デミウルゴスに憑依した一般読者   作:目ん玉

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水玉金魚様 眠りねこ丸様 のリクエストです。
こんな所でよろしいでしょうか?
ご笑納ください。


ショートショート詰め合わせ その8

たっちさんが恐怖公に親しみを覚えて仲良くなる話が読みたいです。

例えば、悪いことをした人に対してたっちさんと恐怖公がいけないよと注意して、たっちさんたちは穏便に話し合ってわかってもらったと思っているけれど、相手の心にトラウマが刻まれてしまう話とか。

 

別の時系列になります。

 ユグドラシル最終日。

 ログインしていたのは、モモンガではなくたっち・みーだった!

 そして起きる異世界転移。

 

「恐怖公。君の眷属なら目立たず情報収集できると思う。頼めるか?」

 

「お任せください、たっち・みー様。

 吾輩の眷属は、そこに居ることがバレても問題になりませんゆえ、まさに適任かと」

 

 そして放たれる大量の眷属。

 集まる情報。

 度し難い悪、悪、悪。

 

「とりあえず王国が一番危ないな。

 八本指から始めよう。

 デミウルゴス。こっそり幹部連中を連れてこれるか?」

 

 作者注:このデミウルゴスには「中の人」が居ません。

 

「お任せください。

 恐怖公の活躍により、情報は充実しております。

 これなら10分ほどもあれば、滞りなく完了いたします」

 

 本物のデミウルゴスは、こういう事をやらせたら非常に優秀だ。

 幹部8人および六腕6人(といってもゼロは両方を兼務しているが)の拉致は、5分で完了した。

 恐怖公の眷属のおかげで、誰がどこに居るのかリアルタイムで把握できるので強い。

 ゲート→問答無用で拉致→ゲート閉じる

 これを13回繰り返すだけだ。

 

「お待たせ致しました。準備が整いましてございます」

 

「よし、取り調べ開始だ」

 

 場所は黒棺である。

 真実の部屋? 拷問はいけない。警察官にあるまじき事だ。

 黒棺は良いのかって? 昆虫がたくさん居るだけだよ。何も問題は無いとも。たっち・みー様も虫だし。満員電車みたいなものだよ。

 

「八本指と六腕の皆様、ようこそ黒棺へ。

 吾輩、恐怖公と申します」

 

「「でかいゴキブリが喋ってる!?」」

 

 それでも30cmほどなので、まだ我慢できた。

 

「邪魔するよ」

 

「おお、これはこれは、たっち・みー様。

 ようこそお越しを」

 

「さて、尋問の前に、兜は外さないと……礼儀だよね。よっこらせと」

 

「「ぎゃあああ!? 虫ぃ!?」」

 

 人間サイズは無理だった。

 あんまりにも、あんまりすぎる。

 

「僕はたっち・みー。警察官だ」

 

「たっち・みー様。この世界に『警察官』は存在しないようです」

 

「あ、そうだった。

 えっと、君たちに分かるように言うなら、警邏の兵士? 警備兵? とにかく治安当局だよ。

 まあ、それは良いとして。

 君たちさ、犯罪はダメだよ?

 警備、賭博、金融あたりは、まっとうにやるなら良いとしてさ。

 麻薬、奴隷売買、密輸、暗殺、窃盗……ダメでしょ、フツーに。

 だいたい『副作用のない麻薬』だって? 無いわけないよね。どんな薬にも副作用はあるんだから」

 

 水だって飲みすぎれば中毒になるし、普通の食事だって食べすぎれば生活習慣病になる。

 酸素や窒素ですら多すぎれば中毒になるのだ。

 副作用のない麻薬。もし本当に副作用がないのであれば、それは麻薬ではない。無だ。

 明確な犯罪行為に、たっち・みーの警察官魂がメラメラと燃え上がった。

 

「「……!」」

 

 ガクガクと震えるように首を縦に振る八本指と六腕のメンバーたち。

 レベル100の威圧。

 生きた心地などするはずもない。

 気絶しなかっただけ、大したものである。

 

「分かってもらえて嬉しいよ」

 

 誤解である。

 彼らの頭には「食われる」という恐怖しか無かった。

 解放された彼らは、大急ぎで「まっとうな」商売へ転向した。

 だが、彼らは夜な夜な悪夢にうなされ、飛び起きるようになった。

 虫だ。

 虫が迫ってくる。

 足元を這い回り、壁を這い上がり、天井から落ちてくる。

 床を満たした虫たちは、やがて積み上がり、自分たちを埋めていく。

 ズボンの上から脚が圧迫され、細かい突起が動き回るのが分かる。

 胴体も同様だ。

 悲惨なのは腕である。露出した肌を直接這い回る。

 ふと見れば、ひときわ巨大な虫が立っているではないか。

 小さな虫たちの感触は、まるで巨大な虫の視線を浴びた感触のようだ。

 ――食われる。

 そう思ったときには、もう腕が食いちぎられて……

 

「HEEEEYYYY!? あァァァんまりだァァアァ!

 AHYYY! AHYYY! AHY! WHOOOOOOOHHHHHHHH! おおおおおおれェェェェェのォォォォォうでェェェェェがァァァァァ~~~!!」

 

 ……はっ!?

 自分の叫び声で飛び起きたらしい。

 汗びっしょりだ。

 もう眠れそうにない。

 まだ朝は来ない。

 

「あと王国貴族もひどいよね。王様に反抗的な家臣とか、国を守る気あるの?

 法国も過激すぎる。害虫じゃないんだから、ひたすら駆除なんて……話し合いの場を持つべきだよ。

 竜王国と聖王国は可哀想だな。ビーストマンと亜人には、きちんと言って聞かせなきゃ。

 そうすれば法国も少しは納得するよね」

 

「帝国はいかがいたしましょう?」

 

「うーん、皇帝の考えも分かるけどさ……これって実質的に、民間人への攻撃でしょ?

 だいたい自分の国が困ってるわけでもないのに、何しに王国へ攻め込むんだろう?

 ちょっと恐怖公の眷属でさ、戦争の時期が近づくにつれて皇帝の髪の毛を減らしてやろうよ。寝ている間にこっそり近づいて」

 

「お任せください。

 吾輩の眷属たちゴキブリは髪の毛1本で1週間は生き延びますからな。まさに適任でございます」

 

 

 ◇

 

 

デミえもんで定着してしまった主人公が、ブループラネットさんが望む自然豊かな過去(企業によるディストピアがない平行世界扱い?)から来た事を掘り下げてる話とか読みたいです。

 

 ブループラネットが帰還した。

 砂漠地帯で緑化活動をしていた彼は、いくら呼びかけてもろくな反応をしない。

 仕方ないので現地に出向き、問答無用で星に願いをを食らわせて精神状態を戻してから話しかける事になった。

 そうして戻った彼は、他のメンバーから今までの事を聞くのだが……

 

「デミえもんは21世紀の人なの!? うわぁ! マジか! まだ自然がたっぷり残っていた頃じゃん!」

 

 というわけで、ブループラネットはデミえもんに興味津々となった。

 

「ちょっとお話してくる!」

 

「はい。あの、来てから仰りましても……」

 

「あっ、失礼。

 ちょっとお話しに来た!」

 

「はい」

 

「どんな所に住んでたの?」

 

「山ばかりの田舎でした。

 最寄り駅まで10km以上離れていて、車で30分もかかるような場所です。

 バスが1日に10本も無くて、交通の便が非常に悪い場所でした」

 

「そうなんだ? だいぶ自然豊かなところに住んでいたのかな?

 良いところは?」

 

「災害に強かったですね。

 山に囲まれているおかげで台風が来てもそれほど強い風は吹きませんし、海がないので津波の被害も受けません。大きな地震がそのうち来る来ると言われ続けて、結局来ないうちに転移してしまいました。

 ああ、でも雨が激しいときは、たまに道路が崩れていましたね」

 

「ははぁ……自然豊かでも、それなりに苦労はあるんだねぇ」

 

「そうですね。雪が積もるとタイヤが滑って、車では家に帰れなくなる事がありました。山ばかりなので坂道が多くて、平坦な所がまったく無かったんです。まあでも、それは温暖化の影響や性能向上のおかげで無くなりましたが。

 あとは、数十年前に林業ブームがあったとかで……それは私が生まれるより前のことなので、あまり詳しくないのですが……当時の住人たちが欲を出して山を買い、原生林を切り払って杉ばかり植えた挙句、木が育って売り物になる頃にはブームが終わってしまって山林は間伐もされずに放置……結果、森林の9割以上が杉という、花粉症患者にとって地獄のような場所でしたよ」

 

「なるほど……自然豊かでも、何でも良いというわけにはいかないんだね。

 じゃあ、22世紀のリアルのことは、どう思う?」

 

「専門家ではありませんが、私の個人的な印象としては『思ったより早かったな』と。

 人類が宇宙へ進出して、他の星に移住するようになるのと、どっちが先だろうかと思っていました。

 森林やオゾン層の破壊、プラスチックゴミによる海洋汚染など、20世紀末からすでに色々と問題がありましたから、いつかそうなるだろうという未来のひとつですね。そうなったこと自体には、驚くほどの事は何も。

 もっと先の未来になれば、太陽が寿命を迎えて火星軌道付近まで膨張するので、地球は飲み込まれて消滅するという予測もありましたので、私としては、環境破壊なんて所詮は短いスパンでの話に過ぎないし、どうせ絶滅は避けられないのに……というのが正直なところです。

 もちろん、できるだけ綺麗に保つのは良いことですし、そのさらに先の未来になれば、人工的に再現した地球の原寸大模型のようなものが、同じように再現された太陽とか水星や金星とかと一緒に、宇宙空間に飾ってあるのではないか、などと思っておりました」

 

「なるほど。当時からそういう遙か未来までの予測は出ていたんだね。

 ちなみに、まだ残っている自然に、どう向き合ったの?」

 

「真面目に保護活動をしている集団があったと思います。国家や国際条約としても色々と。漁獲量の調整とかして絶滅しないように気をつけていたり。

 私はそこに参加しませんでしたが、多くの人たちはそうでしょう。

 娯楽として楽しむほうが多数派だったと思います」

 

「娯楽! どんな事をしたの?」

 

「絶景スポットに旅行だとか、キャンプブームもありましたね。

 多少マイナーかと思いますが、バードウォッチングやネイチャーゲームなどもありました。

 その一方で増水警告を無視して川遊びや閉山中に登山など、ルールを守らず周囲に迷惑をかける客がいる問題もありました」

 

「なるほど。ネイチャーゲームというのは?」

 

「聴診器で木の幹を、こう……内部を流れる水分の音とか聞こえるらしいですよ」

 

「おお……!

 聴診器か……そんなアイテムあったっけ? ナース服系の付属品でペロロンチーノさんあたりが持ってないか聞いてみるか。無ければ鍛冶長に作ってもらおう。

 一緒にやらない? ていうか、やろうよ。やり方教えて」

 

「いえ、ネイチャーゲームは私もやったことがなくて、詳しくは……申し上げた通りの内容程度しか存じません」

 

「じゃあ、やった事があるのは?」

 

「キャンプくらいですね。

 ブームのときに動画配信が増えて、その流れに乗った感じでした。

 御方々でグルキャンなんて、いかがでしょう? 要塞創造や自然の避難所などは使わずに、あえてロープと布でテントを作る方向で。自然を感じるのが目的ですから。ナザリックには食材も豊富ですし、料理や飲食ができなくてもキャンプファイヤーを囲んで語り合うだけで楽しいかと」

 

「いいね! よし、今度やってみよう。

 そのときは技術指導を頼めるかい?」

 

「技術指導……ええ、まあ。

 キャンプのやり方に正解などありませんので、お好きなように楽しんでいただくのが一番ですが」

 

「おお……なんて深い言葉なんだ。

 技術指導の前に心構えの指導とは恐れ入ったよ。

 じゃあ、よろしく」

 

 なんか満足して去っていかれた。

 俺はしばらく呆然と見送ったあと、頭の上に「?」を浮かべた。

 何だったのだろう?

 らしいと言えばらしい行動だったのかもしれないが、あまりに突然のことだった。

 ……とりあえず資料でも作るか。

 

 

 ◇

 

 

ギルメン達からすれば義務教育があった時代の人間なので、教養ある知識人のように感じながらも、普通のご家庭出身とか分かる事で、オバロのディストピア社会の未来のなさとか、だからこそデミウルゴスの中にいて種族に引っ張られ過ぎずにデミウルゴスの創造主であるウルベルトの定義する悪が理解出来たとかをデミウルゴスと話せれば仲良くなれるかも…?

 

「御方の叡智には、まったく脱帽だよ」

 

 ある日、副料理長のバーにて。

 デミウルゴス(本物)が、ため息交じりに言って、グラスを傾けた。

 

「あー……たぶん、あなたの勘違いかと」

 

「何だって?」

 

「モモンガ様、小卒ですし」

 

「しょーそつ……? 何だい、それは?」

 

「小学校を卒業したのが最終学歴ということです」

 

「しょーがっこー……?」

 

「6歳から12歳までの子供が、基本的な読み書きや計算を教わる教育機関です」

 

「……は?」

 

「ちなみに少し応用的な内容が中学校で、いくらか専門的な内容が高校、そして死獣天朱雀様がリアルで教鞭をとっておられたのが、その上の大学という所です」

 

「……は……?」

 

「大学の上に大学院という機関もありまして、高度に専門的な職業につく場合は大学院まで卒業するのが必須条件になる場合があります。そうまでしても、いざ専門職についたら『最低限の知識があるだけの素人』扱いですが」

 

「あ……? か……?」

 

「ですからモモンガ様の知識は、ほとんど働き出してから現場で覚えたことでしょう。

 内容がかなり偏っていて、ご存知の分野が狭い可能性があります。もしかすると得意分野でも、その知識は学術的には体系的とは言えない状態かもしれません。

 もちろん、ご自身の分野では深い知識をお持ちでしょうが……魔法を700以上も丸暗記しておられるとか、まさにその手のアレでしょうね」

 

「つ、つ、つ……つまり、私は……」

 

「勝手に深読みして、勝手に御方のご計画を『作って』しまっているという事ですね」

 

「…………」

 

 はらり……。

 デミウルゴスの髪が散った。

 これ以降、なぜか彼はやたら俺に確認を取るようになった。

 

「これって御方のお考えにあるだろうかね?」

 

「いや、直接聞いてみたら良いのでは?」

 

「そんな不敬な!」

 

「じゃあ提案や企画書という形で奏上すれば良いのでは?」

 

「い、いや……しかし……言われる前に察して動くのがシモベとしての……」

 

「報連相。モモンガ様も『大事だ』と仰っていたでしょう?

 報連相の相は相談の相。相談とは、未来の事柄について情報共有や意見交換をすることです。

 察して動いて誤解でした、というのを防ぐための行為ですよ?」

 

「……はい」

 

 

 ◇

 

 

ちゃんと約束守ってくれたパンドラズ・アクターと仲良くしてる姿も見たいです。他のしもべ達とは違った見方をする同士なので、友達してる姿とか。

 

「王手」

 

「ぐぬぬ……!」

 

「これで私の7勝0敗ですね」

 

「……はぁ。

 さすがパンドラ。知恵者として創造されただけの事はある、という事ですか」

 

「それはどうも。

 しかし不思議ですね。あれほど次々と素晴らしいアイデアや助言が出てくるあなたが、こんな単純なボードゲームでは負け続けるなんて……」

 

「それはそれ、これはこれです。

 計算能力の高さと、ひらめきや多角的理解とは関係ありませんよ。

 そうでなければ将棋や囲碁のチャンピオンは、政治家としても一流という事になってしまいますから」

 

「得意分野の違い、ということでしょうか。

 ……もう1局差します?」

 

「いえ、もう結構。

 これだけ負けたあと、勝たせてもらったとて、喜べませんし」

 

「おや、バレてしまいましたか」

 

「なぜバレないとお思いで?」

 

「では、今度は別のゲームでも……」

 

「いえ、それよりアイテムの思い出話など、また聞かせていただきたいのですが」

 

「Wenn es meines Freund Wille(我が友のお望みとあらば)」

 

「そこだけ生き生きと言う……」

 

「それはもう!」

 

 パンドラはさっそくマジックアイテムを手に取り、磨き始めた。

 手入れをしながら話すようだ。

 もちろん全く構わない。

 ……が、話し始めるかと思いきや、思い出したように俺を見る。

 

「そういえば」

 

「ん?」

 

「あなたからは『うわぁ……』という反応を見ませんね」

 

「ああ……ええ、それは当然」

 

「当然?」

 

「音楽には、路上ライブというものがありますね。

 あれは大道芸の一種です。

 路上で芸を披露するから大道芸というので、火吹芸やジャグリングなどを披露する人も居ますでしょう?

 そういうものを見て、楽しみ、驚き、あるいは感動する事はあっても、下手だからといって引くことはありません。必死に努力している姿は美しいものです。

 ましてや、パンドラは役者として創造され、役者として一流……いえ、超一流と言っていい。舞台役者が舞台衣装で演じている姿を見て、なぜ『うわぁ……』と言われるのか、私には全く理解できませんよ。

 思うに、ナザリックに『路上パフォーマンス』という文化への理解が無いせいでは? 役者としてパンドラが『成長』を見せるべき所かもしれませんね。新たな文化の創造という……いえ、かつて存在した文化の復興でしょうか」

 

 勝手な予想だが、リアルやユグドラシルに、ストリートパフォーマンスは存在しなかっただろう。

 リアルにそんな余裕はないだろうし、ユグドラシルにそこまで「プレイヤースキルを芸として見せる機会」なんて無いだろうし。あってもスーパープレイの動画配信くらいだろう。

 

「なるほど……文化振興……成長ですか……興味深いお話です」

 

 何やら火がついたようだ。

 

「では、私はそろそろ……」

 

「逃がしませんよ。ナザリックに路上パフォーマンスの文化を広める計画を! ぜひ! いっしょに!」

 

「えぇー……」

 

 めんどくせー……。

 俺は口だけ出してれば良いポジションで居たいのに……。

 ブラック労働はんたーい……。

 

 

 ◇

 

 

おまけ

そろそろ名前とか役職とかハッキリしとこうぜ、という感想をいただき、しかもgoodが多いようでしたので、ここらでぶっ込んでおきます。

 

「いい加減にきちんとしないと、シモベたちも困るかもしれません」

 

 ある日。

 円卓の間にギルメンを集めたモモンガが言い出した。

 

 

「何のことです?」

 

「あいつですよ。あの。名前のないホムンクルス。参謀。デミえもん」

 

「「ああ……」」

 

 名前さえ定まっていない。

 デミウルゴスから分離した「中の人」。

 非常に呼びにくい。

 

「まず名前ですが、俺にネーミングセンスはないので」

 

「「それはそう」」

 

 満場一致だった。

 

「……ちょっと泣いていいですか?」

 

「ごめんて」

 

「でも事実だし」

 

「自分から言ったくせに」

 

「ええ、うるさい!

 どうせ俺は『デミえもん』のまま押し通そうとしてましたよ!

 てことで、ここはひとつ、皆さんから案を……と思ったのですが……」

 

 すでにメンバー全員の視線が1人に集まっていた。

 アインズ・ウール・ゴウン。

 その名前を提案した武人建御雷である。

 彼のネーミングセンスは、彼が創造したコキュートスにも受け継がれているらしく、原作では「魔導王」を提案して採用されていた。

 

「そうですね……原作知識がある人物、というのが彼の最も特異的なところです。

 すでに出し尽くして役に立てないとか言っていますが、実際の所そうでもない。あの分析力というか発想力というか……」

 

 メンバーたちは頷いた。

 

「なので、アカシックレコード。

 語源はサンスクリット語の『アカシャ』と英語の『レコード』をあわせた造語なので、ここはサンスクリット語に揃えて『アカシャ・アビレーク』というのはどうでしょう?」

 

「ではここで、本人登場です」

 

「お招きいただきまして参上つかまつりました」

 

「お前の名前は、アカシャ・アビレークというのはどうだ?」

 

「それはちょっと大仰なのでは……?

 ……名前負けしそうですね。

 レクター、とでもお呼びいただければ十分でございます」

 

「ラテン語ですか」

 

「教授、意味は?」

 

「『読者』ですよ」

 

「ぐわー! ネーミングセンスで負けた!」

 

「建やん残念!」

 

「さて、もう1つの議題です。

 名前が決まったところで、レクターの役職ですが」

 

「参謀じゃダメなのか?」

 

「作戦の立案とかするのが参謀ですから、私はその役目を降りたと思っております。

 以降、作戦立案に類する仕事は、アルベド様、デミウルゴス様、パンドラの3名にお任せいただけますと幸いです」

 

「パンドラだけ呼び捨てか。

 知らない間に仲良くなったようだな」

 

「恐れ入ります」

 

「いや、あいつにも友達ができたなら良いことだ。

 それで役職だが……そもそも客分なのか配下なのかも未定ですよね。

 外部の存在ではあるものの、内部の働きをしてますし」

 

「参謀を降りるといっても、今まで通り相談には乗ってくれるんでしょう?」

 

「もちろんご用命とあらば」

 

「じゃあ相談役だ」

 

「第三者的な立場で助言する役目……いいんじゃないか?」

 

「ありがとうございます。

 謹んで拝命いたします」

 

「客とかギルドメンバーとかになろうとは思わないのか?」

 

「客のまま仕事もなくだらだら過ごすというのも心身の健康によくありません。

 働き詰めのブラック労働もご勘弁願いたいのですが。

 かといって今更『御方』と呼ばれるのも、ちょっと……。

 第一、責任を負うことを好みません」

 

「うわー、意外と小物くせぇ」

 

「はい。一般読者でございますので」




というわけで、唐突に名前と役職が決まりました。
ご納得いただけますと幸いです。

活動報告でリクエスト受け付けています


誤字報告をいただきました。
ゆっくりしていきやがれ様 佐藤東沙様
ありがとうございます。

心は永遠の中学二年生様
だいたい『副作用のない麻薬』だって? 無い【→有る】わけないよね。どんな薬にも副作用はあるんだから」
この御指摘は「(そんな麻薬)あるわけない」という事だと思いますが、
ここでは「(副作用が)無いわけない」という文脈で書いております。
まあ、どっちでも意味は通じるかと思いますが、そういう事でひとつよろしくお願いします。
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