おはよう、1年生諸君。レポートは無事に完成したかね。
……その顔を見るに大丈夫そうだ。
中々衝撃的な話が多かっただろう?
ホグワーツ特急は我々に様々な変化をもたらした。
入学式には統一された行動。学生達には交遊の時間。
それまでの入学式の参加は行動の統一が不可能だった。
馬車やポートキーはともかく、箒での参加組は特にそうだ。
ホグワーツがイギリス全土から生徒を集めている都合上、長距離飛行が必要になる生徒も多い。
だが、魔法界育ちといえども入学前に長距離飛行を経験している者は極めて稀だ。自宅の庭で遊ぶレベルならともかくな。
結果として、親同伴でも翌日に到着する生徒も珍しく無かった。
それが、ホグワーツ特急が稼働してからは全生徒同じ時間に行動出来るようになった。これは快挙と言えるだろう。
他にも入学前の交遊時間が得られたことも大きな変化だ。
マグル生まれの生徒には入学前の準備として、教員がダイアゴン横丁を案内する。
現在では買い物終了後にホグワーツ特急の案内をするが、かつては特別製のポートキーを手渡していた。
マグル生まれは箒に跨ったことすら無いからな。
だが、魔法界歴数時間の状態でそのまま入学式に出る事での混乱は大きかったらしい。
右も左も分からぬ中、見知らぬ者たちと突如始まる寮生活。さぞプレッシャーだったのだろう。
現在はホグワーツ特急での顔合わせが出来る。
同じ境遇の者と交遊を深め、マグル生まれと魔法界育ちの常識を擦り合わせられる。これが寮生活の安定を齎しているのは間違いないだろう。
ホグワーツ特急導入前の長期休暇明けについても話していこう。
ほとんどは入学時と同じ条件だ。
馬車、魔法生物、ポートキー、箒。好きな手段でホグワーツ城に向かえる。
だが、最大にして最悪の問題があった。
入学時と違ってマグル生まれへのサポートが一切存在しないのだ。
もちろん学校側にも言い分がある。
「入学時と違って、彼らは飛行術を学んでいる」
「もはや特別な配慮が必要なようには見受けられない」
確かに飛行術は生まれや育ちでは無くセンスで決まる。
マグル生まれだけに配慮する必要があるかといえば違うだろう。
しかし当時の学校側は大切な事を無視していた。
マグルの家庭には飛行用の箒は無い。掃除用のみだ。
つまり、彼らは用途の違う箒で無理矢理に飛行する。
結果として長期休暇明けは医務室で過ごす者が多かったらしい。
本来マグル生まれの生徒達の通学手段はポートキーが一番だったのだろう。
だが、あれは魔法省への申告がいる。しかも低学年が作成出来る難易度でもない。
ゆえに学校側は生徒達にペリキュラムを教えるに留めたわけだ。
現在、生徒達はどのような出自であろうとホグワーツ特急へ乗って向かってくる。医務室で朝を迎える生徒は出なくなった。
喜ばしいことだ。
そこで諸君に考えてほしい。
ホグワーツ特急が廃止された場合の、それに代わる通学手段を。
条件としては、そうだな。マグル技術の利用禁止。
「新ホグワーツ特急を導入する」というレポートが来ても採点に困る。
過去に倣って各自か、マグル技術に倣って集団か、それとも小規模団体をつくるのか。
使うのはポートキーか、箒か、はたまた煙突飛行か。
正解がある問題ではない。ホグワーツ特急が廃止されることも無いだろう。
だが思考することを止めてはいけない。
次週までに羊皮紙5枚程度に纏めてくるように。
ホグワーツ特急が出来るまでは11歳でイギリス縦断の可能性があったってマ?