【推しの子】もしも星野アイの隣人が天才外科医だったら〜命を救う、その先へ〜 作:ペンギンって可愛いですよね
B小町の歌唱が終わると、会場から大きな拍手が響いた。
テレビには出演者たちの笑顔が映り、そのままCMへ入る。
「終わっちゃったね」
アイはどこかほっとしたようにソファにもたれかかった。
「やっぱり自分が出てる番組を見るのは緊張するなぁ」
ルビーはまだ興奮が冷めない様子だった。
「今日も最高だった!」
「ダンスも歌もすっごく良かった!」
アクアも静かに頷く。
「今日の出来はかなり良かったと思う」
「フォーメーションもほとんど乱れてなかった」
「えへへ」
アイは少し照れくさそうに笑う。
「ありがとう」
そんな中、ルビーがくるりと悠真の方を向いた。
その目は期待でキラキラと輝いている。
「先生!」
「B小町どうだった?」
「良かったでしょ!」
アクアも悠真へ視線を向ける。
「率直な感想を聞かせてください」
二人の期待に満ちた表情を見て、悠真は思わず苦笑した。
「そうですね」
少し考えてから、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「私は音楽の専門家ではありません」
「ですが、一人の観客として申し上げるなら――」
「素晴らしかったです」
「歌もダンスも息がぴったりでしたし、皆さん一人ひとりが輝いていました」
「そして何より」
悠真はアイへ視線を向ける。
「アイさんの存在感は圧倒的でした」
「自然と目で追ってしまいます」
「これがトップアイドルなのだと実感しました」
その言葉を聞いたアイは照れたように頬をかく。
「もう先生ったら」
「そんなに褒めても何も出ないよ」
しかし、その表情はどこか嬉しそうだった。
ルビーは満面の笑みを浮かべる。
「でしょ!」
「B小町最高なんだよ!」
「先生もファンになっちゃいなよ!」
勢いよくそう言ったあと、ルビーの笑顔が少し曇る。
「……まぁ」
「今年で最後なんだけど」
その一言で、部屋の空気が少し静かになった。
アイも優しく微笑みながら頷く。
「そうだね」
「私含むB小町は今年で解散だから」
ルビーは少し俯く。
「もっとずっと歌って踊るお母さんを見ていたかったなぁ……」
アクアも何も言わず、テレビの消えた画面を見つめていた。
そんな二人の様子を見た悠真は、穏やかな表情で口を開く。
「確かに解散は寂しいですね」
「ですが、だからこそ今日のステージには大きな価値があります」
「限りがあるからこそ、人はその時間を大切にできます」
「今日の皆さんの姿は、きっと多くの人の記憶に残るでしょう」
悠真は優しく微笑みながら続けた。
「もちろん、私の記憶にも」
その言葉に、アイは少し目を丸くしたあと、柔らかく笑った。
「……ありがとう、先生」
ルビーの表情にも少し笑顔が戻る。
「じゃあ先生!」
「今日からB小町ファンね!」
悠真は笑いながら頷いた。
「はい」
「これから応援させていただきます」
「やったー!」
ルビーは飛び上がるほど喜び、アクアもどこか満足そうに小さく微笑んだ。
その光景を見ながら、アイもまた、幸せそうに笑っていた。