残業帰りの深夜0時。
疲れていた自分は、近道をするため公園を通ることにしました。

そこは大きくて暗く、街灯の光も木々に遮られている公園。
そこを通れば早く帰宅できるはずだったんです。

そこで遭遇してしまった“何か”。
それがいったい何だったのか、自分には今でもわかりません。

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公園にいた、何か

その日は残業で帰る時間が0時を過ぎていたと思います。

帰り道には大きな公園があり、外周を回るよりも通り抜ける方が近道でした。

街灯はありますが、木々が何本も植えてあるため、陰になっている場所が多い暗い公園です。

 

それでも、とにかく疲れていました。

怖いという気持ちより、少しでも早く帰りたいという気持ちの方が強く、公園の中へ入っていきました。

 

公園のちょうど真ん中あたりに噴水があります。

その噴水に近づいたときです。

噴水の影から、黒いシルエットが視界の端に映りました。

 

一瞬、驚きました。

ですが、よく確認してみると、普通のおじさんのようでした。

 

遅い時間ではありましたが、ここは夜でも犬の散歩をする人や、ダンスの練習をする若者がいます。

特におかしなことではないと思いました。

 

軽く会釈をしながら、その横を通り過ぎました。

すると、目指していた公園の出口が見えてきました。

 

出口の先には、コンビニが明るく光っています。

その明かりを見ると、先ほど感じたちょっとした恐怖心も和らぎました。

 

帰りに何か買って帰ろうか。

そんなことを思いながら、公園の出口へ向かって足早に歩きました。

 

ふと、足が止まりました。

 

何か聞こえたわけではありません。

何か見えたわけでもありません。

 

ただ、振り返らなければいけない。

 

そう思ったのです。

 

おじさんがいます。

 

さっきすれ違ったおじさんが、立っていました。

街灯の真下にいるせいか、姿は真っ黒な影になっています。

前を向いているのか、後ろを向いているのかもわかりません。

 

噴水の前で、ゆらゆらと体を揺らしながら佇んでいました。

 

顔は見えませんでした。

 

それなのに、見られているような感覚がありました。

 

自分は逃げるように、コンビニへ向かいました。

 

コンビニと公園の間には道路があり、信号は赤になっていました。

気持ちが急いていた自分にとって、赤信号が実に恨めしく感じられました。

 

横断歩道の前で信号が変わるのを待っていると、また背後を確認したいという衝動が湧いてきました。

恐怖心から、なかなか振り返ることができません。

それでも、背後に何かいるかもしれないと思うと、確認せずにはいられませんでした。

 

ちらり、と視線を向けます。

 

おじさんがいます。

噴水の前で揺れていたおじさんは、先ほどよりもこちらに近い場所で揺れていました。

 

――近づいている。

 

そう理解した瞬間、足が勝手に前へ出ました。

 

ぱっ、と光が顔に当たり、思わず怯みました。

前へ傾きかけた体を、反射的に後ろへ引きました。

 

目の前を通り過ぎた車のライトだと理解したとき、心臓がきゅっと絞められたようでした。

 

信号機が青に変わりました。

 

そこからは全速力で家まで駆け抜けました。

自分はもう、振り返ることはありませんでした。

一瞬でも立ち止まればあのおじさんに捕まるような気がしたのです。

 

あのおじさんが幽霊だったのか、ただの人だったのかは、今でもわかりません。

 

ただ、それ以来夜にあの公園を通ることだけはなくなりました。


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