郵便機を作ったら、百年後には食品企業兼ドローンメーカーになっていた。


第一次世界大戦後、独立を取り戻したばかりのポーランド。

金も、設備も、まともな滑走路もない小さな工房に、五人の男が集まった。

ユダヤ人実業家。
元ポーランド独立運動家。
元白軍将校。
元ドイツ帝国軍技師。
そしてポーランド軍将校。

彼らが最初に作ったのは、兵器ではない。

手紙と薬と人を運び、分断された国を繋ぐ、頑丈な双発郵便機だった。

だが戦争が始まれば、郵便機は弾薬を運び、包囲された部隊へパン生地の樽を落とし、爆弾を抱え、撃墜されても何度でも空へ戻った。

やがて会社は祖国を追われ、英国へ亡命する。

そこで翼に吊るした牛乳缶からバターが生まれ、果汁からアイスが生まれ、余った生地からパンが生まれた。

退役軍人が働き、その家族が店を開き、農場や牧場が供給網となり、食品企業となったWILKは、学校、老人ホーム、墓地園まで抱える一つの共同体へ成長していく。

それでも彼らは、空を捨てなかった。

アイスとバターの利益で航空研究を続け、百年後、WILKは無人機メーカーとして再び戦場へ現れる。

これは、郵便機から始まり、戦争、亡命、食品産業、福祉、教育、そしてドローン戦争へ至る、ある奇妙な企業の百年史。

壊れたら直す。
帰ってきた者を食わせる。
役に立ったものは残す。

そして、故郷を忘れない。

  第1話 帰還ではありません
  第2話 今日、誰も逃げなかった2026年07月22日(水) 12:00
  第3話 空を飛ぶ郵便馬車2026年07月22日(水) 12:05
  第4話 なぜ双発なのだ2026年07月22日(水) 12:15
  第5話 星を見て飛べ2026年07月22日(水) 12:20
  第6話 最初の配達2026年07月22日(水) 12:25
  第7話 狼という名2026年07月22日(水) 12:30
  第8話 これは徴用ではない2026年07月23日(木) 12:00
  第9話 二号機は誰のものだ2026年07月23日(木) 12:05
  第10話 樽には焼けと書いてある2026年07月23日(木) 12:10
  第11話 もう郵便ではない2026年07月23日(木) 12:15
  第12話 落ちたなら持って帰れ2026年07月23日(木) 12:20
  第13話 飛べる機体を数えろ2026年07月23日(木) 12:25
  第14話 なら最初から軍用機を作れ2026年07月23日(木) 12:30
  第15話 野牛は軽くならない2026年07月23日(木) 12:35
  第16話 野牛、地を離れる2026年07月23日(木) 12:36
  第17話 撃たれてから考えるな2026年07月23日(木) 12:40
  第18話 当たらなくても役に立つ2026年07月23日(木) 12:45
  第19話 一番でなくとも、そこにいる2026年07月23日(木) 12:50
  第20話 同じ物を十二機作れ2026年07月23日(木) 12:55
  第21話 待っている間に作れ2026年07月23日(木) 13:00
  第22話 最初の一匙2026年07月24日(金) 12:00
  第23話 高度不足2026年07月24日(金) 12:05
  第24話 片肺では納められない2026年07月24日(金) 12:10
  第25話 飛ぶ前から部隊である2026年07月24日(金) 12:15
  第26話 改良するなら、戻ってきてから2026年07月24日(金) 12:20
  第27話 座ってから決めろ2026年07月24日(金) 12:25
  第28話 二十センチを作れ2026年07月24日(金) 12:26
  第29話 三時間座ってから言え2026年07月24日(金) 12:30
  第30話 七日間、帰るな2026年07月25日(土) 22:11
  第31話 車輪が沈むなら橇を履け2026年07月25日(土) 22:25
  第32話 三機なら同じ三機を作れ2026年07月25日(土) 22:32
  第33話 壊れたら隣から持ってこい2026年07月25日(土) 22:45
  第34話 落ちた機体を置いてくるな2026年07月25日(土) 23:00
  第35話 回収班を先に帰せ2026年07月25日(土) 23:12
  第36話 撃たなくても出撃である2026年07月25日(土) 23:22
  第37話 全部積むな、全部載せられるようにしろ
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