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──ビジュアルノベルゲーム『
その序章は、ある島国の片田舎に住む少女の日常から始まる。
平凡で少しだけ退屈だが、なんとなく幸福な、陽だまりにも似た毎日。
さほど裕福ではないけれど、土地には恵まれており、飢えや渇きとは無縁な人生。
同じ村に住む隣人たちは、みな穏やかで優しく、家族も同然の存在。
例えば少女の父親が足を痛め、長らく畑に出られなくなった時は、親身に
逆に少女の方も、村の幼子に読み書きを教えたり、隣家の者が風邪で寝込んだ時は看病に励んだりと、当たり前のように周りへと手を差し伸べた。
作物の収穫期には、村を挙げての
長雨が続く時期は大きな天幕を張った広場に集まり、歌を楽しんだ。
そうやって主人公の少女は、村人たちは、苦楽を分かち合いながら生活を営んでいた。
序章は、そんな漠然と満ち足りた情景が、延々と続く。
標準速度のオートモードで進行させた場合、およそ三十分ほどを要するテキスト量。
感情移入しやすいよう、ごくごくありふれた日々を、非常に丁寧に書き
そして、その上で──それら全てを、章の後半にて粉々に叩き壊す。
主人公の十六歳を祝う場面から飛ぶ形で突入する、唐突な悲劇。
黒い炎に包まれて燃え盛る村の様子を背景イラストに据えて描かれる、地獄絵図。
焼け死んで行く村人たちの苦悶。
黒焦げとなった亡骸の惨状。
降り注ぐ赤い雨の薄気味悪さ。
どれもこれも、いっそ不必要なくらいに描写が事細かく、背筋が冷たくなるようなリアリティを孕んでいる。
ひいては、茫然自失となった主人公が
肌身に突き立つ牙。
筋肉や血管を引き裂かれる感触。
骨を噛み砕く音。
何もかもが鮮明で、多くのプレイヤーが総毛立った。
全年齢版でさえ相当に残酷なシーンだったが、ゴア表現の規制が緩い成人版では更に輪をかけて凄惨な一枚絵に、やたらと豊富な差分を添えた描写となっていた。
それまでの牧歌的な雰囲気とは一八〇度の反転を遂げた空気感。
更に
少女は、神器を求めた何者かが村を滅ぼしたのだと理解した。
彼女は、残った神器──女神の
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ここまでが、序章。
ここからが、第一章。
窮地や災難というものは、とかく寂しがりで、往々にして畳み掛けるもの。
第一章における冒頭は、衣服の肩口や胸元を引き裂かれた主人公の少女が縛り上げられ、連れ去られる場面からの幕開けとなる。