姫騎士学園の下剋上性活 ~最弱スキルで異世界のプライド高め美少女たちを堕としたら、毎晩ご奉仕に来る日々が始まった~   作:東雲(しののめ)

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第36話:強制入会

「――あーあ。こんなことならメイク道具、携帯しとくべきだった」

 

 蛇口をひねり、水で顔を洗ったウルズがぼやく。

 一発ハメると言われて始まった情事。

 しかし顔に思いっきりかけてしまい、これでは続行できないと今回は中止に。

 僕としても、媚薬がない中、連続四回は厳しいので……。

 

「今日はこれで勘弁したげるわ」

 

 ウルズはハンカチで水滴を拭うと、口元を覆いながら告げる。

 なぜか頑なに顔を隠してるように見えるが――

 

「ほんっと女心の分からないヤツね。隠すのはメイクが崩れたからで……」

「崩れたら何か不都合でも?」

「……だ、だって、可愛くない、じゃない」

 

 つまり、スッピンを見られたくないと。

 その女性心理まではくみ取れていなかった。僕の配慮不足である。

 

「でも正直、メイクあってもなくても、可愛さはそう変わらないような……」

 

 元の素材が良いのだから、大差はなく見える。

 

「……可愛いって、あんた、なんか、女慣れしてきてるわね」

 

 ウルズは嬉しそうな、でもちょっと複雑な表情で告げる。

 別に事実を言っただけで、女慣れしたわけではないんだが。

 

「そうだ。あんた黒髪好き? その……天照卿みたいな」

「黒髪? 染めるかどうかって話か?」

「ええ。正直に言ってみなさい。ウルズ様が清楚系にイメチェンしたらどうかしら!?」

「清楚って……それは似合わなすぎるだろ」

「うんうん。そりゃ似合うわよねって、はぁ!? そこは嘘でも頷きないさいよ!」

 

 自分が正直に言えって……。

 

「……ウルズは、そのままでいいと思うけど」

「ぐっ、ま、まぁ、あんたがそれで良いなら良いけどさ」

 

 これで事にも区切りが付き、ようやく教室にも戻れる感じだが――

 

「――ここで、一体なにをしているのです?」

 

 ガチャリ。いきなり入口が開けられて巨躯の姫騎士が現れる。

 その正体は、学園の風紀を取り締まる七聖――

 

「ヴェ、ヴェヴェ、ヴェルグ・モルドレイド!?」

「む。貴君はいつぞや私が殴った生徒。その節は大変失礼しましたが……それはさておき私を呼び捨てにするのはよろしくない。せめて先輩をつけなさい」

 

 僕がいるからか、穏やかめの口調で注意する。

 

「それでカゲルヤ……ここで、彼女と一体なにを?」

 

 対して僕には、ゾッとする声音で問いかけをする。

 

「なにってその……ま、まず先輩は、どうしてここに?」

「貴君の様子を見に行ったら教室に不在でした。慌てて私から目をそらした不良二人を締め上げ……失礼、丁寧に尋ねたところ、この周辺にいるとすぐ教えてくれました」

 

 サンディ、クルド、口を割ったな……!

 

「今一度問います。ここで何を? 我が主君カゲルヤ・ノア様――?」

 

 ヴェルグ先輩の背後に、メラメラと炎が舞い出す。

 ウルズと僕のしていたことを、たぶん女の勘とやらで察しているのだろうが――

 

「えっと、ウルズから……そ、相談を、受けてたんですよ!」

 

 苦し紛れの答えに、先輩は目を細めて応じる。

 

「ほぉう。相談ですか」 

 

 浮気がバレて追い詰められる男って、こんな感じなんだろうか。

 なんにせよ、便所なんかでバッドエンドは御免である。

 

「わざわざ手洗い場で密談をする。どれほど重大な相談内容だったので?」

「そ、それは……」

 

 どうにかして誤魔化さなくていけない。

 思考を高速回転させて、ようやく絞り出した言い訳は――

 

「じ、実はウルズから、風紀部会に入りたいと相談されまして……!」

 

 さすがに予想外すぎたのか、ヴェルグ先輩も目を丸くする。

 

「そこの者が、私の部会に、入りたいと……?」

「え、ええ。ただウルズは前に先輩と一悶着ありましたから。まずは僕に相談してくれて……どうしてもバレたくないっていうのでここで……」

 

 冷静に考えれば、なぜトイレなんだ問題は解決していない。

 しかし予想外の答えに、先輩は驚きそのことばかり考える。

 よし。上手く気を逸らせて――

 

「(ちょっと! なに勝手に決めてんのよ!)」

 

 その間隙に、ギョッとした顔でウルズが耳打ちしてくる。

 

「(風紀部会に入る!? もっとマシな言い訳考えなさいよ!)」

「(これしか思いつかなかった。でもこの場で先輩に殺されるよりはマシだろ?)」

「(ぐぐぐ……それはそう、だけど……!)」

 

 踏み切れないウルズだが、なんとか納得してもらわないと。

 

「ヴェルグ先輩。ついでにサンディとクルドも入りたいと言ってました」

「……ほう。他にも風紀部会に来たい生徒がいると」

 

 一人入会ではしんどくても、仲間が一緒にいればやっていける。

 ウルズを支援するつもりで、そう発言したのだが――

 

「(あんた鬼畜ね!?)」

「(鬼畜って、部会に入れば卒業後の進路をより良くできる。あと大講堂からの逃亡を助けられた貸しを返そうと思って。全ては三人の将来安泰を願ってで……)」

「(よく言うわ! そういうの恩を仇で返すって言うのよ!)」

 

 ごちゃごちゃ言う僕に、ウルズは諦めたように溜息をつく。

 

「――よろしい。ひとまずこの場はこれで収めましょう」

 

 耳打ちする僕たちに、ヴェルグ先輩が勢いよく面を上げる。

 

「ウルズ、といいましたね?」

「……え、えぇ」

「風紀部会は貴君らを歓迎します。そして我が主君たるカゲルヤの口添えで入会するのです。私も本気で鍛えてさしあげましょう――!」

 

 不良三人娘がこれからどんな目に遭うのか。

 それを想像した僕とウルズは、引きつった笑みで頷くしかなかった。

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