郵便機を作ったら、百年後には食品企業兼ドローンメーカーになっていた。


第一次世界大戦後、独立を取り戻したばかりのポーランド。

金も、設備も、まともな滑走路もない小さな工房に、五人の男が集まった。

ユダヤ人実業家。
元ポーランド独立運動家。
元白軍将校。
元ドイツ帝国軍技師。
そしてポーランド軍将校。

彼らが最初に作ったのは、兵器ではない。

手紙と薬と人を運び、分断された国を繋ぐ、頑丈な双発郵便機だった。

だが戦争が始まれば、郵便機は弾薬を運び、包囲された部隊へパン生地の樽を落とし、爆弾を抱え、撃墜されても何度でも空へ戻った。

やがて会社は祖国を追われ、英国へ亡命する。

そこで翼に吊るした牛乳缶からバターが生まれ、果汁からアイスが生まれ、余った生地からパンが生まれた。

退役軍人が働き、その家族が店を開き、農場や牧場が供給網となり、食品企業となったWILKは、学校、老人ホーム、墓地園まで抱える一つの共同体へ成長していく。

それでも彼らは、空を捨てなかった。

アイスとバターの利益で航空研究を続け、百年後、WILKは無人機メーカーとして再び戦場へ現れる。

これは、郵便機から始まり、戦争、亡命、食品産業、福祉、教育、そしてドローン戦争へ至る、ある奇妙な企業の百年史。

壊れたら直す。
帰ってきた者を食わせる。
役に立ったものは残す。

そして、故郷を忘れない。

X(Twitter)  ▲ページの一番上に飛ぶ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. お気に入り登録
  5. 評価
  6. 感想
  7. 推薦
  8. ここすき
  9. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

面倒なので黙っていたら天才参謀と誤解されました(作者:濃厚とんこつ豚無双)(オリジナルファンタジー/戦記)

後年、ノルトマルクの軍史家たちは、クラウス・フォン・ライフェンベルクを「沈黙の天才参謀」と記した。▼諸邦の利害を束ね、敵国の思惑を見抜き、ただ一言で戦役の方向を定めた男。と。▼だが、その大半は誤解である。▼確かにクラウスは名門ライフェンベルク家の嫡孫にして、陸軍高等軍学院首席、若くして統帥府(参謀本部)に配属されたエリートだった。▼とはいえ本人に言わせれば、…


総合評価:12453/評価:8.83/連載:67話/更新日時:2026年08月06日(木) 01:29 小説情報

カードゲーム世界で考察配信したら、黒幕っぽくて楽しい(作者:マクロコスモス)(オリジナル現代/冒険・バトル)

カードゲーム世界で無名配信者をしていたヒカルは、ある時カードのイラストやフレーバーに関する考察配信をしてみることにした。▼転生者特有のメタ読みを活用した結果、見事にカードの裏に潜む悪の組織の意図に気付き、組織が壊滅。▼まるで黒幕のようだと、ヒカルは思う。▼そんな状況でヒカルは――喜んで配信を続けることにした。▼なぜなら彼は人の嫌がることが大好きな陰湿デッキ使…


総合評価:27727/評価:8.66/連載:17話/更新日時:2026年08月12日(水) 18:05 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>