

 

 

(……クソ)

 

 

 角を曲がり、父の姿が見えなくなった瞬間、焦凍は壁に片手をついて立ち止まった。奥歯が軋むほど強く噛み締められ、だらりと下がった左の拳が、微かに、だが激しく震えている。

 

 父親の言い草は反吐が出るほど嫌悪しかなかった。

 

 あいつの操り人形になって勝つくらいなら、負けた方がマシだとすら思う。

 

 ――だが。

 

 

 

(……分かってるんだよ)

 

 

 

 目を閉じれば、先ほどのリングの光景が鮮明に蘇る。

 

 上鳴の三百万ボルトを意にも介さず、飯田の限界を超えたレシプロバーストを軽々と受け止め、傷一つ負わせずに場外へ送り出したブロリー。

 

 あの理不尽なまでの質量と、大地のように揺るぎない力。自分の氷壁など、あいつの拳の風圧ひとつで一瞬にして粉々に砕け散るだろう。

 

 

 氷だけでは、絶対に勝てない。

 

 

 一歩たりとも押し込めず、触れることすら叶わずに弾き飛ばされる未来が、痛いほど明確に見えていた。

 

 

(勝つためには………いや、チャンスを掴むには、あの『炎』を使わなきゃ届かないことくらい………俺は)

 

 

 轟は左腕を押さえながら、ステージへと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

『――さぁぁ!!喜べリスナー!!いよいよ待ちに待った準決勝だぁ!!』

 

 

 

 会場から湧き上がる、熱気を帯びた歓声、今回の試合は『エンデヴァーの息子』vs『規格外中の規格外な少年』の夢のある戦い。

 

 焦凍とブロリーは既にステージの上に立ち、お互いの目を見合っているが……それだけでも、これから起こる事の規模がわかる。

 

 

 二人が放つ異なる気迫がステージ中央で衝突し、まるで空気そのものが軋みを上げているかのようだった。観客席の喧騒すら遠くに感じられるほど、リングの上だけが異質な静寂に包まれている。

 

 

 

 

『氷結と業火の二重奏、プロの血を引く若きエリート――轟焦凍ォォッ!!』

 

 

『迎え撃つは、ここまで全ての対戦相手を圧倒し、規格外の力を見せつけてきた男――八木蕗利ィィッッ!!』

 

 

 プレゼント・マイクの絶叫がスタジアムに響き渡るが、二人の視線は1ミリたりとも揺らがない。

 

 

「轟」

 

 

 静かに、だが会場の底を叩くような澄んだ声が届く。

 

 

「……オレは、上鳴や飯田との全力を受け止めた。だから…轟のことも、全力で受け止める」

 

「……」

 

 

 ブロリーの瞳には、哀れみも傲慢も微塵もなかった。あるのは、目の前に立つ一人のライバルに対する、どこまでも純粋で真っ直ぐな敬意だけだ。

 

 

 

 

「――来い、轟!!」

 

「―ああ………行くぞ、ブロリー」

 

 

 

 二人が構えを取り始めたタイミングで、プレゼントマイクが口を開く。

 

 

 

『準決勝・第1試合――』

 

 

 

 スタジアム中の観客が息を止め、静寂が極限まで張り詰める。

 

 

 

 

『スタァァァァァッットッ!!!!』

 

 

 

「――っ、おおおおおッッ!!」

 

「いきなりのブッパ!!」

 

「やっぱそう出るよな…!!」

 

 

 

 初手からの最大出力。

 

 

 1回戦で瀬呂を瞬殺したあの氷壁すら生温いと感じるほどの、巨大な氷の連峰がリングを突き破って出現した。大気を凍てつかせ、スタジアムの天蓋を突き破らんばかりの白銀の大津波が、凶暴な牙を剥いてブロリーの巨躯へと雪崩れ込んでいく。

 

 見る者すべてを凍りつかせる、絶対零度の暴力。

 

 だが、その氷山が眼前数センチにまで迫ったその刹那――ブロリーの瞳が鋭く光った。

 

 

「―はぁ"!ぬ"ぅ"りゃゃゃ!!!」

 

 

 ブロリーは迫り来る氷結に向かって力の入った拳を叩き込んだ。氷結には一気にヒビが走り、瞬く間に粉々に粉砕れ、四方八方に吹き飛んだ。

 

 

「まだだ…!!!」

 

 

 轟は止まらず氷結をもう一度繰り出す、無論ブロリーも同じように拳を振るい粉々に粉砕していく。轟は何度も何度も繰り返し同じような氷結を繰り出していき、ブロリーはそれをただただ破壊していく。

 

 

(――やっぱ、アレしかねえか!!)

 

「!」

 

 

 次の瞬間、轟は今あるありったけの力を込めた氷結をブロリーに繰り出す。ブロリーは何かあると考え利き手ではない左手で轟の攻撃を破壊する

 

 

「悪いなブロリー、もうこれしか方法はねえ…!!」

 

「!!」

 

 

 その刹那、足元に氷結を発生させ滑ってきた轟がブロリーの体に触れ、そのままブロリーを氷結に包み込んだ。ただ氷で包んだ訳ではない。

 

 全身の関節、指先、首筋に至るまで一切の隙間を残さず、内臓の熱すら奪い尽くすほどの超高密度な氷塊。触れた瞬間から数秒でブロリーの全身を氷の彫像へと変え、完全に行動不能へと追い込む――轟焦凍の、技術と氷結のすべてを注ぎ込んだ決定打だった。

 

 

「これで……動けねぇだろ……!!」

 

 

 荒い息を吐き、後方へとステップして間合いを取る轟。スタジアム中の観客が固唾を呑み、実況席のマイクすら言葉を失って立ち尽くす。

 

 青白く輝く巨大な氷塊の中に閉じ込められた。決着がついたと、誰もがそう確信した――その刹那だった。

 

 

 

 ドクンッ……!!

 

 

 

 氷塊の中心から、心臓の鼓動のような重苦しい地鳴りが響いた。

 

 轟の瞳が驚愕に見開かれる。

 

 

 

「――マジ…かよ」

 

 

 凍りついたはずのブロリーの腕が、脚が、胸の筋肉が、氷の中で信じられない力で微かに膨張した。

 

 絶対零度の拘束をものともせず、物理的な筋力と内から湧き出る気迫だけで、氷を内側から無理やり押し広げているのだ。

 

 

 

「――はあ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ッッ!!!!」

 

 

 轟音とともに、氷塊が内側から爆裂した。粉々に砕け散った無数の氷片がまた四方八方へと吹き荒れる。

 

 そしてブロリーは、氷を粉砕した勢いのままリングのコンクリートを爆音とともに踏み砕き、天へと跳び上がった。

 

 重力を嘲笑うかのような超高空への跳躍。

 

 

 影がスタジアムの光を遮り、巨大な身体が空中でピタリと静止したかのように浮かび上がる。

 

 

「空中……!?」

 

 

 見上げる轟の視界に、空中のブロリーが両掌を前方へと突き出す姿が映った。

 

 その掌に、バチバチとエメラルドグリーンに輝く球状のエネルギーが凝縮されていく。

 

「はぁ"ぁ"!!」

 

 

 ブロリーが両腕を交互に振り下ろすと同時に、空から光の雨が降り注いだ。ブロリーにとっては威力を極限まで抑えた牽制のエネルギー弾。

 

 

「くっ……防壁……!!」

 

 

 轟は瞬時に大地を踏み鳴らし、幾重にも重なる巨大な氷の防壁を頭上に展開した。だが、空から着弾したエネルギー弾は、触れた瞬間に猛烈な衝撃波を撒き散らしながら炸裂した。

 

 

「だだだだだだだっっ!!!」

 

(―まずい……体が……これ以上……くそっ…!!)

 

 

 降り注ぐ光弾の嵐と吹き飛ぶ氷の破片の中で、轟は歯を食いしばりながら必死に氷結を展開し続けた。

 

 

 

「………」スゥ

 

「ハァ……ハァ………ぐっ……」

 

 

 やがてブロリーは地面に降りる。轟の口から吐く息は白くなっていて、さらに右腕や右頬に氷が付着し始めていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

「……」

 

(――分かってる、のか……俺の弱点を………そうか、だからあんな攻撃を…!)

 

 

 

 ブロリーの狙いは、轟を圧倒的な暴力で叩き潰すことではなかった。

 

 1回戦の瀬呂戦、そして2回戦の緑谷との死闘。

 

 ブロリーは轟の戦い方をずっと真剣に見届けていたのだ。個性を使って行く中で、徐々に轟の右半身に霜が降り、足元の氷結の速度が落ちていったあの瞬間を。

 

 

 個性は身体機能の一部。

 

 

 氷を放ち続ければ、自身の体温が奪われ、やがて凍傷によって動けなくなる。人を無闇に傷つけたくない心優しいブロリーだからこそ、拳で直接轟の身体を砕くような真似はしたくなかった。

 

 

 だからこそ――空中からのエネルギー連射。

 

 

 氷結を簡単に砕く威力の弾幕を浴びせ、轟に『防壁を作り続けさせる』ことで、手っ取り早くその身体を限界へと追い込んだのだ。

 

 

「……ハァ……っ……ハァ……っ……!」

 

 

 白煙の向こう、静かに息を整えながら立つブロリーの瞳には、冷酷さなど微塵もない。ただ、相手をこれ以上傷つけずに決着をつけようとする、静かな配慮と計算だけがあった。

 

 

(俺の攻撃を破壊し、逃げ場をなくして氷を強制的に使わせる……。殴り倒さず、安全に俺を行動不能にするための、最短のルート……!)

 

 

 圧倒的な力の上に、相手を観察する冷静な目まで持っている。轟は自嘲するように、凍りついた唇の端を微かに吊り上げた。

 

 

 

(――何から、何まで……上か…)

 

 

 体温はすでに危険域に達している。

 

 このまま氷結だけで戦い続ければ、あと数回の攻防で自らの体が完全に凍りつき、立っていることすらできなくなるのは明白だった。

 

 

 勝つための道は、もう完全に塞がれた。

 

 いや――たった一つだけ、残されている。

 

 全身の震えを止め、凍りついた右半身を解かせる唯一の熱量が、自らの左腕に眠っているのだと、現実が容赦なく突きつけられていた。

 

 

 

「焦凍ォォォォォォォッ!!!!!」

 

 

 その現実を受け止めていた轟の名を、呼ぶ叫び声が一つ。父親であるエンデヴァーだ、会場全体がギョッとし、視線を一つに向けるレベルの声量で、彼は叫び続ける。

 

 

 

 

「使えェッ! その左を解き放て焦凍ォォォッ!!」

 

 

 

 観客席へと続く通路の手すりを握りつぶさんばかりに力を込め、エンデヴァーは顔面の業火を猛り狂わせながら吠え猛っていた、プロヒーローとしての威厳も体裁もかなぐり捨てた、狂気じみた形相。

 

 

 

「このままでは負けてしまうぞ!!使え!!使って 奴を超えろ! 俺の血を、その炎を今すぐ解き放てェェッッ!!」

 

 

 スタジアム中に響き渡るNo.2ヒーローの常軌を逸した絶叫に、観客たちは戦慄し、実況席のマイクすら息を呑んで凍りつく。

 

 だが、その声をもろに浴びせられている焦凍は、父親の方へ視線すら向けようとはしなかった。

 

 

(黙れ……黙れ、黙れッ……!!)

 

 

 右半身の凍傷の激痛を塗り潰すように、腸が煮えくり返るほどの怒りと嫌悪が全身を駆け巡る。

 

 

 

『誰がお前の思い通りになんてなるか。』

 

 『誰がお前の歪んだ野望の道具になってやるものか。死んでも使わない。どんなに無様に負けようと、この身体の熱だけは絶対に解き放つものか』――意地と反抗心だけが、凍てつく身体を辛うじて支えていた。

 

 

 

「勝ちたいのだろう焦凍ッ! ならば意地を捨てろ! 俺の業火を――焦凍ォォォォォッ――」

 

 

 父親がさらに狂乱の怒号を重ねようとした、その刹那だった。

 

 

 

「――焦凍ォォォォォッッ!!!!」  

 

 

 

 エンデヴァーの声を真正面から叩き潰すような、大気を根底から揺るがす凄まじい咆哮が轟いた。スタジアム全体の空気がビリビリと震え、すべての観客の鼓膜を震わせるほどの圧倒的な声量。

 

 

『……ッ!?』

 

 

 エンデヴァーの口がピタリと止まり、焦凍の瞳が信じられないものを見るように大きく見開かれる。

 

 

 叫んだのは――ブロリーだった。

 

 

 足元のコンクリートを割るほど強く大地を踏みしめ、胸を張り、真っ直ぐに焦凍だけを見据えて仁王立ちしている。

 

 親友にすら一度も見せたことのないほど激しく、熱く燃えたぎる戦士の魂をその双眸に宿したブロリーの叫びが、静まり返った会場の隅々まで響き渡っていた。

 

 

「―焦凍、オレを、みろ」

 

「ブロリー…」

 

「今、お前と戦っているのはオレだ。他に目をやるな」

 

「…!」

 

 

 ブロリーは両手を大きく広げ、真剣な眼差しでさらに声を上げる。

 

 

 

「オレは言った、全力で受け止めると…だから轟―――オレに、お前の気持ちを、叩き込め」

 

「俺の…気持ち……」

 

「お前は今、色んな思いを溜め込んで…苦しんでいる。だからお前のその思いを…怒りを、今全部吐き出せ――吐き出して、俺にぶつけてこい!!轟!!!」

 

「!!」

 

 

 ブロリーのそんな言葉を聞き、ブロリーの言葉に、焦凍は呆れたように――そして、憑き物が落ちたようにフッと口元を緩めた。

 

 

 

「――ほんとに…何から何まで……すごいな、お前は」

 

 

 

 次の瞬間、焦凍の左半身から爆音とともに紅蓮の業火が天を衝いた。

 

 

 右半身を蝕んでいた氷と霜が一瞬にして蒸発し、凄まじい熱風がスタジアムの空気を激しく揺らす。父の呪縛でもなく、ただ目の前の巨漢に応えるために解き放たれた炎。

 

 焦凍は炎を纏う左腕を前に掲げ、炎と氷の混ざり合う双眸でブロリーを射抜いた。

 

 

「知らねぇぞ……俺の十数年分のクソみてぇなドロドロした感情、全部ぶちまけたら……ただじゃ済まねぇぞ」

 

「平気だ。オレは……硬いから」

 

 

 臆するどころか、胸を張ってどこまでも大真面目にそう言い切るブロリーに、焦凍は獰猛な笑みを浮かべた。

 

 

「なら……遠慮なく行かせてもらうぞ――ブロリィィィィィィ!!」

 

 

 冷気と業火、二つの相反する熱量を極限まで引き絞り、焦凍は己のすべてを込めて大地を蹴り出した。氷結でブロリーの足元を凍らせた後に繰り出される、炎を纏った左手のパンチ。

 

 

「ハァァァァァァァァァッ!!!」

 

「!」

 

 

 ブロリーの硬い肉体に当たる炎の拳、一撃、たった一撃だが、ブロリーの上半身の服が一瞬にして燃え尽きてしまった。

 

 轟はそのまま止まらず何度も何度も拳をぶつけ続ける、顔、腹、溝、それはもう止まらずだ。ブロリーは受け止める……ただ黙って受け止め続けた。

 

 

 

「――ハァァァ!!」

 

 

 そして轟は止めとばかりに、一度ブロリーを氷結で凍らせた後。

 

 

「―ウゥゥゥォォォォォォッッ!!!」

 

 

 燃え盛る業火の拳をブロリーに叩き込んだ。ブロリーに使った氷結により周りの冷やされた空気が、熱によって膨張し爆風を引き起こす。

 

 轟はその爆風に飛ばされ、場外に出るギリギリで氷の壁を作り止まる。そして、爆風をモロに食らったブロリーは。

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

 仁王立ちで、その場に止まっていた。会場にいるすべての者がその瞬間確信した……『―無理だ』と、もう轟では、ブロリーに勝つことはできない……いや、どんな相手であろうとも、ブロリーには勝てないと。

 

 ブロリーは歩き、轟の前に立つ。

 

 

 

「轟、スッキリしたか?」

 

「…ああ、ようやく…心の底から、スッキリした」

 

「強かった、轟はとっても強かった。でもそれはお父さんの力じゃ無い――轟自身の、力だ」

 

「……緑谷と言い、お前と言い………本当に…変な……奴だな――――ありがとな…ブロリー……やってくれ」

 

「…分かった」

 

 

 

 ブロリーは素早く轟に軽い当て身を喰らわせ、そのまま意識を刈り取った。これにより勝敗は決した

 

 

 

『――轟焦凍君、気絶を確認っ!!勝者!!八木蕗利君!!!』

 

 

 倒れる轟を右手で支えながら、ブロリーは観客たちの拍手喝采を受けとるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……危ない危ない、後もう少しで、天に召されそうだったわ」

 






次回はいよいよかっちゃんとの試合です。


かっちゃんのタフネスを…ーこの作品でのベジータポジションである彼に、ご注目くださいませ
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