深雪と合流できた私たちはエリカの提案によりケーキ屋という名のカフェテリアにより親睦を深めていた。
「そろそろ良い時間だし帰りましょうか」
「あ、ホントだ」
「楽しい時間はあっという間ですね」
「ふふ、そうね。こうして友達と過ごす時間は不思議と早く過ぎてしまうわね」
そんなことを話しながら会計を済ませて、それぞれの帰路につくことになった。
「碧䒾、話がある。少し待ってくれ」
「朝の件ね。分かったわ」
「お兄様、連絡しておきました」
「ありごとう、深雪。済まないが俺たちの家に来てくれ」
「?良いわよ。でも少し待ってて私も家に連絡を入れるから」
さて、これは私のことを疑っているのかな。真夜に名前を教えたのは失敗だったか。いや、流石に人相やらは言葉で伝えた所で人によって変わってしまうものだし、何よりもう30年も前のことだし記憶なんて曖昧になるはず……。
「待たせたわね。連絡し終わったわ」
「それじゃあ来てくれ」
「参りましょう、碧䒾さん」
こうして私は2人の家に一緒に向かうことになった。
「着いたぞ」
「碧䒾さん、着きましたよ」
「ここが…」
目に入ったのは豪華な一軒家だった。
「ただいま帰りました」
「ただいま戻りました。お母様、碧䒾さんをお連れしました」
「お帰りなさい、達也に深雪。そして貴女が」
「お邪魔します。初めまして柳河碧䒾です」
「初めまして2人の母の司波深夜と言います。どうぞ、おかけになって」
リビングに案内され、そこにいたのは原作では死んでいるはずの2人の母司波深夜が…いや四葉深夜がいた。
考えれば真夜を助けたことによって彼女が精神干渉系魔法を無理して使用続けたわけじゃないから体を壊すことは無かったことは想像できる。だから生きていても不思議じゃないけど…。
「碧䒾さん、どうぞ。紅茶です」
「ありがとう、深雪」
「お母様もどうぞ」
「ありがとう、深雪」
「お兄様にはコーヒーです」
「深雪、ありがとう」
深雪は配り終えると深夜さんの隣に座った。さっきのやり取りを見ていた感じ深夜さんと達也の間に確執というか溝みたいなものは感じなかった。聞いた話だと深夜さんは達也を息子としてではなく、深雪を守護する四葉の
「さて、達也。私に聞きたいことって何かしら?」
「ああ、碧䒾。お前に聞きたいことは一つ。お前が30年以上も時を遡り、四葉真夜を、叔母上を助けた柳河碧䒾であっているか?」
「その聞き方だと既に確信しているみたいに聞こえるけど」
「俺とていいや深雪や母上もそうだが確信を得て要るわけじゃない」
「じゃあ、私は同姓同名の他人なんじゃないかしら?それに今の現代魔法や古式魔法では時を遡って過去に行くなんて不可能。そうでしょ?」
「ああ、不可能だ。今の技術ではどんな理論を持ち得ても過去に行くなんて土台無理な話だ」
達也が代表して問いかけてきた。深雪はそれを少し不安げに深夜さんは目を瞑りながらただ聞いているだけだった。
「じゃあ、やはり同姓同名の他人なのよ。私は」
「本当にそうか?」
「何が言いたいの?」
「お前は俺が四葉真夜を叔母上と呼んでも怖がったり驚く素振りすら見せなかった。まるで最初から俺たちが四葉だと知っているかのような態度だった」
「……」
あー、そうか。驚かないといけなかったのか。
「驚いたしビックリしたわよ?ただ表情に出さなかっただけよ」
「嘘ね。貴女から嘘をついている人間特有のサイオンの波動は感じなかったわ。常に同じものだわ」
「下手な嘘は自分の首を絞めるだけだぞ」
「そうみたいね。でも、だからと言って私が達也たちの親戚を助けた本人とは限らないわ」
「助けられた叔母上は30年過ぎた頃四葉の力を使って調べたそうだ。そして何人かの同姓同名の人間を見つけ調査した」
「調査…ね。何を調査したのかしら?」
「魔法師としての適正だそうです。真夜叔母様の話によればそれで絞り切れるという話でした」
「深雪たちも協力したのね」
「私がというよりもお兄様がですけれど」
まさか一族そうでで調査してるなんて思わなかったわね。というか……。
「なんでそんな必死に探しているのかしら?」
「妹が、真夜が貴女の存在が決して幻では無かったと信じていたからよ」
幻でも構わないのだけど。私が彼女を助けたのは結局は自分が殺されたことを無意味にしたく無かっただけという自分勝手なものだからな。
「そしてその中にはお前の情報もあった」
「へぇ、だから第一高校に入学したの?」
「いや、あくまでも調べたのは魔法師として適性があるかのだけだ。進路までは調べていない」
「まぁ、そうでしょうね。しかも高校なんだから私が不合格で入学できなかたった可能性もあるんだしね」
「と長々と話したが俺はいや深雪や母上もお前がそうだという確信は最初に言った通りない。だから、ここまで話をしておいてお前が違うというなら俺たちからは何も聞くことはない」
「——そう。なら私は違うわ人違いよ」
「そうか」
これで終わみたいね。真夜には悪いけど私のことは幻だったと言うことにしてもらいましょ。
「だそうですが、叔母上」
「は?今なんて…」
「お久しぶりね。異能者さん」
振り返るとそこには30年前の面影を少しだけ残した大人になった真夜がいた。
「なるほど、達也たちは真夜が来るまでの時間稼ぎだったと言うわけね」
「俺たちがどんなに問い詰めても無駄だと思ったからな。なら、助けられた本人が来て確認した方が確実だからな」
「ここに来る前に深雪が連絡していたのは真夜だったわけね」
「ええ、そうよ。深雪さんから連絡をもらって姉さんにも協力してもらったの」
「貴女が達也と問答をしている間にここに到着した真夜を認識阻害魔法で隠しただけですが、案外うまくいきましたね」
なんて言う連携。脱帽ものだわ。
「それで碧䒾さんはまだしらを斬るつまりかしら?」
「はぁー、降参」
私は真夜の元まで歩いて行った。
「久しぶりね、真夜。随分綺麗になったんじゃない」
「貴女は何も変わっていませんね。私を助けたあの頃のまま」
「そりゃあ、あんたにとっては30年も前の出来事だとしても私からしたらつい最近の出来事だもの」
まぁ最近ではないけど神様に強制されたなんて言えないものね。
「抱きしめてもよろしいかしら?」
「何?」
「ですから抱きしめてもよろしいかしら?」
何言ってんのこの極東の魔女は?
「あんた頭大丈夫?」
「達也さん、彼女に分解魔法を」
「おい!?」
「わかりました。済まない、碧䒾。当主からの命令だ」
「ふざけんじゃないわよ!?深雪、達也を止めなさい」
「ごめんなさい、碧䒾さん。私ではお兄様を止めることはできません」
「良い笑顔で断ってんじゃない!深夜さん、貴女の妹でしょ!?なんとかして!!」
「はぁ、3人とも悪ふざけはそこまでにしなさい」
「あら、私は本気よ?姉さん」
「タチが悪いわ!」
全くこれが『触れてはならない者たち』なんて呼ばれている一族なのかしら、本当にも。
「分かったわよ。抱きしめて良いわよ」
「…では」
私が折れて許可を出した。真夜がすぐに抱きしめる。
「ああ、温かい。幻ではないのですね」
「……」
なるほどね。真夜も心のどこかで不安だったのね。体が少し震えているわね。
「よかったわね、真夜」
真夜に抱きしめられているから分からないけど深夜さんが笑っているように感じた。
「良かったですね、叔母様」
「そうだな」
なんか司波兄妹も感動しているみたいだけど。
「そろそろ離れなさい」
「…もう少しだけ」
「良いから、これじゃあんたから話が聞けないでしょうが」
ああ、これは今日は帰りが遅くなることは確定したな。