王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶 作:dwwyakata@2024
親衛軍NO4_022311が目を覚ます。蘇生されたのは分かった。そして、体が動かない。
すぐに状況を悟る。
頭部だけで蘇生されたのだ。
場所も分からない。
いずれにしても、指導者様のお膝元のどこかだろう。母星ではないだろう。あそこは指導者様も滅多に足を踏み入れさせない。
親衛軍NO4_022311も行ったことはない。
一種の聖地となっている。
「何か言うことはあるかぁああ」
指導者の声。
少なくとも視界内に声の出所はない。首だけの状態だから、周りも分からない。或いは、そもそも何かの装置の中かもしれない。
そしてこの状態は。
指導者が全ギレしている事を意味していた。
何回かあったのだ。
八つ当たりをされたことが。
その時に、こういう状態になった。
「天然肉は手に入らず、肉どもの汚らしい住処も宇宙艦隊も破壊できなかった! 私の作戦は完璧だった! 失敗したのは貴様等無能どものせいだ!」
これは恐らくだが。
作戦にかり出された親衛軍全員が同じ八つ当たりを受けているな。
いや、艦隊に乗せられていた一般の者達も。
そう考えると、親衛軍NO4_022311は無言になる。
もしも口答えなんてしようものなら即座に爆発四散した挙げ句に、更に過酷な責め苦を味あわされるのだ。
今は、黙っているしかない。
「お前達には無能にふさわしい罰を与える! この私の完璧な作戦を台無しにした挙げ句、屑肉どもを調子づかせた罪は重い! その痛みで、精々己の無能を反省するのだな!」
次の瞬間。
あらゆる苦痛が、脳に直接たたき込まれる。
声さえ上げられない。
そもそも絶妙に苦しい状態で、蘇生させられている。
その中で、あらゆる苦痛の中でも。
指導者が吟味した全てをたたき込まれるのだ。
仮に発狂したとしても、即座に精神を修復されて、苦痛を永遠と味わうことになる。
しかも指導者は時間感覚を操作する薬を使って、体感時間で数百年はこの拷問をするのである。
大きな戦いに負けた後。
八つ当たりとして、この儀式が行われる。
勝った場合には、褒美など何もない。
当たり前だ。
勝った場合は、指導者が優秀だったから勝ったのだから。
負けた場合は全部指導者の完璧な作戦を無能が足を引っ張った結果。
それに異を唱えようものなら。
この拷問の時間が何倍にもされる。
何度も発狂しては修復され。
そのたびに、延々とあらゆる苦痛を浴びせられ続ける。ショック死しても即座に再生され、拷問が続く。
果てしない時間の果てに。
親衛軍NO4_022311は解放して貰った。
体も作られている。
或いはだが。
死んだ後に、また再生したのかも知れない。痛みの記憶は全て残されている。
逆らわないための措置。
指導者のあらゆる思想が詰まった行動だ。
「戦力を増産して、各地の戦線で攻勢に出る。 特に銀河中枢を取り返す。 作戦は追って伝える。 それまで準備せよ」
「は……」
うまくいくはずがない。
肉どもは銀河中枢を最高位の防衛網で守っていて、現状の軍の力ではたとえ全てをぶつけても突破は無理だ。
銀河中枢を攻めている間に、今まで制圧してきた星系を根こそぎ落とされてしまうだろう。
それだけではない。
惑星アラタに固執して失った戦力を埋める間に、相手がおとなしくしている筈がない。いくつかの戦線で攻勢に出てくるはずだ。
肉どもには亡命して傘下に加わった種族もある。
それらの要請で、星を奪還しに来るかも知れない。攻勢に出た敵軍を食い止める戦力すら足りない可能性がある。
表だってそうは言えないし。
そう考えれば即座に爆発四散してしまう。
だから迂遠に考えなければならず。親衛軍NO4_022311も苦労しながらやらなければならなかった。
指導者に今、何かしらの隠し札があるとは思えない。
アンドロメダ銀河になにか派遣しているという噂は聞くが、それがうまくいっているなら、必ず指導者は喧伝するはず。
新兵器やらの類で、戦況がひっくり返るような状況じゃない。
仮にそんなものがあっても、既に押し込まれ始め、技術力でも相手が上回っているのである。
一時的な時間稼ぎを出来ても、それ以上は無理だ。
さて、どうしたものか。
ただ、明日すぐに負けるようなことでもない。
天の川銀河ほぼ全域を巻き込んでいるこの長い長い戦争だ。戦力の拮抗が崩れ始めた今でも、そう簡単に母星が落ちることもない。
だとすると、これから負けるたびにあの拷問を受けることになる。
親衛軍NO4_022311は、指導者のお気に入りになった事が厳しくなってきていたが。
そう考えることすら許されず。
行き所のない苦しみを、噛み潰すしかなかった。
(続)
侵略者の指導者の行動はただの癇癪です。
侵略者という存在は、指導者の私物。
である以上、何かうまくいけば全て指導者の手柄。うまくいかなければ部下が無能だから。
無能なら躾ける権利が持ち主にはある。
そんなくだらない理由で、指導者は残虐極まりない拷問をしています。
そして侵略者は、あらゆる方法で縛り尽くされ、それに絶対に逆らえないのです……
感想評価などよろしくお願いします。励みになります。
本作にどういった要素がほしいですか。要望があれば遠慮なくどうぞ。
-
詳細なマシンデザイン
-
圧倒的な武力による蹂躙
-
緻密な人間ドラマ
-
種族や文明の描写
-
近接した力量のライバルとの死闘