ロヴァノリヤ禽獣旅紀 —広大なる多民族國家の命運、大衆の暗く斃れる先には、何が在るのか— 作:南部 八十一朗
皿に響く食具の甲高い金属音。
時刻は宵の劇舞台を舞う星々の燦々的な音が聴こえる位には深い時間帯だろうか。窓から見えるは青的な黒色で在る意味カーテンが掛かって居る様だ。
朝の花瓶とは変わり三本枝の銀燭がテーブルに聳え、水差しは上品的なラベルが巻かれたワインの紫や緑酒瓶が立って居る。中身の量双方違って居る、其れにワイン以外にも麦酒や他の酒瓶もテーブル雪原の上に櫓みたいに立って居る。
「如何した?未だ未だ之からだろ?」
「zzz」
「いやぁ、ペーテも寝ちゃったし、そろそろ終らないと駄目でしょ」
「何だよ、折角の酒だぞ?此処からが通常って奴だろ?」
「15本以上も飲んで、酒飲む前の何時もミュハだと...やっぱり色々と可笑しい...」
「..性が無いな、今日は此処までにしてやるよ」
何時も通り、三人の酒宴は幕を閉じた。
時刻も老け硝子靴の割れる十二時の印を針は点き通していた。
今だ酒瓶に残る酒を一気に飲み干す。周りの席は空席塗れだが、多少は飲酒客が座ったり、床や机に突っ伏して鼾や大きな呼吸を垂らしながら眠っており、少し遠くの所から従業員が口を開けた儘、絶望的な目つきをして居た。
そんな最中、私は酒瓶を一箇所に置いて硝子瓶の要塞を築けば、トントンと手の甲側、裏拳擬きでペーテの肩を叩く。
「...うぅん、もう朝か?」
「違う、未だ夜だ、部屋に戻るぞ」
「..あぁ、そうかぁ、よし戻るかぁ...」
少し寝惚けた様な雰囲気の儘、席を立とうとするが、ガタッと急に腰が抜けたかの様に床に座り込む。
「すまん、ちょっと肩を貸してくれ...」
「...しょうがねぇな」
結局三人で肩組みながら、部屋まで戻る。
甲板の木材の軽い音が聞こえる、そして、今度は紅い絨毯の廊下、パサパサとした靴音と踵の擦れる音が響く。
木製の軋む扉を開け、部屋に戻り切った。
ペーテは白いベッドに寝転び、イデナは一人座りのソファに刻々深くと座り込む。
私は窓を除き、静かに部屋の照明を暗くし、夜光の淡々な照明が窓から照らし出されて居る。波々の海光の星々が月光や星光に刺され反射し、顔を手で覆う様に少し明るい夜光が迫る。
対して、
窓の奥に見える星の耀きは、角砂糖潰した粒々の煌き。
紙煙草の灰が漏れ散って、甘味が口に拡がる。
お前らは煙草は吸わない方の者達か?喫煙所何て勾留所に用は無いぞ。
喫煙者何か其処等中に戯れてるぞ、紳士だろうが、若年層も性別も関係無い。
喫煙何か、百害あって一利なし何て言葉がお前らの世界には存在するが、私のアイデンティティを破壊している、之は名誉棄損って奴で訴えて良い奴か?
何だ?煙草も酒も体に悪いとかの理由か其れとも素行みたいな印象か?
寿命何て、何時有効期限切れるか解らない物だろ?明日死んでも、今死んでも、何ら違和感は無いかろう。酒とか煙草を規制しても結局はまた吸ったり飲んだりするだろ?其れとも養命酒でも飲んで健康者でも称して居るのか?実質、飲酒だから此方側なんだよ。
渋いとかかっこいいとかで喫煙や飲酒をした訳じゃ無い、煙草は魔法の供給源、飲酒は極寒なロヴァノの冬を超える為の一種の冬眠作業が派生して飲酒癖が着いただけだ
そんな社会に憂いて酒や煙草を始めた訳では無いからな。何か暴言でも言って見ろよ、鼻孔に火の点いた副流煙側の煙草差し込むぞ。何て紳士的なんだ、眠りから目覚めるだろ?まぁ、今回は之位かな。
噎せ変わる紫煙の息と軋んで呻く床、其れに共鳴するかの様に鼾を掻くペーテの声。一人用のソファに深々と座り凭れ寝るイデナの姿が、弱い夜光に照らされて居る。
白波泡飛沫が激しく飛び交う音が聴こえて来る
細い甲板の廊下には誰一人として気配も姿も無い、私と言う一輪の花だけが咲く平野の様だ。
陽気で甲高い革靴の当たり擦るカツカツと言う音が一番耳に障る。モフモサもして居ないウシャンカを被り、白襯衣の余った皺や布が小刻みに搖れ蠢く。
夜行性が一匹、静かに煙草を吸って佇んで居る。巨体で布団にも成りそうな大きな服を着て船の手摺りに凭れて、果て無き海や有象無象に拡がる星天の畠空を見上げる。
「..」
静かに息を吐く様に紫煙が溢れ出る。
半アバンギャルドな姿勢状態で身体が少しだけ傾き、 煙草を指と指の隙間に絡めて、夜の静幕と星幕が垂れ輝かる。
「ふぅ...」
片口だけが咲いて、紫煙を吐き散らす。
上下左右、小刻みに搖れ動く船、夜色に同化した黒蒸気の靄が朧げに星に薄布を被せて居る。恋愛的ロマンで表すのならば、眠気の蔓延る彼女に掛け布団でも掛けてる様な姿だろうか。気持ち悪いな。
孤独的孤高な私から見た恋愛何ぞ、恋に味を感じ無いお前等が見る冷やかな眼みたいな感じだから、今の似非恋愛表現を真に受けるなよ、安い恋愛描写で満たさせる廉価な心みたいだぞ。
第三者から見れば、そんな事はどうでも良い、煙草や紫煙に恋愛を結ぶ程、私は猟奇的では無い、別の意味で転用は出来るがな。
「ったく、何を考えているのか...」
こう見えても、私は女。だが、恋の華等、とっくに根腐れを起こし、殺欲と血欲が料理に使われる香辛料の様に複雑に混ざり合って居る。其れも粉微塵に原型が無いと来た。
煙草と酒と雑血と破壊が私にとっての趣味の一つで有り、職業の一つで在る。自分で狂気を語るのは偽物と聞くが、本当に趣味にして職の一つなのだから、言い訳も証明も出来ない。其れも何も干渉出来ないお前等に言って居る時点で質の悪い奴だとは思わないのか?其れとも鈍感的なのか?其れとも自分に被害が遭わないならと安堵でもして居るのか?はい、今回も終了の幕が閉まるよ。
「...何と言うか凄く場違いだな..まっ、良いっか...」
普通の狼女か男なら狼にでも成りそうな大きな満月が夜空の中心で燦燦と五月蠅く光って居る。其れも周りの星々を圧迫する様な横暴振りで我が儘な嬢みたいだ。私はそんな強欲に夭々な月よりも杳々寂寥にして孤高に燦やかに燈る星々の方が魅力的だ。
そんな情景の下、渋いと言う言葉が似合う服装に仕草こそ、私だ。
煙草を吸いながら、片手は
此の一秒一秒の正確な描写は私にとっては之から何か起きるかも知れない未来での出来事を詳しく精確に記録する為の細かい説明さ、眠りの羊を貪った私の姿。他者に惹き付けれる様な美貌でも無いし、可愛さの欠片一粒も海に呑まれたし、何も無い。
此の風景もそんな人々の活動を絵画にした様な静止画でも無い、冉々と時は老け若返る。明日の事何て一割も解らないけど、もうすぐ真の異文化圏の港へ着く。岑々みたいな音が聞こえるが、多分星空の声だろう。何時も聞こえる蟲とは違う独特な音は夜、星が見える時にしか聴こえ無い。
話す事何て無い。
星空は少し眩しいくらい明るいし、眠気も一切感じ無い。
無言と沈黙の表情を浮かべ、煙草を吸い吐く。どれも之も仕草が淡々と手馴れな動きで総てが特異な言葉で並び表す様な響きも無い。其れこそ、私の真の姿なのだ。
「....」
独り言も漏れ零れ無い程、言葉の一欠片も産まれず、黙って翩翻する夜雲に淼漫な黒海、燿爍な無名六等星の群れを下から眺める。乾いた血色の捕食者が虎視眈々と眺めている。
朝や昼と違って寡黙な夜は私の大好物だ。寂寥、蕭条、清閑、退屈を意味する言葉の儀仗兵達の行進が夜に行われる。無数の星々の光に照らされ、装備は似非な金属光沢が溢れ耀くのだろう。最新鋭とは言い難いけど、歴戦の猛者等と称せば旧型兵器と言う古い字で書かれた意味も星の眼を浴びれるのだろうか...
冬なのに、燦々の暑さが肌を舐める。
乱調な陽は最悪と言う二文字が相応しいだろう、ロヴァノでは味わった事の無い異文化料理の一品みたい感じだった...
捻くれた脳味噌を高回転させて、何か違和感と言う調味料の加えられた文の数々が視えない料理群が提供されて要る。其れが本当の意味とは違う意味を転用させて居るかも知れない。まぁ、真相何て、全員が知らないからこそ、真相と言う秘宝が在る様な物だろ?
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続