SEED世界に戦略ゲームStellarisの要素の一つであるミナマール特化産業を組み合わせてみました。
コズミック・イラ71年、プラント首都アプリリウスは揺れていた。
工業コロニーとして人類の宇宙進出を象徴する拠点だったこの場所は今、地球連合を相手取ったプラントの独立を賭けた大戦争の最前線でもある。
プラント最高評議会では議長パトリック・ザラが会議の口火を切ったところだった。
「既に地球軍は宇宙に展開したはずだ。こちらも防衛の準備を急ぎ……」
しかし、そこまで言ったところで彼の言葉は緊急で入った連絡によって遮られることになる。
「何?D.S.S.Dから?」
深宇宙の探索を行う民間組織。それがD.S.S.Dであり、相当のことがなければ政府機関に緊急で連絡を取ることはない。訝しみながら取り次いだパトリックは、大いに驚愕することになる。
「異星人の戦艦だと!?」
その一言が、重苦しい緊張に包まれていた最高評議会委員達の間に動揺を広げた。
「地球軍の策謀ではなく、異星人!?」
「ミラージュコロイドを用いた新型のデコイか何かではないのか!」
先ほどまで地球連合との戦争について思案していた委員たちが口々に叫んだ。無理もない。彼らの頭にあったのは地球連合から繰り出されてくるナチュラルの軍勢をどう打ち倒すかであり、太陽系の外からやってくる未知の脅威など認識の枠外であった。
「静まれ!」
パトリックの一喝が場を押さえる。
「D.S.S.Dから送られてきた観測データをメインモニターに回せ!」
メインモニターの中央に浮かび上がっていた戦況図がノイズと共に掻き消え、深宇宙を映し出す映像へと切り替わる。地球やプラントから遥かに外縁、冥王星宙域。そこに、信じがたいほどの巨大さを示す赤い光点があった。
「……既にデータ照合を完了しています。極めて人工的な構造物です」
響き渡るD.S.S.Dの担当者の声は、恐怖を理性で抑えつけていた。
「現在も太陽系内へ侵攻中。我々の知る地球連合軍のどの艦艇とも一致しません。あらゆる周波数での通信を試みていますが、完全な黙殺。予測軌道は一直線に……地球へ向かっています」
パトリックは歯を強く噛み締めた。
コーディネイターの国家としてのプラントの独立。その悲願のために、彼は全てを懸けてきた。だが、もしこのまま地球連合との決戦に突入すれば連合もプラントも未知の脅威に抵抗する能力を失う。
「全ての攻撃作戦を一時凍結。防衛ラインを後退させ、プラント本国の絶対防衛線に部隊を集結させる」
パトリックは全評議会委員を見回した。
「相手が何者であれ、我がプラントを脅かすのであれば徹底抗戦あるのみだ。だが今は矛先を地球へ向けている場合ではない」
「全作戦の一時凍結だと!?」
「地球軍は既にプトレマイオス月面基地に大艦隊を集結させつつあります!これを牽制する武力は必要です!」
しかし、他の委員たちは次々と反対する。血のバレンタインの悲劇の以前から続く地球に対する底知れぬ不信と憎悪はそう簡単に排除できるものではない。
「モニターの数値が読めんのか!」
パトリックの怒声が評議会場の空気を再び凍りつかせる。
「観測データをよく見ろ。あの構造物が発する熱源反応と質量は我々の要塞ヤキン・ドゥーエすら遥かに凌駕しているのだぞ!あれが太陽系を蹂躙すれば、プラントも地球も終わりだ!」
パトリック自身が誰よりもナチュラルを憎悪している。最愛の妻レノアを奪われた痛みが癒えたことはない。それでも彼はプラントの最高責任者として、コーディネイターという種を存続させるための決断を下さねばならなかった。
「ヤキン・ドゥーエ及びボアズの防衛システムを、外宇宙からの侵略へ対応して再設定しろ。展開中の全艦隊を直ちに後退させ、絶対防衛線に再配置する。ラウ・ル・クルーゼには特別任務を与える。直ちに最新鋭機を伴い、接近する構造物へ向けて強行偵察を行わせろ」
そこまで言ってから、パトリックは重い口を開いた。
「……そして、地球連合軍本部へ緊急の通信回線を開け」
「議長!?」
盟友であるエザリア・ジュールが目を見開く。
「まさか、休戦を申し入れると言うのですか! 奴らが我々の言葉を素直に信じるとでも!?」
「信じさせるしかないのだ、エザリア。我々の血の滲むような悲願は、あくまで『生き延びてこそ』果たされる」
パトリックの瞳には、かつてないほどの鋭い光が宿っていた。
「通信を開け。私が直接話す」
地球連合軍主力が集結する、月面プトレマイオス基地の地下深く。
プラントへの大規模攻勢に向けた作戦会議が白熱する中、中央指令室の巨大なスクリーンが唐突に暗転した。
「なんだ!? システム障害か!」
「違います! 最高機密回線への強制割り込み……プラント本国からです!」
オペレーターの報告を遮ってスクリーンにノイズが走り、やがて一人の男の顔が鮮明に映し出される。
プラント最高評議会議長、パトリック・ザラ。
連合軍にとって、それは最も憎悪すべき敵の首魁であった。
『私はプラント最高評議会議長、パトリック・ザラである』
「通信を切れ! 奴らのプロパガンダなど聞く耳を持つな!」
ウィリアム・サザーランドが叫んだが、パトリックの声はそれを遮るように響いた。
『現在、冥王星宙域から太陽系内へ侵攻中の巨大な質量体が確認された。D.S.S.Dの観測データによれば、極めて人工的な構造物であり……その進路は、地球を真っ直ぐに捉えている』
同時に連合側のサブモニターにもザフトから送信されたデータが強制的に展開される。
赤く輝く巨大な熱源反応。そして付随する信じがたい質量の数値。
『我々は全軍の攻撃行動を凍結し、絶対防衛線への再配置を開始した。貴軍においてもこの外宇宙からの未知なる脅威に対する防衛網の構築を急がれたい。……以上だ』
通信が一方的に切断され、スクリーンに再び連合軍の戦況図が戻った。
数秒の沈黙の後、爆発したように怒号が飛び交う。
「ふざけるな! ザフトの謀略に決まっている!」
「我々の艦隊の集結に焦り、時間稼ぎに出たのだ! 異星人の戦艦などと、三流のSF映画のつもりか!」
「ミラージュコロイド技術の応用か何かだ!作戦を止めるなどあり得ん!」
サザーランドを筆頭に、地球軍の将官たちは口々にパトリックの言葉を否定した。
しかし、その狂騒を切り裂くように、情報官が立ち上がった。
「……真実かもしれません」
「なんだと!?」
「月面の深宇宙レーダー群からのデータと統合しました。ザフトが送ってきたデータと完全に一致……いや、より絶望的です」
情報官は震える指でコンソールを叩き、メインスクリーンにその情報を投影した。
「目標のサイズは……ヤキン・ドゥーエと同等レベル。そして、目標の周囲に小型熱源が展開を開始しています。間違いありません、これは……軍事艦隊です」
画面に映し出された圧倒的な絶望の前に、先程まで血走った目でプラントへの核攻撃を叫んでいた将官たちの顔から血の気が引いていく。
「いやあ、驚きましたねぇ」
場違いなほど軽薄で、しかし将官たちに劣らない悪意を含んだ声が響いた。
ブルーコスモスの盟主であるムルタ・アズラエルが、椅子からゆっくりと立ち上がりながら笑みを浮かべていた。
「アズラエル理事! しかし、これは……」
「ええ、データが本物だということは分かりました。宇宙人さんが地球に遊びに来るなんて、本当に恐ろしい話だ」
アズラエルは肩をすくめて見せた後、目を細めて凶悪な笑みを浮かべた。
「でもねぇ、好都合じゃないですか?」
「好都合……だと?」
「先程、パトリック・ザラはなんと言っていました? 全軍の攻撃行動を凍結し、絶対防衛線への再配置を開始した……そう言いましたよね?」
アズラエルの言葉の意味を理解し、数人の将官がハッとしたように顔を上げる。
「地球に真っ直ぐ向かってきているなら、プラントの連中もどうせ戦わざるを得ない。勝手に宇宙人さんと潰し合わせればいいんですよ。そして、プラントが防衛のために部隊を後退させているということは彼らにとっても並大抵の相手ではない。ピースメーカー隊の発進準備を。我々の生存に関わる脅威こそが、コーディネイターとの戦争なんかよりも優先されるべきです」
「馬鹿な!」
一人の提督が声を荒げた。
「この期に及んで先制核攻撃だと! 地球が滅びるかもしれないのだぞ!ザフトと協力して平和的に接触するべきだ!」
「化け物の相手は化け物にさせればいいと言っているんですよ!!」
アズラエルが叫び返す。
「それに、奴ら侵略者が我々を騙さないという保証がどこにある!? 宇宙人が我々の事情を考慮しながら侵略してくれるとでも思っているのか!」
疑心暗鬼と、凝り固まった憎悪。
人類が手を取り合うべき最大の危機においてすら、地球連合軍の首脳陣は意見をまとめられずにいる。
「アズラエル理事の言う通りだ!」
沈黙を破ったのは、サザーランドだった。彼は血走った目で周囲の将官たちを睨みつける。
「ザフトは現在、防衛線を後退させている。つまり、我々とあの『未知の目標』の間にプラントのコロニー群や要塞が位置することになる。我々が今なすべきは、ピースメーカー隊を前進させ、目標に向けて核ミサイルを一斉射することだ!」
「目標がプラントを通過するタイミングを狙う気か!?」
「そうだ!宇宙の化け物を打ち砕く、まずはそうしなければプラントどころではない!」
狂気に当てられたようなサザーランドに、反論を試みた提督は絶望的な表情で黙った。もはや彼らの前にあるのは人間同士の戦争ではなく、未知の存在との生存競争でしかなかった。
「……決定ですね。では、核攻撃部隊の展開をお願いしますよ、提督方」
アズラエルは満足げに微笑み、再び椅子に深く腰掛けた。
時を同じくして、漆黒の宇宙空間を滑るように進むザフトのナスカ級高速戦闘艦。
その艦橋は、かつてない異様な静寂と緊張に包まれていた。
「……目標の熱源反応、さらに増大。周囲に展開していた小型熱源群が、規則的な陣形を構築しつつあります」
オペレーターの震える声が響く中、隊長のラウ・ル・クルーゼはメインモニターを凝視していた。
そこには、光学観測で捉えられた『それ』の姿が映し出されていた。
金属質でありながら、どこか有機的な曲線を描く巨大な構造物。ヤキン・ドゥーエに匹敵するサイズの母艦の周囲を、無数の航空機のような兵器群が飛び交っている。交信を試みることもなく、ただ圧倒的な暴力の気配を纏いながら直進してくる。
「クルーゼ隊長、本国からの命令はあくまで強行偵察です。戦闘は極力避け、データを持ち帰るのが我々の任務――」
「分かっているさ。だが、奴らが我々の事情など汲んでくれると思うか? 相手は対話すら拒む純粋な破壊の意思だ」
副官を一蹴したクルーゼは仮面の奥の瞳を細め、モニターの中の巨大な目標を見据えた。
「モビルスーツ隊、発進準備。私もプロヴィデンスで出る」
「隊長自ら!? 危険すぎます!」
「偵察には最適な機体だ。それに……」
クルーゼはクルーと踵を返し、艦橋の扉へ向かって歩き出した。
「これほどの特等席で、尻込みする者がいるものか」
しばらく後。絶対防衛線に集結しつつあるザフト艦隊と、地球から発進した連合の核搭載部隊、そして未知の異星艦隊。
三者の距離が縮まる中でアズラエルの意を受けた連合軍の艦隊は異星艦隊の射線上に陣取り、多数のメビウスを射出。その機体には核ミサイルが懸架されていた。
「地球軍の艦隊、目標へ向けて展開! さらに多数のモビルアーマーを発進させています!」
プラント最高評議会。報告を受けたパトリック・ザラは、モニターに映し出された連合軍の陣形を見て、激しい怒りに拳を叩きつけた。
「あの愚か者どもが! この期に及んで核を撃つつもりか!」
「議長! 連合のモビルアーマー群より、高エネルギー反応! これは……核です!!」
「なんだと!?」
プラント全土が驚愕に凍る中、宇宙空間で無数の閃光が瞬いた。
ピースメーカー隊から放たれた多数の核ミサイルが異星艦隊の中心へと向かって飛翔していく。
最前線でその光景をプロヴィデンスのコックピットから見つめていたクルーゼは、恍惚とした笑みを浮かべた。
しかし、核ミサイル群が、異星の巨大構造物に直撃する直前。
異星艦隊の周囲空間が、突如として陽炎のように歪んだ。
直後、宇宙空間で連続して発生したはずの超高温の核爆発は、プラントに届くどころか、異星艦隊の装甲に焦げ跡一つ残すことすらできなかった。爆発のエネルギーそのものが、音もなく消失したのだ。
「……な、なんだと?」
艦隊でモニターを監視していたサザーランドが、呆然と声を漏らす。
アズラエルの顔からも、先程までの余裕に満ちた笑みが完全に消え去っていた。
核すらも通じない。
その絶望が、地球軍とザフトの双方を怯ませた。
そして異星艦隊はついに「反撃」の行動を開始した。巨大構造物から発せられた無数の弾丸が、一瞬にして地球連合軍のミサイル発射部隊を空間ごと削り取るように消滅させる。
「ば、馬鹿な……! ピースメーカー隊が、全滅だと!?」
サザーランドの裏返った悲鳴が響いた。
メインスクリーンに映し出されていた無数の友軍機を示す青い光点は、異星艦隊から放たれた弾幕が過ぎ去った後、文字通り「消滅」していた。地球連合軍の誇る核攻撃部隊は一瞬にして蒸発したのである。
「う、嘘だろ? 核だぞ!? 人類最強の兵器なんだぞ!」
ムルタ・アズラエルは震える足で後ずさり、椅子に崩れ落ちた。先程までの笑みは微塵もなく、その顔は恐怖に青ざめ、滝のような冷や汗を流している。
彼らが憎悪の矛先を向けていたコーディネイターとの戦争など、この圧倒的な宇宙の不条理を前にしては気に留めること余裕すらなかった。
一方、最前線でその破滅的な光景を目の当たりにしていたプロヴィデンスのコックピットには、狂気を孕んだ哄笑が響き渡っていた。
「ハハハハハハ! 素晴らしい! これが外の世界からの使者か!」
ラウ・ル・クルーゼは、モニター越しに展開される生存競争を、まるで極上のオペラでも鑑賞するかのように見つめていた。
人類が自らのエゴをぶつけ合い、憎しみ合い、絶滅への引き金を引こうとしていたまさにその瞬間、外部からの絶対的な暴力によってすべてが等しく無に帰そうとしている。
彼にとって、これほど痛快な幕引きはなかった。
「……だが、ただ観客として終わるのも退屈だ」
クルーゼは操縦桿を乱暴に倒し、プロヴィデンスを前進させる。
「行け! ドラグーン!」
背面に装備された大型・小型の複合兵装ポッドが宇宙空間へ放たれ、オールレンジ攻撃の陣形を展開する。そして異星艦隊の巨大構造物の周囲を飛び交う、小型機群へ向けて一斉にビームの雨を降らせた。
しかし。
「ほう……?」
ドラグーンから放たれた高出力のビーム群は、小型機の機体に届く数メートル手前で、霧散した。
法則性を持たずに蠢いていた異星の小型機群が、一斉にプロヴィデンスへと機首を向ける。慣性の法則を完全に無視した直角機動。それは、人類の知る航空工学を根本から否定する動きだった。
「私を標的と認識したか。いいだろう、足掻くことこそが生命だ!」
クルーゼのプロヴィデンスはドラグーンを盾にしながら、凄まじいGに耐え、虚空を乱舞する。しかし、彼の卓越した空間認識能力をもってしても、未知の軌道を描く光線の雨を完全に回避することは不可能に近かった。プロヴィデンスのフェイズシフト装甲が、掠っただけの急激にエネルギーを削り取られていく。
プラント最高評議会。
パトリック・ザラは、D.S.S.Dの観測網と前線のクルーゼ隊から送られてくるデータを前に、沈痛な面持ちで立っていた。
「核もビームも通じないというのか……」
エザリア・ジュールが青ざめた顔で呟く。
「議長!このままでは地球へ降下する前に、我がプラントも射程圏内に捉えられます!」
「……ジェネシスの状況はどうなっている」
パトリックの低く、地を這うような声に、場が凍りついた。
それは本来、地球のナチュラルを焼き尽くすために用意していた、絶対的な殲滅兵器。
「発射シークエンスへの移行は可能ですが……」
「やらねば我々が死ぬだけだ。照準を接近する異星の構造物へ設定しろ!」
パトリックは議長席に力強く両手を突き、全画面に向けて通信を開いた。それはプラント全土、そして地球軍の残存部隊にも強制的に送信される、人類としての最後の決断であった。
「……地球連合軍残存部隊に告ぐ!」
パトリックの声には、もはやナチュラルへの憎しみも、コーディネイターとしての優越感もなかった。あるのは、ただ種を存続させるという純粋な生存本能のみ。
「我々の戦争は、たった今終わった。あれは我々を同じ『駆除すべき害虫』としか認識していない。連合の部隊はザフト絶対防衛線に退避しろ。繰り返す、プラントの盾になれ! 我々ザフトはこれよりあの脅威を迎え撃つ!」
パトリック・ザラの通信が切断された後、地球軍艦隊は水を打ったような静寂に包まれた。
「プラントの盾になれ、だと……我々、地球連合軍にコーディネイターに背を預けろというのか!」
サザーランドが血の滲むような声で吼えた。しかし、先ほどまで無敵を誇っていた人類の切り札、ピースメーカー隊が一瞬で文字通り「消去」された映像が、彼の網膜にも焼き付いていた。
「……退避させろ」
虚ろな声を出したのは、ムルタ・アズラエルだった。
「アズラエル理事!?」
「死んでしまっては……何もかも終わりなんだよッ! 宇宙のバケモノに殺されてたまるか! 全艦隊を後退させろ! ザフトの防衛線に入るんだ!」
恐怖で顔を歪め、滝のような汗を流して叫ぶアズラエルの姿が決定打となった。
地球連合軍の生き残りは、かつて殲滅すべき目標であったプラントの宙域へと、無様にも逃げ込んだのである。
その頃、最前線を泳ぐプロヴィデンスは、凄絶な死闘を繰り広げていた。
「これは、少々無作法が過ぎるぞ!」
クルーゼが叫ぶと同時、展開していた大型ドラグーンの一つが、集中砲火を受けてあっけなく爆散した。
「チッ……!」
クルーゼの顔から狂ったような笑みが消える。
彼が望んだのは、人類が自ら選ぶ結末だ。どこからともなく現れた異星の怪物に、人類の舞台そのものを一方的に破壊されることなど、彼自身が許さなかった。
「人類の終幕にしては、少々舞台装置が大きすぎる!」
残存るドラグーンを盾代わりに射出し、自機への直撃を間一髪で逸らす。その余波だけでプロヴィデンスのフェイズシフト装甲は激しく明滅し、機体各部から警告のレッドアラートが鳴り響いた。
『隊長! 早く後退を! 本国より、ジェネシスの発射シークエンスに入るとの通信が!』
母艦からの通信を受け、クルーゼは仮面の下で舌打ちをした。
「議長もとうとう腹を括ったようだな」
スラスターを最大に出力し、プロヴィデンスは迫り来る異星の小型機群から逃れるように宙域を離脱する。
プラント本国、最高評議会。
メインスクリーンには、地球軍の残存艦隊がザフトの絶対防衛線であるヤキン・ドゥーエへ逃げ込んでくる信じがたい光景が映し出されていた。
かつて血を洗う死闘を繰り広げたストライクダガーとジンが、メビウスとシグーが、同じ方向へ向かってスラスターを吹かしている。歴史上初めての共闘が、最悪の形で実現しようとしていた。
「ジェネシス、ミラージュコロイド展開解除! 一次反射ミラー、セット完了!」
「ガンマ線レーザー発振器、臨界に達します!」
オペレーターたちの怒号が飛び交う中、パトリック・ザラは微動だにせず戦況図を睨みつけていた。生命を灼き尽くすはずだった憎悪の光。それが今、全人類を庇うための唯一の盾にして矛となろうとしている。
「目標、接近中の異星構造物。我々の存在、その身に焼き付けよ」
パトリックは右手を高く振り上げ、そして力強く振り下ろした。
「ジェネシス、撃て!」
巨大なパラボラ状の一次反射ミラーから放たれた極大のガンマ線レーザーが、二次反射ミラーを経由し、宇宙空間を一直線に貫く。放たれた光の柱は、一直線に異星艦隊の中心にある巨大構造物へと殺到する。
プラント、そして地球軍の生き残りたち。全人類が息を呑んでモニターを見つめた。
光が、巨大構造物と激突する。
核ミサイル群を一瞬で無力化した謎の空間の歪みが宇宙空間そのものが軋むような奇妙な発光現象を引き起こした。
しかし、ジェネシスの出力は、人類がこれまでに生み出したあらゆる兵器の限界を凌駕していた。
「ジェネシスのエネルギーが、目標本体に直撃しました!」
歓声が上がる。
モニター越しでもわかるほどの巨大な爆発が深宇宙に発生した。巨大構造物の一部が溶解し、周囲を取り囲んでいた小型機群もろとも、強烈なガンマ線の渦に飲み込まれて消滅していく。
「やった!」
地球連合軍の戦艦で、将官の一人が思わず叫んだ。
プラント最高評議会でも、委員たちが安堵の表情を浮かべる。
だが。
パトリック・ザラと、モニターの向こう側にいるムルタ・アズラエルの表情だけは、凍りついたままだった。
「……議長」
D.S.S.Dからの通信を繋いだ情報官の声が、絶望に震えていた。
「目標の熱源反応、消失していません」
「なんだと?」
再びクリアになったメインモニター。そこに映し出された光景に、パトリックは息を呑んだ。
ジェネシスの直撃を受けたはずの巨大構造物は、確かに外縁部を大きく吹き飛ばされ、半壊状態になっていた。しかし、まだ動くそれは再び地球へ進路を取っていた。
「直撃で……沈められないのか、奴は」
パトリックの声が掠れた。
さらに、情報官が次の報告を告げる。
「目標より……新たな熱源反応が多数出現。先程の巨大構造物から、通信が入っています」
「通信だと……? 翻訳はできるのか!?」
パトリックの問いに、D.S.S.Dの担当官はその「音声」を最高評議会と、回線が繋がったままの地球連合軍旗艦へとスピーカーから流した。
それは、人類に理解できる言葉での、人類への通告だった。
『――局所的、極大エネルギー放射ヲ確認。貴文明ノ知的生命体レベルヲ「未成熟」カラ「特級危険種」ヘト再設定』
その声には、怒りも、憎しみも、当然ながら慈悲もなかった。
ただ淡々と、システムが数値を読み上げるような冷徹さだけが響く。
『啓蒙及ビ奉公契約履行不能ト認ム。貴文明ノ完全初期化シークエンスニ移行スル。全有機生命体ノ消去マデ、残り――』
通信はそこで途絶えた。
しかし、その言葉を理解できない者はいなかった。
「完全初期化……全有機生命体の消去だと?」
エザリア・ジュールがへたり込むように椅子に座り込んだ。
「啓蒙だと?奉公だと?彼らは我々と対話する気など最初からなかった。劣った存在として、我々を……!」
その時、通信用モニターの中で狂ったような声が響いた。
「ふざけるなあああっ!!」
ムルタ・アズラエルだった。
「誰が消されてやるもんか! 私を誰だと思っている! 地球をなんだと思っているんだ! おい、パトリック・ザラ!!」
かつて抹殺を企てていた相手の名を、アズラエルは叫んだ。
「さっきのバカでかいレーザー! あれがあるんだろう! なぜさっさと次を撃たない!!」
「……貴様に言われるまでもない!」
パトリックもまた怒鳴り返した。
「ジェネシスは連続発射できる構造ではない! 次弾装填とミラーの再配置には時間がかかる!」
「どれくらいだ!」
「最低でも数時間……」
「数時間……!」
アズラエルはギリッと歯を鳴らし、自軍の将官たちを血走った目で睨みつけた。
「聞いたな!? プラントのバカでかい大砲の次弾が撃てるまで、なんとしてもあの残骸を食い止めろ!ドミニオンを前衛に出せ! モビルスーツも全機出撃だ! ナチュラルもコーディネイターもない、死にたくなければ撃って撃って撃ちまくれ!!」
ヤキン・ドゥーエ絶対防衛線。
そこは今、人類史上最も奇怪で、最も絶望的な戦場と化していた。
「おいおいおい! なんだよあれ!」
「あははははっ! 壊していいんだってさ!」
「……滅殺!!」
地球連合軍の最新鋭機、カラミティ、フォビドゥン、レイダーの三機がプラントの防衛線を背にしてスラスターを吹かした。
彼らの横を、ゲイツやシグーが駆け抜けていく。
「連合の機体! 突出するな、援護が追いつかんぞ!」
「うるせぇよコーディネイター! 足引っ張ってんじゃねぇ!」
言葉を交わしながらも、彼らは同じ方向へ向かって火線を集中させていた。
半壊した異星艦隊の巨大構造物からは、先程までの無秩序な小型機群が次々と吐き出されていた。
連合のストライクダガーとザフトのジンが背中合わせになり、迫り来る群れに銃を乱射する。一機が撃ち抜かれて爆散すれば、かつての敵がその穴を埋めるように前に出た。
「フフフ……ハハハハハ!」
その乱戦の最前線で、ラウ・ル・クルーゼはプロヴィデンスの機体を優雅に旋回させていた。
「見ろ! この光景を! 昨日まで互いの根絶を叫んでいた者たちが、より巨大な死を前にして肩を並べている! これこそが人間! 意志だけが人類を一つにするのだ!」
補充されたドラグーンが一斉に放たれ、小型機を次々と撃ち抜いていく。しかし、倒しても倒しても、半壊した構造物からは無限とも思える数の敵機が湧き出し続けていた。
「遅すぎたな。この絶望の幕引きは!」
プロヴィデンスのフェイズシフト装甲が敵の光線を浴びて激しく火花を散らす。
「戦列を維持しろ! ジェネシス発射まで、あと十五分!」
ヤキン・ドゥーエの司令部から、悲痛な声でカウントダウンが告げられる。
しかし、戦力差は圧倒的だった。艦は次々と沈み、モビルスーツの数は目に見えて減っていく。連合もZザフトも、すでに限界を超えていた。
「もう……ダメだ……!」
一人のジンに乗るザフト兵が、迫り来る無数の敵機を前に死を覚悟し、目を閉じた。
その時である。
漆黒の宇宙空間を切り裂くように、二筋の極彩色のビームが奔った。
それは、群がる小型機を正確に薙ぎ払い、ジンとストライクダガーの窮地を同時に救ってみせた。
「なんだ!?」
全軍のモニターが、その発射源を捉える。
背中に巨大な翼を持つ機体。そして、巨大な飛行機状のパーツに乗る機体。
「あれは……!」
パトリック・ザラが、モニターに映る機体を見て息を呑んだ。
「フリーダム……それに、ジャスティス……!」
ザフトから強奪されたはずの最新鋭機。
そしてその後方からは、アークエンジェル、エターナル、クサナギが、主砲を一斉に放ちながら戦場に突入してくる。
「――こちら、三隻同盟。アークエンジェル、エターナル、クサナギ!」
全周波数に向けて、少女の声が響き渡った。
ラクス・クラインだった。
「事態は把握しました。人類の存亡を懸けたこの防衛戦に参加します!」
フリーダムのコックピットで、キラ・ヤマトは目の前に広がる信じがたい光景――連合とザフトが協力して未知の敵と戦う姿を見て、操縦桿を強く握り直した。
「生きるために戦っている……なら、僕たちも!」
マルチロックオン・システムが起動し、視界を埋め尽くす群れに次々と照準が合わされていく。
「フリーダム、行きます!」
隣を並走するジャスティスの中で、アスラン・ザラもまた、ヤキン・ドゥーエの方向――父がいるであろう司令部を見据えていた。
「父上……俺も!」
ファトゥム-00を分離させ、ジャスティスが突撃を開始する。
ドミニオンの艦橋で、ナタル・バジルールが舌打ちをする。しかし、即座に指示を出した。
「今は攻撃目標を間違えるな! 貴重な戦力だ、アークエンジェルとの連携を構築しろ!」
「アークエンジェルよりデータリンク要請! 受理します!」
地球連合軍、ザフト、そして三隻同盟。
血を流し合った三つの勢力が、宇宙の深淵から現れた「絶対の不条理」を前に、今、ひとつとなった。
「ジェネシス、発射まであと十分!」
パトリック・ザラは、モニターに映る息子の乗る赤い機体が、決死の覚悟で最前線を切り開いていく姿を見つめていた。
憎悪の連鎖の果てに用意された、最悪の終末。
しかし、その絶望の底で初めて、人類は本当に一つになろうとしている。
「……耐え抜け、アスラン」
パトリックは、議長としてではなく、一人の父親として小さく呟き、そして全部隊に向けて叫んだ。
「全軍、死力を尽くして戦線を支えろ! 我々の世界を……護り抜け!!」
「ジェネシス発射まで、あと八分!」
ヤキン・ドゥーエの管制室に響くカウントダウン。しかし、戦場の体感時間は永遠にも等しかった。
「邪魔だ、どけぇっ!!」
オルガ・サブナックの駆るカラミティが、砲を乱射する。放たれた極太のビームが敵機をまとめて薙ぎ払うが、直後にカラミティの死角から別の一群が殺到した。
「チィッ!」
直撃を覚悟したオルガだったが、その目前で弾幕が敵機を正確に撃ち抜いた。
「……っ!?」
振り返った先には、シグーが装備を構えていた。
「ボーッとするな連合! 死にたいのか!」
「うるせぇコーディネイター! 誰が助けろと言った!」
悪態をつきながらも、カラミティは再び砲門を開く。
少し離れた宙域ではフォビドゥンが『ゲシュマイディッヒ・パンツァー』で敵の光線をねじ曲げ、レイダーはメビウスと陣形を組むゲイツの群れに混ざり、質量兵器のミョルニルを振り回して敵の陣形を粉砕していく。
「信じられない……」
アークエンジェルの艦橋で、マリュー・ラミアスが息を呑んだ。
憎悪に狂い、血で血を洗う殺し合いをしていた連合とザフトが、互いの背中を庇い合いながら必死に防衛線を維持している。ただ生き残るという絶対の目的が、彼らを結びつけていた。
「エターナルよりミーティア射出! キラ、アスラン、受領してください!」
ラクスの声と共に、巨大な二つの武装モジュールが戦場へ射出される。
フリーダムとジャスティスがそれぞれミーティアとドッキングを果たし、その圧倒的な火力を解放した。
「当たれぇぇっ!!」
キラの叫びと共に、全砲門から放たれた無数のビームとミサイルが、宇宙空間に幾何学的な光の網を描き出す。ヤキン・ドゥーエへ迫っていた小型機の大群が、その一撃で束になって蒸発していく。
アスランのミーティアもまた、巨大なビームソードで敵の大型機を両断し、突破口を抉り開けた。
「見事なものだな、キラ君! アスラン!」
乱戦の最中、フリーダムとジャスティスの通信回路に、聞き覚えのある声が割り込んできた。
「この声……クルーゼ隊長!?」
アスランが驚愕に目を見開く。モニターの向こうから、ドラグーン・システムを駆使して異星の群れを蹂躙するプロヴィデンスが姿を現した。
クルーゼはプロヴィデンスの機体を二機の傍へと寄せる。
「しかし、喜んでいる暇はないぞ。見ろ、あの神様のなり損ないを!」
クルーゼの言葉に、キラとアスランがメインモニターを凝視する。
半壊した異星の巨大構造物の中心部――そこから、太陽の表面を思わせるような異常な熱源反応が膨れ上がりつつあった。
『ジェネシスより急報!』
アークエンジェルで、チャンドラが悲鳴のような声を上げる。
『敵巨大構造物内部で、超極大のエネルギー暴走を確認! このままではジェネシスの再発射より先に、敵の自爆で吹き飛ばされます!』
「させるかぁっ!」
ドミニオンの艦橋でナタルが叫ぶ。
「ローエングリン、照準! モビルスーツ隊は直ちに射線から退避しろ!」
ドミニオンとアークエンジェルは見事な連携で陽電子砲が同時発射する。しかし二筋の赤い閃光は、巨大構造物を完全に破壊するに至らない。
「アスラン! クルーゼ!」
キラは迷うことなく、二機へ通信を送った。
「僕がエンジンをやります! アスランとクルーゼで、敵の対空砲を押さえて!」
「無茶を言うな! 」
アスランが叫ぶが、クルーゼは愉快そうに笑う。
「いいだろう! 最高の舞台だ、私が踊ってやろう! 行くぞアスラン! 遅れるな!」
プロヴィデンスが限界の推進力で対空砲火の中に突撃する。ジャスティスもそれに続いた。
フリーダムのコックピットで、キラの瞳孔が収縮し、虹彩のハイライトが消える。
「……っ!」
キラの操作するミーティアが、弾幕の雨を紙一重で躱しながら機関部へと肉薄する。
「行けぇっ!」
通信回路にオルガの声が響いた。カラミティ、フォビドゥン、レイダーの三機が、フリーダムへ殺到する小型機の群れに特攻を仕掛け、無理矢理に道を開いたのだ。
フリーダムの巨大なビームソードが、エンジンの一つを両断する。そのまま反転し、全砲門をもう一つへ向けて一斉射。
同時に、表面ではプロヴィデンスの全ドラグーンによる飽和攻撃と、ジャスティスのファトゥム-00の特攻が、残る対空砲火を完全に粉砕していた。
やがてエンジンが破壊され、割れるような音を立てて、巨大構造物を覆っていたエネルギーが消えた。
『ジェネシス、臨界! ミラー展開完了!』
プラント最高評議会。
前線の部隊が退避したのを確認し、パトリック・ザラが叫んだ。
「撃てぇぇぇぇぇっ!!」
同時に、地球連合軍艦隊の中でムルタ・アズラエルもまた、絶叫を上げていた。
「消し飛ばせぇぇぇぇぇっ!!」
放たれた二度目のジェネシス。
その極大のガンマ線レーザーは、力場を失った巨大構造物の中枢へ、一寸の狂いもなく直撃した。
人類の前に立ちはだかった絶対的な敵は、今度こそ完全に融解し、消滅していった。
やがて、光が収まる。
「目標の……熱源反応、完全に消失」
ヤキン・ドゥーエのオペレーターが、震える声で報告した。
「周囲の小型機群も、統制を失い機能停止」
「……うおおおおおおおおっ!!」
誰からともなく上がった歓声が、プラントで、月面基地で、そして戦場の真っ只中で爆発した。
ストライクダガーとジンが喜びを分かち合う。
地球連合もプラントもない。ただ生き残った人類としての歓喜が、虚空を満たしていた。
アズラエルは椅子に深く背中を預け、滝のような汗を拭いながら、笑い続けていた。
「ハハッ……ハハハハ! 見たか、宇宙の化け物め! これが人間の執念だ!」
そして彼は、未だに繋がったままのプラントへの通信回線に目を向けた。
画面の向こうで、パトリック・ザラもまた、大きく肩で息をしていた。
二人の目が合う。
かつて、互いの種を絶滅させることだけを考えていた。
しかし今、彼らの前には恐ろしい外の世界からの試練が広がっていた。
「……パトリック・ザラ議長」
先に口を開いたのはアズラエルだった。いつもの軽薄な笑みは鳴りを潜め、酷く現実的で、冷徹な顔だった。
「どうやら、我々は井の中の蛙だったようです。世界は我々が思っていたより、ずっと暗くて、ずっとタチが悪いらしい」
パトリックが重く頷く。
「あの異星艦隊は『初期化』と言った。あれが斥候に過ぎないという可能性は、極めて高い」
沈黙が降りた。
「……D.S.S.Dからの技術提供をベースに、軍を再編する。もちろん、おたくらの技術も出してもらうぞ。ザフトの」
サザーランドが沈黙を破り、
「プラントを代表し、地球連合との無期限の休戦条約、および太陽系外縁防衛に関する相互不可侵・協力機構の設立を提案する」
パトリックが答える。ようやく、地球連合とプラントの対話が再開した瞬間だった。
宇宙空間。
大破したプロヴィデンスの中で、ラウ・ル・クルーゼは静かに目を閉じていた。
「……フフッ。これだから、人間というのは……」
人類の破滅は訪れなかった。だが、その代わりに人類は過酷な運命を背負って生きていくことを選んだ。それもまた、一興。
フリーダムとジャスティスが、静まり返った宙域をゆっくりと飛翔する。
彼らの周囲には、共に戦い抜いたアークエンジェル、ドミニオン、エターナル、クサナギ、そして傷ついた無数の連合とザフトの機体が、寄り添うように浮かんでいた。
「終わったね、アスラン」
キラの通信に、アスランは穏やかな声で返した。
「ああ。いや……ここから始まるんだ。俺たちの、本当の戦いが」
無数の星々が瞬く暗黒の宇宙。
コズミック・イラ71年。人類は初めて、地球という揺り籠の中から「外なる恐怖」を認識した。