白鳥の国にて ~駐エルフィンド公使館付海軍武官の回想~ 作:ポオツマス亭
※今回は登場人物の紹介とあらすじ回となります。
次回は『星暦八七五年九月20 《ディアネン駅①》』となります。
大変申し訳ございませんm(_ _)m
――あらすじ――
【序章】
キャメロット連合王国(嘉国)の駐在武官としてエルフィンドへ着任したアーサー・リチャード・タリンナリー海軍大佐(33歳、儀礼称号:アヴォンデール子爵)。
ファルマリア港の入国審査にて、「氷の美声」を持つ
キャメロット公使館員である老獪なプレストン一等書記官と共に、馬車でファルマリア駅へ向かう。途中、シルヴァン川から買い物に来ていたダークエルフの一行とすれ違い、駅のホームへ到着。発車の間際にファルマリア駐在のエンジャートン領事から極秘の紙片(密書)を受け取る。しかし、その一瞬の隙をエルフィンド内務省の秘密警察たちにマークされることとなる。
【特別車】
首都ティリアンへの移動のため、エルフィンド国鉄が運航する列車に連結された
アーサーが大尉の髪にエリーの幻影を見て一瞬瞳を大きく見開いた動揺を、アルヴェーン大尉は白エルフ特有の傲慢さから「自分自身の美しさと、大将への憧れに魂を奪われた」と劇的に誤認。「この愛らしい短命種を、我が海軍の忠実な『賛美者』にしてやる」と甘美な優越感を抱く。
【昼の饗宴】
豪華な特別車にて、キャメロットの
運ばれてきたのは、保守の宮廷文官ヴァレリア・エスタリンド二等書記官 兼 宮廷儀典官が誇示する、アルトリア産牛フィレ肉を中心とした豪勢な肉料理。財政は健全でありながらも、宮廷文官たちが文化や庭園予算を優先し、海軍の新規発注や改修予算を激しく抑え込んでいる内紛の図式が浮き彫りになる中、プレストンとアーサーは彼女たちの自尊心を煽り立てる。
そして宴の終わり、アーサーが何気なく放った謎の諺――
「奥歯に寂しいですね」
その一言を聞いた瞬間、エスタリンドはスプーンを落とし、劇的な動揺と激しい拒絶を見せて取り乱すのだった。
【幕間】
エスタリンドが狼狽した理由は、二年前の星暦八七三年、先代女王崩御の真実だった。それは、海軍強化と海に活路を求めた先代女王を疎んだ宮廷保守派の手により、下層氏族出身だったエスタリンドがキャメロット製の秘薬を用いて決行した「
先代女王の寵愛を受けていたエルフィンド海軍は、暗殺の真相を悟りながらも証拠を全て消された。海軍最高司令官のファラサール大将と海軍省次官ヴァロワール中将は、『牙を研ぎ、海軍の形を保ち続ける』ことを誓う。そして、アーサーを海軍の味方として引き入れるべく画策する。
【三者三様】
アーサーはエスタリンドの「歪み」を確信する。その一方で、軍帽を届けに来たアルヴェーン大尉の油断を逆手に取り、がけ崩れによってルート変更となった「要衝ディアネン駅」の現地視察の
アルヴェーン大尉はアーサーが「自分に心を奪われた愛しい短命種」と信じ込み、「私との
エスタリンド書記官は個室で罪悪感とパニックの果てに自問自答を繰り返し、ついには劇的な誤認に到達。「罪を償うため、宮廷の陰謀や刺客から、命を懸けて彼を守り抜く悲壮な庇護者」になることを誓った。
――登場人物の紹介――
【キャメロット連合王国(嘉国)】
人間(短命種)族の近代工業国家。
アーサー・リチャード・タリンナリー大佐
立場・爵位:キャメロット海軍大佐、駐エルフィンド公使館付駐在武官。連合王国でも最も古い血筋と言われる「タリンナリー伯爵家」の嫡男であり、儀礼称号「アヴォンデール子爵」を持つ。
目的: 「
ヘンリー・プレストン一等書記官
立場:駐エルフィンド公使館一等書記官。
チャールズ・エンジャートン領事
立場:ファルマリア駐在のキャメロット領事。
タリンナリー伯爵
立場・爵位:キャメロット貴族伯爵、貴族院議員。二十年前、特使としてエルフィンドへ赴任した。随行員としてアーサーを伴い、エルフィンド海軍の近代化計画を支援。装甲艦二隻や装甲巡洋艦十数隻などを引き渡し、多大な貢献を果たしたのだが……。
【エルフィンド王国(エルフの国)】
エルフの生命の根源たる白銀樹より生まれる、
エレオノーラ・メルリンド少佐(エリー、白百合)
立場:一等装甲艦「
概要: 二十年前に幼いアーサーに海の風を教えた「お姉さん」。アーサーが執着し続ける絶対的象徴。
ヴァレリア・エスタリンド
立場:外務省儀典局二等書記官 兼 宮廷付儀典官。
概要: 三年前に先代女王を毒殺した暗殺の実行犯。「奥歯が寂しい」の一言で恐怖に陥るも、アーサーを「先代女王の残照(至高の光)」と誤認し、命懸けで彼を守る盾となることを誓う。
シトリン・アルヴェーン大尉
立場:エルフィンド海軍大尉。最高司令部附の
概要: ファラサール大将と同じ
トゥイリン・ファラサール大将(※原作登場キャラ)
立場: エルフィンド海軍最高司令官。大将。近代化艦隊を創設した偉大な改革者。
セレスティン・ヴァロワール中将
立場:海軍省次官。海軍の「頭脳」そのものである傑物。二十年前、軍務局長時代に特使であったタリンナリー伯爵と手を結んだ。
ルチア・セレンディス少尉
立場:ファルマリア入国審査官。「氷の美声」と呼ばれる士官。アーサーの持つ「余裕」に完膚なきまでにプライドを乱された。
小柄な工作員(手帳の女) & 長身の工作員(短剣の女)
立場:エルフィンド内務省直属の工作員。アーサーをつけ狙う危険な存在。
先代女王
立場:二年前(星暦八七三年)にエスタリンドの手によって毒殺された「慈母」。崩御の直前、エスタリンドに古代エルフ語の諺「奥歯に少し寂しい」を遺した。
あとがき(8)
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!
白エルフたちの誇り高き傲慢さから生じる「あまりにも劇的で都合の良い誤認」と、アーサーの内に秘めた冷徹な復讐心が交錯するドラマをお楽しみいただけていれば幸いです。
次回、物語は軍事・交通の要衝である《ディアネン駅》へと舞台を移します。
アーサーとアルヴェーン大尉の「視察という名のデート(?)」。
本格的に動き出す外交戦と復讐劇を、どうぞお楽しみに!
もし幕間をして欲しいキャラなどがあれば教えてください!
最新話以降で取り入れられるかもしれません!
コメントおまちしております!