アンタはどんな厨二病だったんだい?
黒炎。それは魂の疼き。
様々な創作においてしばしば言及される浪漫に満ちた業。
大抵は一般的な炎よりも強力で、更に何かしらの付加効果が与えられる。そしてその使い手達はやはり暗い過去や宿命を持ってたり、もしくは野心や復讐心の様な暗い決意を抱いている。
その名の通りの色をしたそれはまるで術者の殺意を具現化する様に「何で炎が黒いんだ?」と言う疑問ごと全てを焼き尽くす………エエやん………
………勿論それは絵空事であり自分の空想世界で楽しむに留まるべきだろう。
けれども、もしも自分が魔法の理が当たり前の世界に在ったらどうだろう。もしも自分がそれを見出すための素質と環境を持っていたらどうするか………
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「ブラック魔導卿、私は貴公の働きを高く評価してるつもりだ。貴公は魔術研究者としても勿論付呪師としても多くの実績を誇っている。」
「左様にございますか。」
「貴公の発明は臣民を問わず受けが良い。おかげで我が騎士団は精強、多くの民が飢えるを知らぬばかりか高い文化を享受している。それに貴公は有能な者達の推挙にも積極的だ。よもや魔術師が錬金術士や聖職者を毛嫌いせずに売り込むとはな。」
「恐縮です。」
「無論、貴公とて無から成果物を得ている訳ではあるまい。故に適切な投資と報酬を貴公が欲する事に異論は無い。だからその正当性を示して欲しいのだ………貴公、何故フルプレート一式を拵える程のミスリルが入り用なのかね?」
「はい閣下。私バナード・ブラックは貴方様の都市、此処ゴートダイブに於いては防衛力が重要であると愚考いたします。山岳都市で在りながらこの地は歴代ノースホーク当主の皆様の尽力により栄え、また鉱山からの鉱物産出によって王国でも有数の重要都市と言えます。よって我等は襲撃者や巨大な魔物を退け安定した物流を常に確保する軍事力が必要です。」
「ウム、貴公の言は間違って無いが…」
「探求こそ魔術師の本分。我が魔導なら成せます。」
「………やはり承服しかねるな。そもそもせっかくのミスリルを黒炎等と言う如何わしい魔術の
「………」
「貴公の個人での探求をとやかく言う積りは無いのだ。ただ貴公、以前訓練所のゴーレムをお釈迦にしたそうじゃないか。それ自体は良い、訳では無いが…貴公既にその黒炎とやらを体得しているのだろう?」
「閣下、アレはまだ試験的な術式の基礎が組み上がっただけです。完成には程遠い。」
「………貴公、何と戦うつもりかね。ともかくミスリルゴーレムの件は諦めてもらうよ。」
「…はぁ、分かりました。では次は…以前議題に挙がった
「なんと!貴公それは本当かね?」
「すでに麻と木綿で試しました。ただ性能的にどうしても4割程度の落差が生じますね。」
「十分だとも、いつ提出できるかね?」
「此方がプロトタイプです。装置については工房に、報告書は7日後にエスメラルダ内務相談役に挙げるはずです。」
「ウム、期待しておる。ローレイよ、厳重に保管しておくのだ。」
「御意にございます、エバリエ様。」
「よろしい。さてブラック魔導卿、貴公は先程…付呪術式複写装置、なるものを完成させたとのことらしいが、それはいかなる物か説明してくれたまえ。」
「はい閣下。かの装置は術式の刻まれた基盤を配置した浴槽に親魔力性の溶液を満たし魔力を適量流すことで術式を焼き入れます。魔力に関しても備え付けの
「ウム、つまりは…」
「魔力の錬成と術式の励起が出来る者、所謂見習い魔術師程度でも十分扱えるはずです。」
「ウゥゥム、流石に貴公の意見だけでは何とも言えないが…しかし本当ならばこれ程素晴らしい事は無い!なので報告書が挙がりしだい視察する。」
(マジかよハエーよ…)「閣下流石に事を急ぎすぎでは?」
「ウム、そうか。では半月程度を目処に予定を組むか。貴公もその積りで頼むぞ。具体的な日程は追って通達する。後は何か有るかな?」
「私からは以上です。」
「結構。今回の件が上手くいったなら貴公の工房には特別報酬を約束しよう。流石にミスリルは無理だがな。それと視察の結果しだいだが
「ではこれにて失礼します、エバリエ・ショーン・ノースホーク様」
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グゲェェェ仕事が増えたぁ。このバナード不覚を取った。チクショウめ!あんなセコい魔道具がそこまでウケるとは……
あんなの重さが精々半分になる程度のクソザコアイテムだぞ。しかも廉価版は3割減がいいとこだってのによ。仕事を減らすために装置を作ったが失敗したかもしれん。
「やぁ、ブラック卿。今いいかな?」
「ん?あぁ、サフィオン卿。」
クリストファー・サフィオン魔戦技指南役。
この線の細いパツキンロン毛は甘いマスクとは裏腹に実践的な魔術運用と堅実な短槍術に定評の有る男だ。少なくとも白兵戦ではオレより強いはず。インテリなのに意外と脳筋気質な武闘派だったりする。
「君が以前寄越したアレについて話がしたいんだ。」
「あぁ、アレか…でしたら練兵場に行きませんか?どうせなら現地での使用感も知りたいし。」
「丁度私もそう提案する積りだったんだ。ならば早速向かいましょう。」
まあまだ改良の余地が有るかもだしな。
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「だから我が軍にはあの油がもっと必要なのだ!壺に油、それにポーション!我が精兵に貴様の魔法が加われば鬼に金棒じゃ!!」
三国志の張飛にサンタクロースの髭を生やした様な爺さんが吠える。このシルバーマッチョマンこそガストン・ジーク・ハウルホーン千人隊長殿だ。ちなみに爺さんのいう油と言うのはオレが作った物だったりする。
壺は
ポーションはただの一般的なやつだがオレが連れてきた
「いいえ、伯爵様の精鋭とは魔術兵団のことです。
サフィオン卿の言う魔杖とは
やはりオレ個人としては棒立ちの魔術師がチンタラ詠唱なんて論外な訳で。故に『下級魔術師でも一呼吸で術の行使が出来る』と言うテーマで打撃武器も兼ねたロッドを前に作ったのだ。
「御二人とも何をおっしゃるのです?情報こそ戦場の要。私の
野心に満ちた赤い瞳が煌煌と輝く。
ベロニカ・マリアネッテ・シアトリクス筆頭魔軍師
以前オレが零したモールス信号の概念と
決してオレの黒炎を貶めたからとかじゃない…フン。
つーかコレってオレが決める話じゃねーよ。エバリエ様かローレイ執事長かエスメラルダ相談役に言えよ。ウチの工房だって暇じゃねーよ。
ただのロッド雑談会から
「………やっぱり工房が鍵だな。雇用主の意を汲みソレに応える実力を持つ
ウオオオ!ズレろ論点、逸れろ話題!
「言いたい事は解るけど君の様な柔軟で優秀な付呪師は中々居るものでは無いのですよ。ましてや君みたいに白兵戦を想定して訓練をしたり興味を持つ術士は特にね。」
アレ?サフィオン卿って結構オレの評価高め?
「別に技術自体は既に保持しているんだから問題無し。ある程度の真面目さと段取りの良さ、何より秘守義務の遵守が出来れば十分だ。」
「そのレベルでさえかなりの水準よ。そもそも付呪師自体が少ないの。魔術師は大抵自分の
ソレな。魔術一本で
「いなけりゃ育てる、軍師殿の得意分野じゃないか。それに実は新しい発見があったんだ。今は秘匿しなきゃいけないが近々面白いイベントが有るかもな。」
「なんじゃ魔法か?ワシャ難しい話が嫌いなんじゃ。」
寧ろアンタがこの中で一番恩恵を受けると思うよ爺さん。
「ダイジョブ寧ろ魔術抜きならスゲー単純な話ですよ。まあ楽しみにしてくれよ。アレを見れば工房の件、かなり前向きに思えるはずだよ。さて、そろそろいい時間だな。オレは工房に戻らせてもらうぜ。ごきげんよう!」
よし、逃げるか。後は副官達がどうにかするだろうよ。
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「っと、言う訳でお前等には通常生産とは別に試験データの編纂をしてもらうから。」
「マジすか。ったく書類仕事なんてダリィぜ。」
分かるぜクラウス。普段と違う事をするってかなりエネルギー使うからな。
「だらしないですよ。工房長、装置の概要説明欄と術式の解説欄は私にお任せください。」
お前は働き過ぎだレイモンド。技術を盗んでやるって気概は買うがこの世界に8時間労働残業常態化なんて文化は必要ねぇんだよ。
「一応言っておくが労働は3時までだぞ。それと納入は間に合ったか?」
「はい、
「OK。クラウス生産班長、在庫の方はどうだ?」
「原料オイルが大樽2つしかネェな。あと凝固剤とロープもそろそろ少ねぇ感じだ。」
「わかった、昼前に見とくから。他は何かあるか?」
「工房長、錬金工房から
「マジか何時まで?」
「10枚はクッシル開発主任に、残りはボイラー工房長がそれぞれ2週間後までにと。」
「…10枚は確か前作ったヤツがあるよな。よし、とりあえずロン爺さんに先に渡すか。後は布からか…午後はギルドだな。レイモンド管理主任、発注書を頼む。」
「既に仕上げています。此方が木綿布とロープで此方がオイルと凝固剤です。」
………やっぱ働き過ぎだこのロン毛メガネ。まあ助かるけどよ。少しはアッチの褐色ポニテみたいに力を抜いても良いと思うけどな。
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あ〜腹減った。とりあえずメシは
「おい、ボイラー工房長は居るか?」
「これはバナード様、工房長はエルリア主任と研究室に居ますよ。」
「おう、ありがとな。」
おし、じゃあ行くか。それにしても大分デカく成ったなここも。パッと見ただけでも明らかに高度な教育を受けたローブ組に平民のおばちゃん、日雇いの異種族と色々居るのが見える。
トロールのスッポリ収まりそうな大釜をエプロンとキャップを身に着けた丸太の様な腕のおっちゃんと人狼の兄ちゃんがボートの櫂の様なヘラで中身を撹拌している。蛇口からドボドボ流れる緑の液体を
………コレのどこが工房だよ、スゲー工程化されてるじゃん。オレの工房よりも余程先行ってるよコレ。
実際エバリエ様もビビってたもん。常に品薄だったポーションが今や主力輸出品に成ったってな。マジで金が動きすぎて怖い。投資した分取り返したらそれ以上は勝手にやってくれって感じだ。
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「お〜い、来たぞ草混ぜ屋共。」
「あぁん?…何じゃ、杖振り小僧か。」
「バナードさん、いらっしゃい。何か御用ですか?」
さて、こんな爺さんと若い娘で何やってたんだ?
「…
「まだじゃ、やはり遠心分離器と蒸留装置にはひよっこ程度の知識位は必要じゃからな。トーシローに任せられんわい。」
まあそうだろう。中身をぶち撒けたり分離が不十分だったり温度調整ミスったりと色々やらかしそうだ。かといって錬金術士ってのは基本高学歴のボンボン。その辺に居るようなモンじゃない。
「そうか、まぁ先にオレの用事を済ませるか。ほれ、10枚だけだがよ。」
「何じゃ10枚か。まぁ良い、残りはいつ出来る?」
「悪いが時間いっぱいまで我慢してもらうぜ。オレも今面倒な仕事が出来ちまったからよ。」
「え、そうなんですか?せっかく温室を増やす積りだったのに。」
また作るのかあの薬草畑。前に作った
エルリア・クッシル研究開発主任。ただの
「…どうかしました、バナードさん?」
「いや別に。ただお前さん錬金術士のクセに魔道具に偏見が無いのな。」
「はい、バナードさんの道具はあまり人を選びませんから。あのブワッて風が出るのとか…そういえばアレってクルクル回る道具なんですよね?」
ヤバい気付かれた。
「…まぁそうだな、何にせよ風呂敷はまた今度な。」
爺さんも勘づいたっぽいが今はパスだ。覚えてろ草混ぜ屋共。
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「ふ〜、いただきます。」
今日も元気だ粥がマズイ。咀嚼する度に何故か口が水分を欲する。砂利を思わず噛んじまった時の不快感がたまらないな。
給仕の
「お〜いゴズ、エールをくれ。」
銅貨を端に置くとゴトリとエール瓶が置かれる。相棒のご登場だ。一口でえぐ味と辛味が口内を占領して鼻奥から眠気を駆逐しやがる。この
「なぁメズよぉ、最近景気はどーだ?」
「………まあまあだ。」
フ〜ン、変わらずか。客も見たこと有るようで無いようなヤツばっかだ。顔に青痣が出来てるヤツ。革鎧の痩男。襤褸を纏った歯並びの悪い小男。面白いヤツは居ないな。
冷めかけの粥を掻き込む。あ〜マズイ粥だなぁ。
━━━ゴトリ━━━
「あん?」
「アイツからだ。」
ゴズの視線の先を見る。知らないヤツだ。此方を確認するとスタスタ歩いてくる。
「隣、よろしいかな?山師殿。」
「………良いぜ、奢られてやるよ。時間の無駄だがな。」
誰が山師だ。黒マントに黒インナー、ブーツにズボンも黒。オレのリスペクトを体現した格好だってのに皆胡散臭い隠者だの貧相な山師だの好き放題言いやがる。
まあ良い、問題はコイツだ。マントの下にラフだが小綺麗な上着を着て腰には良く手入れされた直剣を帯びている。とても場末の居酒屋に似つかわしく無い男だ。
「私の剣が気になりますかな?」
「オレのより上等そうだからな。」
野薔薇の巻き付いた盾か。【ソーンダイク騎士団】の紋様だな。運河要塞を保持する城塞都市ローズガルドの騎士達だ。
成る程、オレのショートソードではまず勝てないな。かといって魔術でも距離次第でアウト、コイツ強いな。
「フフ、我が主から授かりし剣です。数打ちの鈍らとは比べ物にならない。」
「へぇ、随分な自信だな。そんなにイカしたご主人様ならこんな胡散臭い隠者風味なんざ要らんだろーよ。」
お、意外に美味いなこの酒。メズのヤツがこんなのを仕入れてた事に感心すべきか驚くべきか。
「そうですかな?書物は開かれてこそ啓かれるものですよ。お題目だけでは価値は読めない。」
「流れるを追うても魚を獲ず木の元に釣果有り、とも言うがな。」
蘊蓄の有るヤツだな。要するに[お前は私の主の価値を知らない]と[知識を開示しろ]の二重の意味でオレに突っ掛かってるわけだ。そうガッツくなよ、魚が逃げるぜ。
「おっと失礼、私としたことが…ですが果実を知りて花知らずとも言うものです。もっともあの方の素晴らしさを語り尽くすなど不可能ですが。」
「酒家は一献にて千舌を回すとも聞くぜ?本当に回されても困るがな。」
つまりは様子見か。下調べだけじゃ決め手に欠けるから取り敢えず言質を取らせず顔見せって感じだな。
「つれないですね。ですが良き鉄は良き鍛冶場で打たれるものです。また会う時にはきっと楽しいお話が出来るでしょう。」
………言いたい事言って帰りやがった。何にせよギルドの前にもう一度登城しなきゃなんねぇじゃねぇか。
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「これはバナード・ブラック魔導工房長殿、どの様な御用でしょうか。」
「エスメラルダ・カーラ・ブルネル内務相談役殿に報告すべき議が有る。開門せよ。」
「エスメラルダ様は執務室に居られます。門番、開門せよ!」
跳ね橋が降りて丸太の落とし格子が上がっていく。初代ノースホーク様の時代にモンスターと人を隔てていた門は今尚主人を護る威風を感じさせる………のだが些か仰々しくて面倒だ。地味に待ち時間が長い。
ホークアイ城。その質実剛健な佇まいで武官からの受けが良いが文官からは利便性が無いとやや不人気だったりする。見るだけならカッコイイのにな。
ゴトゴトと心地よい門の音を聞きながら思う。上まで歩くのマジダリィ…
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「おい、そこの侍女。」
「はい、何でございますか?」
「香水を使わせてくれないか?薔薇のヤツ。」
「少々お時間を頂ければお持ちします。」
流石はエバリエ様のメイド、変な命令にも眉一つ動かさねぇのな。
「頼むわ。あと穴熊の帽子を掛けたか?」
「………はい、お預かりしております。」
「じゃあ帽子の男に伝えてくれ。リバーギルのパイでも食いながら茶でもしばこうぜってな。」
「畏まりました。」
よし、思った通り符丁が通じたな。まあヤツなら既に把握してそうだが一応な。
「ムムム、見つけたぞ我が盟友!」
「…現れたか、地獄召喚士!」
お前も居たんかい
ブルーラ・インナー魔道調水士長。言うなれば下水道と浄水施設の管理者だ。青い髪を一房だけ三編みにしたり変に切れ込みを入れたヒラヒラを着ていたりと中々にヤッてるヤツだ。昔はモッサリローブに深々とフードを被る様なヤツだったのに…
「そしてお前も連れ立っているとはな。地獄の使者バーク・ミュート!」
「……………」
バーク・ミュート堆肥集積所長。麻袋を頭に被り麦藁で出来た蓑を身に着けた大男だ。こんな風体でゴーレムのエキスパートなんだから世の中分からないな。そしてこの2人が居ると言う事はだ…
「友よ、
「流石は我が友。実はその件で麗しのお方に伺いを立てに来たのだ。」
やっぱりね。つかアレって元々コイツ等のために作った魔道具なんだけどな。
錬金術士や武官はまだ分かるよ。だか役人と商人、テメェ等本当にソレ必要か?
「…ちなみに幾つだ?」
「我が友の実力を見込んで…その………50、いや45着…は流石に無理、かな?」
うぅぅぅん無理!でもコイツ等も大分無理してるよなぁもぅ。
「………すまんが30………いや、資材の用意が有るなら…35…40着なら何とかする、出来るぞ。」
エバリエ様の件を加味しても多分これが限界だ。仕方ないこうなったら………
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「話は判りました、調水士長、堆肥集積所長、そして魔導工房長。一先ずは私を含めた内官組から必要でない外套をピックアップしましょう。」
さて幾つ集まるかな。あまり期待できんけど。
「あと商人からの買い戻しも検討します。それと工房長、追加製作の件ですが費用は勿論資材調達も我等でやります。例の件と併せて可能な限り進めてください。」
一先ずはコレで行くしか無い。だが流石に言わなくてわな。
「内務相談役、そもそもの話あの外套はこの2名と部下達に優先して回すべきでは?」
相談役を困らせたい訳では無いが役人共めぇ。アイツ等この2人が平民出の魔術師だからって舐めてるだろ。
「…私の認識が甘かったのでしょうね。工房の負担にせよ内官の意識にせよ見直しが必要です。私と伯爵様含め視察と人材誘致に力を入れなければ。さしあたって魔術学院と商工ギルドを当たる積りですが工房長はどうです?」
「いや、流石によく分からんヤツに術式見せたくないっすね。レイモンドやクラウスならともかくポッと出に業を盗まれるのは面白くねぇなぁ。」
「ちなみにタイル管理主任とロック工房付呪師の貴方の評価は?」
「付呪師としては優秀、管理者としては微妙。術式を任せるに値するがレイモンドは良くも悪くも副官タイプでクラウスは現場で力を発揮するタイプですね。然りとした上司が居れば有能だが管理者の理解不足が露呈した場合その実力が十全に発揮されるとは思いません。てか2人のとこには面白いヤツ居ないの?」
「うーん…コール君は私以外で召喚術が使える術士だから外せないしティム君にはスライムの
「………ギギ調整技師、必要………他、非魔術師………人、足りない………」
「弾飛ばずしか能がねぇ凡百
「それだけに例の件には期待してるのです、バナード・ブラック魔道工房長。貴方ばかりに期待を懸けるのも心苦しいですが…」
「微力ながら励みますとも。ただ誰がこの都市の衛生と治安と農業を守ってるかお忘れなき様。資材はいつ届きます?」
「明日の昼餉前までには。」
「では風呂敷の件と併せて2週間後を目処に、引き渡しは役人の方で頼みます。」
「宜しい。調水士長、堆肥集積所長、他に何か有りますか?」
「私からは以上です、麗しのお方。」
「………同じく………」
「ではお二方、下がって結構です。」
ふぅ、先ずは一つ。さて2人が何か色々言いたそうだが退室するのを見送ってから相談役に向き直る。緑の眉を八の字にしたおっとり顔がため息もそこそこに切り出した。
「貴方が香水等といった華美な物に興味が有るとは驚きです。」
「下町で勧められましてね。もしかして流行ってます?」
「ええ、困った事に。」
「成る程。処で帽子の男と茶の約束が有るんですがどうです?」
「私も招待されましたので、行きましょう。」
さて、小骨の刺さる様なつまらねぇ話をしに行くか。
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「あ〜、待ってたよバーニー、ブルネル様。」
「誰がウサ公だこの野郎。パイは有るんだろうな?」
「待たせましたねラファエル。」
昼すぎの城内食堂は人も疎らだ。穴熊帽子の
それにしても何が待ってただ、このおかっぱ糸目。近づけばパイと茶葉がフワリと香り立つ。
「悪いが無礼講でやらせてもらうぜ。処でお前フルートは上手く成ったのかよ。」
「いや〜とてもとても…人に聞かせる様なモンじゃあ無いよバーニー。」
この話、誰が聞いてるか判らんのな。あ〜メンドいなぁ。
「だからウサ公はヤメロよ。つーかウサギと言えば最近ここらの畑を荒してるらしいじゃねぇか。犬は嗾けねぇのか?」
「そうなんだけどね〜。でも藪を射ったら猟犬だったじゃ困るしね〜。」
「おいおい此処はエバリエ様の庭だぜ?領主の持ち物にチョッカイ出す悪い犬が居るのかよ。」
「う〜ん、そうだよね〜。でもね〜持ち主が伯爵様のお知り合いかもしれないからね〜。」
「あぁそう。処で相談役、オレ工房に掛り切りだから流行りとかよく分かんねぇですけど、今どんな感じなんすか?」
「そうですね。最近だと薔薇の香水、熊の木彫、ユニコーンの刺繍あたりが流行りだとか。」
「なんすかソレ?まぁオレの部下がそんなモンに熱を上げるとは思わんですけど。押し売りの注意はしとくかな。」
「そうしていただければ。貴方も薔薇の香りなど纏っていると軟派に思われますよ。」
「うんうんそうだよ〜。誰がそんなの君に勧めたの〜?」
「キザったらしいブロンド野郎だ。あの鬣男オレが下町でメシ食ってる時に馴れ馴れしくしてきやがった。羽振りの良いヤツでな、上等な酒をへでも無い顔で奢ってきたよ。」
「…ふ〜ん、そうなの〜?」
「あぁそうだよ。全く豪胆なヤツでな、高そうな剣を此れ見よがしに腰に差してやがんの。妙に含みの有る事を言うクセに中身の無い会話だったぜ。」
「物見遊山でしょうね。他所の空気に酔っていただけです。あまり真に受ける必要は無いですね。」
「うんうんそうだね〜。でもぉ、あんまり羽目を外しすぎないように見掛けたら注意しとくよ〜。」
笑顔で怒んなって糸目。怖いんだよ。
「ま、まあオレの事は置いとくとして、最近宮中の風紀が緩んでるのも流行りの所為か?」
「はい。この前オルドスミス宮廷鍛冶師殿とヴァローゼ魔鉄鉱精錬主任殿に木彫を勧めた者が居たようで。」
マジか。2人共エバリエ様の旧臣だから靡く訳無いのにな。
「ボイラー爺ちゃんとエルリアちゃんにも刺繍を勧めようとしたの居たよね〜。」
お目が高いがソイツ等はもうエバリエ様の肝入りの家臣だ。都落ちの錬金術士が今や他所から望まれる程になるとはな。
「魔軍師シアトリクス殿と
バードットって魔軍師殿にベッタリの赤髪ジト目ちゃんだったよな。確かマリアンナ・バードットとかいったかな?
「他にもクリス君にレオ君とかオリビアちゃんにマーク君とかローラちゃんやピケット君や」ちょっと待てぇ!?」
え、マジなの?仮にも同じ王を頂く領主からそんな引き抜き掛けるのかよ。
「…スマン、大声が出た。つか、お前、マジか。」
「あはは。もうね〜、笑うしか無いよね〜。」
うおぉ…凄くキてる顔で笑ってるよコイツ。それにしてもこの状況は………
「…去年だったか、アイアンフット師団長が
オレも炎耐性の付呪とか頑張ったっけ。師団長が
「多くの犠牲が予想された灼鱗竜インフェリオン討伐。蓋を開ければ重傷者は出したものの死者無しの奇跡の凱旋。設置型の耐熱大盾に竜の首を落す剣。絶えず炎を打ち出す魔術師達にほぼ
………おう。まあ、オレって以外と働き者だし。
っていうかドラゴン相手に加減なんか要らねぇし。安全なゴートダイブに居たオレが命張ってる騎士や兵士に精一杯の備えを施すのは当たり前だよなぁ。
「大丈夫だよバーニー、君達の仕事に邪魔なんて入らないよ〜。エバリエ様の庭の静謐は僕等が保つから。」
ヒェッ、裏の顔が出かかってるぞコイツ。
「おいおいいきり立つなよ。後ウサ公言うな!…たく、そろそろお開きにしようぜ。オレ商工ギルドに用事が有るしな。」
「そうだね〜。うん、僕も仕事に戻るよ〜。」
「貴方達の忠節と献身に感謝を。何か有ればまた。」
あ〜シンド。こんな田舎なんかほっときゃいいのにな。
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ヤバい、もう日が傾き始めてやがる。そろそろオレの工房が閉まる時間だ。まぁそっちはクラウスがやってくれるだろうがな。クソ、ギルド寄ったらもっかい顔出す積りだったのに。
とにかく明日一番に原料オイルと凝固剤だけは届けてもらわんと。物が無けりゃ仕事に成らんぜ。
「コイツを朝一で頼む。」
「…またギリギリですね。こういうモノは出来ればもっと早くに言っていただきませんか?」
ウゼェ、ソレが出来んならとっくにしてるんだよ。
「あとコイツもなるべく早くに。それと城の方からも追加で受注が有ると思うから。」
「はぁ、分りました。ではそちらにお掛けになってお待ちください。」
━━━パタパタ━━━
………ウゼェ。あのクソ受付巫山戯やがって。宮廷魔術師ってのは最低でも騎士爵以上の権限を持ってるって解かってんのか?無礼討ちで黒炎ブチかましてやりたくなる。クソ、こういう待ち時間って何気に苦手だぜ。
………
……
…
「お待たせしました。リストン商会長様が第三会議室でお待ちです。」
ようやくか。体感10分ならまあまあだな。
「剣と外套はどうする?」
「外套はそちらに、剣はお預かりします。」
はいはい分かった分かったよ。コイツさてはオレが言うまで忘れてただろ。まあ良い、チンチクリンが待ってやがる。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━コンコン
「どうぞ。」
扉を開くと簡素な椅子から顎髭の麦小人が立ち上がった。他にもチビの男女が居るな。
「やっ、コレはどうもバナードさん。」
「よぉ
おっとー、知らない顔に睨まれたぞ。誰だコイツ等?
「やっ、コレは手厳しい。お蔭様で稼がせてもらってますとも。」
「そいつは結構。受注は見たか?」
「えぇえぇ、拝見いたしましたとも。最近は随分と物が入り用ですな。オリーブ油が大樽10と錬金術士の油凝固剤小樽3を明日朝まで、木綿の風呂敷4✕4サイズが20枚とロープ束が3つに麻のフード付きコートが45、これをお昼前までですな。」
…地味に外套45なんだな。まあどうせ無理だし余ったらその時だ。
「もう来たのか。ならあの話も出たのか?」
「えぇ、あの件ですな?私共も幾らか用意が有りますが。」
「今回はあの方も悪い、程々に困らせてやれ。ただ急ぎで欲しいのも本当だ。」
「やっ、宜しいので?」
「痛い目見なけりゃ人は動かんよ。あの方だって吝嗇では無いし懐が侘しい訳じゃ無い。オレも少しムカつくしな。」
「やははっ、では先方には少しばかり色を付けて頂くとしましょう。」
「程々だぞ?一応税で賄ってるし高貴な人間ってのはつまらん理由で変な法を創るからな。まああの方はそんな愚物では無いがな。」
「えぇえぇ、心得ておりますとも。」
「なら良い。それとさっきから気になるんだがそこの2人は?」
「やっはっは、気になりますかな?さぁ2人共、バナードさんに挨拶を。」
言われて2人が前に出る。フム、
「ファイリー商会リストン会長秘書のカレンと申します。」
「ファイリー商会ゴートダイブ支店長ペシルでございます。」
「バナードだ。リストンとはよく悪巧みをする仲だぜ。」
まあ身内だろうな。さて、オレについてはどの程度知ってるかな?
「…あの、宜しいでしょうか?」
「何だ?」
「宮廷魔術師様は父とどの様なご関係なのですか?」
「言わなかったか?悪友だよ。」
会話の流れからオレがエバリエ様が臣下の魔術師だとは分かってる様だな。ただ具体的な事は分からないと。
「私からも宜しいでしょうか?」
「言ってみろ。」
「魔術師様はもしかしてブラック魔導卿の工房に勤めていらっしゃるのですか?」
「そうだが。」
オレのフルネーム知らないのかよ。意地が悪いな。まあ今ので半ば勘づいただろうがな。
「まさか貴方がブラック様…ですか?」
「リストンお前…まあ良いや。ノースホーク伯が臣、宮廷魔術師バナード・ブラック魔導工房長だ。よしなに頼む。」
お〜驚いてるな。しかし息子(おそらく)が支店長か。
「それで、次は何処に進出する積りだリストン。オレ的にはバナン地方だと思うがな。」
「やははっ、お判りですか。まだ仕込みの段階ですがいずれは南部の海岸線まで販路を拡大しようと考えてましてね。」
「港か。砂糖に香しいスパイス、エキゾチックな色彩の工芸品に見たこともない甘い果実。」
「夢ですな。我等丘下の麦揺らしが想像すら出来ない世界がそこに有る。」
「だから先ずは北を盤石にしたい、か。」
ペシルだったな。さてこの坊っちゃん(多分青年)はどんな哲学と理念で商う商人かな?まあ何にせよ…
「互いに益のある取引きをしよう。なぁ、ファイリー商会。」
握手の手を差し出す。相手は笑んで応えた。
「勿論です。私共にはその用意があります。」
悪くないじゃないか。
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工房関係で今日出来る事は終わった。
…な〜んか気が抜けて腹減ったぜ。でもまだ飯屋も準備中だろーしな。あそこに行って本でも読むか。ぼちぼち歩きだす。日没までにはまだ時間が有るしな。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━チリン━━━
「こんにちは。此方はサン・モンタナ教会付属図書館です。」
「よぉ、
「暇つぶしに来たぜ。入館料だ、納めてくれ。」
「貴方と神に感謝を。しかしあまり多くを頂く訳には…」
「何だ、強欲が恐いか?だが塾や執筆にも色々入り用だろジョバンニ先生。」
サン・モンタナ教会。コイツ等の開いている塾には錬金工房や商工ギルドで働く奴等の子供や単純にスキルアップしたい大人なんかが通っている。
教えているのは文字の読み書きと四則演算、童話レベルの読み聞かせだ。しかし収容人数30人程度の教室はほぼ毎日席がうまる。どうにも最近学があった方が稼げると考えるヤツが多いらしい。しかも子供(10歳まで)は無料で学べるのが決め手となり今学問が下町のトレンドだったりする。
「別にお布施で信仰が買えるなんざ思わねぇよ。ただオレ的にあの塾は是非とも続けてもらいたくてね。アンタ等の描く【聖剣のカンタビレ】の絵本にも興味有るし。」
やっぱりこの世界にも伝説的英雄譚が有るのだがソレを子供にも分かりやすく絵と短文で表現出来ないかどうか聞いてみた。その時に名乗りを上げたのがこの男だ。
「絵本、ですか。私も本のページ全てに挿絵を入れるという発想はなかったですね。」
「大変だろ?でもやる価値は有るさ。長い文章という知識の壁を取っ払ってやれば子供等もきっと物語を知る喜びを識るだろうさ。」
そうして識字率が上がれば将来はオレの部下にヘッドハント出来る様なヤツも出てくるかもな。
「分りました。バナードさんのお気持ち受け取りましょう。」
「持て余すならカムパネルラ神父に相談すりゃ良い。先生にも修道士としての本分が有るしな。そもそもこういう俗っぽいのもアレだし…まあ、気楽にな。」
「はは、大丈夫です。苦では無いですから。」
全く、奇麗な聖職者だよアンタ。
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「あ〜ん?オリビアじゃねぇか。」
「…あ…バナード…アナタ、も…本、を…?」
オリビア・アルマナック宮廷神官長。
占星術士にして神学者…まあ、統計学者で暦学者なフェイスベールの女神官だ。流し目のエロいミステリアスガールと思いきや意外とボーっとしてたり考え事をしてる天然ちゃんだったりする。
「あぁそうだよ。暇つぶしに【聖剣のカンタビレ】の第8章をな。」
「…【巨神達のエピック】…だった、かしら…」
「そうそれ。アレなら夕飯までの時間待ちに丁度いいから。お前こそ何してんの。」
「…【ノースホーク開拓史】…の、天候録…探してる…」
仕事熱心だな。まあコイツ等はある意味休み無しの研究者なんだけど。
「開拓史ならもっと南の本棚じゃないのか?まあ仕事も程々にな。」
「…いいの…空、観察、楽しい…南、探す…ありがと…」
マイペースなヤツだな。まあ良いや、オレのお目当の本は…
━━━━━━━━━━カン、カン、カン
警鐘!?この方角は街の門関所か!
「バナード…」
「お前は教会に住人の避難を、オレは関に行く!」
門番だけで対応できる事案であってくれよ。
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「守衛長殿!何があった!?」
守衛騎士や兵達が慌ただしく配置に着いている。関の外は人々がパニック状態だ。ヤバい予感がする。
「ブラック魔導卿!お下がりください、現在此方にワイバーンが向かって来ています!」
「数は?何故此処に来る!」
「数は1、追われる者が5!興奮状態の危険な個体です!」
「エバリエ様の名を汚す訳にはイカン!オレは出るぞ!」
「っく、せめて私も参る!盾持ち2名、続け!バリー副長、貴官に指揮を預ける!外の者を中に入れ一時保護、監視せよ!必要ならば独断での拘束を許可する!責任は私が取る!」
「覚悟は出来たな?開門せよ!」
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━━━━━来た!
だがまだだ。タイミングが大事だ、集中しろ。
━━━━━100━━90━━
逃げてくるヤツが3。脱落したか、クソがよ。
━━━━━70━━60━━
盾持ちの騎士が構える。隣の守衛長はどんな顔してやがる。
━━━━━40━━30━━…今!
【
『ズギョゴゴオオォォ』
瞬間、デカブツが地面に激突する。おそらくは3tは下らない体重が五倍に成ってヤツを圧殺する。
【
『ズゴオオォン』
勢いが削がれて尚突っ込んでくるソレを炎の壁で受け止める。
━━GYAAAAAaaaaaaaaaaa!!!!
まだ生きてやがる。炎の壁を破壊しやっと停止したソレに引導をくれてやろう。
【
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「第3、第4小隊は門外の捜索と警邏、魔物に警戒しつつ安地を確保せよ。第1、第2、第7、第8は引き続き門内の避難者の保護監視。第5小隊はバリケードと簡易検問の準備を。第6小隊門前待機、外部から来訪者が来たら対応せよ。」
カッチョイイやん。やるな、ブラウン関門騎士長(さっき名前聞いた)。何にせよ大事にならなくて良かった。
「ブラウン卿、下手人はどうしてる?」
「現在第9小隊で聞き取り調査中です。冒険者の様ですが酷く錯乱していてどうにも要領を得ない状態です。」
あらら、こりゃ冒険者ギルドは大変だな。まあソッチは任せるとして…
「被害は?」
「逃走中に冒険者2名が脱落、生死不明とのこと。また街道が大きく抉れ
あ〜、そうだよな。
「
「かなりの大物ですので回収は明日からになります。」
門番さん、ご苦労さん、お疲れさん。
徹夜確定か。何か差し入れでも出すべきかな。
「しかし凄まじいですな。亜竜の胴に風穴が空く程の威力とは。」
「オレの
「重力魔術に凝縮された熱を結合させた業だね。骨肉が炭化しながらひしゃげてるじゃないか。」
「ぬぉわっ!?」
ビックリしたなぁもう。何時から居たんだよこの
「これは、レイブンビーク検事官殿。」
「あぁ、ブラウン関門騎士長。コイツがバニ坊の仕留めたヤツだね。済まないが検分させてもらってるよ。」
「えぇ、亜竜を斃す手腕見事なモノです。我々だけではどうなってた事か…失礼、部下が呼んでいるのでこれで。」
あ、行くなブラウン卿。この婆さん苦手なんだよ。クソ、役人とかマジで駄目なんだけど。
「…じゃあクローネル検事官、オレもこの辺で」アンタ、随分と危うい術を持つじゃないか。」
うひっ、話し掛けられた。帰れんじゃねぇか。
「アンタが誇るを憚る訳じゃ無いさね。けれどもアンタ、あまり破壊を欲するんじゃ無いよ。アンタは工房の長、創造を任ぜられた魔術師だろ?」
そうして此方に向き直る黒尽くめ。あの、そんな見んでくれません?
「しっかりしなよ。誰もが魔の道を選びうるもんさね。」
「…激励として受け取らせてもらいます。」
よし帰る直ぐ帰るもう帰る。辛気臭いのは勘弁だよ。
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━━━試行対象︰【有翼亜竜】(推定3〜3.3t級)
状態︰推定健康個体、ほぼ無傷、興奮
試行過程︰飛行対象を重力魔術で撃墜
【炎獄壁】にて迎撃、対象ダメージ大
試作術式試行、対象絶命
行使により対象の胴体の約30%消失
術式備考︰約10秒程度の継続燃焼有り
試行後対象に圧力痕と炭化有り
ぶはぁ、疲れた。…まあ、こんなとこだろ。
まだ理想には遠いがオレの【黒炎魔術】も大分骨子が出来てきた。そろそろ派生術式にも着手出来るかもな。夢が広がるぜ。
…まあ、明日から仕事忙しいんだけどな。やっぱりレイモンド第2工房長計画を提案すべきか?でもアイツが抜けたら困るしまだ工房長を任せるのに不安が有るしなぁ…
成る様に成るしか無い、明日は明日の風が吹くか。ペンとインクを片付け火を落す。
ベットに潜れば温かな微睡みの感覚が抱きついてきた。
おやすみ。
続かない