戦姫絶唱シンフォギア RE:EVOLT   作:どーべんうるふ

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第一話 後編 改稿版

 

 

『戦姫絶唱シンフォギア RE:EVOLT』

 

第1話 後編

 

――蛇の目覚め、始まりの歌――

 

 

 夜。

 

 

 街の灯りが静かに瞬く。

 

 

 人々は知らない。

 

 

 この平穏が。

 

 

 あと少しで崩れ去ることを。

 

 

 そして。

 

 

 その未来を。

 

 

 すでに知っている存在がいることを。

 

 

「……」

 

 

 石動惣一の姿をしたエボルトは。

 

 

 

 ビルの屋上から街を見下ろしていた。

 

 

 風が吹く。

 

 

 人間の姿になったことで。

 

 

 

 以前より多くの情報を拾える。

 

 

 声。

 

 

 感情。

 

 

 生命の流れ。

 

 

 一度目の世界では。

 

 

 

 全てを上から眺めていた。

 

 

 人間など。

 

 

 

 ただの資源。

 

 

 惑星を彩る一時的な存在。

 

 

 そう思っていた。

 

 

 だが。

 

 

 今は違う。

 

 

「……本当に面倒な生き物だよねぇ」

 

 

 小さく笑う。

 

 

 人間は弱い。

 

 

 簡単に傷つく。

 

 

 簡単に絶望する。

 

 

 それでも。

 

 

 誰かのために立ち上がる。

 

 

 それが。

 

 

 エボルトには理解できなかった。

 

 

 だからこそ。

 

 

 興味がある。

 

 

 一度目の世界。

 

 

 立花響。

 

 

 風鳴翼。

 

 

 雪音クリス。

 

 

 彼女たちは。

 

 

 

 何度倒されても。

 

 

 

 何度絶望しても。

 

 

 

 歌い続けた。

 

 

「普通なら諦めるところなんだけどねぇ」

 

 

 エボルトは。

 

 

 

 遠い記憶を思い出す。

 

 

 桐生戦兎。

 

 

 万丈。

 

 

 自分に最後まで抗った二人。

 

 

 力では勝っていた。

 

 

 知略でも上回っていた。

 

 

 それでも。

 

 

 最後に自分を追い詰めたのは。

 

 

 人間の意志だった。

 

 

「……」

 

 

「まったく」

 

 

「どこの世界にもいるんだよね」

 

 

「そういう面倒な奴」

 

 

 だが。

 

 

 今回は。

 

 

 敵として倒す必要はない。

 

 

 少なくとも。

 

 

 まだ。

 

 

 エボルトは動かない。

 

 

――始まりの日――

 

 

 数日後。

 

 

 街は。

 

 

 

 ある大規模ライブイベントに向けて。

 

 

 

 熱気に包まれていた。

 

 

 多くの人間が。

 

 

 

 その歌を楽しみにしている。

 

 

 歌姫。

 

 

 風鳴翼。

 

 

 天羽奏。

 

 

 二人の少女によるステージ。

 

 

 そして。

 

 

 エボルトは。

 

 

 

 遠くからその場所を見ていた。

 

 

「来たねぇ」

 

 

 知っている。

 

 

 この日。

 

 

 全てが始まる。

 

 

 ノイズ。

 

 

 シンフォギア。

 

 

 そして。

 

 

 一人の少女。

 

 

 立花響。

 

 

「一回目と同じなら」

 

 

「ここで奏が……」

 

 

 言葉を止める。

 

 

 エボルトは。

 

 

 

 一瞬だけ表情を消した。

 

 

 未来を知っている。

 

 

 だからこそ。

 

 

 選択できる。

 

 

 助けることも。

 

 

 邪魔することも。

 

 

 しかし。

 

 

「……まだ早い」

 

 

 拳を握る。

 

 

 一度目の世界では。

 

 

 彼は傍観者ではなかった。

 

 

 破壊者だった。

 

 

 全てを利用し。

 

 

 全てを奪った。

 

 

 だが。

 

 

 二度目は違う。

 

 

 この世界が。

 

 

 

 どう変化するのか。

 

 

 見届ける。

 

 

 そのために。

 

 

 今は。

 

 

 手を出さない。

 

 

 ――しかし。

 

 

 その時。

 

 

 空気が変わった。

 

 

 エボルトの視線が動く。

 

 

「……」

 

 

 感じる。

 

 

 異質な存在。

 

 

 歌とは違う。

 

 

 生命とも違う。

 

 

 人間を喰らうためだけに存在するもの。

 

 

「ノイズ」

 

 

 呟く。

 

 

 観客の悲鳴。

 

 

 逃げ惑う人々。

 

 

 崩れる日常。

 

 

 一度目と同じ光景。

 

 

 だが。

 

 

 違うものもあった。

 

 

 エボルトは気付く。

 

 

 自分がいる。

 

 

 それだけで。

 

 

 歴史には僅かなズレが生まれている。

 

 

「面白い」

 

 

 笑う。

 

 

 そして。

 

 

 ステージ上。

 

 

 二人の装者が立ち上がる。

 

 

 風鳴翼。

 

 

 天羽奏。

 

 

 シンフォギアを纏う少女たち。

 

 

 歌が響く。

 

 

 戦いの歌。

 

 

 命を懸けた歌。

 

 

 エボルトは。

 

 

 

 初めて間近で見る。

 

 

 この世界の力。

 

 

「これが……」

 

 

「シンフォギア」

 

 

 聖遺物。

 

 

 人の想い。

 

 

 歌。

 

 

 全てが一つになった力。

 

 

 かつて惑星を喰らった存在ですら。

 

 

 興味を抱くほどのもの。

 

 

――そして――

 

 

 その戦いの中。

 

 

 一人の少女が。

 

 

 瓦礫の中で倒れていた。

 

 

 立花響。

 

 

 まだ。

 

 

 何者でもない少女。

 

 

 だが。

 

 

 エボルトは知っている。

 

 

 彼女が。

 

 

 この世界を変える存在になることを。

 

 

 そして。

 

 

 彼女の中に眠るもの。

 

 

 ガングニールの欠片。

 

 

「……」

 

 

 エボルトは。

 

 

 

 静かに目を細める。

 

 

 助けるか。

 

 

 放置するか。

 

 

 選択肢はいくつもある。

 

 

 だが。

 

 

 今は。

 

 

 ただ見る。

 

 

「さあ」

 

 

「二度目の物語の始まりだ」

 

 

 その瞬間。

 

 

 少女の胸に。

 

 

 

 赤い輝きが宿る。

 

 

 歌が。

 

 

 運命を動かす。

 

 

 エボルトは。

 

 

 

 その光を見ながら。

 

 

 静かに笑った。

 

 

「……やっぱり」

 

 

「人間って面白いねぇ」

 

 

 一度世界を滅ぼした蛇は。

 

 

 今度は。

 

 

 世界を変える可能性を。

 

 

 

 最初の瞬間から観測していた。

 

 

――第1話 後編――

 

――蛇の目覚め、始まりの歌――

 

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