こんな所でよろしいでしょうか?
ご笑納ください。
「ナザリックのナザリックのよるナザリックのためのお化け屋敷やってみよう!」とギルメンの誰かが言いだして、悪乗りで色々割と洒落にならないものが出来上がったけど、特に誰もそのことに気付かず、完成してから「で、これ誰が体験すんの?」ってなって、レクターから「適当な犯罪者とか悪人とか連れてくるのはどうでしょう?最後に眠らせて自室のベッドに突っ込んどけばいい感じに夢落ちで無害に終わるでしょう。」という提案があり、不幸な生にe…幸運な非検たi…体験者第一号として天武のエルヤーさんが(悪)夢のようなひと時を過ごす…とかどうでしょう?
リクエストの内容からして時系列がねじれます。
「お化け屋敷……ですか」
モモンガは、ありもしない表情筋を動かし、しかめっ面でうなった。
第五階層・氷結牢獄内に存在するとある一室――ニグレドの部屋。
訪れるたびにホラー演出が始まり、いちいちクリアしないと会話が始まらない。
それを初見でやられたモモンガは、本気で悲鳴を上げ、攻撃を仕掛けてしまったらしい。
「もうあるんだから、いらないのでは?」
モモンガが嫌そうに言ったその声は――
「よし、任せてください。
ニグレドの部屋には実装できなかったホラーパターンを詰め込んで、最高のお化け屋敷を作ってあげますよ」
やたら良い顔で笑いながらサムズアップしたタブラ・スマラグディナによって遮られた。
そして止める暇もなく、スタコラサッサと出ていったタブラ・スマラグディナは、楽しそうにお化け屋敷を作り始めた。
応援要請を受けてヘロヘロが加わり、何やら思いついた様子のウルベルトが加わって……数日後に、お化け屋敷は完成した。
「場所は第1階層にしました。
侵入者は、来てすぐ、まずこのお化け屋敷に入ることになります。
怖がって出ていく者だけが生還できるというわけですね」
「そうですか」
「おや……? 反応が薄いですね」
「俺は絶対に立ち入りませんので」
「えぇー? せっかく作ったのに」
「タブラさんが本気で作ったお化け屋敷なんて、怖くて入れないでしょーが。
無いはずの心臓が口から飛び出して死ぬ自信ありますよ」
全力で拒否する構えのモモンガ。
タブラ・スマラグディナは、それほど怖がってくれるなら、これはこれで制作者冥利に尽きるかなと思った。
「むう……仕方がありませんね。
でも、誰かには体験してもらいたい……」
「今度、帝国の奴らをおびき寄せる計画があるので、それに使いましょう」
というわけで、その時が来た。
一応、警告のためのモンスターを配置して、ちゃんと警告した。
でもエルヤーは、そんなの知らんとばかりに踏み込んだ。
リスクがあっても自分なら突破できるという根拠のない自信に従って、手つかずのお宝を我先にと求め踏み込む。
すると、通路の先に巨大な目玉が浮いていた。
顔もなければ手足もない。
フロータイボール。
本体が目玉だけという生物で、口も何も物理的に存在しないので噛みつきや毒針といった攻撃手段は持たない。
しかし、その視線には様々な効果――麻痺、昏睡、即死などがあり、素早くはないが浮遊するため飛び道具が必須で、そのくせ狙いを定めるときには視線を合わせないように注意しなければならないという、弱いくせに厄介なモンスターである。
今回用意されたフロータイボールの視線効果は、悪夢。
エルヤーの精神は、夢の中に囚われた。
しばらく警戒していたエルヤーだが、何か手を打とうかと思った矢先、フロータイボールはすーっと消えてしまった。
エルヤーは首を傾げる。
「……何だったんだ……? まあいい。先に進みますよ」
ところが1歩踏み出したとたんに、いきなり足元の床が消えた。
消える寸前、床に顔が現れてニタリと笑う。
床に擬態する悪魔か何かだったらしい。
あとに残ったのは、底まで10mはあろうかという穴だ。
とっさに壁に刀を突き刺して落下を免れようとしたエルヤーだが、壁が固くて刀が刺さらなかった。
そのまま落下し、底に敷き詰められた鋭いトゲに突き刺さって死亡する。
「……はっ!?」
気づくとエルヤーは、先程の通路にいた。
すーっとフロータイボールが消えていく。
エルヤーは素早く飛び退いた。
床が消える。
だが問題ない。飛び退いた先には床が――じゃきん! どすどすどすっ!
着地と同時、前を開いた「鋼鉄の処女」みたいな風貌の怪物を見た。
壁に擬態して隠れていた怪物の突進を受け、無数のトゲに突き刺されて、エルヤーは死んだ。
「……はっ!?」
気づくとエルヤーは、先程の通路にいた。
すーっとフロータイボールが消えていく。
エルヤーは、後ろが駄目なら前へ、と素早く飛び出した。
床が消える。
だが着地できる。問題ない。
今度は横からの攻撃を警戒して、着地の瞬間に武技・縮地・改を発動。
じゃきん! 予想通りに飛び出したトゲの怪物を避けた。
ぶおん! どすっ!
天井から振り子のように落ちてきた巨大な斧が、エルヤーを直撃した。
斧の側面に現れた顔が、ゲタゲタと笑う。
どこへ逃げても死亡確定。
もうどうしろと。
「……はっ!?」
気づくとエルヤーは、先程の通路にいた。
すーっとフロータイボールが消えていく。
「う、うおおおっ! 武技・縮地・改! 届けぇぇぇ!」
あの目玉だ。
あの目玉が攻撃の起点。
あれを倒せば攻撃は終わるはず。
必死に駆け抜けた末、ずばっ! フロータイボールを切断した。
「やった!」
直後、フロータイボールの切断面から無数の牙が生え、ばくんっ!
エルヤーは食い殺された。
「……はっ!?」
気づくとエルヤーは、先程の通路にいた。
すーっとフロータイボールが消えていく。
「ひいいいっ! 武技・縮地・改! こんな所に居られるかぁぁぁ!」
エルヤーは逃げ出した。
奴隷のエルフ3人を突き飛ばし――どすどすどすっ。
「え……?」
突き飛ばしたはずのエルフたちから、逆に刺されていた。
いつの間にナイフなんて……?
崩れ落ちながら見た3人の顔が、ドロリと溶けて崩れ去る。
あとに残ったのは、卵に3つ穴を開けたような顔だった。
エルヤーは死んだ。
「……はっ!?」
気づくとエルヤーは、先程の通路にいた。
すーっとフロータイボールが消えていく。
「クソがあああ! 武技・縮地・改! どけぇぇぇ!」
エルヤーは奴隷のエルフ3人を斬り殺して突破した。
殺される前に殺せば問題ないのだ。
しかしなぜか今度はドッペルゲンガーの顔を晒すことなく、そのまま倒れる3人。
今度は本物だった?
いや、構うものか。自分が助かりさえすれば良いのだ。
あとは出口まで走――
「……は?」
飛び出したところが、なぜか100m以上もの断崖絶壁になっていた。
遥か眼下に森が広がっているのが見える。
いや、森ではない。トレントの群だ。
のけぞるようにして上を見上げたトレントたちの顔が、一斉にエルヤーの姿を捉え、枝を振り回して掴みかかろうとする。
「どういう事だああああ!?」
エルヤーは死んだ。
落ちて死んだのか、枝に打たれて死んだのか、捕まって食われて死んだのか、あまりの状況に区別がつかなかった。
「……突然動かなくなりましたけど、あれは?」
遠隔視の鏡で状況を見ていたモモンガが尋ねる。
ウルベルトがニヤリと笑って答えた。
「あれは悪夢を見ているところです。
どうあがいても100回死ぬまで終わらない悪夢です」
「100回……」
「実際に死ぬわけじゃないので、レベルダウンは起きませんがね。
だからこそ、低レベルでも100回しっかり体験できるというわけです」
「殺意高っ。
そんなのトラウマ確定じゃないですか」
「まだ入口の最初の仕掛けですよ?」
ニタニタ笑うタブラ・スマラグディナ。
モモンガは頭を抱えた。
「入らなくて良かった……」
「一応、途中で何度かヒントが出るようにしてあります。
視線をレジストするのが一番いいんですが、食らってしまった場合、あれを最速でクリアするには、生きようとするよりも100回さっさと自殺するのが一番です」
説明を終えると同時に、エルヤーは動き出した。
「ひゃははは! 死ねば終わる! 死ねば終わるんだぁ!」
エルヤーは自分の首を切って死んでしまった。
オロオロしていた奴隷のエルフたちが、キョトンとしたあと、仄暗い笑みを浮かべる。
「回数を数え間違うと、ああなります」
「殺意高っ!」
◇
モモンガとアルベドのラブラブなもの。それに伴って、ペペロンチーノとシャルティアの人生の墓場的な話をお願いします。
モモンガとアルベドのラブラブものは、複数希望です。
「……愚弟、お前……太った?」
「そうなんだよ! 聞いてくれよ、姉ちゃん!
悪いのは俺じゃなくて、モモンガさんとアルベド! それにシャルティアと料理長なんだよ!」
「とりあえずお前が悪いのは分かったけど、どーゆーこと?」
「なんでだよ、違うって。
まず前提としてシャルティアが『あーん』してくれるんだけどさ」
「うざっ! のろけかよ」
「ひどい!
隣でモモンガさんもアルベドに『あーん』してもらってんのね」
「尊い……」
「なんでだよ! どういう扱いの差だよ!」
「はいはい、それで?」
「そこで始まるんだよ」
「何が?」
「女同士のガチバトル!
チキチキ・どっちが愛しの旦那様にたくさん食べてもらえるかレェ~ス!」
てんてんてんてん、ててててん♪
「あほくさ」
「序盤は俺が優勢なわけ。
ほら、俺って鳥じゃん? くちばしじゃん? 歯がないから基本丸呑みなのね。
それで食べるのが早いから、シャルティアがどんどん『あーん』してくれるの」
「のろけかよ。愚弟のくせに」
「姉ちゃんも早く相手見つけなよ?」
「黙れ殴るぞ」ゴスッ
「殴ってから言わないで!?」
「それで何? 食べすぎて太ったと?」
「そう」
「やっぱお前が悪いじゃん」
「仕方ないんだよ!
モモンガさん、食べる→オーバーロードに戻る→人間に変身→食べる、で無限ループできるんだもん!
後半の追い上げが凄いんだって! あんなのチートじゃん!」
「何やってんの、モモンガさん……そこまでして食べるの?」
「なんか、ずっと食べられなかったから反動で、美味しいものに目がないみたい」
「Oh……」
「でさー、そうなると料理長も張り切っちゃうじゃん?」
「至高の御方が喜んで食べてくださるー、てか?」
「そうそう。
俺達専用にカップルストローまで用意したジュースとか作ってさー」
「カップルストローって、ハート型のあれ? 2人で同時に吸うやつ?」
「うん」
「うっざ」
「モモンガさんたちも使ってるからね?」
「尊い……」
「なんでだよ! どういう差だよ!」
「そんで、さっさと負けを認めりゃいいものを、対抗して食べすぎて太ったと」
「モモンガさんと違って生きてるからね。仕方ないね」
「いや、断れよ。負けを認めろよ」
「シャルティアが可愛いのがいけない」
「お前が悪いだけだよ」
「愛する嫁にせがまれて断れる男なんて居ないのさ」
「うっざ」
「モモンガさんもそれで変身繰り返して食べ続けてる所あるからね?」
「尊い……」
「だからなんでだよ!?」
◇
その頃のモモンガたち――
「おはようございます、モモンガ様」
「ん……ああ、おはよう、アルベド……。
はあ……朝からなんでこんなに疲れてるんだか……」
「昨日は激しかったですね……ぽっ」
「好き放題搾り取ったくせに何を言う」
「お食事になさいますか?
お風呂になさいますか?
それとも、ワ・タ・シ?」
「くそっ、やられっぱなしで終われるか!」
「あ~れ~♡」
どすん、ばたん、【ソフトな表現に差し替えてあります】、ギシギシ
そして賢者タイムへ――
「くそぅ……結局勝てなかった……。
……そういえば今、何時だ?」
「14時頃でございます」
「もう仕事するって時間じゃないな。
スパ行ってさっぱりしたら、エ・ランテルでもぶらつくか。
屋台を冷やかして、公園でのんびりして、夕日を見てから帰ってこよう」
「はい、喜んで」
ちなみにスパリゾートナザリックに混浴は存在しない。
自室に作っちゃおうかなー、とモモンガは本気で悩み始めていた。
◇
複数希望とのことなので、もう1発。
エ・ランテル――
「王国と帝国と法国の要衝……3つの国の文化が入り乱れて、王都よりも面白みがあるな」
「よろしゅうございました。
ですが、ザナック王がまた寂しがっていますわね」
「ああ……そのうちまた行ってやるか。
あいつとは普通の話ができて気楽でいい」
「ガゼフの所にも寄っていかれますか?」
「そうだな。あいつはいつ会っても気持ちがいい。元気をもらえるからな。
そういえば結婚相手を探してやらないと……もうそろそろ、いい歳だろう?」
「そうですわね。
熱血系同士でレメディオスと引き合わせてみますか?」
「……生まれてくる子供がゲジマユになりそうだな。おかっぱ頭で鉄板とか手足に装着したりして」
「……?」
「いや、なんでもない。こっちの話だ。
ん? あれは前回見なかった屋台だな」
「買い求めて参りましょうか?」
「このくらいは俺が行く。
アルベドはそこらで待ってなさい」
「はい」
買い物に行くモモンガ。
人間に変身中の姿は、整った顔立ちではあるが、それほど見目麗しいとまでは言えず、痩せ気味でどこか病的な雰囲気を宿している。
要するに、アルベドと並んで歩いて「釣り合う」ようには見えない。
「よう、姉ちゃん。冴えねえ男はほっといて俺らと遊ぼうや」
数人の男が話しかけてきた。
「結構です。
私は旦那様を愛していて恋しているのですから……ぽっ。
他の男なんて興味ありません」
ブリザードの視線を浴びて、男たちはちょっと怯んだ。
しかし、そこで引き下がれば良いものを、理解できないアホだった。
「まあ、そう言わずに――いてててて!?」
「俺の妻に何をしている?」
絶望のオーラどばー。
フォーサイトに嘘をつかれた時くらいブチギレながら不気味に静かなモモンガ。
BGM「クレマンティーヌを処刑するアインズ様」がスタートする。
ナザリックがマイルド方針に転換していなければ「私は非常にワガママなんだ」が決め台詞になっているところだ。
「「あびゃああああ!? アンデッドぉぉぉ!?」」
「お前たちには少し躾が必要なようだな。
――ゲート。
歓迎してやろう。ニューロニストが退屈している」
「「あびゃあああああ!?」」
BGMが、ちゃらららーらーらー、てててーん♪ と完了する。
しかしマイルド方針のモモンガは、ブチギレても拷問はしない。
担当者から、実行可能なあれこれを説明して差し上げるだけだ。
解放されたときの男たちは心を入れ替え、「お花きれい……」とか言いながら別人のように澄んだ目をしていた。
「旦那様……ぽっ」
古参の住人は「またか」と呆れた。
アルベドの美貌に惑わされるのは仕方ない。
だが、あの2人にバカな真似をしていはいけない。
あれは至高神様とその奥方様なのだら。
前回のあとがきに、ロードオブファーランドに関するうんちくを掲載しました。
捏造設定ですが、興味がありましたら読んでみてください。
興味ない場合は、読まなくても一向に構いません。何の影響もありませんので。
なんなら目ん玉も書き捨てるだけ書き捨てて忘れると思います。
誤字報告ありがとうございます。
層土お麩様
「そこら」の「ら」は誤字ではないかというご指摘でしたが、誤字ではございません。
シモベが「そこで待て」と言われると本当に1歩も動かず待っているだろうと思います。
「そこらで待て」と言われた場合は、ある程度の行動範囲が許可されていると受け取るでしょう。
デートに来ている状態でこういう場面ですから、どっかそのへんのベンチにでも座って待っててくれというニュアンスになります。なお現地のベンチに座るかどうかは怪しいところだと思います。与えられた装備が汚れるのヤダ〜と思うんじゃないかな、と。