伝統を愛する君となら   作:桜紅月音

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5話 先輩と吟とおでかけ

 

「ライブの予定…ですか?」

 

「そう、ライブの予定!」

 

「もうライブするんですね」

 

花ちゃん先輩とあだ名を付けてあの日から2日後の練習終わり、先輩方から吟も含めて話がしたいと言われて部室に集まっていた。その話というのは、吟も入れてライブをする事だった。

 

「ええ、そろそろ。吟子さんも練習に慣れてきたでしょう。だったら次の目標があったほうが励みになるんじゃないかしら。ね、花帆」

 

「はい、梢センパイ!」

 

「あなたが良ければ、このままスリーズブーケで一緒に…というのを、花帆は望んでいるみたいだけど」

 

「一緒にやろうよ、吟子ちゃん!」

 

「それは…まだちょっと、考えさせてもらっても、いいですか?」

 

先輩方から誘ってもらったが、まだ決めかねてるみたい。

 

「なんでえ!?むぐっ」

 

何かを言いそうになっていたが、花ちゃん先輩の口を梢先輩が塞いだ。

 

「ええ、もちろん、あなたの三年間がかかっているんだもの、慎重になりすぎても悪いということは、まったくないわ」

 

流石梢先輩だ。

 

「一応、ライブの日までにユニットを決めてもらえれば助かるけれど、でも、後は変更することも大丈夫よ、その辺りは、ちゃんと配慮するわ」

 

「乙宗先輩…」

 

「あら、私のことも『梢』でいいのよ。綾羽君みたいにね」

 

梢先輩はそう言って、ウィンクをしてきた。

 

「う…じゃあ、こ、梢先輩。すみません、お手数をおかけして。花帆先輩にも、こんなによくしてもらってるのに…」

 

「いいんだよ、吟子ちゃん!後輩の面倒を見るのが、二年生の!先輩の!あたしの!務めだからね!」

 

前に聞いた通り、花ちゃん先輩。張り切ってるし、なんというか_

 

「うわあ暑苦しい…」

 

僕も思ったけど、吟も直球に言ったなぁ…

 

「ふふっ、それじゃあ、ライブの予定を組んでしまって構わないかしら?」

 

「あっ、はい。ありがとうございます。ライブ自体は、その、緊張するけど…楽しみ、です。それは、ほんとに」

 

「吟子ちゃんの初ライブ、だもんね!あたし、最前列でペンラ振るね!」

 

それってつまり…?

 

「花ちゃん先輩、それって吟が違うグループ?で踊るって事になるんですが」

 

「そうですよ!場合によってはあなたも出るんですが!」

 

「え、ってことは、吟子ちゃん、やっぱりスリーズブーケに……!!」

 

「ああ言えばこう言う!この人!」

 

そうは言うけど、吟は本当に嫌そうにはしてないけどな

 

「ふふふっ。花帆はね、ライブが大好きなのよ。自分のライブだけじゃなくて、人のライブもね」

 

「花ちゃん先輩、スクールアイドルになるために生まれたような人ですね」

 

「ええ、本当にね」

 

「ついに吟子ちゃんのデビューライブかあ。そうと決まったら。スペシャルな演出を考えたいなあ」

 

「あら、いいわね」

 

「それなら、派手にドーンとやりましょうよ!」

 

「ちょっと綾羽…」

 

「とっても良い!あっ、そうだ!ステージをピカピカに飾って、金沢城を作っちゃうのはどうですか?ドーンと!」

 

花ちゃん先輩と意見があった。

それならインパクトはもの凄い事になるね。うんうん

 

「そうね。ちょっと難しいかしらね」

 

…ま、現実的に考えて無理だよね、案は素晴らしい物だったけど。

 

「演出考えて~あとは衣装も新しくしたいなぁ~」

 

「衣装……あ、でしたら、あの……」

 

「お、吟子ちゃん、希望とかある!?」

 

「いえ、なにもかも任せるのは、申し訳ありませんし…衣装づくりなら、もしかしたら…私も、お手伝いできるかも、と」

 

「あら」

 

「そういえば吟子ちゃん、デザインもしてたもんね!」

 

「はい。実は、百生家の家業は――」

 

吟はそう言って、先輩達に自分の家の事を話し、午後、練習も無かったため、吟と一緒に金沢市内に向かった。何故か花ちゃん先輩も一緒に

 

 

******

 

「吟子ちゃんの家って、加賀繍(かがぬい)をやってるおうちなんだねえ。あたし、帰ってから調べちゃった。加賀の金箔、加賀の友禅と並ぶ、加賀の特産品!って。すごく綺麗な刺繍だよね!」

 

市内に向かうバスの車内でそう話す花ちゃん先輩。吟は普段着である着物に着替えて

 

「おー花ちゃん先輩、もの凄く調べてる」

 

「えっへん!先輩だからね!」

 

「それに先輩は関係ないような…」

 

花ちゃん先輩と話していると、隣に座っていた吟が話に入ってきた。

 

「あの」

 

「なになに?」

 

「私、花帆先輩に、『外出届の書き方を教えてほしい』ってだけ、言いましたよね?」

 

吟は確かにそう言っていた。

 

「?うん」

 

「…なんで一緒に来たんですか?」

 

「街の方に向かうんでしょ?あははっ、だったらもちろん行くよー」

 

「だからなんで!?」

 

「なんで…?おやすみの日に、友達とお出かけするのが、なんで…?」

 

「そうだよ、お休みの日に友達とおでかけするの普通じゃない?」

 

「ぐっ…と、友達…。綾羽もだけど、花帆先輩、私とは違う理屈で動いてる人…」

 

「それとも、迷惑だった…?」

 

「ああもう! そんなことないよって言えば満足ですか!?」

 

「えへへ、よかったぁ」

 

「…あなたって、誰にでもそんな風なんですか?」

 

吟は、花ちゃん先輩にそう聞いた。

 

「そんな風って?」

 

「あっ、着いた」

 

バスは最寄りのバス停に着き、僕は席を立った。

 

「早く降りる降りる!」

 

「っそんな風ってなーにー!?」

 

「花ちゃん先輩、降りれなくなりますよー」

 

「行くから、待ってー」

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