俺の彼女が邪神だと電波巫女がのたまうんだが 作:納豆シェイク
放課後、自室で丸いテーブルを囲む男三人。
置かれたのは水が入ったコップのみ。
俺は此方を見る馬鹿二人に用件を伝えて――
「――で、だ。てめぇらのようなクズを頼るのは心もとないが此処は一つ俺に知恵を貸してはくれねぇかね?」
「「死ねよ」」
自宅に馬鹿二人を招き入れて、新鮮な水まで出したのに死ねと申すか。
何とも心の狭い奴らであり、俺はやれやれと首を振ってからポケットから飴を出す。
机の上に置けば、馬鹿共は無言で俺に視線を向けて来る。
「安物のキャンディだ。水道水とあう」
「「死ねよ」」
欲張りな奴らだった。
俺はため息を零し、無言で帰ろうと立ち上がった二人に対して懐から出した写真を机に並べる。
「巫女姿の現役JKの生写真だ。胸は貧相だが面は良い」
「「――話を聞こう」」
奴らは秒で座り直し、無言で二枚の御子子の写真をポケットに仕舞う。
俺はそれでいいんだと頷き、先ほどの話をもう一度してやった。
「俺の彼女。まぁケダモノであるお前らには一切情報は渡さんが、その彼女にな? プレゼントを贈りたい。そこで、これまで数々の女子をストーキングし分析して来たであろう犯罪者予備軍のテメェらの無駄な知識を使って良いアイデアを出してくれ」
「……今の話でお前の顔面にグーパンしてやりてぇ気持ちで一杯一杯だが……まぁ、供物を捧げられては無下にも出来まい。良かろう。ネットの海をまたにかけて10万を超えるAVを鑑賞して来たこの大谷様がどのような女子であろうとも喜ぶ素晴らしいプレゼントを無能で愚かな猿である貴様に教えて進ぜよう」
「……ほおほお、それで、何かな大谷殿?」
「――金だ」
「ぺっ! ゴミが」
俺は奴の顔面に唾を吐く。
すると、奴は俺の胸倉を掴んでメンチを切って来る。
「金に決まってんだろうがぁ? あぁん!? 俺が今まで会った女子たちは金さえあれば俺の事を愛称で呼んでくたがぁ!?」
「はぁぁ!? どこの誰が彼女に現ナマをプレゼントするんだぁ!? お前の知識は援〇女限定かぁ!?」
「援〇じゃねぇわぁ!! 金のなぁにが悪いんじゃボケがぁ!!? ゴミを見るような目で見られようとも金さえありゃどんな女子も喜んで俺と友達になってくれんだがぁ!? 月5万の契約で、脱ぎたての靴下もセットなんですがぁぁ!!?」
「気づけよゴミ野郎!! それは精々、お父さんの靴下じゃ!! よくてババアの脱ぎたてじゃボケ!!」
「違いますぅぅぅぅ!! ちょっと酸っぱい匂いがして鉄粉とかついてたけど可愛らしいハートマークのピンクでしたぁぁ!!」
「今時ピンクでハートのものなんかアイツらが履く訳ねぇだろうがぁぁ!? 頭おかしいんじゃねぇかぁ!?」
「てんめぇぇぇこの野郎ぉぉぉぉぉぶっ殺すぞぉぉぉぉ!!」
「上等だぁぁぁ!! そのハゲ頭かち割って煩悩を切除してぇぇぎゃああああ!!?」
「いでぇぇぇぇ!!? な、何すんだ!!?」
俺たちが殴り合いを始めようとすれば。
黙って聞いていた池谷が部屋に置いていた木刀で俺たちの頭を殴って来た。
俺たちはできたてほやほやのたんこぶを抑えながら池谷を睨む。
奴は眼鏡をくいっと動かし静かに首を振って「愚かですね」と言う。
「あぁん!? ならテメェはさぞや立派なプレゼントが出せるんだろうなぁ!?」
「当然です。何故ならば、僕は軍師。このような状況も想定し事前にデータは集めているんですよ。ふふ」
「お、おぉ! その自信はよほどだな! やっぱり、知恵比べならエロ坊主よりデータキャラのお前だなぁ!」
「くぅ!」
俺は池谷に期待の視線を送る。
それで一体何を送ればいいのかと奴に聞く。
すると、奴は自らのスマホをポケットから出して何かを打ちこみ始める。
そうして、スマホを俺へと渡してきた。
画面を見れば、青色の小瓶が表示されていた。
「何だこれ? ホマゾンの商品? 名前が……好き好きマジラブEX?」
「それを購入し、彼女に飲ませてください。それだけで全て上手く行きます」
「へぇそうなのかぁ。因みに、これって何?」
「――媚薬です」
「せいぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
「僕のスマホがぁぁぁぁああああ!!?」
俺はスマホを床に叩きつけた。
画面はバキバキに割れて、池谷の眼鏡も砕け散る。
奴は何をするのかと俺を睨みつけて来る。
俺はウンコ座りをしながら外道に対してメンチを切ってやった。
「何処の世界に彼女に黙って媚薬を飲ませる彼氏がいるんだぁ? 服役RTAでもさせたいのかボケがぁ? 殺すぞぉ」
「……まぁ、常人であればその思考にしか辿りつけないでしょう。ですが、僕にはちゃんとした策があるんですよ?」
「……言ってみろ。処刑はその後だ」
俺は拳を鳴らしながらアホを威圧する。
少しでも選択を誤れば命はないぞと。
池谷は正座してから咳払いをし、ゆっくりと説明を始めた。
「――と、まぁこういう流れでしょうか? どうですか? ん?」
「…………まぁ、その…………悪くは、ねぇ、のか?」
「良いんじゃね? 犯罪はギリしてねぇしよ」
俺は腕を組みながら首を捻る。
大谷の野郎も漫画を読んでいたが話を聞いて納得した様子だった。
池谷はくつくつと笑って自らの計画に自信を持っていた。
池谷の作戦はこうだ。
先ず、ダミーのプレゼントを用意しそれで撫子さんを自宅に呼ぶ。
早々にプレゼントを渡して彼女の意識をそちらに向けさせて。
俺はお茶菓子と飲み物を取って来るフリをして、購入した媚薬を彼女の飲み物に極少量混ぜる。
後は彼女が飲むまで待ち、飲んでからはトークで時間を稼ぐ。
彼女の様子が変わり始めれば、ごく自然な流れで彼女への日頃の感謝や愛を囁く。
彼女がきゅんきゅんしていると確認すれば計画は最終段階に入る。
本命のプレゼントであるアクセサリーを渡して、その後は好きなように、と。
「……なぁ、普通にアクセサリーを渡すんじゃだめ」
「――ダメですよ!!! それじゃただのプレゼントじゃないですか!?」
「え、あ、いや、うん」
「……良いですか? 天草君は、彼女に喜んで貰いたいんですよね?」
「ま、まぁ、そりゃあなぁ?」
「であれば、ただのプレゼントであろうとも最高に喜んで貰える演出をするべきなんですよ」
池谷は語る。
愛とは性欲であり、性欲とは愛であると。
どんなに小汚いおっさんや化け物であろうとも。
性欲を感じるのであれば愛せる。
逆に性欲が湧かないのであれば、どんな美女であろうとも愛は生まれない。
「媚薬は何も、セックスをする為だけのものではないんですよ。相手の情欲を強制的に高める事によって、彼氏である貴方への愛を増幅。きゅんきゅん度が最高潮に達した状態であれば、例え刺身パックのたんぽぽであろうとも、相手にとっては大輪の花のように見えるでしょう。故にこそ、多少のずるであろうとも――バレなければ問題はないんですよ」
「……すげぇ賢そうに言ってけどよ。ただの薬による錯覚じゃね?」
「違います!!! これは計略!!! 立派な戦術であり、僕の経験から来る発想です!!」
「……経験って?」
「…………さぁ買って下さい!! それがおすすめなんです!! 超効きますよ!!」
池谷は目をかっ開いて画面が割れたスマホを差し出して来る。
俺はそれを受け取りやばそうに感じながらも、自らのスマホで商品ページを出して……購入ボタンを押した。
「むふぅ!! 良い判断ですよ。これできっと天草君の願い通りに……まぁ妄想の相手ですけど」
「妄想でしこるのはほどほどにしとけよぉ。やり過ぎたら、幻覚が見え始めちまうぞぉぉぉ」
「……はぁん。好きなように思ってろや……ふ、ふふ、これで彼女も……後は、アクセサリーかぁ」
「送るのなら派手過ぎないように。普段つけられるようなもので、少し高いものなら尚良いですね」
「その心は?」
「失敗してもお金に出来るので、まぁいらないとは言われませんよ!」
「……池谷、それも経験か……今度、牛丼奢ってやるよ」
「……俺もおしんこ奢ってやるよ」
「やめろぉぉぉぉぉぉ憐れみの目をぉぉぉぉ僕に向けるなぁぁぁぁぁ!!!」
池谷が発狂し、壁に頭を打ち付ける。
黒歴史がどうとか言っているが無視。
俺はホマゾンでアクセサリーを検索しながら、撫子さんの喜ぶ顔を想像し……ぐふ、ぐへへ。