『一九三九年秋・英国およびフランス政府向け初期回答記録』
英国政府およびフランス政府から提示された照会事項に対し、WILKは以下の回答を行った。
航空機設計。
可能。
国内規格への変更。
可能。
既存国内部品を使用した再設計。
可能。
分散生産。
可能。
最終組立工場を中心とした生産体制。
可能。
技術者および技能者の配置。
条件付きで可能。
住宅、食料、家族、学校および医療を伴わない配置。
不可。
なお。
英国向け、フランス向け双方について、WILKは回答提出時点ですでに設計ひな型を保有していた。
政府担当者は後日、
「相談に来たつもりだった」
と証言している。
英国側の会議室。
元ドイツ軍技術者は、机の上へ図面筒を置いた。
英国政府側。
空軍関係者。
航空産業関係者。
軍需関係者。
そして元白軍将校の親族。
なぜ親族までいるのかについて、本人は、
「私の家で話が始まったからだ」
と説明していた。
元白軍将校は後ろにいる。
元金持ちも。
親族は元白軍将校を見る。
「今日は余計なことを言うなよ」
「何が余計か分からん」
「それが一番怖い」
元ドイツ軍技術者が図面を広げた。
英国側の技術者が覗き込む。
しばらく。
誰も何も言わなかった。
最初に口を開いたのは空軍側だった。
「これは」
元ドイツ軍技術者:
「Bizonの英国向け設計ひな型です」
「もうあるのか」
「ああ」
「いつ作った」
「前から」
「英国との交渉前に?」
「英国で作るとは決めていなかった」
「ではなぜ英国仕様がある」
元ドイツ軍技術者は少し面倒そうに答えた。
「英国に限らない」
別の図面。
別紙。
部品表。
エンジン取付寸法。
無線装備位置。
計器板。
脚周り。
武装架。
英国技術者が紙をめくる。
「これは英国で製造されている部品だな」
「ああ」
「これも」
「ああ」
「これもか」
「ああ」
少し離れた航空会社の技術者が顔を上げた。
「待て」
元ドイツ軍技術者:
「何だ」
「専用品はどれくらいある」
元ドイツ軍技術者は図面の一部を指した。
「機体主要構造」
「装甲の一部」
「武装取付架」
「いくつかの結合部」
「それ以外は?」
「可能な限り英国品」
「なぜ」
「その方が作れるからだ」
---
英国側技術陣がざわついた。
彼らが想像していたものとは違った。
外国機。
外国規格。
外国部品。
専用工具。
専用設備。
専用補給。
そういうものを抱え込む話ではなかった。
むしろ逆。
英国にあるものを使う。
英国で量産しているもの。
英国企業がすでに作っているもの。
英国軍がすでに補給しているもの。
それをBizonの骨格へ組み込む。
空軍関係者:
「これはコピー生産ではないな」
元ドイツ軍技術者:
「コピーして何になる」
「では」
「英国で作れるBizonだ」
別の技術者が聞く。
「性能は同じか」
「変わる」
「良くなる?」
「悪くなる部分もある」
部屋が静かになる。
元ドイツ軍技術者:
「エンジンが変わる」
「重量も変わる」
「重心も」
「無線も」
「武装も」
「だから試験は必要だ」
英国側:
「では完成設計ではない」
「当たり前だ」
少し声が強くなる。
「だが最初から主翼を設計する必要はない」
「胴体も」
「脚も」
「装甲思想も」
「整備構造も」
「何年も飛ばして壊して直した部分まで捨てる理由はない」
英国技術者は図面を見た。
「つまり」
「新しい飛行機を作るのではなく」
元ドイツ軍技術者:
「既存機を英国へ移す」
---
航空産業側の反応は、さらに早かった。
ある企業の男が部品表を見ている。
突然指を止めた。
「これ」
「何だ」
「うちの部品だ」
別の企業関係者:
「どれ」
「ここ」
隣を見る。
「……本当だ」
さらに別の男も紙を取る。
「この装置、うちでも作っている」
元ドイツ軍技術者:
「だから書いた」
「WILKで作らないのか」
「なぜ作る」
「いや」
相手が少し戸惑う。
「自社製品にした方が利益になるだろう」
元ドイツ軍技術者:
「設備を作るところから始めたら遅い」
ユダヤ人実業家なら金の話をする。
元ドイツ軍技術者は時間の話をした。
「英国にあるものを買う」
「それを取り付ける」
「足りないものだけ作る」
「その方が早い」
別の企業関係者が笑った。
「つまり我々にも注文が来る?」
元ドイツ軍技術者:
「採用されれば」
顔つきが変わった。
元白軍将校の親族はそれを横から見ていた。
誰が興味を持ったか。
誰が急に前へ出たか。
誰が隣の会社の資料を覗いたか。
全部見ていた。
---
同じ頃。
フランス側でも似たことが起きていた。
こちらの机に広げられたのは、
Bizonのフランス向け設計ひな型。
まだ正式名称は決まっていない。
だが元白軍将校が勝手に、
「Taureau」
と言い始めていた。
元ドイツ軍技術者は気に入っていなかった。
それでも書類には、すでに誰かが鉛筆で、
TAUREAU
と書いていた。
フランス技術者が部品一覧を見る。
「エンジンは我々のもの」
「ああ」
「機関砲も」
「ああ」
「無線も」
「ああ」
「計器も」
「ああ」
「車輪も」
「ああ」
技術者は顔を上げた。
「ではポーランド製品は?」
元ドイツ軍技術者:
「飛行機の形だ」
少し間。
「それと」
図面を指す。
「今まで壊して得た経験」
---
フランス側航空会社の人間が図面へ寄る。
自社部品を見つける。
別会社も。
さらに別会社も。
誰かが聞く。
「WILKはフランス国内に巨大な専用工場を作るつもりではない?」
「ない」
「では部品は」
「皆さんから買う」
「胴体は」
「作れる工場へ」
「主翼は」
「同じだ」
「最終組立は」
「場所を用意してくれ」
政府側が口を挟む。
「既存航空産業を使う?」
元ドイツ軍技術者:
「その方が早い」
「専用工場を一から建てる必要は」
「ない」
「設計図は」
「渡す」
一瞬。
部屋が静かになった。
「全部?」
「製造に必要な分は」
「治具も?」
「図面を渡す」
「工程表は?」
「作る」
「変更履歴も?」
「ああ」
フランス技術者:
「……ずいぶん気前がいいな」
元ドイツ軍技術者は少し眉を寄せた。
「フランスを守る飛行機だろう」
「そうだ」
「ならフランスで作れるようにしないと意味がない」
---
フランス航空産業の人間たちは、それぞれ違う理由でTaureauに興味を持ち始めた。
ある会社はエンジン。
ある会社は武装。
ある会社は無線。
ある会社は板金。
ある会社は脚。
自社製品が採用されれば注文になる。
それも、新参の外国企業に仕事を奪われるのではない。
外国企業が契約を取ることで、自分たちの注文まで増える。
ある企業関係者が政府側へ小声で言った。
「これなら反対する理由は少ない」
隣の男が答える。
「採用数次第だ」
もう一人。
「フランス空軍にも回るなら話は変わる」
まだ亡命ポーランド軍向けの話だった。
だが。
すでに別の計算が始まっていた。
---
英国。
親族宅。
数日後。
屋敷の前に車が三台停まっていた。
親族が窓から見る。
「またか」
使用人:
「今日は航空関係の方が二名」
「昨日は」
「銀行関係」
「その前は」
「軍から」
親族は新聞を置いた。
「私の客は?」
使用人は少し考えた。
「今日は地方行政関係の方が」
親族:
「それは私だ」
「WILKの件もお尋ねになるそうです」
親族は黙った。
元金持ちが横を通る。
「増えましたね」
「何が」
「お客さん」
親族:
「お前たちのせいだ」
「でも親族さん宛ても増えてる」
「……」
元金持ちは笑う。
「利用してます?」
親族:
「当然だ」
即答だった。
元金持ちが少し驚く。
親族は椅子へ座った。
「何十年も英国で生きてきた」
「はい」
「最初は誰も知らなかった」
「……」
「名前も」
「土地も」
「人脈も」
「仕事も」
「全部、一つずつ作った」
元金持ちは黙って聞いた。
親族は窓を見る。
軍人の車。
企業関係者。
銀行。
誰かが玄関で名刺を渡している。
「で」
「はい」
「何十年ぶりにあいつが戻ってきた」
元白軍将校のことだった。
「六十四人連れて」
元金持ち:
「そこは本当に申し訳ない」
「お前が謝るな」
少し笑う。
「最初は迷惑だった」
「今は?」
親族は少し考えた。
「まだ迷惑だ」
元金持ち:
「まだ?」
「だが」
名刺の束を見る。
「使える」
元金持ちは吹き出した。
親族:
「笑うな」
「いや」
「何だ」
「元白軍将校と同じこと言うなと思って」
親族:
「……」
少し間。
「一緒にするな」
「はい」
「だが」
もう一度名刺を見る。
「使えるものを使わずに捨てるほど、移住生活は甘くなかった」
元金持ちはその言葉だけ、帳簿には書かなかった。
---
親族はしばらくして、逆に元金持ちへ聞いた。
「お前はあいつの昔をどれくらい知ってる」
「ほとんど」
「ほとんど?」
「知らない方のほとんどです」
親族が笑った。
「あいつらしい」
「舞踏会で見た記憶はあります」
親族の目が止まる。
「どこの」
元金持ちが話す。
昔。
帝政時代。
大きな舞踏会。
若い頃。
人混みの中にいた男。
今より若い。
軍服。
少し離れた場所。
元金持ちは言う。
「本人は昔のことだ、としか」
親族:
「そうだろうな」
「何をしてたんです?」
親族は答えなかった。
代わりに紅茶を飲む。
元金持ち:
「秘密?」
「秘密というほどではない」
「では」
「私も全部は知らん」
少し間。
「家族の中でも、あいつだけ妙に外へ出ていた」
「軍?」
「軍も」
「他も?」
親族は元金持ちを見る。
「それ以上は本人に聞け」
元金持ち:
「答えませんよ」
「知ってる」
また少し笑った。
「だが一つだけ言える」
「何です」
「あいつは昔から」
親族は窓の外を見る。
庭で元白軍将校が誰かと話している。
また知らない人だった。
「帰ってくる時、一人では帰ってこない」
元金持ちは一瞬黙った。
それから。
「……なるほど」
とだけ言った。
---
その日の午後。
別の人物が屋敷へ帰ってきた。
若い男。
軍服。
親族の三男だった。
英国軍に勤務していた。
休暇と用務の都合が重なり、偶然実家へ戻った。
玄関を入る。
知らない人がいる。
廊下にも。
電話が鳴っている。
書斎の扉には、
英国仮連絡所
と紙が貼られている。
三男はしばらくそれを見る。
使用人が言った。
「お帰りなさいませ」
三男:
「……何があった」
使用人:
「ご親族がお戻りになりまして」
「誰」
使用人が名前を言う。
三男が止まった。
「生きてたのか」
「はい」
「で」
書斎を見る。
「なぜ軍の事務所みたいになってる」
使用人:
「説明が難しく」
「そうだろうな」
---
夕食。
親族。
三男。
元白軍将校。
元金持ち。
若いWILK社員。
妙な組み合わせだった。
三男は元白軍将校を見る。
元白軍将校も見る。
「大きくなったな」
三男:
「最後に会ったことあるんですか」
「小さい頃」
「覚えてません」
「そうか」
親族が食事を切る。
そして何でもないように言った。
「明日から、しばらくこいつについて行け」
三男の手が止まった。
「誰に」
親族:
「あいつに」
元白軍将校を指す。
三男:
「なぜ」
「監視」
元白軍将校:
「必要ない」
親族:
「必要だ」
三男:
「待ってください」
親族:
「軍の人間なら慣れてるだろ」
「何に」
「面倒事に」
「それは軍務では」
「似たようなものだ」
三男は元白軍将校を見る。
元白軍将校:
「俺は一人でいい」
親族:
「お前を一人にした結果、六十四人連れてきた」
沈黙。
元金持ちが小さく頷く。
若い社員も。
三男:
「……六十四?」
元金持ち:
「英国到着時に行き先がなかった人数です」
「到着時?」
「累計はもっと」
三男は親を見る。
「何を監視すれば」
親族:
「人を拾わないか」
元白軍将校:
「必要なら拾う」
親族:
「ほらな!」
三男は目を閉じた。
かわいそうだった。
---
翌朝。
元独立運動家は別の意味で困っていた。
「また来た?」
社員:
「三十一人」
「昨日は」
「二十二人」
「一昨日は」
「十八人」
「増えてるじゃないか」
「狼回廊経由です」
元独立運動家は額へ手を当てた。
机には人員票。
家族票。
住宅候補。
工場候補。
学校。
教会。
診療。
食料。
輸送。
全部積まれていた。
「前職は」
「整理済みです」
「家族」
「整理済み」
「健康状態」
「だいたい」
「行き先希望」
「あります」
元独立運動家は人員票を見る。
「資料だけは妙に整ってるな」
社員:
「英国側の元金持ちさんが様式を」
「会計の?」
「本人は否定してます」
「会計だろ」
遠く英国で、誰かがくしゃみをしたかもしれない。
---
元独立運動家は名簿をめくる。
機械工。
農業。
教師。
運転。
看護。
大工。
料理。
配置そのものはできる。
問題は。
「家だ」
社員:
「はい」
「また家が足りない」
「はい」
「仕事だけならいくらでもある」
「はい」
「人間は工場の床で寝ない」
「はい」
「学校も増やす」
「はい」
「食堂も」
「はい」
「診療は」
「手配中です」
元独立運動家:
「手が足りん」
「はい」
そこへ。
若い女性が書類を持ってきた。
元独立運動家の次女だった。
「これ」
父親が見る。
「何だ」
「昨日来た家族分」
「誰がまとめた」
「私」
元独立運動家の眉が寄る。
「やらなくていい」
次女:
「でも」
「これは仕事だ」
「だから手伝ってる」
「お前の仕事じゃない」
次女は少し不満そうな顔をした。
それでも紙を置く。
「学校年齢の子供を分けた」
父親は見ない。
「帰れ」
「分かった」
次女は出ていく。
社員が気まずそうに黙った。
元独立運動家:
「何だ」
「いえ」
「言え」
「手、足りませんよ」
「分かってる」
---
昼。
また人が来た。
夜。
また。
翌朝。
住宅候補が一つ潰れた。
別の学校は受入人数を超えた。
工場から、
「技能者をもっと」
と催促。
フランス側から、
「何人回せる」
と問い合わせ。
英国からも。
アメリカ側からは農場への受入余地。
元独立運動家は机の上を見た。
紙。
紙。
紙。
人間。
家族。
仕事。
家。
学校。
食事。
全部つながっている。
妻が部屋へ入ってきた。
「寝た?」
「少し」
「嘘ね」
「少しは寝た」
妻は書類を見る。
「娘に手伝わせれば」
「駄目だ」
「なぜ」
「仕事だ」
「知ってる」
「簡単じゃない」
「それも知ってる」
元独立運動家は黙る。
妻:
「あの子、昨日あなたが捨てた配置表直してたわよ」
「捨ててない。保留だ」
「同じようなものよ」
「勝手に触るなと言っておけ」
妻:
「自分で言いなさい」
---
その日の午後。
社員の妻たちが来た。
一人。
二人。
三人。
元独立運動家:
「何だ」
一人が言う。
「娘さん、使ってください」
「使わん」
別の女性:
「昨日の子供の割り振り、あの子がやりました」
「知ってる」
「学校までの距離も」
「見た」
「食堂の人数表も」
「……見た」
三人目:
「私たちも手伝います」
元独立運動家:
「待て」
「手が足りないんでしょう」
「足りん」
「なら」
元独立運動家は顔をしかめた。
「だからといって」
妻:
「だからといって?」
いつの間にか後ろにいた。
元独立運動家:
「……」
完全に包囲されていた。
---
夕方。
次女がまた来た。
今度は父親が呼んだ。
「座れ」
次女は座る。
「手伝わせる」
少し顔が明るくなる。
「ただし」
「うん」
「勝手に決めるな」
「うん」
「家族を分けるな」
「うん」
「職業だけ見て配置するな」
「うん」
「仕事が近くても学校が遠ければ考え直せ」
「うん」
「病人がいる家は病院を見る」
「うん」
「数字だけで人間を置くな」
次女は少し考えた。
そして聞いた。
「じゃあ何を見るの」
元独立運動家は答えた。
「生活だ」
次女は紙を見る。
「生活」
「ああ」
「一人を置くんじゃない」
家族票を指す。
「生活を一つ置く」
次女はゆっくり頷いた。
元独立運動家:
「まずこれ」
一枚渡す。
整備工。
妻。
子供三人。
元独立運動家:
「どこに置く」
次女はしばらく資料を見る。
「工場の隣は駄目」
「なぜ」
「学校が遠い」
「では」
「少し離れるけど、この住宅」
「通勤は」
「バスを一便増やす」
元独立運動家は紙を見る。
少し黙る。
「……やってみろ」
次女:
「うん」
それだけだった。
まだ後継者ではない。
ただ。
手伝いを始めただけだった。
---
英国では。
元白軍将校が外出しようとしていた。
玄関に三男が立っている。
軍服ではなく私服。
だが姿勢は軍人だった。
元白軍将校:
「何だ」
三男:
「同行します」
「なぜ」
「父に言われました」
「帰れ」
「帰ると怒られます」
元白軍将校:
「俺も面倒だ」
三男:
「私もです」
少し沈黙。
元白軍将校:
「車は乗れるか」
「乗れます」
「地図は」
「読めます」
「銃は」
三男:
「軍人です」
「使えるな」
三男は目を閉じた。
「父が言っていた通りだ」
「何を」
「その言葉を言われたら逃げろと」
元白軍将校:
「遅い」
車の扉を開ける。
三男:
「……どこへ」
「空軍」
「何の用で」
「技術者を押し込む」
「誰を」
「元ドイツ軍技術者」
三男は一瞬止まる。
「それ、私も知っている人ですか」
元白軍将校:
「そのうち嫌でも知る」
車が動き出した。
屋敷の窓から親族がそれを見ていた。
元金持ちが隣に立つ。
「かわいそうですね」
親族:
「軍人だ」
「そういう問題です?」
「本人にも経験になる」
元金持ち:
「本音は?」
親族は少し間を置いた。
「誰かがあいつを見てないと怖い」
元金持ち:
「それは同意します」
二人は深く頷いた。
---
そして屋敷には。
また車が一台入ってきた。
親族:
「今度は誰だ」
使用人が確認する。
「航空会社の方です」
親族の顔が少し変わる。
「名前は」
聞く。
知っていた。
「通してくれ」
元金持ちが横を見る。
「迷惑では?」
親族:
「迷惑だ」
「では」
「だが会う」
「なぜ」
親族は玄関へ向かう。
「使えるからだ」
元金持ちは笑った。
「やっぱり親族だ」
親族:
「聞こえてるぞ!」
屋敷の一角では。
英国政府。
フランス政府。
航空産業。
銀行。
軍。
WILK。
そして元白軍将校の親族。
それぞれ別々の目的を持った人間が。
同じ扉を出入りし始めていた。
会社はまだ正式な英国本社すら持っていない。
それでも。
設計図はもうあった。
作れる工場もあった。
使える部品もあった。
人もいた。
次に必要なのは。
それらを。
本当に動かすことだった。