【推しの子】もしも星野アイの隣人が天才外科医だったら〜命を救う、その先へ〜 作:ペンギンって可愛いですよね
片付けが終わる頃には、キッチンもダイニングもすっかり綺麗になっていた。
アイは満足そうに辺りを見回す。
「よーし!」
「これで終わり!」
「みんなありがとう!」
「いえ」
悠真は軽く微笑む。
「こちらこそ、美味しい料理をご馳走になりました」
ルビーがリモコンを手に取る。
「じゃあテレビ観よ!」
「今日、お母さんが出る歌番組あるんだよ!」
「収録だけどね」
アイは少し照れ笑いを浮かべながらソファへ座った。
悠真も勧められるまま隣へ腰を下ろす。
アクアは静かにソファへ座り、ルビーはアイの隣へぴったりと座った。
テレビではちょうどバラエティ番組が終わり、歌番組が始まるところだった。
「もうすぐ始まる!」
ルビーはワクワクした様子で画面を見つめる。
アイは苦笑した。
「うーん……やっぱり自分が出てるのを、みんなで見るのってちょっと恥ずかしいね。いつまで経っても慣れないや」
ルビーは笑った。
「えー!私はお母さんがテレビに出るの大好き!」
アクアも小さく頷く。
「俺も嫌いじゃない。家で見るのとテレビで見るのは少し違うし」
「そう?」
アイは照れくさそうに頬をかいた。
「何か変な感じなんだよね」
「自分が違う自分を見てるみたいで」
そんな話をしているうちに、番組は次の出演者を紹介し始めた。
『続いては、今大人気のアイドルグループ――B小町です!』
スタジオから大きな歓声が上がる。
「始まった!」
ルビーが身を乗り出す。
アクアも自然とテレビへ視線を向けた。
画面には七人のB小町が映し出される。
色鮮やかなステージ。
大勢の観客。
そしてセンターに立つアイ。
イントロが流れ始めると、会場の熱気が一気に高まった。
ルビーは目を輝かせながら見つめる。
「お母さん、すごい……!」
アクアも真剣な表情でステージを見つめていた。
普段家で見せる優しい母親の姿とは違う。
そこにいるのは、日本中を魅了するトップアイドル・星野アイだった。
悠真も静かにそのステージへ見入る。
(これが……星野アイ)
家では優しい母親として笑う女性。
その人物が、ひとたびステージへ立てば、一瞬で空気を支配してしまう。
歌声。
表情。
ダンス。
観客の視線をすべて惹きつける圧倒的な存在感。
医療とは全く違う世界でありながら、その姿には一流の人間だけが持つ輝きがあった。
悠真は自然と小さく微笑む。
「……さすがですね」
その呟きを聞いたアイは、照れ隠しをするように笑った。
「もう先生」
「そんな真面目に見ないでよ」
「恥ずかしくなっちゃうじゃん」
その言葉に、部屋は再び穏やかな笑いに包まれた。