怪物と英雄の狭間で 作:伝説の一般元ブロリスト
頑張って水曜日に出してみたぜ。明日は出るかどうかわっかんないぜ。
⭐︎9の評価が……!!!!ありがとうございます!!!これからも頑張ってゆきまぁぁす!!
それから
「―それではこれより表彰式に移ります!」
「なんかミッドナイト先生、スッゲェスッキリした顔してね?」
「あぁ……ここ最近でいちばんの濃厚な青春を浴びたからじゃね?」
「何言ってんの?」
「ごめん俺も何言ってるか分からない」
ファンファーレと観客の歓声、ステージ中央の床がゆっくりと開き、巨大な表彰台がせり上がってくる。
三位の台には常闇と轟、二位の台には爆豪、そして最も高い頂には、巨躯を誇るブロリーが立っていた。―立っていたが。
「爆豪……あれ絶対安静のケガじゃん。なんで普通にあそこに立ててんの?」
「俺はなんともねえって言って無理矢理あそこに立ってるらしいぜ? ほんとすげぇよなアイツのあのタフネス」
「ブロリー君がずっとオロオロしとるんやけど…」
「あの状態でも覇気が死んでねえのは流石だよなぁ、いいぞぉ爆豪!!」
爆豪は身体中に包帯を巻かれていて、ほぼ相澤と同じような状態になりながらも表彰台の上に立っていた。そんな彼を心配しブロリーはオロオロとしながら彼を見ていた、そして爆豪は目線で『勝ったくせにその面やめろやぁ…!!』というのを伝えていた……喋るのも結構辛いらしい。
「――ではこれより! 1年生ステージ、メダルの授与を行います!」
久しぶりに濃度の高い青春の光を浴び、スッキリとした笑顔を浮かべたミッドナイトが、高らかにマイクを握りしめて声を張り上げる。
「今年の栄えあるプレゼンターは……この男――!」
その瞬間、スタジアムの遥か上空、天蓋を突き破らんばかりの高所から巨大な影が飛び出した。
「ハーハッハッ――ハッーーハッハッハッハ!私が!!メダルを持っ『平和の象徴! オールマイトォォォォッッッ!!』てき…たぁ』
着地とともに、二人の声が完全に真っ向から衝突し互いに気まずい感じなり、謝りながらもメダル授与は始まった。
まずは第三位の轟と常闇。
「轟少年!――おめでとう。――トーナメント戦、特に準決勝では素晴らしい戦いだったね!――今までは授業でも左側は使っていなかったが、今回から使用したのにはワケがあるのかな?」
「……緑谷との戦いで切っ掛けを貰い、ブロリーは俺のいろんなものをその身で受け止めてくれた。ふたりは俺を救ってくれたんです。貴方があの二人を気にかける理由がわかった気がします……ブロリーも緑谷も、強すぎる自分の力と向き合っている――だから俺も、自分自身と向き合いたいと思います。俺も貴方の様なヒーローになる為に」
「――顔が以前とまるで違うな。深くは聞くまい。――だが君なら向き合えるさ!」
オールマイトはその大きな身体で轟を抱きしめると、後押しする様に背中を優しく叩き、轟も『ありがとうございます』とだけ返すが、その表情には決意が表れている。
次は常闇。
「常闇少年おめでとう! 君も十分強かったぞ!――だが相性を覆すには個性だけに頼っては駄目だ。――地力を鍛えればまだまだ選択肢を見付けられる筈だ!」
「御意!」
抱きしめながら告げられたオールマイトのアドバイスに常闇は真剣な表情で頷き、銅のメダルを強く握りしめる。
そして次に爆豪。
「爆豪少年!君の気迫、そして勝利への執念は凄まじいものがあった、実力も申し分ない。言葉遣いや態度はまぁ……かなり気にする必要はあるが、それ以外は素晴らしい力だ、おめでとう!」
「――ぎ……は…」
「ん?」
次の瞬間
「――次は―勝つ!!!!!!」
「―なんて奴だよ爆豪少年、君は本当に将来とてつもないヒーローになるぞ!ハッーハッハッハッ!!」
喉が線切れそうな声で叫んだ爆豪に、オールマイトは銀メダルを授与し、そのまま優しく抱擁――は傷の関係で無理なので、頭を撫でた。
最後に、オールマイトは一段高い頂点へと歩みを進める。
見上げるほどに大きくなった我が子の前に立ち、オールマイトはプロとしての威厳を保ちつつも、その瞳の奥に父親としての深い慈愛と誇りを滲ませていた。
「蕗利少年……見事だった。君が抱える力、そして何より……相手を思いやり、全てを受け止めようとしたその優しい心。君は立派に、一人のヒーローとしての第一歩を踏み出した」
「オールマイト……」
首にかけられた黄金のメダル。そのずっしりとした重みを受け止め、ブロリーは胸の前でそっと手を添えた。
そして抱擁をされ、昔の記憶が一気に蘇る。これだ……この安心感に、自分は憧れ、救われていたのだと。
「優勝者として、何か一言はあるかしら?」
ミッドナイトに優しくマイクを向けられ、見守る中、スタジアム中の視線がブロリーへと集まる。
数万人の観衆を前に、ブロリーは少し気圧されたように肩を竦めたが、深呼吸を一つすると、マイクに向かってぽつりぽつりと、飾らない自分の言葉を紡ぎ始めた。
「――オレはずっと、自分の力が怖かった、です」
会場の喧騒がスッと引いていく。
「人を傷つけてしまうんじゃないか、壊してしまうんじゃないかって……ずっと逃げてばかり、いました。でも……今日、ここでみんなと戦って……上鳴も、飯田くんも、轟も、爆豪も……みんな、オレのことを怖がらないで、真っ直ぐに、本気でぶつかってきてくれました」
ブロリーは表彰台に並ぶライバルたちへ、そして観客席にいるA組の仲間たちへと視線を向け、はにかむように小さく笑った。
「みんなが全力で来てくれたから……オレも、逃げないでいられました。オレに力をくれたのは……戦ってくれた、みんなです。だから……本当に、ありがとうございました」
大言壮語も、勝利の雄叫びもない。
ただ、戦ってくれた仲間たちへの純粋な感謝と、己の弱さを受け入れた少年の誠実な告白。
「ヒーロー科以外のみんなも、自分なりに、本気で、戦っていました………だから、拍手喝采はオレだけじゃなくて、この場にいる全員にあげてください――今日は…ありがとう、ございました」
ほんの一瞬の静寂の後――。
ワァァァァァァ!!!
スタジアムが割れんばかりの、今日一番の温かく、地鳴りのような拍手と大歓声が天へと突き抜けた。
万雷の祝福を浴びながら、ブロリーは照れくさそうに頭を掻き、黄金のメダルを胸に抱いて、優しく微笑んでいた。
(――我慢、我慢だオールマイト。泣くな、笑顔でいろ…耐えろ耐えろ耐えろ!!!)
そしてオールマイトは本気で泣きそうになるのをめちゃくちゃ我慢したあと、観客たちに向けて口を開く。
「――今回は彼らだった! しかし! この場の誰にもここに立つ可能性はあった! 競い合い……高め合い……次代のヒーロー達は確実に芽を伸ばしている!!」
オールマイトは腕を高らかに上げ『皆さんご唱和下さい!!』と叫び、会場中の心が一つとなった。
『――せーの!!!』
『プルス・ウル――『お疲れ様でしたぁ!!!!』』
まさかの言葉。ここは校訓だろうとオールマイトに会場中から大ブーイング……ちなみにブロリーも『お疲れ様でした』と叫んだ。
これにより―英体育祭・閉幕した。
「―ハッハッハッハッハッ!!!!!」
無機質な機械の作動音だけが規則正しく響く、光の届かない薄暗い一室。大型モニターに映し出されている映像を前に、一人高笑いをする者が…一人、そこにいた。
「いやはや、素晴らしいね。実に素晴らしい!ここまで笑ったのは久しぶりだよ!フハッハッハッハッハッ!!………流石はオールマイトが選んだ子供だ。実にいい教育をされているようだねぇ」
その言葉には、かつての宿敵が施した『ヒーローとしての教育』に対する、ねじ曲がった侮蔑と皮肉がたっぷりと滲んでいた。
「笑い事じゃないぞ……」
暗がりの奥から、小柄な老人が姿を現した。大きなゴーグルの奥の目を細め、手元の端末に表示されたバイタルデータやエネルギー測定数値を眺めながら、不快そうに顔を歪める。
「データを見るだけでも頭が痛くなってくるわい。……これからどうするつもりじゃ? あれと真っ向から戦えるような『脳無』なんぞ、そうそう簡単には作れんぞ? USJで仕掛けた奴ですら、簡単にやられてしまったんじゃからな」
老人の切迫した問いかけにも、男の余裕が揺らぐことはなかった。
むしろ、喉の奥で楽しげな音を転がしながら、ゆっくりと首を横に振る。
「焦ることはないよ、ドクター。…もう手は考えてあるんだ」
「ほう…やはり個性を奪い我が物とする気なのか?」
「それは、今の段階では無理だね。仮に今の僕の体に彼の力が入り込めば……肉体が耐え切れず、確実に破裂し死に至るだろうさ」
「ならどうする気じゃ? あんな怪物がいたのでは、計画も何も…」
「簡単なことさ」
怪訝そうに眉をひそめる老人に、男は背を向けたまま、三日月のように口元を吊り上げた。暗がりの中で、底なしの悪意が静かに、だが凶暴に渦を巻く。
「僕が、彼の力を使って暴れるんじ無い――彼自身が、自分の手で暴れてもらうのさ。自分のその手で、その足で、そのエネルギーで、目に映るものをすべて破壊してもらうんだよ」
男は、画面の向こうにいるブロリーに向けて、手をかざした。
「暴走した自分の力で、友を、家族を、街を、国を、自然を!すべて破壊しつくす!!そしてオールマイトには、多くの骸と残骸の上に立っている自分が選んだ後継者を見てもらうんだよ――フフッ、フハハハハッ!!」
薄暗い部屋に反響する狂気の高笑いに、ドクターは『それは……面白そうじゃな』と同じく笑って見せた。画面の向こうに映るブロリーの姿を、男は蜘蛛の巣に絡め取られた獲物を見るような冷酷な愉悦で見つめている。
「じゃが、あの怪物の精神の枷をどうやって外すつもりじゃ? あれだけの自制心を持った少年の心を壊すとなれば、並大抵の揺さぶりでは足りんぞ」
「ふふ、簡単なことさ。強くあろうとする者ほど、その心を支えている支柱を失った時の崩壊は早い。既に僕の手足が、彼の交友関係を色々と教えてくれているからね………時を見て、あの頑丈な巨人を内側から食い破るための、最も効果的な毒を流し込むとしよう」
暗がりの中で、男の口元が三日月のように吊り上がった。
静寂を裂くように落とされたその声音には、底知れぬ悪意と、確信に満ちた破滅の予感が滲んでいた。
「――最初に狙うのは……――君だよ」
男は――一人の人物に向かって、指を刺すのであった。
次回から、職場体験の話へと進んでいきます。
そして映画の件なんですが……真面目に第一弾と第三弾と、第四弾はどうにかして入れた方ですね……そこもまたお楽しみに。